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2024年01月20日

勝手に小説『扉と怒り課長と蜘蛛3』

ーー出会いの扉ーー

その生き物を観て、勇優は驚きと恐怖を感じて、怒りがまたどこかに飛んで行ってしまっていた。
なぜなら、その生き物は、『蜘蛛』そのものだったのだ。
しかも、大きさは勇優と同じ人間サイズの大きさだったのだ。

出会いの1の扉.jpg

ということは?今自分が囚われている場所は、そのまま蜘蛛の巣の中ということになる。
ということは、自分は捕食されてしまうのでは?
勇優は、頭の中が色々とパンク状態となってしまった。
蜘蛛「ありゃ、これは珍しい。人間が引っ掛かっているとは。」
蜘蛛はそういって、更に勇優のそばまで近づいてきた。
勇優は慌てて、この蜘蛛の巣から逃げ出すために、ジタバタし始めた。
蜘蛛「あっ、お客さん!そんなに暴れないでくださいませ。巣が壊れてしまうではないですか!」

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そういって、蜘蛛は足で勇優を抑えつけた。手と足も抑えつけられて、勇優は動けなくなってしまった。
そりゃそうだ。蜘蛛の足は全部で8本もある。人間の手足は4本。
蜘蛛「もう、取り合えず落ち着いてくださいよ。」
ここで、ふと勇優は違和感を感じた。
ん?この蜘蛛は今自分に話かけている?
というか、言葉がわかる?
そう思って、助けを乞うため話かけてみた。
勇優「申し訳ないです。え〜と。。自分はあなたに食べられてしまうのでしょうか。。。」
蜘蛛「ん?何故です?あなたみたいな人間を食べたらお腹壊してしまいますよ。」
蜘蛛「取り合えず、巣を壊したくないので、そこから解放したのですが、暴れないで居てくれます?」
と、蜘蛛は話かけてきた。

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勇優は、話を聞いて自分はまだ生きていられると思い、少し安堵したのか、抵抗を辞めた。
すると、蜘蛛は口からなにやら液みたいのを、勇優にかけてきた。
勇優はびっくりして、飛び起きてしまった。
勇優「なっ!いきなり何をする!失礼な!」
蜘蛛「何を言ってるんですかぁ。その液がないと、巣から離れることが出来ないじゃないですか。」
蜘蛛の言う通り、今勇優は、蜘蛛の巣から解放されていた。
蜘蛛「まったく、なんでこちらが怒られないといけないんですかねぇ。こっちが怒りたい気持ちなのに。」
勇優「あっ。これは申し訳ない。取り合えずありがとうございます。」
蜘蛛「はいはい。まぁ、取り合えず巣は無事だったので、良いです。あなたにも色々と事情はあるでしょうからね。」
そういうと、蜘蛛は、先ほどまで勇優が居た場所の糸の状態を確認しだした。
蜘蛛「これでよしと。あぁそうそう。自己紹介がまだでしたね。初めまして。私はタランと申します。」
蜘蛛は丁寧に勇優に向けてお辞儀をした。
この行動に、勇優は少しあっけにとられぼーっと蜘蛛の方を見つめていた。
これまで、蜘蛛にお辞儀されたことなど、生涯で一度もないのだから、凄い不思議な感じがした。
タラン「それで、あなた様はどちら様?」
と言われて、はっとして慌てて自己紹介をした。
勇優 「あぁ、これは失礼。自分は人間の山田勇優というものです。ここはどこですか?」
タラン「山田さんとおっしゃるのですか。んで、ここはどこかと聞かれても、私の巣ですが。」
勇優 「なぜ、タランさんは私と同じ大きさで、自分と会話が出来るのですか?」
タラン「?逆に山田さんが何故私と同じ小さい大きさになっているんですか?人間なら、ほらそこにいる大きさのはずですが?」
とタランは、上の方を指さしたので、勇優もそちらを見てみた。
すると、はるか上空の方に、かなり大きいサラリーマンのスーツを着たどでかい男性が見えた。
勇優 「なっ!自分が小さくなった!なぜ?」
タラン「何故?小さくなったのか分からないんですか?」
勇優 「えぇ。なんか会社にいて、観た事のない扉があって、突然その扉が開いて眩い光が差したとおもったら、この状態に。」
タラン「そりゃ、災難だったね。」
勇優 「どうすれば戻れますか?」
タラン「そういわれてもねぇ。自分はただの蜘蛛ですし。」
勇優 「そんなぁ、何か情報はないんですか?」
タラン「ないね。こんなことは初めてだしね。」
勇優は、タランと話が出来ることで、少し気が緩んでいたのが、また怒りが込み上げてきた。
勇優 「あぁぁ。まったく、使えない人ですね。いや使えない蜘蛛ですね。」
タラン「なんだい、その言い方は。迷惑しているのはこっちなんだ、早くどこかに行ってくれないかねぇ。」

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勇優 「あぁぁ、わかったよ。迷惑おかけしました!では!」
タラン「ちょい待ち!あんた、なんでそんなに怒っているんだい?疲れないのかい?」
勇優 「ほっといてもらえますかね。こういう性格なんで。」
タラン「う〜む。取り合えず、戻る方法は分かりませんが、落ち着きましょう。」
タラン「山田さんは、名前に『勇』と『優』の2文字が入っているのに、すべてに怖がっていて、人に優しくない性格みたいだね。」
勇優 「余計なお世話だ!もう行きます!お世話になりました!」
となぜか怒号になってしまった声を抑えつつ、蜘蛛の巣を後にしようとした。


>> 『食物連鎖の扉』に続く
posted by ジンジン at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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