2024年02月08日
勝手に小説『扉と少女とアゲハ蝶4』
ーー羽化の扉ーー
そんなトワとの話を楽しんでいると、何やらひなげしの花の葉っぱから、もぞもぞと何かが出てきた。
あきはその『何か』に驚き、ひなげしの花びらの上に尻もちをついてしまった。
「きゃぁ〜!」
「おやおや。どうしたんだい。」
「そっ!そこに何か居る!」
そういわれてトワはひなげしの花の葉っぱの方を振り返り見てみた。
そこには、芋虫が一匹、こちらに向かって登って来ていた。
「あぁ、あれはあたしの子供だよ。これから羽化するんだよ。」
「羽化?」
あきは、初めて聞いた言葉に頭をかしげた。
「羽化を知らないのかい?これから繭になって、そこから出るときに、あたしみたいなアゲハ蝶になるんだよ。」
「え〜!トワさんも昔はあの芋虫みたいな姿だったの?」
「何驚いているんだい。凄くて素晴らしい事ではあるけどねぇ。」
とトワは少し自慢げにあきに話をした。
「わたし、羽化するところを見てみたい!」
と、あきは目を輝かせてトワに話した。
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「そうかい?でも時間がかかるよ、今夜遅くになるけど見てみるかい?」
([豆知識]本来、イモムシが最後の羽化をするに、約2〜3週間はかかります:前蛹は約1〜2日、蛹は約10〜14日で羽化)
そういうと、あきは何度も頭を前後に振って、そのまま顔を芋虫の方に向けた。
この子の好奇心はすごいなとトワは思った。
自分にはあまり時間はないが、あきの家も見つからない事だし、まぁいいかと思い、あきの方を見た。
「んじゃ、今夜はここで休むとするかねぇ。」
二人は、芋虫の方を向いて、ひなげしの花の上に座り込んだ。
暫くすると、芋虫は動かなり、身体が少し茶色になってきた。蛹の状態になってきたのだ。
その状態のまま変化がなく、あきは疲れもあって、いつの間にかに寝てしまっていた。
どのくらい寝ていたのだろう、あきはトワの言葉で目を覚ました。
「あき!始まったよ!羽化するよ!」
あきは眠い目をこすりながら、芋虫だった蛹の方を見た。
辺りは既に日が落ちていて、月明かりがきれいな夜だった。
すると、蛹の背中が少し割れたようにヒビが入った。
「あっ!割れちゃうよ!」
「大丈夫だから、静かにみていな。」
そうトワは笑いながら、あきに微笑みかけた。
あきは、トワに言われたように、静かに蛹を見ることにした。
蛹に入ったヒビは少しずつ、ゆっくりと大きくなっていった。
そして、どのくらい時間がたったのだろうか、その割れたヒビからなにやら透明の布のようなものが出てきた。
あきはまた口が開いたが、トワの言葉を思いだし、手を口に当てて、声を押し殺してそのまま見つめた。
ヒビから出てきた布が大きく広がって行き、それが羽の形になってきた。
その羽は、月明かりに照らされてキラキラと光り輝いていた。
「キレイ…」
あきは思わず言葉を発していた。
「そうだろう。これが私たちの羽化なのさ。最高にキレイだろ。」
あきは頷いた。
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そうしているうちに、蛹の中から、全身が出てきて、その姿は紛れもなくアゲハ蝶になって行った。
そして、しばらく蛹にしがみ付いた後、ゆっくりと羽を動かし、上空へと飛び立っていった。
あきは、その姿が見えなくなるまで、目が離せなかった。
なんとも言えないきれいな光景だった。
「どうだい。あたしたの羽化を見た感想は?」
「うん!凄かった!あんな奇麗なの初めて見た!帰ったら、お母さんに話する!」
「そうかい。それは良かった。後はあんたが戻るだけだね。でも今日はもう遅いから、ここで朝が来るまで待とうね。」
「うん。わかった。」
そういうと、もう夜中だというのに、興奮が抑えきれず、ずっと抜け殻となった蛹を見つめていた。
蛹を見つめてどれくらいたったのか、少しうとうとし始めたかと思ったら、いつのまにかあきは眠りについていた。
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>> 『輪廻の扉』に続く
そんなトワとの話を楽しんでいると、何やらひなげしの花の葉っぱから、もぞもぞと何かが出てきた。
あきはその『何か』に驚き、ひなげしの花びらの上に尻もちをついてしまった。
「きゃぁ〜!」
「おやおや。どうしたんだい。」
「そっ!そこに何か居る!」
そういわれてトワはひなげしの花の葉っぱの方を振り返り見てみた。
そこには、芋虫が一匹、こちらに向かって登って来ていた。
「あぁ、あれはあたしの子供だよ。これから羽化するんだよ。」
「羽化?」
あきは、初めて聞いた言葉に頭をかしげた。
「羽化を知らないのかい?これから繭になって、そこから出るときに、あたしみたいなアゲハ蝶になるんだよ。」
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そういうと、あきは何度も頭を前後に振って、そのまま顔を芋虫の方に向けた。
この子の好奇心はすごいなとトワは思った。
自分にはあまり時間はないが、あきの家も見つからない事だし、まぁいいかと思い、あきの方を見た。
「んじゃ、今夜はここで休むとするかねぇ。」
二人は、芋虫の方を向いて、ひなげしの花の上に座り込んだ。
暫くすると、芋虫は動かなり、身体が少し茶色になってきた。蛹の状態になってきたのだ。
その状態のまま変化がなく、あきは疲れもあって、いつの間にかに寝てしまっていた。
どのくらい寝ていたのだろう、あきはトワの言葉で目を覚ました。
「あき!始まったよ!羽化するよ!」
あきは眠い目をこすりながら、芋虫だった蛹の方を見た。
辺りは既に日が落ちていて、月明かりがきれいな夜だった。
すると、蛹の背中が少し割れたようにヒビが入った。
「あっ!割れちゃうよ!」
「大丈夫だから、静かにみていな。」
そうトワは笑いながら、あきに微笑みかけた。
あきは、トワに言われたように、静かに蛹を見ることにした。
蛹に入ったヒビは少しずつ、ゆっくりと大きくなっていった。
そして、どのくらい時間がたったのだろうか、その割れたヒビからなにやら透明の布のようなものが出てきた。
あきはまた口が開いたが、トワの言葉を思いだし、手を口に当てて、声を押し殺してそのまま見つめた。
ヒビから出てきた布が大きく広がって行き、それが羽の形になってきた。
その羽は、月明かりに照らされてキラキラと光り輝いていた。
「キレイ…」
あきは思わず言葉を発していた。
「そうだろう。これが私たちの羽化なのさ。最高にキレイだろ。」
あきは頷いた。
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そうしているうちに、蛹の中から、全身が出てきて、その姿は紛れもなくアゲハ蝶になって行った。
そして、しばらく蛹にしがみ付いた後、ゆっくりと羽を動かし、上空へと飛び立っていった。
あきは、その姿が見えなくなるまで、目が離せなかった。
なんとも言えないきれいな光景だった。
「どうだい。あたしたの羽化を見た感想は?」
「うん!凄かった!あんな奇麗なの初めて見た!帰ったら、お母さんに話する!」
「そうかい。それは良かった。後はあんたが戻るだけだね。でも今日はもう遅いから、ここで朝が来るまで待とうね。」
「うん。わかった。」
そういうと、もう夜中だというのに、興奮が抑えきれず、ずっと抜け殻となった蛹を見つめていた。
蛹を見つめてどれくらいたったのか、少しうとうとし始めたかと思ったら、いつのまにかあきは眠りについていた。
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>> 『輪廻の扉』に続く
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