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2021年01月08日

パンクロックと、知子氏。

多分、人生で一番苦しかった高二の文化祭の時、俺は友人達がバンドでロックをやるから、聞きに来てくれ、と誘われた。それは80年代後半に、一部で非常に流行ったパンクロックのバンドだった。

いわゆるハードロックである。

気が弱く、腰が引け気味で学校生活を送っていた俺は、余り乗り気では無かった。

「あんなの、音楽じゃねぇよ。」

そんな風に言う同級生も、いた。
 パンクロックは、人のダークな気持ち、どちらかと言うと、汚い感情の爆発を表現している音楽である。「つまんねぇなぁ。」そう思いながら、見に行った。

 バンドは昼間に演奏したが、視聴覚室をカーテンを締め切って、真っ暗にし、演奏者だけにライトを当てて演奏した。

 初めは穏やかに始まった。だが、2曲目、ボーカルがドアから飛び出してきて、暴れるように歌いだした。そしてギターとベースが突然速弾きを始め、ドラムも取り憑かれたように、爆音を響かせ演奏が始まりだした。みんな、狂ったように演奏している。それに合わせ部屋にいた連中は、怒声をあげ、暴れるように音楽に乗り出した。

ダーティーなイメージ。不道徳な音楽。しかしそこにいた奴は、みんな夢中だった。
 高校生活の中で、海の底に沈んでいた様な俺の気持ちの、欲望の根源を荒々しく煽りたてる様な、その音楽は、逆に俺にとっては「どうしても生きろ!!」と強く訴えかけている様に思えた。
 俺は叫びたくなる様な衝動を抑えながら、目を見張って演奏を聞いていた。

そのバンドでベースを弾いていた、稲葉さんと、3年の時クラスが一緒になった。

彼女には、いい噂は無かった。複数の男子と付き合っている、成績が悪い、先生方から目をつけられている、等……。3年になっても気が引け気味で学校に通っていた俺は正直、「嫌だなぁ。」と思っていた。

しかし、俺は忘れていなかった。文化祭の時、あの魂を煽りたてられる様な演奏を聞いた事を。稲葉さんは嫌いだったが、ある時、俺は教室で他のクラスメイトが聞いているのも構わずにこう、口走ってしまった。

「……ぁあ、ああ、やりたいなぁ。俺、高校入ったら、絶対音楽やろう、って、思ってたのになァ…」

みんな、新鮮に驚いていた様だった。最低の落第生で、学校のお荷物みたいな俺が、青春の夢を語っているからだ!
稲葉さんも聞いていた様だった。

 その次のテストの時、稲葉さんの成績は、グンと上がった様だ。

「知子が勉強してるー、って言われた」

ちゃんとしなきゃ駄目だ!ちゃんとして欲しい!そんな自覚と、母性の様な感情が、彼女の中に芽生えたのだろう。

だが俺は、3年の2学期は、もう殆ど学校に足を向ける事は無かった。

この間、TBSのサワコの朝と言う番組に、原田知世が出ていた。「時をかける少女」が上映された頃、我々も、彼女と同世代だった。
大林宣彦監督は、「こんな育ちのいいお嬢さんが、芸能界で汚れていってはこまる。」と言ってたそうだ。50代なのに、今もとても若く見える。
俺は、
「知世と、知子。何か似てるなぁ。」
と、一人考えていた。











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