2019年08月28日
米フォーブスが選ぶ世界の「ブロックチェーン50社」(前編)
世界の企業によるブロックチェーンへの支出の総額は飛躍的に伸びている。「様子見の時代は終わった」。そうグローバル企業の担当者は語る。
米Forbesが初めてリスト化した、同技術へ果敢に取り組む大企業50社を一挙掲載!
AMAZON(アマゾン)
拠点:シアトル
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Ethereum(later in 2019)
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、分散台帳技術を使いたいという企業を支援するためブロックチェーンの開発ツールを提供している。アマゾンで最も利益率の高い事業であるクラウドコンピューティング分野において、自社の優位を維持するのに賢明な方法だ。2018年の営業利益は73億ドルであった。
同社のツールを使っているクラウドの顧客には、病院、保険会社、患者の間の支払管理を支援するチェンジ・ヘルスケア、ガーディアン生命保険、HRソフトウェア・プロバイダーであるワークデイ、証券保管振替機関のDTCCが含まれる。最近、ソニー・ミュージックエンタテインメントが顧客リストに名を連ねた。
ALLIANZ SE(アリアンツSE)
拠点:ミュンヘン、ドイツ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Corda
1890年に設立のドイツ最大の保険会社。世界70カ国以上で保険・金融サービスを提供、傘下に数多くの企業を抱える。さまざまな自社サービスへブロックチェーンの導入を試みており、例えば航空機遅延保険を販売している合弁会社では、スマートコントラクトにより航空機の遅延発生後すぐの保険金の支払いを実現。
ANHEUSER-BUSCH INBEV(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)
拠点:ルーヴェン、ベルギー
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum、Corda
800年の歴史をもつ、ビール世界最大手。業界シェアは約3割。「バドワイザー」「コロナ」「ヒューガルデン」などのブランドを有する。サステナビリティ(持続可能性)の観点から、ブロックチェーンを用いて銀行口座を持たない人々へ金融サービスを提供するBanQuへ出資、貧困問題の解決に取り組んでいる。
ANT FINANCIAL(アント フィナンシャル)
拠点:杭州市、中国
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ant Blockchain
アント・フィナンシャルは中国アリババ集団傘下の金融会社。同社の開発した独自のブロックチェーン「Ant Blockchain」は、アリババが運営するECサイト「天猫(Tモール)」で販売されている製品をチェックするのに使われている。例えば顧客は、ダイヤモンドの供給先をアントワープの取引センターまでさかのぼり、等級、カット、研磨の記録を確認できる。
また2018年6月には、世界で10億人超のユーザーを抱えるアントの決済アプリ、アリペイがブロックチェーン基盤のサービスを開始。香港とフィリピンの個人間で、わずか数秒で送金できる手段を提供している。ブロックチェーン・スタートアップへの出資も。
BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)
拠点:ビルバオ、スペイン
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Corda、public Ethereum
1857年創業、スペイン第2位の銀行。近年、フィンテック企業の買収に積極的に取り組む。2018年、スペインの送電網運営事業者であるレッド・エレクトリカ・コルポラシオンに対する1億5千万ユーロのシンジケート・ローンの取引を、世界で初めてブロックチェーンベースで実施。プロセスの大幅な迅速化に成功。
BITFURY(ビットフューリー)
拠点:アムステルダム、オランダ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Exonum、Bitcoin
2011年創業、世界最大級のブロックチェーンテクノロジー企業。仮想通貨のマイニングやセキュリティ対策のためのハードウェアとソフトウェアを提供している。プライベートブロックチェーンのフレームワークであるExonumは、ジョージア(グルジア)政府の土地登記システムの構築に活用されている。
BNP PARIBAS(BNPパリバ)
拠点:パリ、フランス
ブロックチェーン・プラットフォーム:Corda, Hyperledger Fabric、Ethereum
150年を超える歴史をもつ世界有数の金融グループ。世界72の国と地域で約20万人の社員を抱える。2018年11月、同社はHSBCシンガポールの協力を得て、ブロックチェーン技術を用いた信用状取引を完了した。これまで紙で行われていた取引がデジタル化し、貿易金融の効率性と透明性の向上が期待される。
BP PLC(BP)
拠点:ロンドン、イギリス
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum、Cardano、Quorum
国際石油資本の一角を占める、英国を代表する世界最大級のエネルギーグループ企業。BPはブロックチェーン技術を用いた石油取引プラットフォームの「VAKT」に初期メンバーとして参加。契約や請求のような、従来紙で行われていた業務を効率化。同プラットフォームには英蘭シェルや米シェブロンも参加している。
BROADRIDGE(ブロードリッジ)
拠点:ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、DAML、Quorum
米国の議決権代理行使と株主コミュニケーションのビジネスにおいて8割超のシェアをもつ。ブロードリッジは、その中核である議決権代理公使サービスを分散台帳に移行し、株主が株券を保管している銀行を通さずに、リアルタイムで企業の議決案や取締役について自らの議決権を行使できるようにしようとしている。
水産加工食品を手がける米最大手企業もランクイン──
BUMBLE BEE FOODS(バンブル・ビー・フーズ)
拠点:サンディエゴ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Multichain
缶詰などの水産加工食品を手がける米最大手企業。SAPのブロックチェーン技術を使い、インドネシアの海で獲れてから米国の食料品店に届けられるまでの、マグロのサプライチェーンを透明化。同社の製品パッケージに記載のQRコードをスマートフォンで読み込むと、産地などの情報を確認することができる。
CARGILL(カーギル)
拠点:ウェイサタ、ミネソタ州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Corda、Hyperledger Fabric、Ethereum
70カ国で展開する世界最大の穀物メジャー。米フォーブスの2018年版「米国最大の非上場企業ランキング」で1位。国際的な食料や農業のサプライチェーンにブロックチェーン技術を活用すべく、インテルやエンタープライズ・ブロックチェーンのスタートアップであるBitwise IOと開発に取り組んでいる。
CIOX HEALTH(サイオックス・ヘルス)
拠点:アルファレッタ、ジョージア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum
米国最大の医療記録の管理企業。同国内の5分の3にもおよぶ病院で、サイオックスのソフトウェアが利用されている。同社はブロックチェーンを活用してペーパーワークの無駄を減らし医療過誤を減少、同時に医療機関の間での記録のやりとりに同技術を用いることで、同社の新たな収益源にしようとしている。
CITIGROUP(シティグループ)
拠点:ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum
世界160以上の国と地域で展開する同行は、証券決済、信用デリバティブ・スワップ、保険支払いなどのアプリケーションのためにブロックチェーン技術を開発しているスタートアップ企業(デジタル・アセット・ホールディングス、AXONI、SETL、Cobalt DL、R3、Symbiont)に投資している。
COINBASE(コインベース)
拠点:サンフランシスコ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Bitcoin、Ethereum、XRP、Lumen
評価額80億ドルで2千万以上のユーザーをもつコインベースは、米フォーブスが選ぶ2019年版「フィンテック50」にも名を連ねる。4大陸50以上の国で展開。仮想通貨取引所の運営、ウォレットサービスや個人向けおよび機関投資家向けの取引プラットフォームを提供。2018年、日本市場への進出を発表した。
COMCAST(コムキャスト)
拠点:フィラデルフィア
ブロックチェーン・プラットフォーム:Bitcoin、Ethereum、Hyperledger Fabric、Quorum
米ケーブルテレビ最大手。昨年12月、ブロックチェーン基盤のプラットフォーム「ブロックグラフ」のローンチを目指し、競合であるバイアコムや広告関連企業のスペクトラム・リーチと提携。テレビ視聴者のプライバシーを担保しながら、広告主らへ視聴データを提供。広告、マーケティング効果の向上を狙う。
CVS HEALTH(CVSヘルス)
拠点:ウーンソケット、ロードアイランド州
ブロックチェーン・プラットフォーム:IBM Blockchain、Hyperledger Indy、Hyperledger Sawtooth
米国最大のドラッグストアチェーンを展開、ほか薬剤給付管理や医療保険事業を手がける総合ヘルスケア会社。昨年CVSヘルスに買収されたエトナは、IBMや米医療保険会社のアンセムらと、効率的な請求や支払い処理の促進、安全で摩擦のない医療情報交換の実現などへブロックチェーンを活用すべく取り組んでいる。
フェイスブックもランクイン──
FACEBOOK(フェイスブック)
マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック)
拠点:メンローパーク、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:不明
2018年1月、マーク・ザッカーバーグCEOは、このソーシャルメディアの巨大企業が仮想通貨の可能性について研究しているとの年次報告を開示。同年5月には元ペイパル社長でコインベース取締役であったデビット・マーカスを、メッセージング担当副社長からブロックチェーンとそのアプリケーションの可能性を探るチームのトップに異動させた。
今年2月、ザッカーバーグはハーバード大学法学部のジョナサン・ジットレイン教授に対して、ユーザーがウェブサイトへログインする際にフェイスブック・コネクトに代わり、ブロックチェーンに基づくIDを使うようにすることに関心があると発言。フェイスブックがそのユーザー情報から収益を生む方法に、大きく影響する可能性も。
DTCC(DTCC)
拠点:ジャージーシティ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Axcore
130カ国以上との取引がある世界最大の証券保管振替機関(有価証券を集中的に保管し、その受け渡しを券面でなく口座間の振替によって処理する機関)。10兆ドルに上る信用デリバティブの情報がDTCCで保管されているが、そのうち約5万口座の記録がAxCoreという特注のデジタル台帳に移行される予定。
FIDELITY(フィデリティ)
拠点:ボストン
ブロックチェーン・プラットフォーム:Bitcoin、Ethereum
米資産運用大手は、2018年10月にデジタル資産市場への参入を発表。子会社「フィデリティ・デジタル・アセット」を設立し、機関投資家向けのカストディ業務(投資家に代わり有価証券を保管・管理する業務)を提供し始めた。今年2月にはブロックチェーン関連のデータ分析企業、コインメトリクスに出資。
FOXCONN(フォックスコン)
拠点:台北、台湾
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum
電子機器の受託製造(EMS)で最大手の企業グループ。アップルのiPhoneをはじめ、数多くの世界的企業の製品を製造。サプライチェーンの取引を効率化・供給業者へ運転資金を提供する、ブロックチェーンを用いたプロジェクトが進行。また子会社がブロックチェーン・スマートフォン、FINNEYを生産。
GOLDEN STATE FOODS(ゴールデンステートフーズ)
拠点:アーバイン、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:IBM Blockchain
大手ファストフードチェーンに供給する、1947年創業の食品業者。「IBMフード・トラスト」に参加し、ハンバーガー事業にかかわる食肉加工業者から配送会社まで、牛肉の保管温度のストリーミング・データへアクセスできるようにした。食品の安全性を高めると同時に、食品廃棄やペーパーワークを減らせる可能性も。
GOOGLE(グーグル)
拠点:マウンテンビュー、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Bitcoin、Ethereum、Bitcoin Cash、Ethereum Classic、Litecoin、Zcash、Dogecoin、Dash
ブロックチェーン関連の企業へ数多く投資しているグーグル。そのひとつがVeemだ。同社はビットコインを仲介資産として使い、企業が即時に異なる通貨で支払いの送金と受領をできるようにしている。一方でこの検索における巨大企業は、パブリック・ブロックチェーンを簡単にググるツールのセットを作り出した。
HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)
拠点:サンノゼ、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Corda、Ethereum、Quorum、Sia、Hyperledger Fabric
2015年にヒューレット・パッカードから会社分割。エンタープライズ向けにITソリューションを提供、2018年度の売り上げは約310億ドル。同社と自動車部品大手の独コンチネンタルは、ブロックチェーン技術を使った車両データの共有プラットフォームを立ち上げた。ドライバーの安全・利便性の向上を目論む。
HTC(HTC)
拠点:桃園、台湾
ブロックチェーン・プラットフォーム:Bitcoin、Ethereum
台湾の携帯端末メーカー大手。同社はブロックチェーン・スマートフォン「Exodus 1」を発売。ビットコイン、ライトコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を安全に保管し、取引も容易に可能。さらに同製品では、ブロックチェーン対応のウェブブラウザ「Opera」を採用。当初は仮想通貨のみ購入可能だった。
ING(ING)
拠点:アムステルダム、オランダ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Corda、Quorum、Hyperledger Fabric、Hyperledger Indy
世界40カ国以上で展開するオランダの金融大手。同社は早くからブロックチェーンの可能性を探るべく専任チームを創設。2018年3月には米大手ブロックチェーン開発企業のR3のプラットフォームを利用し、クレディ・スイスとの有価証券取引に成功。ブロックチェーン技術のベンチャー企業への投資も行なっている。
引用元:Forbes JAPAN
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190826-00029179-forbes-sci
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