2018年06月18日
山口組系元組長が明かす、経済ヤクザがビジネスで勝てる理由
元経済ヤクザで投資家、作家としても活躍する「猫組長」こと菅原潮氏。
DOL特集「地下経済の深淵」第16回は、世界経済の裏側から投資ビジネスの実態まで、自ら海を渡り、国際金融の舞台で暴れ回ってきた菅原氏に、国際金融で蠢く暴力団の実態と、修羅場を潜り抜けてきたからこそ辿り着いた“猫組長流投資の極意”を聞いた。
● 山口組が世界に冠たる “企業体”である理由
──新刊『猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言』(扶桑社)を出版されました。元々は暴力団山口組系二次団体の組長だったのですが、引退後、何をされているのですか。
カネを稼ぐ手段は、暴力団時代も今も基本的に同じですね。
株をメインとした投資が生業です。
最近はこれに評論・執筆活動が加わって、原稿料や印税なども入るようになりましたが、収入としては微々たるものですね。
──暴力団時代と今では、当然ビジネスのやり方は変わったと思うのですが。
意外に思われるかもしれませんが、ほとんど変わっていないんです。
ぼくがやってきた投資ビジネスって、暴力団だろうが、一般の人だろうが、結局は同じルールの下で戦うわけですよ。
これまで僕が主戦場としてきた、国際金融の世界などは特にそうです。
暴力団だからといって何でも非合法なやり方をしているかといえば、そんなことはない。
国際金融の世界を牛耳っているのは、米国、イギリス、中国といったある種の覇権国家であり、そこに歯向かう者は誰だろうとすぐに潰されてしまうからです。
特に、9・11事件以降、マーケットからいかに反社会的勢力の資金を排除するかが世界的な課題となり、米国を中心とした監視の目は年々強まる一方です。
だから、国際金融の舞台では、暴力団だろうがマフィアだろうがテロリストだろうが、表向きは合法的に稼ぐしかない。
そうなると、いかに国際金融のルールに精通し、グレーな抜け道を見つけることができるか。
そこが勝負の分かれ目になってくるんですね。もちろん、反社会的勢力ならではのビジネスというものはあります。
例えば、本でもかなり紙幅を割いたマネーロンダリング(資金洗浄)などはその最たるもの。
今の時代、仮に現金で何百億円持っていようが、そのカネを銀行のオンライン上に乗せない限り、何の価値も生み出しませんから。
私自身、暴力団時代はマネロンには相当関わり、そのせいで世界各国の捜査機関から狙われ、拘束されたことも多々あります。
そこが唯一、今とは違うところですね。
──山口組を“企業体”と見れば、これほどの優良企業はそうはないという話も興味深いものがありました。
2015年、世界の犯罪集団の収益ランキングをアメリカの経済誌『Fortune』が発表したのですが、山口組は年間約8000億円で堂々の2位でした(1位はロシアンマフィア、ソルンツェフスカヤ・プラトワで1兆2000億円)。
この数字の信憑性は分かりませんが、山口組が世界に冠たる“企業体”であり“経済体”であることは、今や米国政府も認める世界的常識です。
では、なぜ山口組がそれほどの収益を上げることができるのか。それは「資金力」と「決断スピード」、それに「情報力」がずば抜けているからです。
「これはいける」と思えば、一般企業のように会議も決済も必要なく、トップダウンで「えいやっ」とできるのが暴力団なんです。
このスピード感は、どんな企業もかなわないでしょう。
それから資金調達の速さ。
一般の企業が数十億、数百億円規模のカネを調達するとなれば、銀行から借りるにしろ、市場から調達するにしろ、それ相応の時間を要します。
しかし、有力な暴力団の場合、“裏口”からあっという間に調達できてしまう。
こうしたアドバンテージが山口組は図抜けているのです。
──「情報力」に長けているのはなぜでしょうか。
一般の人や企業には持ち得ない、極めて強力な情報源を数多く握っているからです。
これは漫画のような話に思われるかもしれませんが、例えば銀行や上場企業、官公庁の内部には少なからず彼らの“仲間”が入り込んでいます。
“仲間”のポジションが高ければ高いほど、当然精度の高い内部情報を手に入れやすくなるというわけなんです。
──スパイを送り込んでいるということでしょうか。
結果としてスパイの役割を果たしてくれる、と言ったほうが正確ですね。
優秀な大学生に近づき、飯を食わせたり、小遣いをあげて懐柔し、こちらが望む企業に入れ、徐々に飼い慣らしていく場合もあれば、すでに社員や職員になっている人間に近づき、六本木や銀座のクラブで飲み食いさせ、女をあてがったりして丸め込む場合もある。
といっても、暴力を背景に無理やり服従させるわけじゃない。
彼らにこちらを、「情報交換の相手として有益な存在」と思わせることができれば十分。
あとは定期的に会って、世間話でもすれば、自然と重要なネタをしゃべってくれる。
相手がそれを「重要」と認識しているかどうかは別ですが(笑)。
反社会的勢力によるインサイダー取引や相場操縦などの背景には、こうした意図せざる協力者の存在が潜んでいるものです。
● 国際金融の舞台で培った 猫組長流“投資の極意”とは
──次に、一般のビジネスパーソンに向けて、猫組長流の投資術、心得のようなものがあれば是非聞かせてください。
まず、そもそも投資に向いていない人って、どんなタイプでしょうか。
一番分かりやすいのは、バクチ好き、ギャンブル好きな人。
投資とギャンブルは似て非なるものです。
とくにIT時代の投資ビジネスは、ギャンブルとはかけ離れた世界だと思ったほうがいい。
これまで一度でもパチンコや競馬、競輪といったギャンブルにハマった経験のある人は下手に手を出すべきではない。
こういう人は、本質的に欲望に負けるタイプなんです。
勝てば、次はもっと儲かると考え、負ければ、次こそ取り返してやると熱くなる。
自分を見失ってしまうんです。
冷静さがもっとも重要な投資の世界において、これは最悪です。
──逆に、向いているのはどんなタイプでしょう。
当り前のことですが、自己管理がしっかりできる人。
時間を守る、やると決めたことはやる、こういうことができる人ですね。
あと、物事をノリでやらない人。
また、論理的で、合理的な思考ができるというのも大切な要素です。
そういう意味では、テレビゲームやネットゲームが得意な人は投資向きです。
経験上、ゲームが得意な人は処理能力が高く、判断が速い。
パソコン画面を眺めながら、即断即決で最適なトレードを行う確率が極めて高いんです。
暴力団時代も現在も、私が雇う投資部隊メンバーの大半は、こうしたゲーマーの若者たちです。
──ひと口に金融投資といってもさまざまな種類、レベルがありますが、投資初心者のビジネスパーソンが最初にやるなら何がお勧めでしょうか。
やっぱり株でしょうね。
ブームだからといって、わけも分からず仮想通貨に走った初心者も多いと思いますが、仮想通貨ってそもそも発行主体がはっきりしていないものですよね。
つまり責任主体がないわけです。
ある日突然、無効になったりとか、価値が下落してどうしようもなくなったとき、責任を取る人がいないわけです。
そうなったら売ることもできない。
引き受けてくれる人がいなくなるんです。だから初心者は安易に手を出さないほうがいい。
それに比べ株の場合、仮に企業が解散したって、解散価値というものがあるんです。
それに見合う株を買っておけば、倒産したって損はないんですよ。
発行主体はその企業だし、流通の責任主体は証券会社だし、絶対どっかに責任の所在はあるんです。
そういう意味でも、初心者は株から入るのが常道だと思います。
──勝つための秘訣、心構えを教えてください。
株に限らず、投資でもっとも大切な要素は「資金力」と「情報」、そして「人間」の三つです。
資金力はあればあるほど有利なのは当然のことですが、普通の会社員が、数千万、数億円単位の投資資金を用意するのは現実的に無理があります。
では、どうすればいいのか。情報をつかむしかないんです。
ただ、情報にも優先順位があって、株式投資で重要な情報とは、たとえば会社自体のファイナンスや資金調達情報などがあります。
さらに資金調達にも種類があり、増資の場合、公募なのか、株主割当なのか、第三者割当でやるのか。
こういった情報が極めて重要になってくるわけです。それをいかに取りに行くかが勝負ですね。
──そうした「情報」はどこにあるのでしょうか。
重要な情報っていうのは、ネットには転がっていないんですよ。
公開された時点で半ば価値を失うのが情報なんです。
最近の傾向として、みなさん、ネットの情報に振り回され過ぎていると思います。
これは僕の昔からの持論なんですが、本当に価値ある情報というのは「対人」でしか得られないものなんです。
だから本気で投資ビジネスで儲けようと思ったら、何より大切にすべきは「人間関係」をおいて他にない。
いきなりディープ・インサイドに近づくことはできなくても、人間関係構築のたゆまぬ努力を続けていけば、ある日、ふっと「おいしい情報」が転がり込んでくるかもしれない。
ただ、せっかくの情報も、その価値に気づくことができなければ何の意味もない。
常にアンテナを張り巡らせて、情報を捉える感度を高めておく必要があります。
投資とは最終的に、本を読んだり、旅に出たり、街歩きをしたり、いろんな人びとと交流したりと、さまざまな「体験」がものを言う世界なのです。
引用元:ダイヤモンド・オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180618-00172604-diamond-bus_all
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