2011年09月29日
16世紀ルネサンスと17世紀バロックのホーズ hose、ショース chausses
出典
ファッションの歴史 改訂第5版
現代の服飾デザインをまなぶために
千村典生
株式会社 鎌倉書房ISBN4-308-00547-7 C2077
25ページ
16世紀ルネサンス
〈ジャーマン・スタイル〉
#60は1539年頃のイギリスのヘンリー8世です。やはりゴシック的なスタイルです。胸元や袖に細かいスラッシュの入ったダブレットdoubletを着用し、その上にダブレットの胸の部分をほとんど見せるようなVネックで、スカートに深いプリーツをとった前開きのジャーキンjerkinを着、さらにその上にラペルに毛皮をつけ、大きなブッファン・スリーブのガウンを着用しています。
こうして方形の極端なボリュームを脚部のタイトなタイツ形式のホーズhoseとの対比において強調しています。
26ページ
〈スペイン・スタイル〉
#61は1581年頃のフランスのアンリ三世の宮廷舞踏会における貴族です。全体に詰物を入れて体をふくらませたドゥブレを着用し、オー・ド・ショース haut de chausses(英語ではトランク・ホーズ trunk hose)と呼ばれる半ズボンとバ・ド・ショース bas de chaussesと呼ばれる靴下をはいています。また首もとにはフレーズ fraise (あるいはラフ ruff)という名の車輪型のひだ衿をつけているのが特徴です。
#62は1616年のイギリスの貴族です。さすがに#61のような極端な詰物スタイルではなく、体型にフィットしたダブレットを着用していますが、カタノウイング飾りや大きくふくらんだトランク・ホーズはスペイン・スタイルの名残りです。衿は扇形に変わっています。
28ページ
17世紀バロック
〈フランスモード誕生〉
#73、#74、#75はいずれも典型的なルイ十四世時代の男のモードです。この上衣はジュストコルjustaucorpsと呼ばれるものです。17世紀の中頃、軍人たちが着用していた、ごく実用的なカザックというゆったりとした上衣をだんだんと一般市民が着用するようになっていました。そして、チョッキのように短くなってしまったドゥブレに代って、1670年頃から貴族たちに着用されるようになったものです。ジュストコルとは体にぴったりとした、という意味です。
基本的なシルエットはウエストを細くしぼり、ボディスにフィットさせます。ウエストから下は腰を張らせます。17世紀の終わり頃には馬毛などのライニングで張りをもたせました。前明きにはボタンやボタンホールを数多く連ねて装飾とし、金モールや絹の打ち紐を付属させます。ポケットの切り込みを下の方につけてアクセントにしているのも特徴です。
ジュストコルの下にはベストvestを、着用します。ジュストコルがだんだんと豪華でぜいたくな布地でつくられるようになり(#74)、ついに禁令が出るようになってからは、逆にベストが派手になり、ジュストコルは地味になりました(#75)。
ファッションの歴史―現代の服飾デザインをまなぶために
千村 典生 (著)
ファッションの歴史 改訂第5版
現代の服飾デザインをまなぶために
千村典生
株式会社 鎌倉書房ISBN4-308-00547-7 C2077
25ページ
16世紀ルネサンス
〈ジャーマン・スタイル〉
#60は1539年頃のイギリスのヘンリー8世です。やはりゴシック的なスタイルです。胸元や袖に細かいスラッシュの入ったダブレットdoubletを着用し、その上にダブレットの胸の部分をほとんど見せるようなVネックで、スカートに深いプリーツをとった前開きのジャーキンjerkinを着、さらにその上にラペルに毛皮をつけ、大きなブッファン・スリーブのガウンを着用しています。
こうして方形の極端なボリュームを脚部のタイトなタイツ形式のホーズhoseとの対比において強調しています。
26ページ
〈スペイン・スタイル〉
#61は1581年頃のフランスのアンリ三世の宮廷舞踏会における貴族です。全体に詰物を入れて体をふくらませたドゥブレを着用し、オー・ド・ショース haut de chausses(英語ではトランク・ホーズ trunk hose)と呼ばれる半ズボンとバ・ド・ショース bas de chaussesと呼ばれる靴下をはいています。また首もとにはフレーズ fraise (あるいはラフ ruff)という名の車輪型のひだ衿をつけているのが特徴です。
#62は1616年のイギリスの貴族です。さすがに#61のような極端な詰物スタイルではなく、体型にフィットしたダブレットを着用していますが、カタノウイング飾りや大きくふくらんだトランク・ホーズはスペイン・スタイルの名残りです。衿は扇形に変わっています。
28ページ
17世紀バロック
〈フランスモード誕生〉
#73、#74、#75はいずれも典型的なルイ十四世時代の男のモードです。この上衣はジュストコルjustaucorpsと呼ばれるものです。17世紀の中頃、軍人たちが着用していた、ごく実用的なカザックというゆったりとした上衣をだんだんと一般市民が着用するようになっていました。そして、チョッキのように短くなってしまったドゥブレに代って、1670年頃から貴族たちに着用されるようになったものです。ジュストコルとは体にぴったりとした、という意味です。
基本的なシルエットはウエストを細くしぼり、ボディスにフィットさせます。ウエストから下は腰を張らせます。17世紀の終わり頃には馬毛などのライニングで張りをもたせました。前明きにはボタンやボタンホールを数多く連ねて装飾とし、金モールや絹の打ち紐を付属させます。ポケットの切り込みを下の方につけてアクセントにしているのも特徴です。
ジュストコルの下にはベストvestを、着用します。ジュストコルがだんだんと豪華でぜいたくな布地でつくられるようになり(#74)、ついに禁令が出るようになってからは、逆にベストが派手になり、ジュストコルは地味になりました(#75)。
ファッションの歴史―現代の服飾デザインをまなぶために
千村 典生 (著)
posted by hosiery at 16:55| ストッキングとガーターの起源についての資料