銀行カードローンから即日融資が消える!?
近年、銀行カードローンの利用者が急増していますが、その流れが今年で止まりそうです。過去、銀行カードローンの人気の背景には以下のことなどがありました。
・最高金利が消費者金融より低い。
・貸金業法の総量規制(年収の1/3を超える貸付は不可)の適用を受けないため、消費者金融からの借入額に関わらず、自由に借入を申し込める。
・専業主婦でも借りられる。
・コンビニのATM手数料を無料で利用できる。
・100万円以下なら収入証明書が要らない。
・大手銀行では即日融資にも対応できる(現在は不可)。
・信用が大きい。
そのような人気の高い銀行カードローンが問題視されたのは、過剰貸付が発生しているからです。過剰貸付の要因は「総量規制」の適用外にあります。
例えば、年収300万円の人は全消費者金融からの借入残高が100万円になると、すべての消費者金融から1円の借入もできません。しかしながら、銀行カードローンは総量規制が関係ないことから、そのような人にいくら貸付をしようが法律違反にはなりません。
そのためか、銀行カードローンの貸付は野放しのようになっており、2017年9月に行政(金融庁)がそこにメスを入れました。
銀行カードローンの貸出の実態は?
銀行カードローンという名前にはなっていますが、借入をするには必ず保証会社(消費者金融など)の保証を得なければなりませんでした。
例えば、三菱UFJ銀行はグループ会社の「アコム」、三井住友銀行はグループ会社の「プロミス」が保証会社になっています。
そして、審査も現実には保証会社である消費者金融に「丸投げ」するような状態でした。しかも、仮に契約者が返済不能になれば、保証会社が「代位弁済(肩代わり)」するため、銀行が実被害を受けることが無く、「気楽な立場」で融資を行っていたのが実態です。
銀行カードロ―ンは総量規制の歯止めが無いため、貸出は銀行側の裁量の範囲になっており、結果として借主の返済能力を超える貸付を行っているケースが見られました。
2010年に総量規制が施行されてから減少していた自己破産数が近年再び増加に転じているのは、銀行カードローンが原因と言われています。
現実に、2017年において、銀行カードローンの貸付残高は消費者金融の貸付残高の2倍以上に増加しています。
警察庁のデータベースを利用する審査に変更
銀行カードローンは2018年1月より、警察庁のデータベースを利用する審査システムに変更されます。従って、事実上即日融資が不可能になります。
従来の銀行カードローンの審査は保証会社が申込者の申請内容を自社の審査機能でチェックしたり、加入している信用情報機関に申込者の信用情報を照会したりして、貸出の可否を決定していました。
しかし今後は、反社会勢力(暴力団構成員など)との関わりを絶つ目的から、カードローンなどへの新規申込の際には、銀行が加入している預金保険機構を通じて警察庁のデータベースに接続し、申込者の情報を照会するシステムが採り入れられます。各銀行と警察庁は専用回線で接続され、申込者への貸付の是非がチェックされます。
銀行カードローンも貸付自粛制度の導入へ
全国銀行協会は新しい審査システムと同時に、「貸付自粛制度」の導入も図っています。
これは債務者の多重債務を防止するため、債務者やその家族から追加融資の停止の申し出があった場合、銀行が自ら融資を制限する制度です
そして、2018年からの新たな審査制度の導入に先立ち、2017年10月から各行の貸付残高の公表が開始されました。
今回の変更で審査に日数がかかるようになりますが、銀行カードローンが無くなるわけでは無く、また消費者金融のカードローンより借入条件が良いのは事実です。
緊急で不足するお金を借り入れる場合は消費者金融しかなくなりますが、それ以外の面では銀行カードローンを利用した方がお得です。いずれにしても、無理な借入をしなくてもいいような生活を送ることが一番です。
ちなみに、今回の審査方法の変更で一番、システムの変わりそうなのが「レイク」です。レイクは新生銀行のカードローンでありながら、融資条件は消費者金融のカードローンに近いものになっていました。レイクの今後の動向が注目されます。
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