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【お金のイロハ】お金はどうやって作られているのか?

小さな子供以外は毎日のようにお金に触れていますが、そのお金がどのように造られているのかを知っている人はそれほど多くありません。なお、一言でお金と言っても、紙幣を発行しているのは日本銀行で、貨幣は政府が発行しています。

紙幣

●種類

紙幣の種類は1万円札、5000円札、2000円札、1000円札の4種類で、全てに「日本銀行券」という文字が印刷されいます。


紙幣を発行しているのは日本銀行ですが、実際にお金を印刷しているのは「独立行政法人 国立印刷局」という機関です。日本で初めて紙幣が発行されたのは1877年(明治10年)で、前身の大蔵省紙幣局が印刷しました。


●枚数

紙幣は年間30億枚も刷られています(積み重ねると約300km)。
・1万円札:12億3,000万枚
・5000円札:2億枚
・1000円札:15億7,000万枚


つまり、年間約15兆円が造られているということです。


●肖像画の選考基準

現在、日本で流通している紙幣には歴史上の偉人の肖像画が入っています。紙幣の様式は財務省、日本銀行、国立印刷局の3者が協議し、最終的には財務大臣が決めることになっています。


紙幣の肖像画の決め方には明確な規定はなく、日本国民によく知られている世界に誇れる人物で、且つ精巧な写真か肖像画の残っている人が選ばれます。


日本紙幣初の肖像画は1881年(明治14年)の神功皇后(じんぐうこうごう・西暦200年頃)で、以降17人が選ばれています。なお、紙幣の肖像画は通常向かって右側にありますが、ただの慣習であり、意味はありません。


●アルファベットと数字の組み合わせ

紙幣の表面にはアルファベットと数字が書かれています(記番号)。アルファベット1文字+数字6桁+アルファベット1文字で構成されますが、その組み合わせが尽きると、最初のアルファベットを2文字にします。なお、アルファベットの「I」と「O」は数字の「1」と「0」に似ているために除外されています。


番号は000001〜900000まであるため、90万通りになります。従って、記番号の組み合わせは、A000001A〜Z900000Zと、AA000001A〜ZZ90000Zになり、セット数は24×90万×24+24×24×90万×24=129億6,000万通りになります。


さらに、上記組み合わせを使い切ると、インクの色を変えます。例えば、現在使用されている福沢諭吉の1万円札は最初、黒のインクで印刷していましたが、129億6000万通りの組み合わせを使い切ってしまったため、現在は褐色のインクに変更されています。


ちなみに、硬貨と違って紙幣には製造年が入っていません。紙はすぐに消耗することから、短いサイクルで交換しなければならないため、製造年を入れても意味がないからです。通常、2〜3年で使えなくなります。


●サイズ

現在の4種類の紙幣はすべてサイズが違います。縦の長さは76mmで同じですが、額面が大きくなるほど横のサイズが長くなります(150〜160mm)。


●昔の紙幣

紙幣には法律で無制限の強制通用力(債務の支払いとして有効)が認められています。現在でも聖徳太子の1000円札や、板垣退助の100円札を使うことは可能です。なお、かなり昔の紙幣の中には、古銭商などで額面より高く買い取るものがあります。


●製造コスト

紙幣も当然、造るのに費用が掛かります。
・1万円札:22.2円
・5000円札:20.7円
・2000円札:16.2円
・1000円札:14.5円


硬貨

政府が紙幣を発行できないようになっているのは、過度なインフレになることを抑制するためです。実は、明治時代には日本政府が発行していましたが、戦争のための費用を確保するため、紙幣を過剰に印刷したことでインフレを引き起こした過去があります。


そのような失政を起こさないように、紙幣の印刷は政府から独立した機関で行うようにしています。硬貨の発行では市場に対して大きな影響を与えません。なお、実際に製造しているのは「独立行政法人 造幣局」です。また、硬貨には「日本国」と記されています。


●数量

硬貨は年間11億枚製造されています。
・1円玉:100万枚
・5円玉:3,300万枚
・10円玉:1億1,500万枚
・50円玉:800万枚
・100円玉:5億4,400万枚
・500円玉:4億5,000万枚


●表と裏

よく誤解されるのは表と裏です。硬貨の表は「1」や「500」などの算用数字が書いていない方です。


●存在しない硬貨

実は、全く存在していない硬貨もあります。その1つが昭和43年の1円玉で、世の中に1つも存在していません。その理由は、昭和30年台後半に1円玉の不足が続いたことでその後造り過ぎたため、今度は余り過ぎたからです。


その他、昭和29〜31年の5円玉、昭和31年の10円玉、昭和64年の50円・100円玉など、いくつか例があります。


●デザイン・形状

【1円玉】

現在製造されている硬貨の内、最も古いのが1円玉です(1950年開始)。1円玉のデザインは一般公募で選ばれており、表と裏ではデザインした人が違います。表には若木(実在の木ではない)が描かれています。直径20mmのアルミニウム製です。


【5円玉】

5円玉のデザインは当時の日本の産業を表しており、稲穂は農業、水は水産業、歯車は工業を表しています。


表面の双葉は民主国家を象徴しています。穴の空いた5円玉は1949年に製造されましたが、現在のデザインに統一されたのは1954年です。直径22.2mmの黄銅製です。


【10円玉】

表面に描かれている平等院鳳凰堂は京都府にある歴史的建造物です。世界文化遺産にも登録されており、藤原頼通が建てたものです。直径23.5mmの青銅製です。


【50円玉】

50円玉のデザインも1円玉同様、公募されたものです。当時の50円玉は中央の穴がなく、現在のものより大きくなっていました。その後、100円玉の製造開始に伴い、見間違わないように、表に菊、裏に50の数字の現在のデザインに変更されました。直径21.0mmの白銅製です。


【100円玉】

100円玉はかつて銀で作られていましたが、銀の価格高騰があり、白銅に変えられました。表は日本の象徴である桜が描かれています。直径22.6mmの白銅製です。


【500円玉】

2000年から表が桐、裏は竹と橘が描かれています。直径26.5mmのニッケル黄銅製です。


●製造コスト

・500円玉:30円
・100円玉:25円
・50円玉:20円
・10円玉:10円
・5円玉:7円
・1円玉:3円


見ればわかる通り、5円玉と1円玉は赤字です。


●法律違反

紙幣を加工しても罪には問われませんが、硬貨の加工は貨幣損傷等取締法で禁止されています。違反すると、1年以下の懲役、もしくは20万円以下の罰金を科されます。


また、1回の支払いで同額の(1種類の)硬貨を21枚以上使用した時は、店側は受取を拒否してもいいと定められています。別に、受け取るぶんには構いません。


●穴あき硬貨

5円玉と10円玉には穴があいていますが、5円玉は当時急激なインフレによる物不足が起きたことで、素材を少しでも節約する必要があったからです。一方、50円玉は100円玉と見分ける目的からです。


1円を笑うものは1円に泣く、と言います。お金は大事に使うに越したことはありません。ちなみに、紙幣・貨幣とも各年度で製造枚数が大幅に変更されます。








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