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2024年09月20日

パール・バックの“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で発達障害と執筆脳について考える4

 身体障害は、避けられない悲しみである。メンタルの成長がない子供たちに罪はない。中国では、何代もの家族が同じ屋根の下で暮らし、相互に責任を負っている。こうした家族の家は、無力の人を世話する場合に理想である。(P40)しかし、アメリカの施設には、大好きな母も中国人の看護婦もいない。 
 娘が母親から離れる前に一年かけてできる限り彼女の能力を試してみた。娘の将来に関し最善の選択をするためである。読んだり、書いたり、色を識別したりなど。確かに音楽が好きで、楽譜を学び、歌を歌った。(P41)
自閉症は、3歳ぐらいまでに現れ、中枢神経に何らかの機能不全があるとされる。キャロルの場合、言葉の発達が遅れている。会話が続かない、ことばのオウム返しが気になる。
 南京の暴動ため、外国人は中国を離れた。母と娘は、春になって日本の長崎に行った。小さな日本の木造の家で楽しい夏を過ごした。原始的な方法で家事をこなし、木炭の火鉢で米や魚を料理し、果物を食べた。娘とともに鉄道で日本を旅した。宿泊の際には、女中が世話をしてくれた。食事も風呂も寝具も用意してくれた。娘に対する違和感はない。彼女は受け入れられた。(P43)
 クリスマス前に中国の上海に戻った。娘は平易な文章を読むことができ、自分の名前を書き、歌が歌えた。しかし、彼女の両手が濡れているのに気づいた。強い緊張のためである。全然楽しくはない。本当は何も学んでいなかった。到達度は、かなり低く、学習障害の症状が見られる。緊張が強ければ、ストレスが強く心の病気になる。

花村嘉英(2022)「パール・バックの“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で発達障害と執筆脳について考える」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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