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2024年09月20日

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について8

◆ 年老えたイサクは、武器や弓矢を持って野に出かけ鹿狩りに行き、好物を作ってくれとエサウに頼む。それを聞いていたリベカがヤコブと企み、エサウの祝福を奪う。そのためエサウはヤコブを殺そうとする。リベカがそれを察知しヤコブをエサウから引き離す。(旧約聖書 創世記二十七章)
◇ 小説では、この場面の下りが異なる。確かにイサクの妻リベカが悪巧みをする。“Jekew, mein Kind”, sagte sie (Rebekka) leise und tief und zog seine erhobenen Hände an ihre Brust. “Es ist an dem. Derr Herr will dich segnen.” … “Dich in ihm (Esau)”, sagte sie ungeduldig. (S.205) 目の見えないイサクを欺いてエサウの祝福を奪うために、赤毛の皮膚を模したいで立ちでエサウよりも先にイサクに好物の肉料理とワインを届ける。“Ich bin Esau, der Rauhe, dein größerer Sohn, und habe getan, wie du geheißen. Sitz auf, mein Vater, und stärke deine Seele; hier ist das Essen.” (S. 208) 聴覚や触覚頼りの人物評価のため、まんまとごまかされたイサクは、偽エサウのヤコブを祝福してしまう。Ihr Fett gab er ihm (Jaakob) und ihre Weibesüppigkeit und dazu den Tau und das Manneswasser des Himmels, gab ihm die Fülle von Acker, Baum und Rebe und wuchernde Fruchtbarkeit der Herden und doppelte Schur jedes Jahr. (S. 211) 狩りから戻ったエサウが食事を供しても人々は嘲り笑う始末。全くおなかが痛くなるほどの茶番劇となる。 Und dann er sich hin zu Boden und heulte mit lang heraushängendernZunge und ließ tränen rollen, so dick wie Haselnüsse, während die Leute im Kreis um ihn standen und sich die Nieren hielten, so schmerzte sie der große Jokus, wie Esau, der Rote, geprellt ward um seines Vaters Segen. (S.214) (第四章 大いなる茶番劇)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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