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2019年07月03日

融合篇〈アリス〉二章

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一節

一連の爆発や交通事故。
それに伴う混乱。都市は
その脆弱さを露呈するように、
各地で交通麻痺や略奪
が起きていた。混乱する街の中、
少女はあてもなく彷徨っている。
確かにビルから飛び降りた
筈なのに。小さな命
道連れにして、自らの命を絶った
筈なのに。道の真ん中を歩く少女に、
車がクラクションを鳴らす。
だが、彼女の耳には届かない
少女はいつの間にか駅へと向かっていた。
あの人の家に繋がる、
駅へと。


人間ハ不思議ナ生キ物ダ。
だって、
世界ガ壊レル今日モナオ、目ヲ瞑ッテイルジャナイカ。
学校や会社や家庭ニシガミツイテ、
泣イテイルジャナイカ。

頼ルモノナド、モウ何て残ッテイナイノニ。


Normal

  • 【アリス】壊れた街と、黒いバケモノ……
  • 【アリス】そんな事、どうでもいい。
  • 【アリス】私にとって大切なのは……
  • 【アリス】たった一つ。

Hard

二節

見慣れた街が燃えている。
黒い煙と叫び声。泣いている赤ちゃん。
騒乱の中、大切な人の家に向かっていた。

三節

デパートのショーウィンドウが割れている。
略奪の名残がそこかしこにあった。
人々の悪意が漏れ出している。

四節

明日、学校が休みだったら?
明日、会社が潰れたら?
明日、この世界が壊れたら?

五節

泣き叫んでいる女性がいた。
理不尽な世界に無力な人。
まるでそれが以前の自分だったような気がして
……私は耳を塞いだ。

六節

電車は止まっている。
世界は止まっている。
私は何も考えず、
使われない線路の上を歩いていた。

七節

遠くで燃え上がっていたビルが崩れてゆく。
巻き上がる粉塵が空に広がってゆく。
まるで綿あめのようだ。
そう、思った。

八節

これは世界の終わりなんだろうか?
だとしても構わない。
私の世界は、もう終わっていたんだから。

九節

黒い生き物が世界に溢れている。
その醜悪な姿が……
世界への呪いを溜め込んだ、
私自身の姿のようだった。

十節:前半

バケモノを倒した後、
自分が握りしめている剣をふと見る。
「……いつから……
こんな武器を」
記憶にない
だが、夢の中で……
その逡巡を狙ったかのように、黒い
バケモノが背後から襲いかかってくる。
反射的に後ろを振り返り、
真横に切り払う
残されたのは粉々になった黒い塊。
斬撃に自分自身で驚く
一度も習ったこともない剣を、
どうして器用に扱えるのか。
身体の中からあふれるチカラ
戸惑いながら、少女は進んでいった。


誰カニ、与エラレタ、チカラヲ。
マルデ己ガ能力カノヨウニ勘違イスル。
誰カニ、与エラレタ、正シサヲ。
マルデ己ガ知性デ獲得シタカノヨウニ振ル舞ウ。


Normal

  • 【アリス】私に、こんな力が……
  • 【アリス】でも不思議と、違和感がない。
  • 【アリス】これにはきっと……意味がある。
  • 【アリス】生まれ変わった事もこの力を手にした事も
  • 【アリス】今、行きます……先生。

Hard

十節:後半

黒いバケモノを倒しながら、
いつの間にか少女は
笑っていた
混乱する街の中でも、高笑いする少女は
一際異様だった。
人々の訝しむ視線が刺さる。
二度目だった。世界から
孤立する痛み
感じるのは。許されない恋が露見した
あの時以来の感覚。だけど今回は違う。
もう何も怖くない。
「この壊れた
世界の中で、先生
を救えるのは自分
だけ」
そう信じているから。


無駄ナ、足掻キ。
無駄ナ、叫ぶ。
無駄ナ、人生。

恋愛トイウ幻想ハ、
脳細胞ノ錯覚二過ギナイトイウノニ。

posted by 白の書 at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 融合篇
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