2017年09月03日
愛人たちの貞節を調べる不思議な“サファイア”(青玉)
中世のヨーロッパで一般に流布していた伝承では、サファイアには淫らな欲望を追い払い、愛人が貞節であるかどうかを調べる魔力があると信じられていた。淫らな欲望を持って浮気をするような人間がサファイアを身に着けると、その色が濁り、浮気が発覚してしまうというのである。しかしサファイアに淫らな欲望を完全に追い払う魔力があるのなら、それを持つ人が浮気などするはずがないのだから、これはちょっと奇妙な話ではある。
だが、こんな風に考えることはできる。淫らな欲望を追い払うというサファイアの魔力は、自ら進んで高潔な生活をしようと望んでいる人には有効だが、最初からその気はなく、自ら進んで淫らな欲望に身を任せようとしている人には、なんの役にも立たないのではないだろうか。とすれば、淫らな人がサファイアを身に着けた場合、サファイアは遂にその魔力を使い切り、最後には疲れ切って色が濁ってしまうということも考えられる。
いずれにしても、このようなサファイアは実在したと言われており、この性質を利用して女性の浮気を調べることをフランスでは「デュー・サフィール(du saphir)」と呼んでいたという。ロンドンのケンジントン博物館にある“不思議なサファイア”が、この種のサファイアとして特に有名である。“不思議なサファイア”という名前も、女性の浮気を調べることができるという不思議な性質から付けられたと言われている。使用方法も伝えられている。それによると、決して浮気などしない高潔な女性の場合には、昼間の3時間だけ身に着けさせて色の変化を調べれば良い。だが、いかにも怪しい女性の場合には朝から晩まで身に着けさせ、夕方の色の変化に気を付けなければいけないのだという。
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