2017年07月02日
生と死を司る“ラピスラズリ”(瑠璃/青金石)
群青色の空に無数の星々が輝くラピスラズリは、それ自体が一つの宇宙と言っていい宝石である。古代メソポタミアやエジプトでは「生と死を司る石」と信じられ、護符に使われてきた。仏教においても、薬師如来は薬師瑠璃光如来とも呼ばれ、瑠璃に宿ると言われている。(「薬師」は「医者の王」という意味で、薬師如来は一切の病苦と障害を取り除き、長寿をもたらす力があると言われている。)
12世紀後半のこと。三河の国司、源中納言兼高の夫婦は裕福だが子がなく、あるとき薬師如来に子を授かるようにと祈った。すると本当に娘が生まれたので、その子は浄瑠璃姫と名付けられた。
浄瑠璃姫は大切に育てられ、7歳で寺に入り、仏典を学んだ。11歳の春に下山すると、父の作ってくれた御所で240人の女房たちに囲まれて暮らすようになった。こうして、浄瑠璃姫は14の春を迎えた。
丁度その頃、15歳になった牛若が京の鞍馬山を出て東国に下った。その途中で浄瑠璃姫を垣間見た牛若は、激しい恋に落ちた。姫は父が仏業修行中だったので、最初は牛若の誘いを受けようとはしなかったが、ついに口説き落とされて一夜の契りを結ぶことになる。しかし、再び旅立った牛若は、吹上の浜で病を患い、砂浜に捨てられてしまうのだ。
浄瑠璃姫は神仏のお告げでその事実を知ると、すぐにも侍女と共に吹上の浜に駆けつけ、松の木下に埋められていた牛若を掘り出した。だが、時すでに遅く、牛若は冷たくなってしまっていた。これを見た浄瑠璃姫は悲しみのあまり泣き崩れ、その涙は牛若の口に流れ落ちた。すると、不思議なことに、牛若は息を吹き返したのである。こうして牛若は、再び旅を続けることになったのだという。
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