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2023年11月23日

ヤコとポコ(by水沢悦子)

山田尚子監督の新作短編「Garden of Remembrance」の予告が公開されています。良い感じです。
キャラクター原案は水沢悦子さん。
山田監督の新作長編「きみの色」も水沢さんがキャラ原案の予定、のはずです。

ということで、水沢悦子さん。何者でしょうか。
はい、マンガ家です。ものすごいヒット作はないけど読者満足度がすこぶる高い人です。
「花のズボラ飯」「もしもし、てるみです。」などの作品があります。
一番人気はやはり「ヤコとポコ」だと思います。全7巻で好評発売中。
yakotopoko01.jpg「ヤコとポコ」(水沢悦子)
秋田書店 全7巻

「ヤコとポコ」は、たぶんSFマンガ。
ぬいぐるみ風のロボットが日常にいる世界を舞台に、失敗も多い「てきとうモード」の猫型ロボット・ポコをアシスタントにしている漫画家の少女ヤコの日々を描いています。
この世界では50年前に起きた「通信革命」と呼ばれる事件の後、インターネットが廃止され、PCの利用も大きく制限されています。
マンガ家は紙にペンで描いて、ベタを塗りスクリーントーンを貼り付けるというアナログ作業に従事しています。
電話は固定電話で、FAXが通信の主力です。スマホやケータイはありません。
ある種の「夢のような世界」ですね。アナログでマンガを描いてきた世代の夢です。
アシスタントロボの「ポコ」も、ネコ型ロボットでお腹にポケットが付いているのが「夢」らしくて可笑しいです。微妙に役に立たないところも、あのロボットに似ている。

物語は、基本的に「日常」をゆるく描いています。突飛な展開や刺激的な事件は起きませんが、じわじわくるマンガです。
主人公のヤコとネコ型ロボットのポコは、目のデザインが似せてあって、ふたりとも「死んだ魚のような目」をしています。
とても主役のデザインではないのですが、すごく世界観にマッチしている。
とくに、やや上目遣いでロンパリ気味の「ポコ」の目が、ときどき「賢者」のように思える瞬間がある。
未来の世界のネコ型ロボットは、こっちのほうが好きかも。

ヤコとポコ(1) (少年チャンピオンコミックス エクストラもっと!) [ 水沢悦子 ]

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感想(1件)


2023年11月12日

駒田蒸留所へようこそ

「駒田蒸留所へようこそ」は、P.A.WORKS制作による日本のアニメーション映画です。
2023年11月10日公開。監督は吉原正行。
崖っぷち蒸留所の再起に奮闘する若き女社長が、家族の絆をつなぐ”幻のウイスキー”復活を目指すお話です。
komada01.jpg「駒田蒸留所へようこそ」
制作:P.A.WORKS
公開日:2023年11月10日 91分
監督:吉原正行

P.A.WORKSは富山県に本社を置くアニメ制作会社です。
「お仕事シリーズ」とよばれる、働く主人公(主に女の子)の成長を描いた作品を何本か製作しています。
その他にも多くの作品を制作しており、最近では「スキップとローファー」「パリピ孔明」などが挙げられます。
この映画は、「お仕事シリーズ」の劇場オリジナル作品です。

管理人は、2023年11月12日に映画館で鑑賞しましたが、控えめに言って「傑作」です。
90分の劇場作品として作られているので、余分なエピソードは省略し、王道のストーリーでガブリ寄りです。
ウィスキー製造というニッチなジャンルなので、配役として「ウィスキーの知識も仕事の意欲も希薄な若い記者」を観客の視点に据えて、彼をガイドにして物語が進んでいきます。

ヒロインはCVが早見沙織さんです。超ベテランで、EDの歌まで歌います。上手すぎる。
このキャスティングだけでも、かなり本気で作っているのが伺えます。
監督の吉原正行さんは、「攻殻機動隊SAC」の演出や「有頂天家族」の監督をやった人です。
才能がある人なので、名前を覚えておくと良いことがあります。
タイトルや題材が地味な雰囲気ですが、じつは相当本気で作った大人向け映画です。
もちろん子供が見ても楽しめますが、できれば働くことに迷いがある若い世代に観て欲しい。
なんかちょっと前向きになれる気がする。

P.A.WORKSの作品は、色が綺麗なことでも知られていますが、この映画でも密かに腕を振るっています。
冒頭、ロックアイスを入れたグラスにウィスキーを注ぎ、マドラでくるりとかき回すカットが出ますが、CGをフルに使ったすげえカッコいい絵です。氷やウィスキーやグラスの質感が素晴らしい。
主人公たちが乗った車の車窓から見える長野〜富山あたりの山並みや空の色などは、写真のようで絶品です。
全国から集められたウィスキーの原酒が入ったボトルがズラリと並んでいるカットは、それぞれが微妙な色の違いを見せていて、とても綺麗です。
「アニメでやる必要があるのか」という内容の作品ですが、「アニメだから表現できる微妙な色彩や質感のコントロールを味わいたまえ」という回答を非公式に出しておきます。

ウィスキーもアニメーションも、どちらも日本原産ではないけれど、長い時間をかけてじわじわ熟成していって、これだけのものが出来たっていうのが面白い。
良いものを作るには、時間と手間がかかるんですよ、っていう当たり前のことを教えてくれる映画でもあります。
posted by ゆうすけ at 16:34 | TrackBack(0) | 映画・TV

2023年11月11日

僕の心のヤバイやつ 第9巻(by桜井のりお)

2023年11月に「僕の心のヤバイやつ」第9巻が発売されました。累計400万部です。
TVアニメも2024年1月から2期が放送されるので、もうなんも言うことないんですけど。

8巻の修学旅行編でふたりが告白してお付き合いが始まったわけですが、9巻の冒頭がその現実をなかなか受け入れられない京太郎のモノローグから始まります。
この種のラブコメだと、カップル成立がゴールになっているパターンが多いので、「お付き合い篇」をリアルに描いていくのは稀有かもしれない。
「成就した恋ほど語るに値しないものはない」という説を真っ向から打ち破る展開が始まる訳です。
並みの作家であれば、凡庸な「のろけ話」がダラダラ続くと思われますが、この作品を描いているのは「鬼才・桜井のりお」なので、まだまだ「ヤバイやつ」が出て来る模様です。

9巻をまだ読んでいない方のために、少しだけヤバイものをご紹介しておきます。
bokuyaba14.jpgbokuyaba15.jpg

左の画像は猛勉強中の市川のスマホに送られてきた山田からの水着画像。
ツイッターでの「次回予告」の画像ですが、この予告画像で数万人の死者が出ました。
右の画像は、10巻から始まる「夏の合宿編」(通称:性の4日間)の始まりを告げる山田の画像です。
一見、普通の画像に見えますが、本編を読むと分かるとおり、山田がいろいろと狂っています。

9巻は、ふたりのお付き合いが始まり、市川が右往左往する様子が描かれていますが、じつはそれに隠れてもっと取り乱しているのが山田です。
山田のモノローグは非表示、というのがこのマンガのルールなのですが、表示アリにしたら、相当ヤバイことになっているのが9巻です。
「彼女」ポジションになったせいで、よけいに混乱している山田を読者はお楽しみいただければと思います。
なかでも、市川と微妙な距離にいる「萌子」への気持ちが複雑で大変です。
そのこじれた気持ちが右の画像に溢れていますので、眼玉のぐるぐるは「目は口ほどにモノを言う」を表しているとお考え下さい。

9巻のラストはふたりのガチンコのキスシーンですが、単行本の「あとがき」ページに描かれている「その夜の山田」のカットが最高に「桜井のりお」らしい。
お風呂から寝るまでの一連のカットが、どれも至高の領域に達している。
こういうヒロインを描ける作家が日本にいてくれて、本当にありがたいことです。

僕の心のヤバイやつ 9 (少年チャンピオン・コミックス) [ 桜井のりお ]

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感想(1件)


2023年11月08日

2023年の秋アニメ

今日は2023年11月8日です。
アマゾンプライムで「グリッドマンユニバース」が配信されています。
あらかじめ「SSSSグリッドマン」「SSSSダイナゼノン」を見る必要がある映画ですが、その価値はあります。
昔、平野耕太という漫画家が「彼らの週末」という短編漫画を描きました。
世界が終わる日に、オタク仲間が集まって「最後の上映会」を開くマンガです。
それぞれが選りすぐりのビデオを持ち寄って観るだけの話ですが、最後に何を観るかでもめます。
今ならもめる必要は無くなりました。
「グリッドマンユニバース」があるからです。
世界の終わる日には、みんなでこれを見て、最後に「uni-verse」を合唱します。これで決まりです。

ということで、世界の終わりがまだやって来ないので、秋のアニメは何を見るのかもめます。
いつものことですが、ものすごくアニメの本数が多いですね。
全部見ている人はいないと思いますが、有限の時間を何に使うかは悩ましい問題です。
秋アニメはマンガ原作でメジャーな作品がいくつかあります。
「スパイ×ファミリー」「葬送のフリーレン」など。
「フリーレン」は原作が好きなので、アニメも見ていますが、丁寧でいい感じです。長命種のエルフが主役で、世界を俯瞰で見るタイプの主人公なので、絵的にも引きの絵が多用されていて、描くのが大変だと思います。原作は連載途中なので、アニメは途中で終わるのが確定です。
「アンダーニンジャ」というアニメもマンガ原作で、妙な雰囲気が可笑しい「忍者モノ」です。
手塚プロ制作で、あか抜けないもっさりした絵作りが、なぜかマッチしていて、毎週楽しみにしています。
他にもいくつか録画している作品はありますが、なかなか見る時間がとれません。
そのなかで、5分アニメでお勧めなのが「オチビサン」
安野モヨコさんのマンガ原作で、制作はあのスタジオカラー。
スタジオカラーは「エヴァンゲリオン」を制作するために作られた会社で、それ以外の作品としては、NHKで放送された「龍の歯医者」が唯一です。
なぜスタジオカラーが制作しているかといえば、安野さんの旦那が庵野さんだからです。
日本の歳時記をマンガにしたような原作を、すごく丁寧にアニメ化しています。
管理人的にはこの秋のアニメではいちばんの出来だと思います。
あまり話題になっていないようですが、じわじわくる作品です。
ochibisann01.png「オチビサン」
NHK総合<土曜深夜>
原作 安野 モヨコ
制作 スタジオカラー

posted by ゆうすけ at 20:19 | TrackBack(0) | 映画・TV

2023年11月05日

高血圧攻略法

皆さん、血圧は測っていますか。
会社勤めの人なら年1回の定期健康診断で測定していると思います。
管理人は2021年頃の健康診断から血圧にB判定がつくようになり、2022年はC判定に下がりました。
平均で、140/82。50代後半の男性としては、まあまあ高い。
高血圧の分類は以下の表が参考になります。
高血圧01.gif日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」による分類図。

管理人の場合、最大血圧が140で、最小が82なので、T度高血圧に入ります。
2023年5月の定期健診では134/77に下がり、判定もBに戻りましたが、夏の終わりごろから調子が良くない。

C判定が出たころから、手首で測る簡易式の血圧計を買って、自宅でときどき測定していましたが、やたらと高い数値が出る。不安になるぐらい。
とくに最近は、160/100ぐらいの数字が毎日出る。
U度高血圧に昇格!ぐらいの勢いです。
体感的にもなんとなく調子が悪い。軽いめまいのような感覚に常時とらわれています。

ということで、ご近所のかかりつけ病院で診察を受けました。
仕事や行事で行く暇がなかったので、土曜の正午ギリギリに滑り込み。
「血圧が高いんです」と言って、持参した今年の健康診断の結果表と、自宅で使っている簡易血圧計をみせました。
「じゃあちょっと測ってみて」というので、簡易血圧計でサクッと測ってみたら、歴代記録を大きく上回る結果がどかんと出ました。
220/120。
やばい。やっちまった。死ぬかも。
「どうしてこんなになるまで…」というテンプレートな台詞が聞けるかと期待しましたが、先生はわりと落ち着いていて、「このタイプは高く出るんですよ」と言って、病院の血圧計で再測することにしました。
そっちの結果は155/106。
これでもまあまあ高いので、本日からめでたく高血圧患者の仲間入りとなりました。
その後、血液採取や心電図、動脈硬化診断、レントゲンによる心肥大のチェックなどを行いました。
心電図と心肥大はOKでしたが、動脈硬化については上腕の測定結果が左右ともに「硬め」判定。
グラフの上限ギリギリぐらいに印が付いていた。あぶねえ。

高血圧は、直接的な病態を示しませんが、時間をかけて深刻な合併症を引き起こします。
動脈硬化の促進による、心筋梗塞とか脳卒中とか。60代の7割は高血圧なので、油断がならない。
高血圧の原因は、遺伝的な体質によるもののほか、塩分の過剰摂取、ストレス、アルコールの過剰摂取、運動不足、肥満などが挙げられています。
管理人は身長が167cm、体重58kgで、BMIが20.8なので、いわゆる標準体型ですが、それでも高血圧でございます。

検診後は血圧手帳と薬が処方されました。
薬はビソプロロールフマル酸塩錠(5mg)という本態性高血圧症(軽症〜中等症)に処方されるヤツでした。
よおし、毎朝これを飲んで、血圧でも下げるかな!
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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコンコピーライトマーク卵酒秋刀魚さん。
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