8日に1回宿直があるので、土曜の場合は土曜に仕事してそのまま宿直室で泊り、日曜の朝に交代して帰宅となります。月曜からは仕事なので、休みなく2週間連続で働いている感覚です。
未明に大雨が降ったので、起きて対応していたので、猛烈に眠いというか、お疲れです。
宿直の間はどこへも行けないので、せっかくだから読書をすることが多いです。
ということで、この週末に読んでしまったのが「悲しみのイレーヌ」
異様な手口による連続殺人事件を追うミステリです。
「悲しみのイレーヌ」 ピエール・ルメートル著 文春文庫 2015年刊 |
以前このブログで書いた「その女アレックス」の前作です。
パリ警視庁のカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ(3部作)の1作目にあたります。
シリーズ順に書けば、@「悲しみのイレーヌ」、A「その女アレックス」、B「傷だらけのカミーユ」となります。
管理人は2作目の「その女アレックス」から読んでしまったので、じつはこの話の結末は知っていました。
そのうえで、あえて読みました。予想通り、というか、予想以上につらい読書体験でした。
じつはこの小説の読者の過半数は、同じようなつらい経験をしているはずです。
なぜならば、日本での出版順序がA→@→Bだったから。
何がつらいのかは書きませんが、なんかタイトルでネタバレしてますね。あまりうまい邦題ではないと思います。
原題は「Travail Soigne(丁寧な仕事)」。ピエール・ルメートルはフランス人の作家なので、フランス語です。原題の意味は、読めば分かるのですが、この犯行計画についての的確な表現です。
未読な方は、必ず@ABの順に読むことをお勧めします。
ミステリ小説で、かなり猟奇的な犯行が出てきますので、そういうのが苦手な方はご注意を。
さて、この先は別の映画に関係したことを書きます。
ネタバレになりますので、この小説と以下の映画を知らない方はここまでね。
「セブン」という、デビッド・フィンチャー監督が撮ったサスペンス映画のことです。
ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンが刑事役で出ている映画です。すげえ恐ろしいアレね。
あの映画のラストは、あまりにも有名だと思います。
追い詰めた犯人と対峙する刑事役のブラッド・ピット。そこになぜか荷物が届く。
ブラッド・ピットに届けられた見知らぬ箱。その箱の中身は・・・。
映画の中では、箱の中身を写したショットは無いのですが、観客によっては「見た」という幻覚を持つ人もいます。
一般的にはその中身は「殺された奥さんの生首」だとされています。
ブラッド・ピットはそれを見てしまい、逆上して犯人を射殺する。
・・・というラストですが、管理人が友人と話して、意見が一致した内容は、少し違います。
箱の中身は、奥さんの生首ではない。
それでは普通の殺人で、刑事が逆上するレベルではない。
では何が入っていたのか。
・・・それはおそらく、妊娠していた奥さんの胎内から取り出した胎児だろう。
管理人と友人は、そのように思ったわけです。
それぐらい異常で、インパクトがないと、ブラッド・ピットは発狂しない。
「セブン」はそういう映画なのです。
それで、この小説ですが。皆さん、そういう小説を読みたいですか。
管理人的には一切お勧めしませんが、もしも貴方がそれを求めるならば、それは与えられるでしょう。
現実の崩壊感、というものを味わうミステリの傑作です。
悲しみのイレーヌ (文春文庫) [ ピエール・ルメートル ] 価格:946円 |
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