ひかるがパスポート時代、結婚には、女房の親から猛反対を受けた。
その親が、ある会合で、放送関係者と出会った。
その人の話で、放送業界に、沖縄出身の誰もがリスクを恐れ、引き受けない仕事でも、平気で引き受け、ものの見事に成し遂げる、素晴らしい男がいるという話を聞く。
よくよく聞いてみると、それが、自分の娘の婿、ひかるだという事が分かった。
そして、今までの考え方を一変させたのだ。
勿論、ひかるも和解、何事もひかるを頼りにするようになったのである。
そして、都心の一等地の不動産をひかる夫婦に託し亡くなったのである。
ひかるは先見性では、ずば抜けた面をもっている。
建築法が緩和され都心回帰、マンションのブームが来る、といち早く高層マンションをぶち立てたのである。
六本木ヒルズには届かなかったが、ひかるは最上階で、ベランダから東京の夜景を眺め、日々旨い酒を飲む。
また南の島には、父が残した、広々とした土地と生まれ育った別荘がある。
暇な時は、ふらりと南の島へ飛ぶ。
JAL、ANAはワシの下駄だ・・と。
貧乏王国大統領閣下と呼ばれたが、気がついてみると、名実共に大富豪になっていた。
島のひかる邸の広い庭には、大きなヤラブの木が5,6本ある。
大き目のハンモックとガーデンテーブルをしつらえ、朝食は自動パン焼機で出来立てのパンと出来立てのジュースを飲む。
ハンモックで本を読み、うつらうつら・・・パソコンをやったり・・・
潮時のいい時は、150メータ先のプライベートビーチへ、ぷらりと行く。
この島のリーフは世界的にも類を見ない、東京ドーム数個分の天然プールがいくつも出来上がる。
潮の流れもなく、観光客は浮き輪さえあれば絶対安全。熱帯魚達と戯れる竜宮城だ。
ひかるの特技は、この巨大プールで浮き輪に入り、立ったまま、むぎわら帽子をかぶり、サングラスをしたまま立ち昼寝をする事。
観光客は動かないので、ドザエモンだ! と大騒ぎ。ある時は救難ヘリコプターを呼ばれる寸前までいった。
ワシはまだ死にたくないぞ!
死なせるな!
夕日が周り一面を真っ赤に染める頃、プライベートビーチで、ひかるは若かりし頃に思いをはせていた。
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