恐怖に満ちた心に、一陣の風が吹いた気がした






祈りを捧げたのち、不思議と恐怖感は和ぐ





それはここという場所が我々を受け入れたのか、我々の考えが変わったのか





こんな事など初めての体験であったが、ザキは慣れているようにみえたのは気のせいか





あれだけおぞましく見えた墓も、神聖なものに感じ、不覚にも見入ってしまった





それ程に恐怖を感じなくなっていたのだろう





官軍墓地は怖いと言うより、悲しい、寂しいという感情が渦巻いている様であった










…












その時だった











『キャー―――――！！』





一瞬止まって身構える隊員達





女性の叫び声が遠くで聞こえたのだ





一同に緊張が走る





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