名古屋市蓬左文庫所蔵「用間加条伝目口義」には、柴隠れ、仏隠れ、間隠れなど、様々な隠れる術が記されているが、その内よく知られている「木の葉隠れの術」を紹介したい。
5月5日に黒犬の肝臓を切り取り、8月17日までに陰干しにし、その間肝臓に梵字を1日3回書き、それを粉にした物を錦の袋に七重に包んで入れ、隠れる時には木の葉を翳してその粉を振り掛ければ、他から見えなくなると言う。
これは初伝で、中伝や後伝では又内容が変わっている。
水遁の術は如何だろうか。
三大忍術書の一つ「正忍記」には、水に隠れる時には、草木の陰に隠れて顔だけ出して藁などで頭を覆い、水に潜る時は竹筒や刀の鞘を口に銜え、これを用いて息をする事が記されている。
実際、江戸時代に名古屋城御土居下屋敷に住んでいた広田増右衛門と言う忍術の達人は、庄内川で潜水の実演をし、水面に姿を現す事なく、時々竹を外に出して呼吸し、水底を歩行したと言う。
忍術書には、実際に効果があると考えられる術と共に、首を傾げたくなる術も少なくない。
松本藩に仕えた芥川氏に伝えられた「免状」には、闇夜に目が見える方法として、樟脳と龍脳と雷が落ちて焼けた木の炭を混ぜて目に塗ると良いと書かれている。
これを塗ったとしても暗闇で目が見える様になるとは思えず、逆に目に悪いだろう。
芥川家文書「甲賀隠術極秘」には、忍術は奇っ怪な一芸ではなく、その道に入らなければ窺い知る事ができず、又その道に入ったとしても百鍛千練の功を積まなければ、術を行う事はできないとある。
忍術で最も大切な事は、「用間加条伝目口義」にある「ワレヲシルヘシ」(我を知るべし)と言う事で、全てここから始まるのである。
山田 雄司 三重大教授
愛媛新聞 忍者のホントから
「我を知るべし」から始まるらしい。
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