鰐鮫に皮を剥がされ赤肌になって苦しんでいた兎が、通り掛かった大国主命に教えられ、蒲の穂によって傷を治した、と言う話だ。
実は、蒲の効能は神話やお伽話の中だけのものではない。
古くから傷薬などとして利用されてきた植物なのだ。
蒲と呼ばれる野草には、蒲とコガマ、ヒメガマの3種類あるが、これらの穂はどれも同じ構造をしている。
下部に太いソーセージの様な赤茶色の雌花の集合体、上部には雄花の集合体が突き出ている。
この雄花の花粉は、漢方で「蒲黄(ほおう)」と呼ばれる。
蒲黄には、イソラムネチン配糖体やパルミチン酸などの成分が含まれており、止血や血管収縮などの作用に優れている。
その為、傷の患部に蒲黄を塗布する事によって、高い効果が得られると言う訳だ。
又、蒲の全草を漢方では「香蒲(こうほ)」と呼び、利尿薬として用いる事もできる。
大海 淳 エッセイスト
愛媛新聞 野草と紡ぐ暮らしから
蒲は蝦蟇ではないらしい。
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