2022年10月06日
訪日アメリカ人観光客の実態に迫る
アメリカ人の海外旅行者数は伸び続けており、2012年には6,070万人でしたが2018年には約1.5 倍となる9,304万人を記録しています。アメリカ人に人気の海外旅行先は、客数順に1位がメキシ コ(3082万人)、続いてカナダ(1428万人)、フランス(441万人)、イギリス(391万 人)、イタリア(336万人)となっています。数字は過去最高外客数だった時のデータで、どれも 2017年のものです。日本は第15位で、2019年に史上最多となる172万人を達成しています。メ キシコとカナダはアメリカ合衆国に隣接しており、陸路でも入国できることが人気の理由となっ ているようです。
訪日アメリカ人の66.7%が男性、33.3%が女性です。また、男性で最も多い年齢層は30~39歳 で全体の18.1%を占め、女性で最も多い年齢層は20~29歳で全体の10.8%を占めます。2019年 の訪日アメリカ人は、初来日が51.92%、リピーターが48.08%でした。全体に占めるアメリカ人 の比率は、過去最高を記録した2019年の全体の訪日観光客数の3188万人に対して172万人の 5.39%となります。政府は2030年までにインバウンド客数の目標を6000万人としていました (コロナ前)。2030年にも旅行者全体比5.39%のアメリカ旅行客数であると仮定すると、323万 人となり、2019年の1.87倍のアメリカ人を呼び込む想定となります。
訪日アメリカ人が最も増加するのは3月と6月で、最も減少するのは8~9月と1~2月です。10月 にもある程度の上昇が見られるため、夏季と秋季が人気だと分かります。アメリカでは6月中旬か ら各学校が夏季休暇に入るため、この期間を利用して家族旅行で来日する需要が存在します。旅 行期間は7日以上が最多となっています。
ア
メリカの基本データ
人口 約3億2,669万人
面積 約963万平方キロメートル
首都 ワシントンD.C.
宗教 キリスト教など
公用語 英語
時差 UTC-5~UTC-10(-14時間~-19時間) 通貨 米ドル
名目GDP 約20兆5,802億米ドル
経済成長率 約2.1%
一人当たりGDP 約62,918米ドル
平均月収 3,635.07米ドル
物価 5.67米ドル
訪日アメリカ人のインバウンド消費額について、アメリカ市場全体を見てみると2019年には 3,265億円を記録しています。これは旅行消費額全体の6.7%にあたります。なお、一人当たりの 消費額では、189,411円となり、平均値の158,531円を上回っています。支出において、最も大 きな割合を占めたのは宿泊費で83,125円で、次に大きな比重を占めたのは飲食費で48,279円で した。寝食にあてる支出が全体の約7割を占めており、長期間滞在の傾向が見て取れます。訪日ア メリカ人に最も人気のある消費品目は「菓子類」で、一人あたり平均6,518円分購入されています。 購入率順に並べると、「菓子類」を筆頭に、「その他食料品・飲料・たばこ」「衣類」「酒類」 「民芸品・伝統工芸品」の順に続きます。意外にも、訪日アメリカ人に最も人気の買い物場所は 「コンビニエンスストア」で、62.8%の買い物をしています。続けて「百貨店・デパート (42.2%)」と「観光地の土産店(41.2%)」がランキング上位に入っています。
訪日アメリカ人が旅マエに日本の観光情報を収集する際、最も役に立ったのは「日本在住の親 族・知人(28.9%)」と答えています。次に「口コミサイト(27.9%)」「動画サイト (27.7%)」もあわせて利用しているようです。
訪日アメリカ人観光客をもっと深く見ていくと、観光スタイルの二極化を読み解くことができま す。このデータに短期ビジネスのついでに来日しているツーリストも入っているようなので、商業 目的と観光目的という二タイプが混在していることを留意しないといけません。その上で、観光 目的のツーリストにも、二極化があることが予想されます。富裕層と中間層の旅行形態が違うと いう統計が出ていますので、それを見ていきます。
訪日アメリカ『富裕層』の旅行動態
このセクションは『訪日外国人の消費を増やすカギ! アメリカ富裕層へのインバウンド対策』 として、2019年の「インテージ調べ」のデータを分析します。「アメリカの富裕層」を世帯年収 20万ドル以上($1=\100計算で、2000万円)の世帯と定義します。アメリカは国民に占める富 裕層の構成比が多い国の一つです。富裕層はアメリカの世帯の7.7%を占めます。さらに、アメリ カからの年間の観光目的入国者は2014年からの3ヵ年で2.5倍に増え、2019年には170万人を超 えるなど、日本の観光産業にとって重要なお客様となっています。
アメリカの富裕層はどのような旅を好み、旅に関してどのような行動を取るのでしょうか。イン テージが2019年にアメリカの20-69歳の男女を対象に行った調査の結果から、この層を日本に 招致し、おもてなしをするためのヒントを探ります。
直近3年以内に旅行で訪れた国の上位10ヵ国
1位イギリス(33.0%)、続いてイタリア(30.7%)、フランス(28.9%)、カナダ (26.1%)、ドイツ(23.9%)、メキシコ(22.9%)、日本(21.1%)、スペイン(20.6%)、 オーストラリア(16.1%)、アイルランド(15.6%)です。この結果は中間層(世帯年収が700万 円~1999万円)と大きな差異は見られません。アジアでは唯一日本がトップ10に入っています。
アメリカ富裕層の直近の国外旅行の日数
1週間程度(27%)と2週間程度(23%)で旅行する人が多く、2つののセグメントを合わせる と半分を占めます。一方、中間層は1週間程度(34%)の構成比がもっとも高く、富裕層の方が 滞在期間が長めの傾向が見られます。
アメリカ富裕層の国外旅行費の平均消費額ですが、富裕層の国外旅行費の平均は$6,930で中間層 ($4,036)の約1.7倍です。富裕層は滞在期間が長い傾向があることも、旅行費用が多くなる要 因の一つでしょう。
情報源に使うのは富裕層向け旅行雑誌
富裕層が様々な情報源の中から最も多く使っているのは『Travel + Leisure』という月刊旅行雑 誌でした。 旅行好きな高所得者層が主な購読者で、世界各地の質の高い観光地、アクティビ ティ、ホテル、グルメ情報を紹介しています。北米を中心に 100 万部近い発行部数があります。 雑誌では『Condé Nast Traveler』『National Geographic Traveler』(2019年から休刊中) の名前が挙がっています。興味深い点は、富裕者層向け旅行雑誌の購読料は驚くほど安いという ことです。Condé Nast Travelerは年間10ドルで印刷媒体が届き、ネット媒体とハイブリッド式 のサブスクリプションサービスとなっています。メルマガの無料購読でも情報が届きます。
この他、家族や友人との旅行に関する会話だったり、InstagramやFacebookがきっかけだったと いう人も一定数存在します。また、絶対値としては少ないながらも中間層と比較すると「同僚・取引先の人との旅行に関する 会話」が高い傾向にあるのも、富裕層の特徴的です。
アメリカ富裕層の海外旅行における行動計画の立て方
富裕層の72%は出発前に行動計画を立てて、それに沿った行動をするようです。旅行の計画を立 てている段階に、いかにアプローチできるかが重要だといえるでしょう。その一方で、前日にイ ンターネットやホテルのコンシェルジュや観光案内所などで情報を収集して行動を決めるという 比率をみると、決して融通が効かないわけではなく、流動性・柔軟性もありそうです。
旅行中の情報発信
インターネットは情報収集の手段でもありますが、同時に自らの言動を発信するコミュニケー ション手段でもあります。そこで、旅行中の旅の記録としての情報発信について尋ねたところ、お よそ5割がFacebookで、4割以上がInstagramで、旅行中の出来事を発信していました。
アメリカ富裕層の海外旅行中の情報発信行動
先ほど述べたようにInstagramやFacebookはこの層の国外旅行のきっかけの一翼を担っているた め、これらSNSで発信してもらうことはとても重要だといえます。なお、富裕層は中間層と比較 してInstagramでの情報発信が多いことも特徴的です。このような彼らの旅行中の情報発信は、新 たな日本への旅行需要を喚起する重要な「メディア」と考えることも出来るでしょう。 Facebook やInstagramに投稿されるデータを分析し、訪日外国人の評判や動向を深く理解する ことで、エリアやサービスの認知や利用率の向上のための策にフィードバックできそうです。
訪日アメリカ人の66.7%が男性、33.3%が女性です。また、男性で最も多い年齢層は30~39歳 で全体の18.1%を占め、女性で最も多い年齢層は20~29歳で全体の10.8%を占めます。2019年 の訪日アメリカ人は、初来日が51.92%、リピーターが48.08%でした。全体に占めるアメリカ人 の比率は、過去最高を記録した2019年の全体の訪日観光客数の3188万人に対して172万人の 5.39%となります。政府は2030年までにインバウンド客数の目標を6000万人としていました (コロナ前)。2030年にも旅行者全体比5.39%のアメリカ旅行客数であると仮定すると、323万 人となり、2019年の1.87倍のアメリカ人を呼び込む想定となります。
訪日アメリカ人が最も増加するのは3月と6月で、最も減少するのは8~9月と1~2月です。10月 にもある程度の上昇が見られるため、夏季と秋季が人気だと分かります。アメリカでは6月中旬か ら各学校が夏季休暇に入るため、この期間を利用して家族旅行で来日する需要が存在します。旅 行期間は7日以上が最多となっています。
ア
メリカの基本データ
人口 約3億2,669万人
面積 約963万平方キロメートル
首都 ワシントンD.C.
宗教 キリスト教など
公用語 英語
時差 UTC-5~UTC-10(-14時間~-19時間) 通貨 米ドル
名目GDP 約20兆5,802億米ドル
経済成長率 約2.1%
一人当たりGDP 約62,918米ドル
平均月収 3,635.07米ドル
物価 5.67米ドル
訪日アメリカ人のインバウンド消費額について、アメリカ市場全体を見てみると2019年には 3,265億円を記録しています。これは旅行消費額全体の6.7%にあたります。なお、一人当たりの 消費額では、189,411円となり、平均値の158,531円を上回っています。支出において、最も大 きな割合を占めたのは宿泊費で83,125円で、次に大きな比重を占めたのは飲食費で48,279円で した。寝食にあてる支出が全体の約7割を占めており、長期間滞在の傾向が見て取れます。訪日ア メリカ人に最も人気のある消費品目は「菓子類」で、一人あたり平均6,518円分購入されています。 購入率順に並べると、「菓子類」を筆頭に、「その他食料品・飲料・たばこ」「衣類」「酒類」 「民芸品・伝統工芸品」の順に続きます。意外にも、訪日アメリカ人に最も人気の買い物場所は 「コンビニエンスストア」で、62.8%の買い物をしています。続けて「百貨店・デパート (42.2%)」と「観光地の土産店(41.2%)」がランキング上位に入っています。
訪日アメリカ人が旅マエに日本の観光情報を収集する際、最も役に立ったのは「日本在住の親 族・知人(28.9%)」と答えています。次に「口コミサイト(27.9%)」「動画サイト (27.7%)」もあわせて利用しているようです。
訪日アメリカ人観光客をもっと深く見ていくと、観光スタイルの二極化を読み解くことができま す。このデータに短期ビジネスのついでに来日しているツーリストも入っているようなので、商業 目的と観光目的という二タイプが混在していることを留意しないといけません。その上で、観光 目的のツーリストにも、二極化があることが予想されます。富裕層と中間層の旅行形態が違うと いう統計が出ていますので、それを見ていきます。
訪日アメリカ『富裕層』の旅行動態
このセクションは『訪日外国人の消費を増やすカギ! アメリカ富裕層へのインバウンド対策』 として、2019年の「インテージ調べ」のデータを分析します。「アメリカの富裕層」を世帯年収 20万ドル以上($1=\100計算で、2000万円)の世帯と定義します。アメリカは国民に占める富 裕層の構成比が多い国の一つです。富裕層はアメリカの世帯の7.7%を占めます。さらに、アメリ カからの年間の観光目的入国者は2014年からの3ヵ年で2.5倍に増え、2019年には170万人を超 えるなど、日本の観光産業にとって重要なお客様となっています。
アメリカの富裕層はどのような旅を好み、旅に関してどのような行動を取るのでしょうか。イン テージが2019年にアメリカの20-69歳の男女を対象に行った調査の結果から、この層を日本に 招致し、おもてなしをするためのヒントを探ります。
直近3年以内に旅行で訪れた国の上位10ヵ国
1位イギリス(33.0%)、続いてイタリア(30.7%)、フランス(28.9%)、カナダ (26.1%)、ドイツ(23.9%)、メキシコ(22.9%)、日本(21.1%)、スペイン(20.6%)、 オーストラリア(16.1%)、アイルランド(15.6%)です。この結果は中間層(世帯年収が700万 円~1999万円)と大きな差異は見られません。アジアでは唯一日本がトップ10に入っています。
アメリカ富裕層の直近の国外旅行の日数
1週間程度(27%)と2週間程度(23%)で旅行する人が多く、2つののセグメントを合わせる と半分を占めます。一方、中間層は1週間程度(34%)の構成比がもっとも高く、富裕層の方が 滞在期間が長めの傾向が見られます。
アメリカ富裕層の国外旅行費の平均消費額ですが、富裕層の国外旅行費の平均は$6,930で中間層 ($4,036)の約1.7倍です。富裕層は滞在期間が長い傾向があることも、旅行費用が多くなる要 因の一つでしょう。
情報源に使うのは富裕層向け旅行雑誌
富裕層が様々な情報源の中から最も多く使っているのは『Travel + Leisure』という月刊旅行雑 誌でした。 旅行好きな高所得者層が主な購読者で、世界各地の質の高い観光地、アクティビ ティ、ホテル、グルメ情報を紹介しています。北米を中心に 100 万部近い発行部数があります。 雑誌では『Condé Nast Traveler』『National Geographic Traveler』(2019年から休刊中) の名前が挙がっています。興味深い点は、富裕者層向け旅行雑誌の購読料は驚くほど安いという ことです。Condé Nast Travelerは年間10ドルで印刷媒体が届き、ネット媒体とハイブリッド式 のサブスクリプションサービスとなっています。メルマガの無料購読でも情報が届きます。
この他、家族や友人との旅行に関する会話だったり、InstagramやFacebookがきっかけだったと いう人も一定数存在します。また、絶対値としては少ないながらも中間層と比較すると「同僚・取引先の人との旅行に関する 会話」が高い傾向にあるのも、富裕層の特徴的です。
アメリカ富裕層の海外旅行における行動計画の立て方
富裕層の72%は出発前に行動計画を立てて、それに沿った行動をするようです。旅行の計画を立 てている段階に、いかにアプローチできるかが重要だといえるでしょう。その一方で、前日にイ ンターネットやホテルのコンシェルジュや観光案内所などで情報を収集して行動を決めるという 比率をみると、決して融通が効かないわけではなく、流動性・柔軟性もありそうです。
旅行中の情報発信
インターネットは情報収集の手段でもありますが、同時に自らの言動を発信するコミュニケー ション手段でもあります。そこで、旅行中の旅の記録としての情報発信について尋ねたところ、お よそ5割がFacebookで、4割以上がInstagramで、旅行中の出来事を発信していました。
アメリカ富裕層の海外旅行中の情報発信行動
先ほど述べたようにInstagramやFacebookはこの層の国外旅行のきっかけの一翼を担っているた め、これらSNSで発信してもらうことはとても重要だといえます。なお、富裕層は中間層と比較 してInstagramでの情報発信が多いことも特徴的です。このような彼らの旅行中の情報発信は、新 たな日本への旅行需要を喚起する重要な「メディア」と考えることも出来るでしょう。 Facebook やInstagramに投稿されるデータを分析し、訪日外国人の評判や動向を深く理解する ことで、エリアやサービスの認知や利用率の向上のための策にフィードバックできそうです。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/11621513
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック