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2015年07月03日
NHKすっぴん! 「源ちゃんのゲンダイ国語」で紹介された本、「車谷長吉の人生相談 人生の救い」
7月3日(金)に、NHKラジオ第一「すっぴん!」「源ちゃんのゲンダイ国語」のコーナーで紹介された本は、「車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)
「源ちゃんのゲンダイ国語」は、NHKラジオ第一で、月曜~金曜の朝放送されている「すっぴん!」の、金曜日のパーソナリティー高橋源一郎さんが選んだ本を、紹介するコーナーです。
車谷長吉さんの人生は、波瀾万丈で、広告代理店、総会屋下働き、下足番、料理人などを経て、作家になったそうです。93年『鹽壺(しおつぼ)の匙』で芸術選奨文部大臣新人賞と三島由紀夫賞をダブル受賞、2015年5月、69歳で亡くなられました。奥さんは詩人の高橋順子さんです。
朝日新聞の人生相談のコーナー「悩みのるつぼ」で車谷さんが答えたものを、まとめたものです。車谷さんは今の日本の文学ではめずらしい私小説家として知られています。
シャイで、ユーモアがあって、魅力的な人だったそうで、そんな車谷さんの人生相談は、ユニークな解答が話題となりました。回答がとっても「ハード!」だったのです。
次の、引用した回答を読んでみてください。
40代の男性高校教師による「5年に1度くらい、自分でもコントロールできなくなるほど没入してしまう女子生徒が出現するんです」「情動を抑えられません」という赤裸々すぎる相談に対して、車谷は「好きになった女生徒と出来てしまえば、それでいいのです」と、予想を裏切るまさかの回答! 無一文になったときに人間とは何かをわかりかけたという車谷は、“職も家庭も名誉も失うことで、はじめて人間とは何かが見える”というのだ。さすがは新無頼派と呼ばれる車谷らしい回答だ。(引用 ダ・ヴィンチニュース)
“愛猫をひき殺した近所の人を恨む気持ちが治まらない”という50代主婦のディープな悩みには、「あなたが終生、その人を許せないとしたら、それでいいのです」と述べ、「ですが、もし恨んで恨んで、恨み殺せば、その人は地獄に行きますが、あなたも地獄へ行くでしょう。人を恨むのは蜜の味、と私は信じています」と、ブラックすぎる諭しを展開。しかも最後は「猫をひき殺した人の家へ行って、わんわん泣けばいいのです」と締めくくっている。なんとも苦い終わり方だが、人生相談に後味の良さを求めるほうが間違っているのかもしれないとも思えてくるから不思議である。(引用 ダ・ヴィンチニュース)
「人の不幸を望んでしまいます」という46歳主婦には、「あなたのご相談を読ませていただいて、まず思ったのは、この人は一生救われないな、ということでした」としょっぱなから救いのない一言を放ち、かと思えば、「同僚女性がむかつきます」という48歳会社員には、気晴らしに山で歌を歌うことを推奨! 「私は『うれしいひなまつり』という歌が好きです」とオススメの楽曲まで紹介している。なかには、“「破滅型」の車谷先生でさえ夫婦仲がいいことにショックを受けた。うちはどうすればいいか”という相談を寄せる強者も出現するのだが、その回答は「あなたはなまくらな人です」。徹頭徹尾、車谷節が冴えわたっているのだ。(引用 ダ・ヴィンチニュース)
人生相談は作家の技量がためされる。普通、こんなことが言えるか、というようなことを言う。上から目線ではなく、車谷さん自身が一番下にいたからこそできる答え、これほどストレートで相談者に親身になった答えはないんじゃないかと思います。
説得力があるとかないとかというのを超えて、説得力そのものみたいです。ここまで言われたら、なんかスカッとする。人生相談なんて、その通り聞く必要はないと思いますが、ある種の美しさを感じます。
ああそう来るか、という感じ。答え方がチャーミングで、心のヒダにグサッと突き刺さる。こういう事ができるのが、作家なんでしょうか。言葉を選んで相手に届ける、人生相談は小説を書いているようなものではないでしょうか。
人生相談がうまいのは、いい作家だと思います。相談に答えるって、きっと身を削るようなものなんでしょうねえ。削る身がない人は、やめたほうがいいかもしれない。
「人生相談って、ほんとに難しいんだよ」と高橋源一郎さんも話していました。
「源ちゃんのゲンダイ国語」で取り上げた本をまとめてご紹介します。
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![]() | 車谷長吉の人生相談 人生の救い 車谷 長吉 /出版社:朝日新聞出版 価格:454円 |
