もう、。。いいかなと。このままここでブラブラしてるのも。悪くはないさ。別に、成仏できなくてもな。さまようプルメリア島で。
ここは、天国があればの話しだけど、天国みたいなもんだろ。
幽霊の吾朗太さんが言う。生前はわがまま放題。生まれながらにしてチヤホヤされてきて。女を騙して売ったり金にしたりして。さすがにヤバいクスリは、人生楽しかったし、そんなもんやる必要もねーし、自分ではやってないにしろ。ヤバいクスリを売ったり素人をハメて経営していた闇カジノで借金まみれにしたり。借金まみれにした奴にさらに経営する闇金で金を借りさせて再起不能にしたり。女を海外に売ったり。ヤクザに売ったり。悪いと思ってなかった。甘い奴に経験を金で買わせてやったんだそれどころか、ラクして儲けようとするからそうなるんだなかなかできない体験だろうに、ありがたく思え、賢くなれ馬鹿とすら思ってた。吾朗太さんは揺れる、ヒロキおじさんの魂にまるで独り言のように。。
「だから俺はもう死んだ方がいい奴だ、と積もり積もってバチでも当たったんじゃねーか。死んで。。それでいま、こーしてるだけでも。。許されてるだけでもありえない奇跡だと思う。ハァ。。地獄があると言うなら、今ごろ地獄で。。。」目の前の、ヒロキの叔父貴が、魂だけど。このヒロキの叔父貴は。。遠いところからずーっと、自分を見守ってきてくれていたんだ。夢かうつつか、現実か、夢のはざまで、俺の魂が消えつつある時に戒律を破ってただの夢の中だと言い聞かせて。いまにも生命の消え行く蝋燭の炎を消してはならぬ、と何度か勝手に継ぎたして。確かに。。。俺は何度か死にそうになっといて助かってた。あの、真央っていう姉貴も。あいつは死んだ奴だけど、あいつも俺の夢に出てきたり。今、自分が幽霊になって幽霊はいるんだと実感したけど、真央も四朗に知らせてすり替えられた
ウイスキーボンボンを食べてウイスキーのアレルギーで死にそうな俺を救ったり。俺が死んでからは、何度も何度も助けようとしたのに、と、叱られて。真央も四朗も俺とは異母兄弟で。四朗は仲良かったから別として。真央は生きているうちに俺は産まれていないのに。自分はさっさと死んで、俺は父親に可愛がられていたのに。。憎みもせずに、見守って俺を助けていたのだ。「生きているうちは、知らなかった。叔父貴もこんなにしてくれてて。。オヤジは俺を寵愛してくれてたけど、それだけじゃなかったんだ。オカンだって。。俺は。。。継母の要に揉めた時に人殺しと罵られて。要に暴力を振るったりする事はあったけど、さすがに。。人殺しはそうだと思ったから、オカンが俺を産んだから死んだ、ってどう考えても人殺しだし。」吾朗太の父親の蓮気は本妻の要に、吾朗太の母親の妾のなつめが吾朗太を産んだ原因で死んだというのは絶対に言うな病気で亡くなった事にしろ、病気と言えば病気だと、日頃から何度も言い聞かせていたのだけどあまりにも暴力に荒れ狂う吾朗太についに要は口を割ってしまって吾朗太は吾朗太で幼い頃から本妻の要には目の敵にされてつらく当たられていたし証拠はないけどウイスキーのアレルギーで甘党でチョコレートをウイスキーボンボンにすり替えられて要には殺されかかった。だけど、あの時は真央が出かけた四朗を呼び戻して四朗が救急車をすぐ呼んで助かったし、四朗は四朗でなつめさんの事は、吾朗太を産むというのはなつめさんが決めた事だし吾朗太を産めば自分が亡くなる事をわかった上で吾朗太は産まれたんだし。なつめさんがもしも吾朗太を人殺しだと思っているならわざわざ貴重な命をかけても吾朗太を産む事はないよ。吾朗太の誕生はなつめさんにとっては自分の生命より大切なものだったんだよ。そりゃあ、もう父さんだって亡くなったけどだけど父さんだって、なつめさんだって。父さんも最愛のなつめさんより、吾朗太が産まれてくる事を選んだんだよ。と、励まし続けてくれたしな。本妻の子どもの四朗だって、それを差し置いて妾の子どもの俺の方がオヤジから可愛がられてたのはおもしろくねーかもしれないけど。吾朗太さんは、「それにしても叔父貴もだけど、四朗、あいつには良くされたしアイツには恩がある。恩があるままで。愚かな。。俺は好き勝手して。」
わざわざ、東京からはるばると。忙しい中。昔養子に出てオヤジがヤクザと縁を切らせて交流もなかった兄貴の三太夫も、それから四朗も。俺のために。プルメリア島まで俺を弔いに足を運んで。
それから。。あの木蓮寺のブー子も。アイツも、俺をまた生まれ変わってやり直す為に成仏させる事に前向きだし。なんで。。なんで俺はあの、真鍋だって。。まともに生まれ変わるようにして俺にいつか会えるようにと坊さんになったという。。
無限にそこはかとなく。。。
沁み入る優しさ。産まれてから、死んでからもなお。。こんな俺にずっと誰かれと愛情はそそがれてきていたのだ。
「叔父貴。。俺は。。俺はなんで、なんで。。生まれ変わるチャンスが、地獄に堕とされて二度と生まれ変わらなくてもいいような事をしてきた。」
確かに直接の人殺しはしなかったと思うけど間接的には騙した女や金借りの客は自殺した奴がいてもおかしくないだろうし。吾朗太さんに
話しかけられる
ヒロキおじさんの魂が輝いて。。美しく儚い。。。
「吾朗太、お前は。。覚えてないのか記憶が完全に戻ってないのか。。残念だ。。思い出せ。。お前は死ぬ少し前に。。私のところへ来て。。」
あっ。。。
叔父貴の魂が。。。
消えてゆく。。。
夢から覚めて、施設の
叔父貴が目を覚ましたのだろう。。