結局は。。厳しい修行は意味もなく。。ただの人。。。だったんだよ。実家の。。。極道業からも逃げたかったし。こんな姿になってまでもまだ生きてるし蒼白いヒロキ叔父さんの魂は懺悔するかのように揺らぐ。。吾朗太さんも短命でそのお父さんの蓮気さんも短命で。。。職業柄短命なのは仕方ないかもしれないけど。ほとんど男児が産まれてくる剣崎家で男性も代々極道業を継がなかったものは比較的に長生きしている。それがわかっていても先祖代々の家業が大切なのか、それともカタギの仕事に就く事ができずヤクザをやってしまうのかだいたいの剣崎家の極道ものはあまり長生きできない。女児は産まれてきても夭折してしまうし。剣崎の極道業にならなかった男性のみ長寿か平均寿命かでヒロキ叔父さんは元々極道なんてとてもじゃないけど資質が無いし性格的にも無理だしそれもあるけど命を失ったり短命が怖くて自分でも極道業から逃げたのもあると思う僧侶になるずっとずっと前から薄々と霊感らしきものがあって。お前、ヤクザになったら早く死ぬよ死にたくないならヤクザになるなまぁ、お前にヤクザは無理だろと、小さい頃から何度か守護霊かご先祖さまか。。。不思議な存在に時々そうやってささやかれた。夢の中でも、顔は覚えてない不思議な存在から考えてみろ、剣崎家の男どもは。。。ヤクザになった奴らはほとんど爺さんになれないだろう。オッさんのうちに散るんだ。お前にはヤクザは無理だ爺さんになって天寿をまっとうしろと何度も何度も夢を見て。家が家で極道業だったし。小さい頃から、組の連中など人が亡くなったのも日常茶飯事で良く見てきて。。。
幼い頃から
ヒロキ叔父さんは「兄ちゃん。。家を継ぐの。」と、兄の蓮気に言ってきたけど蓮気からしたら長男は家や家業を継いで当たり前と育てられて。元々蓮気は手に負えないようなヤンチャだったし。「当たり前の事を聞くな。変な奴だな、まぁ、ガキだから仕方ねーけど。お前もゆくゆくは。。ヤクザだぞ。俺が徹底的に仕込んでやる」と意気込まれて。ヒロキ叔父さんはどうしよう父親は怖いし逆らえない蓮気にいちゃんは怖くないけどヤクザになる気満々だし
とは言っても。。ヒロキ叔父さんが成長するに連れて。。兄の蓮気もコイツは。。素直で優しいしおとなしいし。。とてもじゃないけどヤクザはムリだなと悟ったようで。。さらに、ヒロキ叔父さんの下に弟も産まれていたし蓮気も蓮気で成長するに連れて、自分がヤクザになるから弟は無理にやらなくてもいい人には人の性分があるという事をわかってきたし元々親分肌でヒロキを可愛がってきたし。剣崎家の男児にもカタギは何人もいたし
蓮気とヒロキの父親も三人の息子は極道にとは考えていたものの長男の蓮気が次弟のヒロキはヤクザに向かないしカタギで充分やっていけるし、と間に入って父親を説得してくれた。
ヒロキ叔父さんは出家したら極道の実家とは縁を切ろうとも考えた事はあったけど結局は水面下で兄の蓮気の相談に乗っていたし蓮気が亡くなった後も幼い四朗や吾朗太の為に手続きに奔走したり。まぁ、この寺には極道も訪れ参拝や相談もしていく事がある相談はだいたいヤクザを辞めたいと言う旨でこの寺は反社会から足を洗うために匿われたマナベのようにヤクザを辞めたい人を匿う事があるしその匿われたヤクザを取り返しにでもこようものならこの寺の高僧に念力で死んだ方が楽なぐらいの無限地獄に堕ち悪夢の中に放り込まれた幻覚を見せられて苦しみ
それから
すぐ通報されて逮捕で重い罰を与えられるのだ。だから、まぁ、よっぽど究極的でもない限りプライドもあるしヤクザは寺を頼ってはこないけど。一人の人間として寺に参拝するのは自由だし、ヤクザ出禁でもない。結局は実家との付き合いもやめなかったし。
ヒロキ叔父さんは
吾朗太の弟分のマナベに関しても子どもを持ってはいけない身分でありながら
「それじゃあ、これからは私を父親だと思えばいい。」と慰めて息子を思う父親のようにマナベの社会復帰に尽力した。マナベの父親のたかゆきは腎臓移植したのちにまたマナベを裏切ったのだ。
マナベの恋人翼を亡くした後に
たかゆきの今の嫁やその子どもはドナーに適合しないからマナベに腎臓移植のドナーになってくれと頼みにきたけれど
そもそも幼い自分を捨てて捨てられた自分が可哀想だからと救ってくれた父親と付き合っていた父親の恋人だった翼を騙して売り飛ばして新しい女に乗り換えて幼いマナベもまた捨てた父親なんか誰が助けるかと怒って追い返していたものの。。。
父親のたかゆきは涙ながらに何度も現れて今までの事は深く深く反省していると土下座して、マナベのたかが十数年歳上なだけの父親が病気のせいか酷く老けてみすぼらしく感じて
何もかも失ったマナベはかと言って自分を捨てた母親は音信不通で全く無視されたがこいつはいちおうムカつくけど一時的には一緒に暮らしたりすっかり自分の人生観をガラッと変えてくれた翼との縁ももたらしてくれたわけだし。。。許したわけではないが生命の事だし。。。と、腎臓移植のドナーに同意してしまう
ヒロキ叔父さんの揺らぐ魂は。。。
「マナベ君からは相談に乗られて。私はマナベ君の父親が反省など微塵もなく、彼を裏切るのが視えて。。反対したんだよ。ドナーという事は誰かの生命を救う事は尊いが、自分にもリスクが大きい事も考えなとだけど、自分を変えた恩人の恋人を失って、社会復帰して反社会から足を洗うけじめもあるしと、マナベ君はドナーに同意してしまって私も。。彼の決めた事だから反対しても無理矢理止めるわけにはいかないが、父親の裏切りにあった時の絶望感に。。何もかも失った彼が。。。果たして。。自らの命すら失おうと心配だったんだ。
だから私は。。。吾朗太、お前が亡くなってる事はこの世のものでない存在からのお告げで薄々気づいていたけれど。。マナベ君にも言えずに、吾朗太はほとぼりが冷めてやり直すまでは、マナベ君に会わない事にする、カタギになってマナベ君もカタギになったら会うと言っていると嘘をついた。」
はっきりと、現実には吾朗太が死んだ事を確認したわけではないが。。。
嘘もついたし父親気分にもなったし。。。コレは夢の中だと言い聞かせて吾朗太だけ贔屓して。。
生命の蝋燭に炎を灯して継ぎ足した。。