そうか。。。瞳は亡くなったのか。
オーガストさんは、なんとも複雑な思いで
若かった頃。。。出張、海外出張が多くて家を空けがちで。給料は同世代に比べるとまぁまぁだったけど。禅と奏。。。
オーガストさんが学生時代に瞳は禅を妊娠して、長男が産まれたので名前はどうするんだと瞳に聞くと、「あなたが名付けてちょうだい。」と言われて。。。えっ。。。いまどきの子どもを産む母親は喜んで進んで名前を考えるもんじゃないかと。オーガストさんは、親が年寄り昔の世代で
4月産まれの姉はエイプリル。3月産まれの兄はマーチで
末っ子の自分は
8月産まれだからそのままオーガストと名付けられたんだけど。今時の母親なんてワクワクして産まれた子どもの名前はおろか、産まれる前からウキウキ名前を考えるのではないかと思い込んでいた。現に。。。年代世代、歳の離れた嫁いだ姉や兄嫁ですら。。旦那と喜んで進んで子どもの名前を考えていたのに。
なんだか、瞳は本当に子どもが好きなんだろうかと。妊娠したと言われて。。あれっ。。。安全な日じゃなかったんだと、思って。。少し瞳を不審に思ったものの
自分にも責任があるでも、もしかして。。。まさか瞳は、妊娠して中絶するからお金を寄越せって女なのか。。。夜の世界の海千山千の百戦錬磨の女なのか。。。でも、そんな女がわざわざ学生の自分を相手にするだろうか。騙すなら歳の離れた金を稼ぐ男を騙すだろう。。。モヤモヤ考えていると、瞳は子どもを産みたいと言って。。。それで、オーガストさんが学校を辞めて働くと覚悟したら、学校は卒業してと言われ瞳の実家の楠家の両親も、借金ももう終わるしめどがついたから娘には生活を支えて貰っているから協力するからと。オーガストさんは、両親の生活の為に働いている親孝行な一人娘の瞳という虚像にまんまと騙されていました。諦めていた頃
歳を取ってからやっとできた娘の瞳に両親はすっかり言いなりです。下町の借家の長屋住まいの土方と清掃婦の一人娘。。。貧乏は嫌い冗談じゃない四十代半ばに歳老いて産まれさらには貧乏な両親を瞳は散々責めるばかり。。。貧乏は子どもに罪はない家庭環境がコンプレックスになった瞳は、家出したり、手っ取り早く歳を誤魔化して水商売で働いたり華やかな都会の女性でいたいし
小学校の授業参観も、だいたいの両親は若いし中にはお金持ちの親や優雅に専業主婦の綺麗なお母さんもいるので、年代的にもお爺おばあでもなんらおかしくない瞳は両親には学校に来るなとキツく言いました。オーガストさんは。。。姉や兄と歳がかなり離れてはいるもののさすがに両親三十代での子どもだし、近所は、学校の先生のところの歳の離れた末っ子と知ったところですので、瞳の悩みもわかりませんでした。
瞳は、将来はエリートを早く捕まえて結婚する両親のように貧乏でとか、歳を取ったら子どもとか絶対イヤでも、私は歳が離れた男性はお客ならお金さえ落とせばそれでよしだけど、あくまでもお客。それこそオジサンみたいでイヤ若いパパとママじゃなきゃイヤというところ、学生ではあるものの相当ないい大学の将来有望株のオーガストさんと知り合う事になるのです。こういうタイプはまずは気さくに友達になり、ある程度仲良くなったら苦労貧乏話しをしても情が深くて真面目だから引かないだろう。芽が出るうちに手にかけて落としておかないと誠実で物腰が柔らかく、暴力とは無縁瞳は画策を張り巡らせ。。。青田買いに見事成功しました。
強引に妊娠して勝負に出ましたこういう男はまず子どもを堕ろせとは言わない子どもなんか嫌いだけど自分の一生が変わるなら仮にオーガストさんは自分は学生だからと堕胎を言われても
彼に罪悪感や責任とか良心の呵責や深い傷は残る。。。
瞳はまずは、長男の禅を産みました。ところが、産まれた子どもが男の子だと知ると。。「なんだ、女の子じゃないの」と。。。オーガストさんは、えっと瞳に驚きながらも、あっ瞳はお洒落だからきっと娘が産まれて独立するまで一緒に出かけたり可愛くお洒落して育てたかったんだろうな。と思う事にしました。オーガストさんは健康なら赤ちゃんは男女どちらでも良かったのですが。中にはやはりどうしても女の子がいいとか、男の子がいいとか。。。わからないでもないかな。
しかしながら、瞳は赤ちゃんの命名すらしないので、オーガストさんは、息を呑むほど美しい大好きな京都の禅寺の風景にちなんで禅と名付けました。次男も、瞳はなんだまた男の子なの。。。と、チラッと言って。。。なかなか命名すらしようとしないのでオーガストさんは、長男に続き雅やかな和風の名前を付けました。自分が単に8月産まれだからと単純に名付けられた反動かもしれません。
本当に瞳は子どもが可愛くて子どもの世話しているんだろうかとは言え、自分はほとんど出張で家にいないし長男も次男もキチンと世話されているようす。。。
それもそのはず、オーガストさんの好意の瞳の実家への仕送りを瞳は母親のパートを辞めさせて仕送りが給料だからと瞳の母親に子どもの面倒を丸投げしていたのですから。
瞳の両親も両親。。。孫が可愛いのももちろんあるけれど一人娘の瞳の言いなりで
瞳は両親に
出張が多い旦那は、ほとんど家に居ないし子どもの面倒もあるから同居話を持ちかけるから生活もラクになるしとまるめこみ、実際、オーガストさんがほとんど出張なので仕送りするならもうちょっと広いマンションに住んで親と同居したいと頼みました。親もこのままどうなるかと振り回されて泣かされっパナしだったヤンチャな一人娘の瞳が真面目な旦那さんを捕まえて孫ができて、この幸せを逃すまいと、瞳をかばい続けます。オーガストさんは、多忙で家をあけがちなのと楠家の一人娘を嫁に貰った申し訳なさと、博多の自分の実家と絶縁になり息子たちにとっての祖父母は瞳の両親だけ。表向きには瞳は、両親の借金が終わって夜の仕事を辞めた事にしていました。
という事で、瞳の両親とも同居してくれる事になりました。
瞳の両親の楠夫妻は若いのに真面目で人のいいオーガストさんには申し訳ないと、心の中で手を合わせるものの結婚してもなお、自分の贅沢の為に夜の仕事を続けて息子を両親に押し付けて育児放棄する瞳をさらに甘やかし続けていました。オーガストさんがほとんど出張をいいことに両親と
同居してますます瞳がギャンブルしたり、夜の仕事をしたり、育児放棄を親がフォローし続けています。大企業勤務のオーガストさんは新入社員なものの、万が一会社の上司が接待にお店を使うと良くないので瞳は結婚前の高級クラブを辞めて
高級クラブと変わらない
お客様の層がいい高級なキャバクラにお店を変えました。もちろん、オーガストさんには内緒でオーガストさんが出張の時を狙ってです。
ところが。。。瞳の両親と同居が安定してきたころある日、オーガストさんがヨーロッパの出張から戻ってきたお昼休みにミニチュアシュナウザーの繁昌先輩から、「お前の奥さん、専業主婦って言ってたよな??確か。。」「はい、息子がまだ二人とも小さいので。僕は博多で遠方出身で家を空けがちでうちの実家には頼れないので。都内出身の妻の両親とも一緒に住んでるんですが、」
オーガストさんは
瞳を会社のパーティーに連れて行ったりはしませんでした。もともと夜の高級クラブで働いていたのでもしもオーガストさんの会社の人にお店を利用していた人で顔を知った人がいたら見つかるのもなんだか嫌だからと会社の行事も家族まで参加はうるさく言われませんでしたし。でも、割と近くに住んでいるオーガストさんを可愛がってくれている会社の先輩は、オーガストさんと瞳が買い物中に何度か会って挨拶して瞳の顔見知りです。
繁昌先輩からは。。。
「あのさ、学生時代のツレとキャバクラ行ったんだけど。。まぁ、ツレの付き合いでって事で嫁さんも嫁さんの友達の妹が働いてる飲み屋ならって条件でたまには行ってきな、って許可くれて。そこで。。。キャバクラで瞳さん見たんだよ。キャストで。。。それだけなら仕事だし、事情があるかもしれないから黙ってたんだけど俺と嫁さんが、どうもホストかいかにも夜の男と一緒に歩いてる瞳さんや、お金持ちそうな歳の離れた男性と瞳さんが歩いてるのを見たりした事があったから。。。ちょっと。。お客なんだろうかでもやりすぎじゃないかって。。アフターとか同伴とかそういうやつか、って嫁さんによその家のことだからひっかきまわすのも。。。って言われたんだけどでも。。。あまりにも、何度かお前じゃない男性と瞳さんが一緒にいるのを見て。。。ちょっとたまりかねてさ。」
「えっ。。。いや、、。確かに瞳は親の借金で昔はクラブで働いていましたけど。でも、借金も終わり僕も働いて子どもができたし。。。いまは。。。子育てに専念って。。。まさか。。借金。。。」
「お前が知らない金銭問題が絡むなら。。。早くキチンとしたほうがいいぞ。」
瞳は
借金でも作ったのかそれとも浮気
ともかく。。。大事な事なので素早い事実確認を。。どう言う事だ
確かに。。。おかしいなと思う事は多々あった。瞳が作ったと言う出されたご飯がどうも義母さんが作ったものと全く味が変わらず母親に料理を習った、一緒に作ったと瞳は言うけどそんなものかと思う反面、もしかしてこれは全部義母が作ったものなんじゃないかとか。瞳は昼間子どもをみていて疲れたからと、
オーガストさんが帰宅するとだいたい義両親が息子たちの面倒をよくみている。
息子たちは、オーガストさんが帰ってくると嬉しそうに寄ってくるけどママとは。。あまり言わないでも、息子たちはちゃんと世話されているようだ。。。貯金も大丈夫だ。。。オーガストさんは昼休憩中だし、銀行にすぐ電話して貯金を確認しましたが特に不要不急で高額な金額を引き出された形跡はありませんでした。定年退職した義父も働き、義母が週2、3回パートとその他は家にいて専業主婦の瞳を手伝いますっていう話しで。瞳と義両親は、そういう生活をしているんだと思ってるけど。。。すっかりそういうライフスタイルが盤石の砦と安心して。。。目先の仕事を追いかけてきたけど。。でも。。。
繁昌先輩がイヤガラセの嘘をつくわけがない。あまりにもみるに見かね、可愛がっている後輩を救おうとしている感じの忠告で。。。先輩は仕事の指導も丁寧だしオーガストさんはあまりお酒は飲めないけど飲む場の雰囲気は好きで。先輩はお酒が好きらしく飲みに誘ってくれたりわざわざ飲みに付き合ってくれたからとご馳走してくれる事も結構ある誘われて家に行った事もあり、柴犬の奥さんともどもオモテナシされて。。。
だけどー。。なんで。。。義両親の借金は終わったんじゃないのか
まさかの。。。青天の霹靂仕事終わったら先輩に相談に乗って貰おうか、でも先輩も急に今日の今日時間ありますかというのも気が引けるのですがと思っていると、先輩の方から、「あれなら相談に乗るぞ。嫁に電話して、なにか用意させるし。」という事でお言葉に甘える事にしたけれど。。。
「青山君、青山君。。。」
お昼休みが終わり
オーガストさんが部長に呼ばれたかと思えば。。。
3ヶ月後、フランス、パリへ転勤辞令
海外転勤フランス。。。
ど、どうしよう。。子どもはまだまだほんのちいさいし。。それに。。。なんだか。。瞳への疑惑が。。。。
確かに多忙であまり細かく気づかないにしろ、おかしいなと思う事が瞳にはあった、気づかないフリをしてたかもしれない。
モヤモヤ。。。家庭が壊れてしまうかもしれない。
なんだろうか、自分が築いてきたのは幻影か、砂の城だったのか。瞳が。。。瞳が夜働いたりなんの事情で。。。でも、親切によくしてくれる楠の義両親は。。。アリバイを作ったり。。。
瞳とグルで。。。自分を騙していたのか。。
海外転勤と妻の疑惑。。。義実家の裏切り。。心の準備すらないままにあまりにも予想外の出来事が一度に押し寄せる。。。
そう。。。今現在、瞳の訃報が入り亡くなった時に日記帳みたいなものが発見されそれには。。。子どもや元旦那を騙した事が書かれていたと。。。リリコさんが言うけれど。
やはり、あの時も若かったあの時も隠された赤い日記帳を発見して、オーガストさんは瞳の裏切りを確信しました。
日記帳だけではなく、確かに銀行に確認して預金は減っていなかったものの、瞳が借りたサラ金の明細までも一緒に発見して。。。やっぱりオーガストさんに内緒の借金を瞳はしていた。。。
。再婚してからも、酔っ払った時に過去の不貞やら裏切りを再婚した後の子どもにぶちまけていたようだけど。日記帳にも、瞳は自分の思うままに本音を刻んで。。。
今更ながら、
裏切られていたんだ。でも、あの瞳は亡くなっていて
もう帰ってはこない。
果てしなく
意識が遠のくような気持ち。。。
2021年05月03日
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