木蓮寺。。
ビーグルの青年が目を覚ましました。。
「あ。。。あれっ。。あ、あれ。。ここは」
青年が、ボンヤリしながらもキョロキョロすると。。
目の前に黄色い袈裟を着た丸い。。。多分宇宙人がちょこんと座っています。。ちょこんと。。というか、デブなので。。ちょこんと言うのもおかしいって。。
あー
青年は、黄色い袈裟の宇宙人を見てブルブル震えました。その他部屋には誰もおらず、榊や茶色黒は退室しました。
「あら。目が覚めた。。。」とベルモが言いますと。。
青年は、黙っていました。。
ベルモは、部屋にはその青年とベルモだけ、のみでしたので。。
「あなたは。。。これに見覚えがありますか、」
バタフライナイフを青年の目の前に差し出しました。青年は、真っ青な顔をさらに真っ青にして
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
許してください、許してください。。突然なきわめきます。
「私は木蓮寺の見習い僧侶、大福でございます。あなたは。誰ですか。」ベルモが言います。。。
「僕は。。。駿栄と。。、言います。。東京から逃げてきました。。」逃げてきましたと言う言い方が、なんとも意味深なワケありです。
「逃げてきたの。。。」
「はい。。。もう、何もかもからイヤになって逃げてきました。。」
「あなたの御先祖様霊と少しお話ししましたよ。。」「えっ。。。僕を怒っているのでしょうか。。。」「怒っている。。。というか、怒りたいのはあなたや私の方よ。。あなたは、家に苦しめられてきたんだから。。言うなれば被害者だわね。。。」
ベルモがそんなふうにして言いますと、駿栄はウワンウワーン子どもの様に声をあげて泣き出しました。僕は、もう限界だったんです。。。あの家も。。。
さて。。。同時な時間の頃、こちらは、神楽町麗しが浜のフレンチ。海中フレンチピヴォワーヌでは、廊下が洞窟みたいになっており。ところどころの廊下の窓から海中が覗けます。
個室はみんな水槽の中みたいになっている海中造りです。ここの料理長のピースは、弟のグーと、父親違いの妹のココアと母親の舞を招待しましたが、
招待する時に、母親の舞に電話して、もう一人の父親違いの弟のハリーを招待したいけど、と聞くと
舞は、アマゾネスサンクチュアリーは、女性のみの施設だから、あの子は男の子だから連れてこないの。今回の旅行は、私とココアが招待されて、あの子は行けないのよ。。とぞくっとするほど冷たい雰囲気で返事され。。。
「たまには、ハリーも旅行に連れて行ってあげたら。。ホテルをリザーブしたり、お金は俺が出すから。プルメリア島でも神楽町でもね。プルメリア島や神楽町は、国内でも、海外旅行みたいな雰囲気を味わえるって言うし。」
ピースが、ハリーを気の毒に思ってそう言えば。。。舞は、
「あの子は中学受験があるし。小学校高学年なんて、あなた達もだけど、もう親についてこないし。友達と過ごしたがるでしょう。」と、舞に言われ、それもそうかもなぁ。。と、
思ったんだけど。。。なんか、違和感あるなぁ。。ともピースは思いました。水を刺さないでちょうだい。。水入らずの女同士に、みたいになんだか変な言い方。。。ちょっとドン引きする。。ハリーが邪魔なニュアンス。。。
ハリー、可愛がられているのかなあ。。
舞と電話で話すといつもココアの事ばかりだし。いつだか。。。女の子はいいわ。と平気で言うし。再婚した旦那さんの未森さんと、ハリーの事で、ハリーをもっと可愛がられみたいに言われたけど、余計なお世話みたいな事を愚痴られたし。
それで、今回舞達がこちらに来るので、ハリーを連れてきてハリーに家族とうまく行ってるのか、話を聞いてみようかと思ったんだけど。。。
グーとも、お互いに休んでハリーがこっちに来るなら、オフクロとココアがアマゾネスサンクチュアリィだし、
泊まるホテルリザーブして、
三人でどっかに連れていくか、サッカーや野球の観戦や、バンドのライブでも、好きなところ考えて、みたいに話していたんだけど。。
ところが。。。舞が、
ハリーは、却下。。。確かに俺もグーも男だし、オフクロは弟しかいないし。。女の子が欲しいのはわかるけどね。。
どうやら、ハリーの事はグーも心配していたようでした。ピースもグーも、あまり母親とは一緒に暮らしていないせいか。。苦手意識や距離感があります。男の子が女の子より早く親から離れていくのは
当たり前なんだけれど。。ピースもグーも、子どもの頃は仕事漬けの舞だったし。
親子お互いに
仲の良いってわけではなかったし。。ハリーもそんなものかなぁ。。でも。。なんだかなぁ。。ちょっとないんじゃない。。
そんな男心を知らずして、舞は楽しそうにココアを可愛がっています。ピースと舞には食前酒のシャンパンが、下戸のグーとココアには、甘酸っぱいザクロのジュースが
海老とブロッコリーのハーブアミューズと共に出されました。「ねぇ、。。グーちゃん。どう言うつもりなの。、。どうして南風が、だんだん変わっていったの。。。」
と、ニコニコして機嫌がいいココアが急に咎める様に言います。
なにを。。藪から棒に。。グーは。。。「えー、えっ。だって。さ。時代だよね。そんな。時代もあるよ。残すところは残して変えていくところは、変えていかなきゃ、だよ。なんでもそうだよね。。」
「ちょっと。。。グーちゃん。。大事な女でもできたわけ。」ムッ、とするココア。。。
すると、ピースが、
「あのね、ココア。。兄妹は結婚できないんだよ。大人のグーに、大事な女の人ができるのは喜んであげないと。。」と言ってくるので、ココアはムキになって「ピース兄ちゃんには聞いてないんです。ちょっと、グーちゃんどうなのよ。」
「そんな事ないよ。時代だって。自分で商売をしているんだ、時代の流れのニーズもあるでしょ。物は諸行無常なんだよ。形を変えていくさ。。」さりげなくグーは言っているのですが、
ピースは、やれやれ。。グーは、純ちゃんと真剣に付き合っているんじゃないのか。?
ココアがうるさいから黙っておくのかな。なんか。。末っ子で女の子って。、ココアは、わがままで甘やかされてんなー。。
俺らの時とは大違い。まぁ。。。女の子だから。。みたいな。。のは、俺が女の子がいたら。。そりゃあ可愛がるだろうから仕方ないかもしれないけどさ。
ピースは。。。舞のわがままさ。。ココアがそれを引き継いだというか。舞が心中未遂を起こした事は、子どもながらに覚えています。グーも覚えているのでしょう。。
仕方ない反面、わだかまりがありました。オフクロは。。はっきり言ってあんな性格だから男に去られてしまうんだよな。ま。、、今の旦那さんには大事にされているみたいなんだけど。。。
自分の好きな男性には去られて。。自分の事を好きな男性は振り回して。。だな。。ココアもグーにご執心なのはいいけど。、。所詮は兄妹の実らない恋愛だしね。現実みろよ。。。
なんだかなぁ。。ちょっとオフクロに苦手意識ある。。男はマザコンみたいな事を無責任に言ってる人がいるけれど。。母親みたいな女性が苦手だって。、。そんな男性だっているだろうなぁ。。なんてアミューズをいただきながら。。
そんなふうに考えていると、舞が、突然切り出しました。、。
「あのね。。。ちょっとだけ聞いてちょうだい。。あなた達。。お母さん、お母さんのお母さん。。あなた達からしたらおばあちゃんだけど。。。小さい頃。私はおばあちゃんに連れられて。おばあちゃんの名古屋の実家に東京から母娘二人で帰って来たって話したでしょ。」
舞の母親、峰の離婚です。舞と峰はあまり仲良くないので、峰とはピースやグーも、ハリーやココアもあまり会った記憶がありません。
ただ、舞は峰に連れられて、東京から峰の実家に2歳の時に戻ってきた、とはピースやグーも聞いているし、おそらくはココアにも言ってあるのでしょう。。
舞は続けて。。。「おばあちゃんが再婚して、私には剛おじさんと言う弟ができたんだけど。。。実は私には、7歳歳上のお姉さんがいる事がわかったのよ。東京の私の実のお父さんとの子ども。最近、その人から電話があったのよ。。。」
「なんだそれ、電話ってオレオレ詐欺なんじゃないの。。」グーがそう言うと、舞は、「私も。。、実は最初はそう思ってたわ。おばあちゃんからそんな話しはなんにも聞いていないんだしね。。でもね。。。おばあちゃんに話したら、おばあちゃんは急に泣き出して。。東京のお父さんとの間には、お父さんの元に置いてきたお姉さんがいる、って。。本当だったのよ。突然で。。。もう。。どうしたらいいか。。。だったんだけど。。。」「で。。。なんか、言ってきたとか」ピースが言います。。。
「お父さんに会って欲しいんだって。あなた達からしたら、おじいちゃんね、めっきり弱くなって。入院したから、って。だけど、私は母親とともに東京のお父さんの実家を放り出された身なのよ。。。覚えていないけどね、2歳だから。。で、冗談じゃないと思ったわ。放り出しといて、弱ってきて顔を見たい、と。それは、父さんじゃなくって、勝手に姉さんが決めた事かもしれないけどさ。あまりにも虫がいいじゃない。」
話しはシリアス。。ピースとグーは、出た出た、舞が感情的になってきた。ヤバと、思いました。「で、断ったの、あまりに虫が良すぎるって。。」グーが言ったのですが。。。
「最初は。。。ね。父親に、母親と私は追い出されたから、顔も見たくありませんから、って言ったのよ。姉さんは、追い出されずに父親の実家に残ってて。。なんて無神経な人かしら。冗談じゃないわ。捨てられた私達の気持ちを逆撫する気。。。高みの見物じゃないの、って憎ったらしく思えてきたんだけど。。」
オードブルとスープが運ばれて来たので、舞はいったん会話を止めました。
一方で、こちらは木蓮寺。。。相変わらず、奥座敷では。布団に起きた駿栄と。。。その横で、袈裟を着た黄色いデブの宇宙人大福。。。ベルモ。。。
大福は、駿栄が泣き止むのを待ちました。
それで。。。あなたは。。。どうして、こんなナイフを。、。
この事は誰にも言わないわ。あなたのバタフライナイフを拾ったのは私で。誰にも言っていないの。。。だけど。。どうして。。
こんな物騒なものを持ち込んだの。。ここは、仏様のお膝元だし、幼稚園もあって、幼稚園児もたくさんいるのよ。。観光のお客様や、檀家さんの皆様だって来られるのだし。。
もう、恐ろしい。大人ですら刃物を突然振り回す不審人物が突然目の前に現れたら。というのに。。。例え刺されなくても事件現場に遭遇したら。。。幼稚園児ならなおさら。。。
こんな爽やかなどっちかというと都会の颯爽としたよい育ちの男の子が。。。偏見持ったらいけないけど。。事件の犯人はどちらかと言えば。。。
犯罪者特有の独特な不審なオーラがある。悪い事をしそうな顔なのだ。。。
湿気の中沼から出てきた様な陰湿なタイプが多そうなのに。。
いやいや、なにも。この子が、事件を起こそうとしたとは決まっていないのだけれど。。ね。
すると、ぼろぼろまた、駿栄は、滂沱。。
まさか。、マサカ。。危ない事件をベルモがゴクッと喉を鳴らすと。。
駿栄が。。。
それは。。。「あなたを狙って刺そうと企んでおりました。。。」
げっ。。。どういうことなのどうしてあたしを
な。。。なぜ、なぜこの駿栄さんは、初対面のあたしを刺そうなんて。。狙うのよちょっとちょっと。。。
予想もしていない駿栄の返答にベルモは。。。
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2019年12月05日
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