2022年03月23日
「45歳定年」でも生き延びる独学キャリアアップ術
2021年9月、サントリーHD新浪剛史社長の発言が物議をかもした。「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」という発言で、これに対してネットなどでは「単なるリストラではないか」「雇われる側としては不安になる」といった批判が出て話題となった。
新浪氏がその後の記者会見で「定年という言葉を使ったのはちょっとまずかったかもしれない」と釈明したように、この発言は、表現のせいで真意が伝わりづらくなってしまったように思える。おそらく言いたかったことは「終身雇用が崩れていく今後は、転職を前提に主体的にキャリアを考えていかなければ、個人も企業も厳しい」ということだったのだろう。
実際、戦後日本の経済成長を支えてきた「終身雇用・年功序列」はすでに立ち行かなくなっている。2020年以降、三菱自動車やホンダ、オリンパス、カシオといったメーカーに留まらず、NHKやフジテレビといったメディアなどでも早期退職募集のニュースが続いている。
また多くの企業で成果主義の評価方法に舵が切られ、2014年〜15年には日立製作所・パナソニック・ソニーなどで人事制度が変更された。トヨタ自動車の豊田章男社長が2019年5月に記者会見で「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言したことは「終身雇用の崩壊だ」と話題になった。45歳定年がすぐに実現することはないにしても、終身雇用・年功序列が崩れてきていることは明らかだ。
終身雇用・年功序列が無くなると個人はどうなるか。成果主義で評価され給与が上がるよう、仕事のパフォーマンスを高めなくてはならなくなる。一生その会社にいられる保証が無くなるので、転職市場での評価も意識せざるを得ない。自分のスキルアップを、会社が考える育成プログラムに任せっきりにするのではなく、必要なスキルを自分で考え、自分でキャリアを作る必要も出てくるだろう。
では、新浪氏の発言にドキッとした45歳前後の方が、新浪氏の言うような「会社に頼らない」人材に近づくには、具体的に何をすればいいのだろうか。最近はテクノロジーの発達によって、より少ないお金と時間でキャリアアップに取り組むことができるようになった。
■「労働市場で」評価される人材になるには?
労働市場で評価される人材になるには、具体的にどうすればいいか。まず、どんな経験やスキルを身に付けるべきか、はっきりさせることだ。
すぐ転職活動をする人は「今現在持っているスキルと経験」で転職先を探すしかない。しかしキャリア相談でこれからを考えたい人には、実際のやりたい仕事の求人と自分のキャリアの棚卸しをした職務経歴書を見比べてみてもらう。すると自分に欠けているスキルと実務経験が明らかになる。
これが分かれば、セミナーやスクールで新しいスキルを習得する、仕事の担当替えや異動希望を出す、あるいは時期を見て転職活動へと進むことができる。
なかでも今後需要が高く、価値が高まりやすいスキルは英語とITだ。
英語は企業で従業員のダイバーシティが進みつつあるし、少子化で今後国内市場が縮小し、海外市場へ進出する企業が増え、需要が高まるだろう。
ITスキルについては日頃から、多様なガジェットを使いこなす、Twitterで情報収集する、Googleなどで検索する力をつける。インターネットの発達で「知っている」ことの価値が下がってきている一方で、玉石混交の情報から信頼できるものを短時間で選び取る力は今後ますます必要になる。
また、Excel・Word・PowerPointが使いこなせることは必須で、どの会社でも求められるスキルだ。「いまさらMS Office?」と思うかもしれないが、特にExcelは奥が深く、上級レベルまで極めておくと仕事の効率化に役立つ。得意でない人と大きく差がつくスキルのひとつだ。
2020年4月から小学校4年生の必須科目になったプログラミングも、今後特に若い企業で必須になるスキルだ。英語が話せない上司でも部下の英語力を評価できるのは、義務教育で英語を学んでいるからだ。つまり、学校でプログラミングを学んだ子どもたちが高校を卒業する10年後、プログラミングの知識がないと、業務の効率化について同じベースで議論ができなくなり、部下を適切に評価できなくなるだろう。
■時間がない、お金がない? 現代のメリット
身に付けるべき経験やスキルが分かったら、実際に行動を起こす。
専門性・スキルを磨くというと、時間やお金がないから難しいと感じるかもしれない。しかしネットなどテクノロジーが進歩した今、それらを解決する3つの恩恵がある。
1つめは学習時間をとりやすくなったこと。現地に行って受ける授業だけだった学習コースも、コロナでオンライン化が進んでいる。オンラインなら家にいながらにして学べるため学校への行き帰りや準備などの時間が不要だ。本とリアルのセミナーだけだった過去と比べると、時間的に大きなメリットがある。
また、コロナでリモートワークになり、会社がそれを取り入れたままであれば、節約できた通勤時間をあてることができる。
CaSy(カジー)、タスカジ、キッズラインといった家事代行のマッチングサービスもあるので、仕事の繁忙期とぶつかった時だけでも外注することで学習時間を作ることができる。
2つめは、安く学べること。会議室がいらないオンライン講座や、ウェブで授業の録画を購入するのはリアルの授業・セミナーよりも低価格だ。なかには1,000円台と書籍より安いものも多い。また、ネットを通じて物価の違う海外の先生に教わったり、無料の大学授業を受けたりすることもできるようになった。
3つめは、プラットフォームでスキルを売れること。これまでは会社の外で実務経験を得るのは難しかったが、現在はランサーズ、ココナラなどといったクラウドソーシングを利用して、個人のスキルを売ることができる。
こういったサービスを活用すれば、誰でも効率的に経験やスキルを身に付けられる。
■英語とITのスキルを効率的に身に付ける方法
たとえば、英語とITのスキルを身に付けたい場合は具体的にどうすればいいか。ネットを活用しお金をそれほどかけずに独学で学習する方法を紹介する。
英語のスキルを高める低価格の教材やスクールはたくさんある。オンライン英会話スクールならば、レアジョブ英会話・ネイティブキャンプ・DMM英会話という大手3社がしのぎを削っており、月6,000円台から毎日レッスンを受けることができる。
なかでもレアジョブ英会話は2022年1月よりPROGOSというスピーキングテストのモバイルアプリを展開しており、毎日1回無料で受けることができる。スマホでどこでも受けることができ、AIが採点するので、約2分で結果を受け取れる。
ITスキルは参考書やビデオ講座で簡単に学べる。書籍なら1冊3,000円程度、Udemyのビデオ講座はセール時なら1,000円台から、LinkedInラーニングの講座は月額3,000円台で、Excelに限らず16,000以上のコースにアクセスできる。
プログラミングの基本を学ぶには、学習サイトのProgate(プロゲート)がある。無料部分もあるが有料でも月1,078円という低価格で受けられる。ウェブ上で学ぶためソフトをインストールする必要がなく、ハードルが低い。
ただしこれは入門レベルなので、さらにスキルを上げる必要がある。
たとえばクラウドソーシングを使って単発の家庭教師を雇えば、現役のエンジニアに学習方法を相談できるし、自習しながら教えてもらうこともできる。作りたいサービスなど目的がはっきりしていて良い先生を選ぶことができれば、プログラミングスクールに入学するより安い場合もある。
■英語→ITの順で学べばより効率的
また、英語→ITの順で学ぶことでより効率的に学ぶことができる。英語を習得したあとにネットを活用することで低価格でITスキルを習得できるからだ。
日本だと高額なプログラミングスクールだが、英語が話せれば、フィリピンのプログラミングスクールZuittが低価格かつオンラインのライブで授業を提供している。
日本の大手プログラミングスクールで全ての授業をライブで提供しているところはなく、録画とライブとの比較になるが、それでもZuittの授業料は1/5ほどの金額。日本でライブ授業だったら10倍以上するのではないだろうか。ライブ授業なので、ソフトが動かない・エラーが出るなどの問題が起きてもその場で質問・解決でき、ウェブアプリを完成するところまで教えてくれる。
無料のプログラミング講座もある。アメリカのedXというサイトでは、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校など世界の160以上の大学が、IT関連を含め多様な分野の3,000以上ある講座をウェブのビデオで提供している(無料)。たとえばハーバード大学のコンピューターサイエンスの入門講座を無料で学べ、必要であれば修了証(有料)も発行してもらえる。
couseraも同じく、世界170以上のトップ大学や企業が提供する7,000以上の講座をウェブのビデオで受けられるサイトだ。聴講だけであれば、ほとんどの講座がユーザー登録するだけで無料だ。たとえば、エディンバラ大学のプログラミング入門講座が無料で聴講できる。
英語のリスニングに自信がなくても心配ない。Google Chrome の拡張機能Video Speed Controllerを使って動画の速さを調節できるし、Otterという文字起こしサービスのアプリを起動させ、音声から文字になった英語の文章を見ればよい。ネイティブの英語ならかなり正確に音をつかんで表示される。ライティングに困ったら、Gramaraという英文添削アプリに自分の作った英文をペーストすれば、AIで添削し、複数の文案を出してくれる。OtterもGramaraも、一定の範囲であれば無料で使える。
このように、まずは英語を習得し、その後「英語を使って」他のスキルを習得するのは出費をおさえ、英語スキルの向上にもなるので一石二鳥だ。
■実務経験をどうつける?
仕事と求人の条件にもよるが、スクールなどで学んだスキルだけをもって、転職で、専門職の仕事を得るのは簡単ではない。中途採用をする企業は即戦力を求めており、実務経験のある人を採用したいのが普通だからだ。
そこで、大きくキャリアチェンジしたい人は、スキルを得たあと、社内でそのスキルを活かせる部署へ異動希望を出すことを勧める。たとえば簿記をとってから経理部へ、英語を話せるようになってから海外対応部門へといった社内異動だ。
社内で評判の良い人であれば外部募集するより確実で、会社にとってもメリットがある。本人も、会社のビジネスには通じており、転職に比べ、難易度も心理的ハードルも下がる。
社内の専門性のある仕事で実務経験を積めば、その会社でも評価されると同時に、市場でも評価される状況になる。
社内異動が無理なら、クラウドソーシングを使って個人のスキルを売ってみればいい。場所を借りてお店を開く必要もなく、登録料も不要、サイトへの支払いはサービスが売れた時に発生するので、リスクはゼロである。
そういったサイトで帳簿をつけたり、ウェブサイトを作ったり、翻訳したり、動画編集したりといったスキルを売る。自分が翻訳なんて……という人もいるかもしれないが、サイトを見れば、同じ翻訳量でも500円の人からその10倍以上の料金で小説の翻訳をしているプロまでさまざまと分かって安心するはず。
2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」の改訂と「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開するなど、政府は副業・兼業を推進している。メルカリのような若い企業では、ウェブサイトの採用情報に「副業の推奨 書籍執筆、イベント登壇、エンジェル出資、社外役員・コンサルティングなど、個人の副業を推奨します。」と明記されている。現在副業が禁止されている企業でも、今後解禁が進んでいくはずだ。副業での実績を積み上げれば、会社員という地位を失っても働き続けられる可能性もある。
テクノロジーの進歩を活かして、専門性・汎用性のスキルを新たに追加あるいは磨く。そして実務経験を積む。そうすることで、市場で求められるようになり、転職だけでなく独立も視野に入る。
今の日本では、高年齢者雇用安定法の8条で「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない」と定められており、実際に45歳定年制が実現することは考えにくい。
しかし、それがあるかのように準備することは必要だ。これが新浪氏がおそらく「45歳定年制」よりも言いたかったこと「会社に頼らない姿勢が必要だ」への備えである。
新浪氏がその後の記者会見で「定年という言葉を使ったのはちょっとまずかったかもしれない」と釈明したように、この発言は、表現のせいで真意が伝わりづらくなってしまったように思える。おそらく言いたかったことは「終身雇用が崩れていく今後は、転職を前提に主体的にキャリアを考えていかなければ、個人も企業も厳しい」ということだったのだろう。
実際、戦後日本の経済成長を支えてきた「終身雇用・年功序列」はすでに立ち行かなくなっている。2020年以降、三菱自動車やホンダ、オリンパス、カシオといったメーカーに留まらず、NHKやフジテレビといったメディアなどでも早期退職募集のニュースが続いている。
また多くの企業で成果主義の評価方法に舵が切られ、2014年〜15年には日立製作所・パナソニック・ソニーなどで人事制度が変更された。トヨタ自動車の豊田章男社長が2019年5月に記者会見で「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言したことは「終身雇用の崩壊だ」と話題になった。45歳定年がすぐに実現することはないにしても、終身雇用・年功序列が崩れてきていることは明らかだ。
終身雇用・年功序列が無くなると個人はどうなるか。成果主義で評価され給与が上がるよう、仕事のパフォーマンスを高めなくてはならなくなる。一生その会社にいられる保証が無くなるので、転職市場での評価も意識せざるを得ない。自分のスキルアップを、会社が考える育成プログラムに任せっきりにするのではなく、必要なスキルを自分で考え、自分でキャリアを作る必要も出てくるだろう。
では、新浪氏の発言にドキッとした45歳前後の方が、新浪氏の言うような「会社に頼らない」人材に近づくには、具体的に何をすればいいのだろうか。最近はテクノロジーの発達によって、より少ないお金と時間でキャリアアップに取り組むことができるようになった。
■「労働市場で」評価される人材になるには?
労働市場で評価される人材になるには、具体的にどうすればいいか。まず、どんな経験やスキルを身に付けるべきか、はっきりさせることだ。
すぐ転職活動をする人は「今現在持っているスキルと経験」で転職先を探すしかない。しかしキャリア相談でこれからを考えたい人には、実際のやりたい仕事の求人と自分のキャリアの棚卸しをした職務経歴書を見比べてみてもらう。すると自分に欠けているスキルと実務経験が明らかになる。
これが分かれば、セミナーやスクールで新しいスキルを習得する、仕事の担当替えや異動希望を出す、あるいは時期を見て転職活動へと進むことができる。
なかでも今後需要が高く、価値が高まりやすいスキルは英語とITだ。
英語は企業で従業員のダイバーシティが進みつつあるし、少子化で今後国内市場が縮小し、海外市場へ進出する企業が増え、需要が高まるだろう。
ITスキルについては日頃から、多様なガジェットを使いこなす、Twitterで情報収集する、Googleなどで検索する力をつける。インターネットの発達で「知っている」ことの価値が下がってきている一方で、玉石混交の情報から信頼できるものを短時間で選び取る力は今後ますます必要になる。
また、Excel・Word・PowerPointが使いこなせることは必須で、どの会社でも求められるスキルだ。「いまさらMS Office?」と思うかもしれないが、特にExcelは奥が深く、上級レベルまで極めておくと仕事の効率化に役立つ。得意でない人と大きく差がつくスキルのひとつだ。
2020年4月から小学校4年生の必須科目になったプログラミングも、今後特に若い企業で必須になるスキルだ。英語が話せない上司でも部下の英語力を評価できるのは、義務教育で英語を学んでいるからだ。つまり、学校でプログラミングを学んだ子どもたちが高校を卒業する10年後、プログラミングの知識がないと、業務の効率化について同じベースで議論ができなくなり、部下を適切に評価できなくなるだろう。
■時間がない、お金がない? 現代のメリット
身に付けるべき経験やスキルが分かったら、実際に行動を起こす。
専門性・スキルを磨くというと、時間やお金がないから難しいと感じるかもしれない。しかしネットなどテクノロジーが進歩した今、それらを解決する3つの恩恵がある。
1つめは学習時間をとりやすくなったこと。現地に行って受ける授業だけだった学習コースも、コロナでオンライン化が進んでいる。オンラインなら家にいながらにして学べるため学校への行き帰りや準備などの時間が不要だ。本とリアルのセミナーだけだった過去と比べると、時間的に大きなメリットがある。
また、コロナでリモートワークになり、会社がそれを取り入れたままであれば、節約できた通勤時間をあてることができる。
CaSy(カジー)、タスカジ、キッズラインといった家事代行のマッチングサービスもあるので、仕事の繁忙期とぶつかった時だけでも外注することで学習時間を作ることができる。
2つめは、安く学べること。会議室がいらないオンライン講座や、ウェブで授業の録画を購入するのはリアルの授業・セミナーよりも低価格だ。なかには1,000円台と書籍より安いものも多い。また、ネットを通じて物価の違う海外の先生に教わったり、無料の大学授業を受けたりすることもできるようになった。
3つめは、プラットフォームでスキルを売れること。これまでは会社の外で実務経験を得るのは難しかったが、現在はランサーズ、ココナラなどといったクラウドソーシングを利用して、個人のスキルを売ることができる。
こういったサービスを活用すれば、誰でも効率的に経験やスキルを身に付けられる。
■英語とITのスキルを効率的に身に付ける方法
たとえば、英語とITのスキルを身に付けたい場合は具体的にどうすればいいか。ネットを活用しお金をそれほどかけずに独学で学習する方法を紹介する。
英語のスキルを高める低価格の教材やスクールはたくさんある。オンライン英会話スクールならば、レアジョブ英会話・ネイティブキャンプ・DMM英会話という大手3社がしのぎを削っており、月6,000円台から毎日レッスンを受けることができる。
なかでもレアジョブ英会話は2022年1月よりPROGOSというスピーキングテストのモバイルアプリを展開しており、毎日1回無料で受けることができる。スマホでどこでも受けることができ、AIが採点するので、約2分で結果を受け取れる。
ITスキルは参考書やビデオ講座で簡単に学べる。書籍なら1冊3,000円程度、Udemyのビデオ講座はセール時なら1,000円台から、LinkedInラーニングの講座は月額3,000円台で、Excelに限らず16,000以上のコースにアクセスできる。
プログラミングの基本を学ぶには、学習サイトのProgate(プロゲート)がある。無料部分もあるが有料でも月1,078円という低価格で受けられる。ウェブ上で学ぶためソフトをインストールする必要がなく、ハードルが低い。
ただしこれは入門レベルなので、さらにスキルを上げる必要がある。
たとえばクラウドソーシングを使って単発の家庭教師を雇えば、現役のエンジニアに学習方法を相談できるし、自習しながら教えてもらうこともできる。作りたいサービスなど目的がはっきりしていて良い先生を選ぶことができれば、プログラミングスクールに入学するより安い場合もある。
■英語→ITの順で学べばより効率的
また、英語→ITの順で学ぶことでより効率的に学ぶことができる。英語を習得したあとにネットを活用することで低価格でITスキルを習得できるからだ。
日本だと高額なプログラミングスクールだが、英語が話せれば、フィリピンのプログラミングスクールZuittが低価格かつオンラインのライブで授業を提供している。
日本の大手プログラミングスクールで全ての授業をライブで提供しているところはなく、録画とライブとの比較になるが、それでもZuittの授業料は1/5ほどの金額。日本でライブ授業だったら10倍以上するのではないだろうか。ライブ授業なので、ソフトが動かない・エラーが出るなどの問題が起きてもその場で質問・解決でき、ウェブアプリを完成するところまで教えてくれる。
無料のプログラミング講座もある。アメリカのedXというサイトでは、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校など世界の160以上の大学が、IT関連を含め多様な分野の3,000以上ある講座をウェブのビデオで提供している(無料)。たとえばハーバード大学のコンピューターサイエンスの入門講座を無料で学べ、必要であれば修了証(有料)も発行してもらえる。
couseraも同じく、世界170以上のトップ大学や企業が提供する7,000以上の講座をウェブのビデオで受けられるサイトだ。聴講だけであれば、ほとんどの講座がユーザー登録するだけで無料だ。たとえば、エディンバラ大学のプログラミング入門講座が無料で聴講できる。
英語のリスニングに自信がなくても心配ない。Google Chrome の拡張機能Video Speed Controllerを使って動画の速さを調節できるし、Otterという文字起こしサービスのアプリを起動させ、音声から文字になった英語の文章を見ればよい。ネイティブの英語ならかなり正確に音をつかんで表示される。ライティングに困ったら、Gramaraという英文添削アプリに自分の作った英文をペーストすれば、AIで添削し、複数の文案を出してくれる。OtterもGramaraも、一定の範囲であれば無料で使える。
このように、まずは英語を習得し、その後「英語を使って」他のスキルを習得するのは出費をおさえ、英語スキルの向上にもなるので一石二鳥だ。
■実務経験をどうつける?
仕事と求人の条件にもよるが、スクールなどで学んだスキルだけをもって、転職で、専門職の仕事を得るのは簡単ではない。中途採用をする企業は即戦力を求めており、実務経験のある人を採用したいのが普通だからだ。
そこで、大きくキャリアチェンジしたい人は、スキルを得たあと、社内でそのスキルを活かせる部署へ異動希望を出すことを勧める。たとえば簿記をとってから経理部へ、英語を話せるようになってから海外対応部門へといった社内異動だ。
社内で評判の良い人であれば外部募集するより確実で、会社にとってもメリットがある。本人も、会社のビジネスには通じており、転職に比べ、難易度も心理的ハードルも下がる。
社内の専門性のある仕事で実務経験を積めば、その会社でも評価されると同時に、市場でも評価される状況になる。
社内異動が無理なら、クラウドソーシングを使って個人のスキルを売ってみればいい。場所を借りてお店を開く必要もなく、登録料も不要、サイトへの支払いはサービスが売れた時に発生するので、リスクはゼロである。
そういったサイトで帳簿をつけたり、ウェブサイトを作ったり、翻訳したり、動画編集したりといったスキルを売る。自分が翻訳なんて……という人もいるかもしれないが、サイトを見れば、同じ翻訳量でも500円の人からその10倍以上の料金で小説の翻訳をしているプロまでさまざまと分かって安心するはず。
2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」の改訂と「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開するなど、政府は副業・兼業を推進している。メルカリのような若い企業では、ウェブサイトの採用情報に「副業の推奨 書籍執筆、イベント登壇、エンジェル出資、社外役員・コンサルティングなど、個人の副業を推奨します。」と明記されている。現在副業が禁止されている企業でも、今後解禁が進んでいくはずだ。副業での実績を積み上げれば、会社員という地位を失っても働き続けられる可能性もある。
テクノロジーの進歩を活かして、専門性・汎用性のスキルを新たに追加あるいは磨く。そして実務経験を積む。そうすることで、市場で求められるようになり、転職だけでなく独立も視野に入る。
今の日本では、高年齢者雇用安定法の8条で「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない」と定められており、実際に45歳定年制が実現することは考えにくい。
しかし、それがあるかのように準備することは必要だ。これが新浪氏がおそらく「45歳定年制」よりも言いたかったこと「会社に頼らない姿勢が必要だ」への備えである。
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