2009年11月28日
3兆円削減目標のウソ
『3兆円削減目標』のウソ
2009年11月25日
行政刷新会議の「必殺仕分け人」が連日、紙面をにぎわせている。ここに来て「やりすぎだ」などと批判も出ているようだが、これまで密室の中だった予算編成作業が一部とはいえ、公開になった意義は大きい。
だが、どうも気になる点がある。「三兆円削減」が既定目標であるかのような報道が目立つのだ。これは概算要求が九十五兆円と決まった直後、仙谷由人行政刷新相が「できれば九十二兆円ぐらいに収めたい」と語って出てきた数字だ。
だが、その根拠といえば、まったく怪しい。ずばり言えば、腰だめの数字である。その証拠に藤井裕久財務相は仙谷発言の後「九十兆円以下が望ましい」と語っている。両大臣の間で歳出総額の大枠イメージが固まっていないのだ。
これ自体、驚くべきことだが、それ以上にメディアの責任も重大である。削減目標は三兆円という話を繰り返し報じることによって、事実上「三兆円が合格ライン」という相場観を形成してしまうからだ。
民主党が公約通り、新政策の財源を予算組み替えで捻出(ねんしゅつ)するつもりなら、本年度当初予算歳出の八八・五兆円を少し上回る九十兆円程度に収まるはずだ。
最初に目標のハードルを低く設定することで「ほら、ちゃんと跳び越えました」と後で胸を張るのは、財務官僚の得意技である。メディアがそんな見え透いた手にだまされてはいけない。 (長谷川幸洋)
2009年11月25日
行政刷新会議の「必殺仕分け人」が連日、紙面をにぎわせている。ここに来て「やりすぎだ」などと批判も出ているようだが、これまで密室の中だった予算編成作業が一部とはいえ、公開になった意義は大きい。
だが、どうも気になる点がある。「三兆円削減」が既定目標であるかのような報道が目立つのだ。これは概算要求が九十五兆円と決まった直後、仙谷由人行政刷新相が「できれば九十二兆円ぐらいに収めたい」と語って出てきた数字だ。
だが、その根拠といえば、まったく怪しい。ずばり言えば、腰だめの数字である。その証拠に藤井裕久財務相は仙谷発言の後「九十兆円以下が望ましい」と語っている。両大臣の間で歳出総額の大枠イメージが固まっていないのだ。
これ自体、驚くべきことだが、それ以上にメディアの責任も重大である。削減目標は三兆円という話を繰り返し報じることによって、事実上「三兆円が合格ライン」という相場観を形成してしまうからだ。
民主党が公約通り、新政策の財源を予算組み替えで捻出(ねんしゅつ)するつもりなら、本年度当初予算歳出の八八・五兆円を少し上回る九十兆円程度に収まるはずだ。
最初に目標のハードルを低く設定することで「ほら、ちゃんと跳び越えました」と後で胸を張るのは、財務官僚の得意技である。メディアがそんな見え透いた手にだまされてはいけない。 (長谷川幸洋)