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2008年11月18日

給付金とビルゲイツの金銭感覚

この前の日曜日、ある大富豪の消息をテレビが伝えていた。ソフトウエア最大手・米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏である。

 ゲイツ氏は今夏、経営の一線から退き、会長職にとどまるものの妻と設立した財団で慈善事業に専念していた。財団の基金は数兆円に上り、アフリカとアジアの病気根絶などを目指している。

 マラリアや結核の予防接種事業の支援などに力を入れる。ゲイツ氏の個人資産は五兆円ともいわれる。大金持ちになったら早期に引退し、慈善活動に携わるのが成功者の美徳とされる米国の慣習に従ったものだろう。

 テレビ番組の中で印象的だったのは、ゲイツ氏の金銭哲学だ。会社経営でも慈善事業でも、金の使途の目的が明確でないと十分な効果は得られず、無駄になるケースが多いという趣旨の発言だった。

 日本では与党が打ち出した総額二兆円の定額給付金が迷走している。所得制限を設けるかどうかは市町村の判断に委ねることになり、混乱が予想される。

 低所得層の生活支援策なら所得制限は必要だろう。景気対策なら全国民に支給するのも分からないではない。そこがあいまいなため、効果が疑問視される。究極の選挙対策という批判も根強い。目的がはっきりしない金は、ゲイツ氏だったら使うのをやめるに違いない。

山陽新聞:滴一滴より

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