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2019年08月04日

医療的ケア児の保活・気管切開児の次男のケース

2019年の6月から市の医療的ケア児保育モデル事業を利用して保育園に通えるようになった次男。
改めてブログを読み直してみると、本格的に次男の通園について動き始めたのは2017年で次男が3歳の時でしたね。

実際に自治体が具体的な政策として医療的ケア児の受け入れを始めるまでには2年間という時間がかかっています。これを早いとみるか、遅いとみるか。

もし、医療的ケアが必要なお子さんを保育園に通園させたいという思いをお持ちの方がいらっしゃるなら、できるだけ早くその思いを行動に移された方が良いかもしれません。

当初、自治体に相談に行ったときに「制度を作るのには時間がかかる」と何度も言われましたが、事実、数年単位の時間を要することもあります。
3歳で相談に行ったとして、制度が出来上がるのが3年後、4年後だと、お子さんの通園には間に合わないかもしれませんし、制度は間に合ったとしても、制度の利用対象外となって丸一年棒に振ってしまうということも考えられます。

医療的ケアが必要なお子さんのケアを行いながら、こうした行動を起こすことは本当に大変だと思います。

それでも、何かアクションを起こしてみようかと思っている方のために、次男が保育園に通えるようになるまでの経緯を簡単にまとめてみたいと思います。
回り道をしたことや、うまくいったこと、いろいろありますが、こんなケースもあるんだと何かの参考にしていただけると幸いです。

これまでの次男の保活の歩みの詳細は、ブログカテゴリーの「医療的ケア児の療育・進路(保育園)」をご参照下さい。

さて、前置きが長くなりましたが、次男が保育園へ通えるようになるまでに行った取り組みをざっと説明いたしますね。

1.保育園を希望する医療的ケア児がいることを知ってもらう

見出し通りですが、まずは次男の存在を知ってもらうことから始めました。
療育センターや、通園を希望する保育園、区役所、市役所へ、動ける医療的ケア児である次男が通園することは可能か相談してみたのです。でも、答えはノーでした。相談した保育園だけは前向きな姿勢を見せてくれましたが、利用の可否を決めるのは「区」であり、区で判断できないときは「市」が判断するのだということを理解しました。

2.医療的ケア児の支援における国の方針を確認

区や市の手ごたえが全く感じられなかったので、「じゃあ、国はどう言っているんだ」と国の方針を確認。
市との交渉材料が欲しかったわけですね。
でも、これが後から効いてきました。国の方針が自治体に通達されていることが分かったからです(やるかどうかは努力義務ですが)。ですから、国の方針は確認しておいて損はないです。医療的ケア児に関する施策はこまめにチェックしておくと、交渉の時にどこをポイントに話せば相手が聞いてくれるかのヒントになります。

3.市議会に要望を出す方法を考える

市などの担当部署に個人で相談の電話をかけても、「分かりました、動きましょう!」と言ってもらえることはまずありません(意見としては聞いてもらえるかと思います)。
そのため、もっと確実に自分たちの声が届くように、市議会で医療的ケア児のことを取り上げてもらえるように、要望の出し方について調べまくりました。市議会のホームページには「陳情」「請願」の2種類の要望の出し方が紹介されていますが、より議会への影響度の高い「請願」を出すことを目標に動き始めました。

4.市政相談会に参加して、市議会議員に現状を訴える

当事者である次男を連れて、市政相談会へ。そして、市議会議員の方に現状を説明しました。議員さんは医療的ケア児の置かれている現状を知るや、その日のうちにあちこちの関係機関に連絡してくれたので、あっという間に市当局との交渉の場が設定され、請願提出の道もつきました。

5.市との交渉

市の担当局との交渉の場を市議会議員さんが設けてくれたので、現状と要望を直接伝えました。
しかし、今後協議の場を作っていくとの回答はあったものの、その時期は未定。
この交渉から数か月後、改めて進捗を確認するも、まだ検討中であるとのことで具体的な回答は得られず。
そうこうしているうちに、次年度の保育園の利用申請の時期になったので、再度利用申請について問い合わせをしましたが、医療的ケア児については検討の余地もないとの回答。

6.市議会議員さんと話し合い、「議会」と「交渉」を並行して行うことに

議会の場で医療的ケア児に対する保育支援の必要性の高さを認めさせるため、「請願」を行うことにしました。また、請願準備と並行して、様々な会派の議員にも協力を呼び掛け、市当局と交渉を行う方針に。

7.同じ悩みを持つ医療的ケア児の親との横のつながりを作る

医療的ケア児を育てている親の中には、自分と同じように保育園の利用を希望されている方もいるはず。
一緒に動ければどんなに心強いか!と、いろいろなツテをたどってみたら、やはり同じように保育園入園を希望している方はいらっしゃいました!!しかも、保育園入園に向けて、市とも何度もやり取りをされているとのこと。同じような状況にびっくり!その方のつながりで医療的ケア児の親の会に参加させてもらうことができ、請願も「親の会」として提出。請願審議に向けて、署名も集め始めました。

そしてこの後、やっぱり保育園落ちました。

8.医療的ケア児保育モデル事業が開始

なんと、いきなり医療的ケア児保育モデル事業開始のお知らせが市のホームページに掲載されていました。
まずは市内で一園のみの実施です。でも、自宅からかなり遠方で、募集の時期も「今?」という時期。次男は利用できませんでした。

9.保育園がダメなら認可外?幼稚園?

保育園がどうしてもだめなら、別の道を…と思って通えそうなところに問い合わせ。
でも、ことごとく撃沈。
ただ、知り合いの話によると、市内の幼稚園の中には医療的ケア児を受け入れてくれる園(母子通園が多いようですが)もあったようなので、距離を気にしなければ可能かも。
うちの区では、そもそも「医療的ケア児は難しい」との判断。

10.請願までの間に、広く地域の方へ医療的ケア児の保育問題を知ってもらう

請願に向けて署名を集めたい、という話をすると、医療的ケア児に心を寄せて下さる方たちが、医療的ケア児について話をさせてもらえる場所をなにかと作って下さいました。療育センターの「療考会」や、公民館での婦人の会、お世話になっている医療機関、新聞社の方など、こんな子もいるんだと知ってもらえて、問題意識を持ってもらえたことがとてもありがたかったです。

11.医療的ケア児の保育園入園を求める請願審議

請願書を議会に提出してから半年後、請願審議。審議の結果は「継続」でした。「採択」とはなりませんでしたが、「まずは実態を把握し、スピード感を持って今後の進め方を再検討する」を信じて見守ることに。

特に動きのないまま、また保育園の利用申請の時期が来たので、通常の手続きで申請を行いましたが、申請書は受理されず。またも保育園への道は開けませんでした。

12.医療的ケア児保育モデル事業拡大

その後、年度が替わると、市で行っていたモデル事業が拡大されて、市内4園で医療的ケア児の受け入れが可能となりました。早速、このモデル事業に申し込み、次男は保育園への通園が可能になりました。


ものすごく長くなってしまいましたが、大まかな流れは以上の通りです。
じゃあ医療的ケア児の保活には一体何が有効だったのか?
については、上記だけではちょっとわかりづらいと思うので、次回説明したいと思います。






この記事へのコメント
ena様
こんにちは!記事を読んでいただきありがとうございます!
経過の羅列なので、どこが重要だったか分かりづらいかと思いますが、もう少し絞ったものを次の記事に投稿していますので、よかったら見てみて下さいね。

私も動いてみるまでは市の仕組みがよくわからなかったのですが、結局は制度として動かすためには、議員さんの協力が不可欠であったと思います。

今、保育園等に入園を希望されているのはenaさんのお子さんだけなのですね。保育園だけでなく、日中一時預かりが必要とか、療育的な預かり先が欲しいとか、そういう方と一緒に「保育の支援の拡充」という形で動いてみたり、実際に保育園を希望されるのがenaさんだけだったとしても、請願等を会の名前を貸していただいて出す、とかもありかも…と勝手に思ったりしました。あくまで個人的な意見です。

でも、医療の発達で今後も医療的ケア児の人数がどんどん増えていくことが予測されますので、市としても今までのように医療的ケア児の保育問題を無視できなることは間違いないと思います。後に続く医療的ケア児のためにも、なんとか入園に道をつけたいところですね!

「今後の課題」とは、私も何十回も言われました。時期を明確にしてほしいですよね。
今、目の前で困っているのですから。
議員さんにしっかり必要性を理解していただいて、議会で何度も取り上げてほしいなと思います。

子どものため!と思っていても、動いていると精神的にかなり消耗することもあります。いろんな方にフォローしてもらいながら、無理しすぎないように気を付けて下さいね。

また、何かありましたらいつでもご連絡くださいね!
Posted by ブログ主 at 2019年08月18日 15:39

こんにちは!
取り組みを分かりやすくまとめて頂き、ありがとうございます(^^)

読んだだけでもかなりのエネルギーを使われたのだなぁ…と感じました。お疲れ様でした。
精神的なダメージもかなりお有りだったと思います。
それでも志を高く持ち、入園を勝ち取ったブログ主様を尊敬します!
次男さんも楽しく園に通われているようで安心しました。
やはり、子どもは子どもの輪の中で成長していくものですね。

想像はしていましたが、市を動かすのはこんなにも大変なのかと今から心が折れそうです(*_*)

自分なりに動いていたつもりでしたが、まだ1・2しかやれてないことに若干ショックを受けました( ; ; )
道のりが長い…果たしないです。
やはりポイントは「議員さん」「横のつながり」でしょうか。

市役所の職員にも散々相談した挙句、「じゃあどうしたら良いんですか?」と聞いたら「議員さんにお願いしてみてはどうですか?」なんて言われました。
(市の職員がそんなこと言っちゃって良いのかーと思いましたが)

私も市の親の会(かなり小規模です)で知り合ったママさんにこれから議員さんを紹介していただく予定です。
ただ、市内の医ケア児で保育園OR幼稚園に入園希望をしているのは我が家だけ・・・。
入園に関しては共に戦って頂ける方が居ないので、心許ないです。

市や児童委員さんにも医療的ケア児の入園に関しては「今後の」課題にしていきますと宣言されています。
私たちに必要なのは「今」なのですが、そのことすら理解して貰えません。

この頃は我が家だけだから、我慢するしかないないのかなぁ…と弱気になっている部分もあります(T-T)
が、ブログ主様の取り組みを参考に動く努力をしようと思い直しました!

長文・乱文失礼しました!
次回の記事も楽しみにしております。
Posted by ena at 2019年08月16日 10:48
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