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2014年02月13日

ビスマス

ビスマス(英: bismuth) は原子番号83の元素。元素記号は Bi。第15族元素の一つ。日本名は蒼鉛。



目次 [非表示]
1 特徴
2 産出 2.1 ビスマス鉱石

3 用途
4 同位体
5 ビスマスの化合物
6 結晶
7 脚注
8 関連項目


特徴[編集]

淡く赤みがかった銀白色の金属で、柔らかく脆い。多彩な色を示すことがあるが、これは表面の酸化膜で光が回折することによる構造色であり、ビスマス本来の色ではない。電気伝導性や熱伝導性は高くない。融点は271.3 °Cと低い。

常温で安定に存在し、凝固すると体積が増加するのが特徴。またビスマス化合物には医薬品の材料となるものがあり、他の窒素族元素(ヒ素やアンチモン)の化合物に毒性が強いものが多いことと対照的である。

産出[編集]

天然には硫化物(輝蒼鉛鉱)として主に産出するが、自然蒼鉛として単体での産出も知られている。なお、鉱工業上はこれらの鉱物ではなく、主に鉛、モリブデン、タングステン精錬の副産物として生産される[2]。ビスマスのドイツ語Wismutは、1472年に与えたシュネーベルクの草原(Wiese)の採掘許可権(Mutung)から生まれた語Wiesemutungに由来するが、当時はビスマスはアンチモン、錫、亜鉛などと混同されていた[3]。18世紀にフランスのクロード・F・ジョフロアにより、単体であることが確認された。

ビスマス鉱石[編集]

ビスマス鉱石を構成する鉱石鉱物には、次のようなものがある。
自然蒼鉛(自然ビスマス)(Bi)
輝蒼鉛鉱(輝ビスマス鉱)(Bi2S3)
蒼鉛土(ビスマイト)(Bi2O3)

用途[編集]

医薬品(整腸剤)の原料として、日本薬局方に収載されている。

単体のビスマスと他の金属(カドミウム、錫、鉛、インジウムなど)との合金は、それぞれの金属単体より低い融点となる。このため、鉛フリーはんだに添加されたり、あるいはより低温で溶けるウッド合金のような低融点合金に使われる。また、ビスマスは大きな熱電効果を示す物質であり、特にテルルとの合金は熱電変換素子として実用化されている。

化合物としては、銅酸化物高温超伝導体の1成分としても用いられ、ビスマスを含む超伝導物質はしばしばビスマス系高温超伝導物質または単にビスマス系と呼ばれる。

上記以外にも、高比重・低融点で比較的柔らかく無害である事から鉛の代替として注目され、散弾や釣り用の錘、鉛・カドミウムの代替として黄銅への添加剤、ガラスの材料などとして用いられている。

同位体[編集]

詳細は「ビスマスの同位体」を参照

天然に存在するビスマスの同位体はすべて放射性同位体である。主要な同位体である 209Bi は長らく安定同位体とされてきたが、近年、精密な測定で非常に長い半減期を持つ放射性同位体であることが判明し、最重安定同位体の地位を鉛 (208Pb) に譲ることとなった。

209Bi はごくわずかにα崩壊により崩壊するが、その半減期は2003年に測定された値で (1.9 ± 0.2) × 1019 年(≒ 1700京〜2100京年)である。この値は現在の宇宙年齢の9桁以上も長い[4]。

その他にも、半減期は短いが自然界には5つの同位体が存在する。いずれも、壊変系列の崩壊過程によって発生する同位体である。ウラン233の崩壊過程でできるビスマス213はがんの治療に期待されている。

ビスマスの化合物[編集]

収れん作用を持つビスマスの化合物は、腸粘膜のタンパク質と結合して被膜を作り炎症を起こした粘膜への刺激を和らげる効果があり、整腸剤として利用される。
酸化ビスマス(Bismuth Oxide) (Bi2O3) - 整腸剤
次没食子酸ビスマス(Bismuth subgallate)( C7H5BiO6) - 整腸剤(日本薬局方収載)
輝蒼鉛鉱 (Bi3S3)
塩化酸化ビスマス(III)(Bismuth oxychloride) (BiClO) - 化粧品、パール塗料の原料。
次硝酸ビスマス(Bi5O(OH)9(NO3)4) - 整腸剤(日本薬局方収載)
次サリチル酸ビスマス - 整腸剤
炭酸酸化ビスマス(III) - 整腸剤
チタン酸ビスマスナトリウム ((Bi1/2Na1/2)TiO3)

結晶[編集]





ビスマスの結晶
人工的に作ったビスマスの結晶は、酸化膜による多彩な着色と骸晶による特徴的な形状から、観賞用として市販される場合がある。




脚注[編集]

[ヘルプ]

1.^ Bismuth, mindat.org
2.^ http://minerals.usgs.gov/minerals/pubs/commodity/bismuth/bismumcs96.pdf Bismuth, Mineral Commodity Summaries(1996)Bismuth, USGeological Survey.
3.^ 大学教育研究会編 「化学―物質と人間の歴史―」開成出版、1985年、ISBN 4-87603-044-8
4.^ de Marcillac, P. Coron, N. Dambier, G. Leblanc, J. & Moalic, J.-P. Experimental detection of α-particles from the radioactive decay of natural bismuth. Nature 422, 876-878 (2003).
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