2014年02月13日
タリウム
タリウム (英: thallium) は原子番号81の元素。元素記号は Tl。第13族元素の一つ。
目次 [非表示]
1 歴史
2 特徴
3 タリウムの化合物
4 同位体
5 出典
歴史[編集]
ウィリアム・クルックス (W.Crookes) によって硫酸工場の残留物から1861年に発見され、1862年にクルックスおよびクロード・オーギュスト・ラミー (C.A.Lamy) により単体分離された[2]。名前の由来はギリシア語の「緑の小枝」を表す thallos で、これは、原子スペクトルが緑色のためである。
1898年、パリのレイモン・サブローにより、タリウム塩に脱毛作用があることが発見される。このため1950年代に至るまで、頭皮の皮膚病を治療する際に用いられる標準的な軟膏となった。タリウム塩自体には皮膚病を治療する効果はないが、強力な脱毛作用によって頭髪が抜け落ちてしまえば、治療用の薬品を塗布しやすくなるためである。第二次世界大戦以前には、顔面の脱毛クリームとして販売されていた。
KGB は、放射性タリウムを毒殺用の毒物として使用していた。有名な例では、元 KGB 工作員のニコライ・ホフロフ (Nikolai Khokhlov) が1957年に放射性タリウムを盛られ、瀕死の重態となったが一命を取り留めた例がある(ホフロフは2007年に死去)。これは、初めて公式に確認された KGB の放射性元素による殺人(未遂)事件である(二番目が2006年にポロニウムを盛られて死亡したアレクサンドル・リトヴィネンコ)。[要出典]
特徴[編集]
単体は常温では銀白色の柔らかい金属として存在し、六方最密充填構造(αタリウム)が最安定であるが、約230 °C以上では体心立方構造(βタリウム)が最安定となる。比重11.85、融点302.5 °C、沸点1473 °C。13族の元素であるがイオンは1価 (Tl+) が安定である(不活性電子対効果を参照のこと)。
硫化鉱物(硫化バナジウムや黄鉄鉱)中に微量に存在する。重金属の中でも特に強い毒性を持ち、摂取すると神経障害を起こす。
タリウムの化合物[編集]
硫酸タリウム(I) (Tl2SO4) - 殺鼠剤の原料
酢酸タリウム(I) (CH3COOTl) - 殺鼠剤の原料
硝酸タリウム(I) (TlNO3) - 殺鼠剤の原料
ヨウ化タリウム(I) (TlI)
塩化タリウム(I) (TlCl)
水素化タリウム(III) (TlH3)
クレリチ溶液:ギ酸タリウムとマロン酸タリウムの混合水溶液。比重が大きいため比重選鉱法(重液選鉱)に用いられていた。
硫酸タリウム、酢酸タリウム及び硝酸タリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定されている。
同位体[編集]
詳細は「タリウムの同位体」を参照
出典[編集]
1.^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
2.^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、333頁。ISBN 4-06-257192-7。
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1 歴史
2 特徴
3 タリウムの化合物
4 同位体
5 出典
歴史[編集]
ウィリアム・クルックス (W.Crookes) によって硫酸工場の残留物から1861年に発見され、1862年にクルックスおよびクロード・オーギュスト・ラミー (C.A.Lamy) により単体分離された[2]。名前の由来はギリシア語の「緑の小枝」を表す thallos で、これは、原子スペクトルが緑色のためである。
1898年、パリのレイモン・サブローにより、タリウム塩に脱毛作用があることが発見される。このため1950年代に至るまで、頭皮の皮膚病を治療する際に用いられる標準的な軟膏となった。タリウム塩自体には皮膚病を治療する効果はないが、強力な脱毛作用によって頭髪が抜け落ちてしまえば、治療用の薬品を塗布しやすくなるためである。第二次世界大戦以前には、顔面の脱毛クリームとして販売されていた。
KGB は、放射性タリウムを毒殺用の毒物として使用していた。有名な例では、元 KGB 工作員のニコライ・ホフロフ (Nikolai Khokhlov) が1957年に放射性タリウムを盛られ、瀕死の重態となったが一命を取り留めた例がある(ホフロフは2007年に死去)。これは、初めて公式に確認された KGB の放射性元素による殺人(未遂)事件である(二番目が2006年にポロニウムを盛られて死亡したアレクサンドル・リトヴィネンコ)。[要出典]
特徴[編集]
単体は常温では銀白色の柔らかい金属として存在し、六方最密充填構造(αタリウム)が最安定であるが、約230 °C以上では体心立方構造(βタリウム)が最安定となる。比重11.85、融点302.5 °C、沸点1473 °C。13族の元素であるがイオンは1価 (Tl+) が安定である(不活性電子対効果を参照のこと)。
硫化鉱物(硫化バナジウムや黄鉄鉱)中に微量に存在する。重金属の中でも特に強い毒性を持ち、摂取すると神経障害を起こす。
タリウムの化合物[編集]
硫酸タリウム(I) (Tl2SO4) - 殺鼠剤の原料
酢酸タリウム(I) (CH3COOTl) - 殺鼠剤の原料
硝酸タリウム(I) (TlNO3) - 殺鼠剤の原料
ヨウ化タリウム(I) (TlI)
塩化タリウム(I) (TlCl)
水素化タリウム(III) (TlH3)
クレリチ溶液:ギ酸タリウムとマロン酸タリウムの混合水溶液。比重が大きいため比重選鉱法(重液選鉱)に用いられていた。
硫酸タリウム、酢酸タリウム及び硝酸タリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定されている。
同位体[編集]
詳細は「タリウムの同位体」を参照
出典[編集]
1.^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
2.^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、333頁。ISBN 4-06-257192-7。
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