2014年02月13日
亜鉛
亜鉛(あえん、英: zinc、羅: zincum)は原子番号30の金属元素。元素記号は Zn。亜鉛族元素の一つ。安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP) の金属。必須ミネラル(無機質)16種の一つ。
目次 [非表示]
1 性質
2 天然における存在
3 歴史
4 製錬 4.1 乾式法
4.2 湿式法
5 用途 5.1 電池
5.2 亜鉛めっき
6 人体における亜鉛 6.1 所要量
6.2 欠乏症
6.3 過剰症
6.4 サプリメントとしての亜鉛
6.5 摂取源
7 亜鉛の化合物
8 同位体
9 脚注
10 関連項目
11 外部リンク
性質[編集]
青味を帯びた銀白色の金属であるが、湿った空気中で錆び易く、灰白色の塩基性炭酸亜鉛で覆われる。融点は419.5 °C、沸点は907 °C。常温では脆いが、約110 - 150 °Cの範囲のみで展性、延性に富むようになる。
単体金属の格子定数はa = 265.9 pm、c = 493.7 pm (25 °C) で、理想的な六方最密充填構造よりもやや c 軸方向に伸びている。c 軸方向の熱膨張率は a 軸方向の約3.5倍と異方性が強く現れ、線膨張率は a 軸方向(c 軸と垂直)は1.50×10−5 K−1、c 軸方向では5.30×10−5 K−1である[1]。
空気中で加熱すると酸化亜鉛となる。
2Zn + O2 → 2ZnO
希酸に容易く水素を発生して溶けるが、希硝酸に溶解させた場合は濃度により、亜酸化窒素、窒素、ヒドロキシルアミンあるいはアンモニウムイオンを生成する[2]。
Zn + 2 H+(aq) → Zn2+(aq) + H2
4 Zn + 10 H+(aq) + NO3−(aq) → 4 Zn2+(aq) + NH4+(aq) + 3 H2O
両性元素であり、熱濃アルカリにも徐々に溶ける。
Zn + 2 OH−(aq) + 2 H2O → [Zn(OH)4]2−(aq) + H2
ハロゲンとは室温において乾燥状態では反応しにくいが、水分の存在下で室温でも激しく反応し、硫黄とは高温で硫化物をつくる。一方、水素、炭素および窒素とは高温でも直接は反応しない。
天然における存在[編集]
天然には、稀に遊離状態で産出することはあるが、資源的に見合う量ではない。地殻中の存在比は推定値で80 ppm[3]とそれほど多くはないが、硫化亜鉛を主成分とする閃亜鉛鉱などが容易く採掘されるため金属は安価である。ほか、亜鉛はウルツ鉱、菱亜鉛鉱などの中に存在する。
亜鉛の沸点が同族のカドミウム、水銀と同様に低いため、酸化亜鉛を木炭などで還元して金属を得ようとしても昇華してしまい煙突の先端で空気中の酸素と反応し酸化物に戻る。この場合、鉱石を還元して生成した蒸気を空気を遮断して冷却しなければ単体は得られない。
歴史[編集]
亜鉛は少なくとも紀元前4000年から銅との合金である黄銅(真鍮)として用いられて来た。古代ギリシア人はキプロス産の亜鉛化合物について記述している。ローマ征服前のダキア人(現在のルーマニア)は紀元前から金属亜鉛精錬技術に通じていた。ダキア以前に金属亜鉛を得た民族は見つかっていない。ダキア以外のヨーロッパで金属亜鉛を精錬するようになったのは産業革命が始まってからである。
インドでもダキア人とは独立に亜鉛精錬技術を発見し、12世紀にはウールを還元剤として金属亜鉛を得ていた。12世紀から16世紀までに100万トン以上の亜鉛を製造したと考えられている。インドの技術はやがて中国に渡り、16世紀には中国でも亜鉛生産が始まっている。
ヨーロッパ人として金属亜鉛に初めて接したのはポルトガル人だった。ポルトガル人は亜鉛の重要性に気づいておらず、ポルトガル商船を拿捕したオランダ人によってヨーロッパに金属亜鉛が持ち込まれた。1509年にニュルンベルクのエベナーが初めて欧州での金属亜鉛の生産をはじめた。1620年にはヨーロッパで東洋起源の金属亜鉛の販売が始まった。1737年に、中国から亜鉛精錬技術がイギリスに伝わる。1743年、ヨーロッパ初の亜鉛工場が港湾都市ブリストルに建設された。年間生産量は200トンである。同年スウェーデン人のアントン・フォン・シュワープが炭酸亜鉛から亜鉛を蒸留分離することに成功、硫化亜鉛からも抽出できた。これはイギリス人の製法とは独立である。1746年、ドイツ人アンドレアス・マルクグラーフは他の2国とは独立に金属亜鉛を得る。コークスと酸化亜鉛を加熱する際、空気を断つことが成功につながった。結局、マルクグラーフの手法が金属亜鉛の大規模生産へとつながっていく。このため、マルクグラーフこそが亜鉛の発見者であると位置づけられることがある。1798年に水平レトルト精錬法という、耐火性容器に石炭と亜鉛鉱石を入れて加熱し、亜鉛を蒸留精錬する方法による精錬工場が建設された[4]。当初、鉛製造工業の副産物として得られていた亜鉛の表面は平滑ではなく、櫛の歯 (Zinken) のような筋状になっていたので、Zinkと呼ばれるようになった[5]。
日本では真鍮を意味する鍮石という言葉は天平年間から記録があり、文禄年間には真鍮という名称に変化している。その当時すなわち16世紀終わり頃、亜鉛は中国名で倭鉛と呼ばれ、ポルトガルではツタンナガ (Tutanaga) といったが、これを日本ではトタン(吐丹)と呼んだ。また亜鉛という言葉は1713年(正徳3年)に『和漢三才図会』に記録されたのが最初であるとされる[6]。
1850年代には米国のヒルツが亜鉛生産を開始した。1881年にフランスのルトランジュが電解法を発明した[4]。
日本国内における金属亜鉛の製錬は1889年(明治22年)に黒鉱の処理から開始された。蒸留亜鉛が商業ベースで生産され、電気亜鉛の生産が神岡鉱山で開始されたのは共に1910年(明治43年)頃である[6]。 1910年代になると世界各地で亜鉛の電解精錬がはじまった[4]。
製錬[編集]
酢酸亜鉛
塩化亜鉛
亜鉛鉱としては閃亜鉛鉱 (ZnS) や菱亜鉛鉱 (ZnCO3) が主要であり、日本の亜鉛鉱山は閃亜鉛鉱が主である。細かく破砕された鉱石から浮遊選鉱などで脈石・銅鉱物・鉛鉱物などを分離したものは亜鉛精鉱と呼ばれる(亜鉛含量 50-58 %)。亜鉛精鉱は焼結により団塊とされることが多い。亜鉛精鉱は焙焼により酸化亜鉛(亜鉛焼鉱)とされた後に、乾式製錬法もしくは湿式製錬法(電解精錬)により金属亜鉛に製錬される。
ZnS + 3/2 O2 → ZnO + SO2
閃亜鉛鉱にはカドミウムが、菱亜鉛鉱には鉛が随伴するため、亜鉛精錬においてはこれらの有害金属が環境放出されないように制御される。
乾式法[編集]
乾式製錬法は、炭素(コークスまたは無煙炭)により酸化亜鉛の焼鉱を還元し、生成した金属亜鉛を揮発回収して蒸留亜鉛を作る方法である。還元炉の形式により、水平レトルト蒸留法・立形レトルト蒸留法(竪型レトルト法・New Jersey 法)・電熱蒸留法・ISP 法などに大別される[7]。
ZnO + C → Zn(g) + CO
蒸留亜鉛は耐火粘土製コンデンサー(受け皿)に導いて冷却し液状亜鉛として捕集されるが、鉛 (bp. 1744 °C)、カドミウム (bp. 765 °C) を含む。これらの不純物はダイカスト用亜鉛において粒界腐食を起こす原因ともなるので、分別蒸留によりさらに高純度に精製される。鉛は揮発しない温度に保たれ、カドミウムは先に揮発させて分別する。
電熱蒸留法では、亜鉛焼鉱とコークス粒の混合物に直接電流を通し加熱する円筒電気炉を使用する。この方法では亜鉛1トン当たり3000 kWhの電力と500 kgのコークスを必要とする。ISP 法は鎔鉱炉製錬法とも呼ばれ、炉内で生成する亜鉛蒸気を鎔融鉛のシャワーに吸収させ、この亜鉛を4.6 %含む560 °Cの鎔融金属を440 °Cまで冷却すると鎔融鉛に対する亜鉛の溶解度が2.1 %まで低下し、ほぼ純粋な鎔融亜鉛が分離して浮き上がるため、これを回収する[6]。
湿式法[編集]
湿式製錬法では、酸化亜鉛の焼鉱を硫酸に溶かした硫酸亜鉛の水溶液とし電解して金属を得る。
ZnO + H2SO4 → ZnSO4 + H2O
(ZnO + 2 H+ → Zn2+ + H2O)
この硫酸亜鉛溶液は不純物を含むため、まず少量の二酸化マンガンを加えて鉄イオンを2価から3価へ酸化した後、鉄・ヒ素・アンチモンを沈殿させる。続いて少量の亜鉛末を加えて銅・ニッケル・コバルトおよびカドミウムを単体をして析出除去する[7]。この精製した硫酸亜鉛水溶液に希硫酸を加えて酸性とし、陰極にアルミニウム電極、陽極に不溶性の含銀鉛電極を用いて電解精錬する。陽極からは酸素、陰極からは亜鉛が析出し、純度 99.99 %以上の金属亜鉛が得られる[8][9]。亜鉛はイオン化傾向が水素よりも大きく電位的に還元されにくい金属であるが、水素過電圧が高いため水溶液中であっても陰極に析出させることができる(亜鉛めっきの節も参照のこと)。
Zn2+ + 2 e− → Zn(陰極、E°= −0.7626 V)
消費電力は亜鉛1トンあたり3000 - 4000 kWhである[2]。
用途[編集]
亜鉛めっき鋼板として鋼材の防食に用いる。特に、薄い鉄板に亜鉛めっきを施したものはトタンと呼ばれ屋根材などに使われる(→トタン板)。犠牲電極としての亜鉛めっきの他、真鍮や洋銀などの合金材料、乾電池の陰極板などに利用される。ダイカストの地金には亜鉛合金が広く用いられている。また、亜鉛の蒸気を酸素と反応させることにより、亜鉛華と呼ばれる白色粉末が得られ、これを顔料、医薬品、化粧品などとして用いる。亜鉛を原料としたおしろいが生まれる以前は鉛や水銀を原料としており、しばしば中毒を引き起こしたため、安全な亜鉛のおしろいの登場は画期的な事であった。また、近年においては透明薄膜トランジスタの伝導膜として酸化亜鉛が注目を集めている[2]。船舶では金属が水に触れて腐食する事を防ぐ為、亜鉛ブロックを船体に組み込んで犠牲電極としている。亜鉛ブロックは消耗するので定期的に補充する。
電池[編集]
マンガン電池やアルカリ電池、空気亜鉛電池等の負極材料として使用される。尚、充電時には電池内部にて負極から正極に向けて樹枝状のデンドライトが生成し、短絡の原因ともなる為いずれの電池も充電には適さない。亜鉛を燃料とする一種の燃料電池ともいえるメカニカルチャージ式の空気亜鉛電池が一時期開発されていた。
亜鉛めっき[編集]
亜鉛を鋼板へめっきする方法としては、溶融した亜鉛に鋼材を浸して行なう溶融亜鉛めっきと、電気分解を利用する電気めっきがある。電気めっきの場合には、めっき後かなり時間がたってからウィスカーと呼ばれるひげ状の細長い亜鉛結晶が成長してくることが知られており、これが電気製品の故障原因となる場合がある。近年でも、サーバーに障害を発生させる原因となるとして注意喚起が行なわれている[10]。
また、亜鉛は水銀などと同様に水素過電圧の大きな電極であり(約0.7 V; 1 N H2SO4)相対的に水素分子を発生しにくい電極である。つまり水素過電圧は電極の表面状態,電流密度,温度などで変化するので条件によっては水素よりも標準酸化還元電位が大である亜鉛が水溶液から析出したり電解めっきすることが可能になる。すなわち、亜鉛の表面では水素イオンが電子により還元されてから水素分子が生成する多段階反応が律速となるため、低電流領域では陰極電位がZn の平衡電位に到達せず水素が発生するものの、高電流領域では二水素生成が飽和することで陰極電位が上昇し(水素過電圧)亜鉛が析出する現象が見られる。また陰極上に生成吸着した Zn(OH)2 が水素析出抑制剤として作用するとも考えられている[11]。
人体における亜鉛[編集]
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この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2013年3月)
生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70 kgのヒトに平均2.3 g含まれる。100種類を超える酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須である。それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたる。炭酸脱水酵素が最も重要だろう。その他、加水分解酵素の活性に関わり、DNA や RNA のリン酸エステルを加水分解によって切断するので細胞分裂に大きく関わる。
人体に入る亜鉛はすべて食品に由来する。人体中では骨に多く、次いで体組織である。最も少ないのが血液であり、7 ppmに過ぎない。体組織中では、眼球、肝臓、筋肉、腎臓、前立腺、脾臓である。体液としては精液に多い。このうち、亜鉛の貯蔵器官は骨と脾臓である。亜鉛の排出経路は消化器が9割を占め、残りが尿と汗である。男性の場合、適度な亜鉛摂取は精子形成の増加および性欲増進の効果が見られる。
なお、必須ミネラル16種の一つであるが、大量の高濃度の亜鉛は人体に有害である。皮膚を刺激し、蒸気を吸入すると呼吸器に障害を起こし、全身、特に四肢の痙攣に至る。また工業的に作られた製品は不純物が有害な場合がある。
所要量[編集]
2005年版の「日本人の食事摂取基準」では、推定平均必要量:8 (6) mg/日、推奨量:9 (7) mg/日、上限量:30 (30) mg/日(数値はいずれも成人男性、かっこ内は成人女性)である。ちなみにアメリカでは、男性で11 mg/日、女性で8 mg/日が推奨されている。
欠乏症[編集]
亜鉛の欠乏は、亜鉛含量の少ない食事の摂取、亜鉛と結合し小腸での吸収を妨げる食物繊維の取りすぎ、さらに鉄や銅の過剰摂取などが原因となって起こることがある。亜鉛を最も含む食材は入手の容易さを考慮に入れるとレバーである。食物中にフィチン酸が含まれていると亜鉛の吸収が妨げられる。フィチン酸は穀物や豆類に多い。したがって、赤身の肉が少なく、穀物や豆類の摂取が多い国、例えば、FAO の統計によると、メキシコやペルーなどに欠乏症の素地を満たす国民が多い。
症状は細胞分裂の頻繁な箇所に影響が現れる。
味蕾の減少による味覚障害
精子形成の減少
無月経
貧血
皮膚炎
免疫機能の減弱
甲状腺機能の減弱
創傷治癒の遅延
亜鉛欠乏時には、胃腸機能の減衰および免疫機能低下による下痢が見られ、亜鉛を含む栄養素の摂取不良を招き、欠乏がさらに悪化することがある。亜鉛はインスリンの構造維持に必須でもあり、糖代謝にも関与する。さらに、ビタミンAの活性化にも関与するため、亜鉛の欠乏により、ビタミンA欠乏症が現れることがある。また、動物実験レベルでは、亜鉛欠乏により、活動性の低下、記憶や注意力の低下、味覚指向の変化[12]が見られる。医師による治療の際は、亜鉛含有製剤としてポラプレジンクなどが処方される[13]。
過剰症[編集]
亜鉛は過剰に摂取されると、膵液を通して過剰分が排泄されるが、大量に摂取されると過剰症を引き起こす。亜鉛の摂取過多は鉄や銅の欠乏を招く。また、善玉コレステロールとして知られる高比重リポタンパク質 (HDL) の血液中の濃度を低下させる。
亜鉛を多く含む食品の例
サプリメントとしての亜鉛[編集]
亜鉛のサプリメント。写真の製品は、1粒辺り50mgが含まれる(オーストラリア)
時折、亜鉛の重要性をことさら誇張し「亜鉛を摂取すると精力が付く」とか「亜鉛は性のミネラル」などといったような文句で亜鉛サプリメントの宣伝がなされることがあるが、亜鉛の多量摂取により男性機能が高まるということはない。このような症状を強く感じても、それらが亜鉛の摂取によるものとは断定できない。特に皮膚や免疫という生命維持にとって重要性の高い要素に対する素人の判断は問題を拡大することにもつながる。これらの症状はほかの原因によって起きている可能性もあるため、安易に亜鉛サプリメントを摂取して間に合わせようとするのではなく、医師に相談し適切な処方を受ける方が確実である。
摂取源[編集]
Ambox question.svg
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100 g中に含まれる亜鉛の量 (mg) の比較。
カキ - 7
レバー - 6
牛肉 - 4
小麦 - 4 - ただし土壌により、1/10にまで下がる場合がある
チーズ - 3
納豆 - 3
エビ - 2
卵 - 1
牛乳 - 0.4
亜鉛の化合物[編集]
化合物中の原子価は唯一2価が安定であり、その他1価の二原子イオン (Zn22+) は亜鉛および塩化亜鉛を融解状態で反応させると生成するものの、極めて不安定で不均化しやすい[14]。
2価の水和イオン Zn2+(aq) は無色であり、多少加水分解して弱酸性を示し、その酸解離定数はpKa = 9.0である。
塩化亜鉛 (ZnCl2)
酸化亜鉛 (ZnO)
硫化亜鉛 (ZnS) - 白色
硫酸亜鉛 (ZnSO4)
クロム酸亜鉛 (ZnCrO4) - 黄色顔料・ジンククロメート(ジンクイエロー)として使われる。
ステアリン酸亜鉛 (Zn(C18H35O2)2) - 製薬助剤
スズ酸亜鉛 (ZnSnO3) - プラスチック難燃剤
グルコン酸亜鉛 (C12H22O14Zn) - 医薬(亜鉛補充剤)
リン化亜鉛 (Zn3P2) - 殺鼠殺虫剤(毒物及び劇物取締法による劇物)
同位体[編集]
詳細は「亜鉛の同位体」を参照
脚注[編集]
1.^ 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年
2.^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
3.^ Taylor & McLennan, 1985
4.^ a b c 山口英一監修、非鉄金属研究会編著、『非鉄金属の本』、日刊工業新聞社、2010年8月30日初版1刷発行、ISBN 9784526065149 pp. 78–85
5.^ 大学教育研究会編 『化学ー物質と人間の歴史―』 開成出版、1985年、ISBN 4-87603-044-8
6.^ a b c 西川精一 『新版金属工学入門』 アグネ技術センター、2001年
7.^ a b 『新実験化学講座8 無機化合物の合成(I)』 丸善、1976年
8.^ 増本健、2-5-1亜鉛、『金属なんでも小事典』、ブルーバックスB1188、講談社、pp. 128–130、1997。ISBN 4-06-257188-9
9.^ 後藤 佐吉、「亜鉛」、『世界大百科事典』、第二版CD-ROM版、平凡社、1998年。
10.^ [1]
11.^ 福島久哲、中野博昭、硫酸塩浴からの亜鉛および亜鉛合金の電析機構、表面科学Vol. 22, No. 2, pp. 107–112, 2001
12.^ 亜鉛の摂取不足がラットのラード食と魚油食の嗜好性に及ぼす影響 日本栄養・食糧学会誌 Vol.66 (2013) No.1 pp. 25–33
13.^ 亜鉛含有製剤 佐賀医科大学医学部附属病院 薬剤部
14.^ F・A・コットン、G・ウィルキンソン著、中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
関連項目[編集]
ウィキメディア・コモンズには、亜鉛に関連するメディアがあります。
味覚
ジンクホワイト(酸化亜鉛)
微量元素
マトリックスメタロプロテアーゼ(酵素)
武田厚司
目次 [非表示]
1 性質
2 天然における存在
3 歴史
4 製錬 4.1 乾式法
4.2 湿式法
5 用途 5.1 電池
5.2 亜鉛めっき
6 人体における亜鉛 6.1 所要量
6.2 欠乏症
6.3 過剰症
6.4 サプリメントとしての亜鉛
6.5 摂取源
7 亜鉛の化合物
8 同位体
9 脚注
10 関連項目
11 外部リンク
性質[編集]
青味を帯びた銀白色の金属であるが、湿った空気中で錆び易く、灰白色の塩基性炭酸亜鉛で覆われる。融点は419.5 °C、沸点は907 °C。常温では脆いが、約110 - 150 °Cの範囲のみで展性、延性に富むようになる。
単体金属の格子定数はa = 265.9 pm、c = 493.7 pm (25 °C) で、理想的な六方最密充填構造よりもやや c 軸方向に伸びている。c 軸方向の熱膨張率は a 軸方向の約3.5倍と異方性が強く現れ、線膨張率は a 軸方向(c 軸と垂直)は1.50×10−5 K−1、c 軸方向では5.30×10−5 K−1である[1]。
空気中で加熱すると酸化亜鉛となる。
2Zn + O2 → 2ZnO
希酸に容易く水素を発生して溶けるが、希硝酸に溶解させた場合は濃度により、亜酸化窒素、窒素、ヒドロキシルアミンあるいはアンモニウムイオンを生成する[2]。
Zn + 2 H+(aq) → Zn2+(aq) + H2
4 Zn + 10 H+(aq) + NO3−(aq) → 4 Zn2+(aq) + NH4+(aq) + 3 H2O
両性元素であり、熱濃アルカリにも徐々に溶ける。
Zn + 2 OH−(aq) + 2 H2O → [Zn(OH)4]2−(aq) + H2
ハロゲンとは室温において乾燥状態では反応しにくいが、水分の存在下で室温でも激しく反応し、硫黄とは高温で硫化物をつくる。一方、水素、炭素および窒素とは高温でも直接は反応しない。
天然における存在[編集]
天然には、稀に遊離状態で産出することはあるが、資源的に見合う量ではない。地殻中の存在比は推定値で80 ppm[3]とそれほど多くはないが、硫化亜鉛を主成分とする閃亜鉛鉱などが容易く採掘されるため金属は安価である。ほか、亜鉛はウルツ鉱、菱亜鉛鉱などの中に存在する。
亜鉛の沸点が同族のカドミウム、水銀と同様に低いため、酸化亜鉛を木炭などで還元して金属を得ようとしても昇華してしまい煙突の先端で空気中の酸素と反応し酸化物に戻る。この場合、鉱石を還元して生成した蒸気を空気を遮断して冷却しなければ単体は得られない。
歴史[編集]
亜鉛は少なくとも紀元前4000年から銅との合金である黄銅(真鍮)として用いられて来た。古代ギリシア人はキプロス産の亜鉛化合物について記述している。ローマ征服前のダキア人(現在のルーマニア)は紀元前から金属亜鉛精錬技術に通じていた。ダキア以前に金属亜鉛を得た民族は見つかっていない。ダキア以外のヨーロッパで金属亜鉛を精錬するようになったのは産業革命が始まってからである。
インドでもダキア人とは独立に亜鉛精錬技術を発見し、12世紀にはウールを還元剤として金属亜鉛を得ていた。12世紀から16世紀までに100万トン以上の亜鉛を製造したと考えられている。インドの技術はやがて中国に渡り、16世紀には中国でも亜鉛生産が始まっている。
ヨーロッパ人として金属亜鉛に初めて接したのはポルトガル人だった。ポルトガル人は亜鉛の重要性に気づいておらず、ポルトガル商船を拿捕したオランダ人によってヨーロッパに金属亜鉛が持ち込まれた。1509年にニュルンベルクのエベナーが初めて欧州での金属亜鉛の生産をはじめた。1620年にはヨーロッパで東洋起源の金属亜鉛の販売が始まった。1737年に、中国から亜鉛精錬技術がイギリスに伝わる。1743年、ヨーロッパ初の亜鉛工場が港湾都市ブリストルに建設された。年間生産量は200トンである。同年スウェーデン人のアントン・フォン・シュワープが炭酸亜鉛から亜鉛を蒸留分離することに成功、硫化亜鉛からも抽出できた。これはイギリス人の製法とは独立である。1746年、ドイツ人アンドレアス・マルクグラーフは他の2国とは独立に金属亜鉛を得る。コークスと酸化亜鉛を加熱する際、空気を断つことが成功につながった。結局、マルクグラーフの手法が金属亜鉛の大規模生産へとつながっていく。このため、マルクグラーフこそが亜鉛の発見者であると位置づけられることがある。1798年に水平レトルト精錬法という、耐火性容器に石炭と亜鉛鉱石を入れて加熱し、亜鉛を蒸留精錬する方法による精錬工場が建設された[4]。当初、鉛製造工業の副産物として得られていた亜鉛の表面は平滑ではなく、櫛の歯 (Zinken) のような筋状になっていたので、Zinkと呼ばれるようになった[5]。
日本では真鍮を意味する鍮石という言葉は天平年間から記録があり、文禄年間には真鍮という名称に変化している。その当時すなわち16世紀終わり頃、亜鉛は中国名で倭鉛と呼ばれ、ポルトガルではツタンナガ (Tutanaga) といったが、これを日本ではトタン(吐丹)と呼んだ。また亜鉛という言葉は1713年(正徳3年)に『和漢三才図会』に記録されたのが最初であるとされる[6]。
1850年代には米国のヒルツが亜鉛生産を開始した。1881年にフランスのルトランジュが電解法を発明した[4]。
日本国内における金属亜鉛の製錬は1889年(明治22年)に黒鉱の処理から開始された。蒸留亜鉛が商業ベースで生産され、電気亜鉛の生産が神岡鉱山で開始されたのは共に1910年(明治43年)頃である[6]。 1910年代になると世界各地で亜鉛の電解精錬がはじまった[4]。
製錬[編集]
酢酸亜鉛
塩化亜鉛
亜鉛鉱としては閃亜鉛鉱 (ZnS) や菱亜鉛鉱 (ZnCO3) が主要であり、日本の亜鉛鉱山は閃亜鉛鉱が主である。細かく破砕された鉱石から浮遊選鉱などで脈石・銅鉱物・鉛鉱物などを分離したものは亜鉛精鉱と呼ばれる(亜鉛含量 50-58 %)。亜鉛精鉱は焼結により団塊とされることが多い。亜鉛精鉱は焙焼により酸化亜鉛(亜鉛焼鉱)とされた後に、乾式製錬法もしくは湿式製錬法(電解精錬)により金属亜鉛に製錬される。
ZnS + 3/2 O2 → ZnO + SO2
閃亜鉛鉱にはカドミウムが、菱亜鉛鉱には鉛が随伴するため、亜鉛精錬においてはこれらの有害金属が環境放出されないように制御される。
乾式法[編集]
乾式製錬法は、炭素(コークスまたは無煙炭)により酸化亜鉛の焼鉱を還元し、生成した金属亜鉛を揮発回収して蒸留亜鉛を作る方法である。還元炉の形式により、水平レトルト蒸留法・立形レトルト蒸留法(竪型レトルト法・New Jersey 法)・電熱蒸留法・ISP 法などに大別される[7]。
ZnO + C → Zn(g) + CO
蒸留亜鉛は耐火粘土製コンデンサー(受け皿)に導いて冷却し液状亜鉛として捕集されるが、鉛 (bp. 1744 °C)、カドミウム (bp. 765 °C) を含む。これらの不純物はダイカスト用亜鉛において粒界腐食を起こす原因ともなるので、分別蒸留によりさらに高純度に精製される。鉛は揮発しない温度に保たれ、カドミウムは先に揮発させて分別する。
電熱蒸留法では、亜鉛焼鉱とコークス粒の混合物に直接電流を通し加熱する円筒電気炉を使用する。この方法では亜鉛1トン当たり3000 kWhの電力と500 kgのコークスを必要とする。ISP 法は鎔鉱炉製錬法とも呼ばれ、炉内で生成する亜鉛蒸気を鎔融鉛のシャワーに吸収させ、この亜鉛を4.6 %含む560 °Cの鎔融金属を440 °Cまで冷却すると鎔融鉛に対する亜鉛の溶解度が2.1 %まで低下し、ほぼ純粋な鎔融亜鉛が分離して浮き上がるため、これを回収する[6]。
湿式法[編集]
湿式製錬法では、酸化亜鉛の焼鉱を硫酸に溶かした硫酸亜鉛の水溶液とし電解して金属を得る。
ZnO + H2SO4 → ZnSO4 + H2O
(ZnO + 2 H+ → Zn2+ + H2O)
この硫酸亜鉛溶液は不純物を含むため、まず少量の二酸化マンガンを加えて鉄イオンを2価から3価へ酸化した後、鉄・ヒ素・アンチモンを沈殿させる。続いて少量の亜鉛末を加えて銅・ニッケル・コバルトおよびカドミウムを単体をして析出除去する[7]。この精製した硫酸亜鉛水溶液に希硫酸を加えて酸性とし、陰極にアルミニウム電極、陽極に不溶性の含銀鉛電極を用いて電解精錬する。陽極からは酸素、陰極からは亜鉛が析出し、純度 99.99 %以上の金属亜鉛が得られる[8][9]。亜鉛はイオン化傾向が水素よりも大きく電位的に還元されにくい金属であるが、水素過電圧が高いため水溶液中であっても陰極に析出させることができる(亜鉛めっきの節も参照のこと)。
Zn2+ + 2 e− → Zn(陰極、E°= −0.7626 V)
消費電力は亜鉛1トンあたり3000 - 4000 kWhである[2]。
用途[編集]
亜鉛めっき鋼板として鋼材の防食に用いる。特に、薄い鉄板に亜鉛めっきを施したものはトタンと呼ばれ屋根材などに使われる(→トタン板)。犠牲電極としての亜鉛めっきの他、真鍮や洋銀などの合金材料、乾電池の陰極板などに利用される。ダイカストの地金には亜鉛合金が広く用いられている。また、亜鉛の蒸気を酸素と反応させることにより、亜鉛華と呼ばれる白色粉末が得られ、これを顔料、医薬品、化粧品などとして用いる。亜鉛を原料としたおしろいが生まれる以前は鉛や水銀を原料としており、しばしば中毒を引き起こしたため、安全な亜鉛のおしろいの登場は画期的な事であった。また、近年においては透明薄膜トランジスタの伝導膜として酸化亜鉛が注目を集めている[2]。船舶では金属が水に触れて腐食する事を防ぐ為、亜鉛ブロックを船体に組み込んで犠牲電極としている。亜鉛ブロックは消耗するので定期的に補充する。
電池[編集]
マンガン電池やアルカリ電池、空気亜鉛電池等の負極材料として使用される。尚、充電時には電池内部にて負極から正極に向けて樹枝状のデンドライトが生成し、短絡の原因ともなる為いずれの電池も充電には適さない。亜鉛を燃料とする一種の燃料電池ともいえるメカニカルチャージ式の空気亜鉛電池が一時期開発されていた。
亜鉛めっき[編集]
亜鉛を鋼板へめっきする方法としては、溶融した亜鉛に鋼材を浸して行なう溶融亜鉛めっきと、電気分解を利用する電気めっきがある。電気めっきの場合には、めっき後かなり時間がたってからウィスカーと呼ばれるひげ状の細長い亜鉛結晶が成長してくることが知られており、これが電気製品の故障原因となる場合がある。近年でも、サーバーに障害を発生させる原因となるとして注意喚起が行なわれている[10]。
また、亜鉛は水銀などと同様に水素過電圧の大きな電極であり(約0.7 V; 1 N H2SO4)相対的に水素分子を発生しにくい電極である。つまり水素過電圧は電極の表面状態,電流密度,温度などで変化するので条件によっては水素よりも標準酸化還元電位が大である亜鉛が水溶液から析出したり電解めっきすることが可能になる。すなわち、亜鉛の表面では水素イオンが電子により還元されてから水素分子が生成する多段階反応が律速となるため、低電流領域では陰極電位がZn の平衡電位に到達せず水素が発生するものの、高電流領域では二水素生成が飽和することで陰極電位が上昇し(水素過電圧)亜鉛が析出する現象が見られる。また陰極上に生成吸着した Zn(OH)2 が水素析出抑制剤として作用するとも考えられている[11]。
人体における亜鉛[編集]
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生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70 kgのヒトに平均2.3 g含まれる。100種類を超える酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須である。それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたる。炭酸脱水酵素が最も重要だろう。その他、加水分解酵素の活性に関わり、DNA や RNA のリン酸エステルを加水分解によって切断するので細胞分裂に大きく関わる。
人体に入る亜鉛はすべて食品に由来する。人体中では骨に多く、次いで体組織である。最も少ないのが血液であり、7 ppmに過ぎない。体組織中では、眼球、肝臓、筋肉、腎臓、前立腺、脾臓である。体液としては精液に多い。このうち、亜鉛の貯蔵器官は骨と脾臓である。亜鉛の排出経路は消化器が9割を占め、残りが尿と汗である。男性の場合、適度な亜鉛摂取は精子形成の増加および性欲増進の効果が見られる。
なお、必須ミネラル16種の一つであるが、大量の高濃度の亜鉛は人体に有害である。皮膚を刺激し、蒸気を吸入すると呼吸器に障害を起こし、全身、特に四肢の痙攣に至る。また工業的に作られた製品は不純物が有害な場合がある。
所要量[編集]
2005年版の「日本人の食事摂取基準」では、推定平均必要量:8 (6) mg/日、推奨量:9 (7) mg/日、上限量:30 (30) mg/日(数値はいずれも成人男性、かっこ内は成人女性)である。ちなみにアメリカでは、男性で11 mg/日、女性で8 mg/日が推奨されている。
欠乏症[編集]
亜鉛の欠乏は、亜鉛含量の少ない食事の摂取、亜鉛と結合し小腸での吸収を妨げる食物繊維の取りすぎ、さらに鉄や銅の過剰摂取などが原因となって起こることがある。亜鉛を最も含む食材は入手の容易さを考慮に入れるとレバーである。食物中にフィチン酸が含まれていると亜鉛の吸収が妨げられる。フィチン酸は穀物や豆類に多い。したがって、赤身の肉が少なく、穀物や豆類の摂取が多い国、例えば、FAO の統計によると、メキシコやペルーなどに欠乏症の素地を満たす国民が多い。
症状は細胞分裂の頻繁な箇所に影響が現れる。
味蕾の減少による味覚障害
精子形成の減少
無月経
貧血
皮膚炎
免疫機能の減弱
甲状腺機能の減弱
創傷治癒の遅延
亜鉛欠乏時には、胃腸機能の減衰および免疫機能低下による下痢が見られ、亜鉛を含む栄養素の摂取不良を招き、欠乏がさらに悪化することがある。亜鉛はインスリンの構造維持に必須でもあり、糖代謝にも関与する。さらに、ビタミンAの活性化にも関与するため、亜鉛の欠乏により、ビタミンA欠乏症が現れることがある。また、動物実験レベルでは、亜鉛欠乏により、活動性の低下、記憶や注意力の低下、味覚指向の変化[12]が見られる。医師による治療の際は、亜鉛含有製剤としてポラプレジンクなどが処方される[13]。
過剰症[編集]
亜鉛は過剰に摂取されると、膵液を通して過剰分が排泄されるが、大量に摂取されると過剰症を引き起こす。亜鉛の摂取過多は鉄や銅の欠乏を招く。また、善玉コレステロールとして知られる高比重リポタンパク質 (HDL) の血液中の濃度を低下させる。
亜鉛を多く含む食品の例
サプリメントとしての亜鉛[編集]
亜鉛のサプリメント。写真の製品は、1粒辺り50mgが含まれる(オーストラリア)
時折、亜鉛の重要性をことさら誇張し「亜鉛を摂取すると精力が付く」とか「亜鉛は性のミネラル」などといったような文句で亜鉛サプリメントの宣伝がなされることがあるが、亜鉛の多量摂取により男性機能が高まるということはない。このような症状を強く感じても、それらが亜鉛の摂取によるものとは断定できない。特に皮膚や免疫という生命維持にとって重要性の高い要素に対する素人の判断は問題を拡大することにもつながる。これらの症状はほかの原因によって起きている可能性もあるため、安易に亜鉛サプリメントを摂取して間に合わせようとするのではなく、医師に相談し適切な処方を受ける方が確実である。
摂取源[編集]
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100 g中に含まれる亜鉛の量 (mg) の比較。
カキ - 7
レバー - 6
牛肉 - 4
小麦 - 4 - ただし土壌により、1/10にまで下がる場合がある
チーズ - 3
納豆 - 3
エビ - 2
卵 - 1
牛乳 - 0.4
亜鉛の化合物[編集]
化合物中の原子価は唯一2価が安定であり、その他1価の二原子イオン (Zn22+) は亜鉛および塩化亜鉛を融解状態で反応させると生成するものの、極めて不安定で不均化しやすい[14]。
2価の水和イオン Zn2+(aq) は無色であり、多少加水分解して弱酸性を示し、その酸解離定数はpKa = 9.0である。
塩化亜鉛 (ZnCl2)
酸化亜鉛 (ZnO)
硫化亜鉛 (ZnS) - 白色
硫酸亜鉛 (ZnSO4)
クロム酸亜鉛 (ZnCrO4) - 黄色顔料・ジンククロメート(ジンクイエロー)として使われる。
ステアリン酸亜鉛 (Zn(C18H35O2)2) - 製薬助剤
スズ酸亜鉛 (ZnSnO3) - プラスチック難燃剤
グルコン酸亜鉛 (C12H22O14Zn) - 医薬(亜鉛補充剤)
リン化亜鉛 (Zn3P2) - 殺鼠殺虫剤(毒物及び劇物取締法による劇物)
同位体[編集]
詳細は「亜鉛の同位体」を参照
脚注[編集]
1.^ 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年
2.^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
3.^ Taylor & McLennan, 1985
4.^ a b c 山口英一監修、非鉄金属研究会編著、『非鉄金属の本』、日刊工業新聞社、2010年8月30日初版1刷発行、ISBN 9784526065149 pp. 78–85
5.^ 大学教育研究会編 『化学ー物質と人間の歴史―』 開成出版、1985年、ISBN 4-87603-044-8
6.^ a b c 西川精一 『新版金属工学入門』 アグネ技術センター、2001年
7.^ a b 『新実験化学講座8 無機化合物の合成(I)』 丸善、1976年
8.^ 増本健、2-5-1亜鉛、『金属なんでも小事典』、ブルーバックスB1188、講談社、pp. 128–130、1997。ISBN 4-06-257188-9
9.^ 後藤 佐吉、「亜鉛」、『世界大百科事典』、第二版CD-ROM版、平凡社、1998年。
10.^ [1]
11.^ 福島久哲、中野博昭、硫酸塩浴からの亜鉛および亜鉛合金の電析機構、表面科学Vol. 22, No. 2, pp. 107–112, 2001
12.^ 亜鉛の摂取不足がラットのラード食と魚油食の嗜好性に及ぼす影響 日本栄養・食糧学会誌 Vol.66 (2013) No.1 pp. 25–33
13.^ 亜鉛含有製剤 佐賀医科大学医学部附属病院 薬剤部
14.^ F・A・コットン、G・ウィルキンソン著、中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
関連項目[編集]
ウィキメディア・コモンズには、亜鉛に関連するメディアがあります。
味覚
ジンクホワイト(酸化亜鉛)
微量元素
マトリックスメタロプロテアーゼ(酵素)
武田厚司
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