2014年02月06日
ソーンスウェイトの気候区分
ソーンスウェイトの気候区分(ソーンスウェイトのきこうくぶん、英:Thornthwaite's classification of climate)とはアメリカの気象学者チャールズ・ソーンスウェイトが考案した気候区分である。地表面における水収支を通して世界の気候区分を試みたもので、気候の特性を構成する水収支に基礎を置いている点で優れた方法である。しかし手続きがケッペンの気候区分のように簡便でないことや、区分の基準を植生分布との対応で定めていることなどの欠点がある。
歴史[編集]
1931年にソーンスウェイトは各月の降水量と蒸発量の比と各月の気温と蒸発量の比、およびそれらの年合計値をもとにしてアメリカおよび全世界の気候区分を行った。さらに1948年に、蒸発散位という新しい概念を導入して気候分類を行った。
概要[編集]
根本的にはケッペンの分類と同様、植生分布との対応を考えているがケッペンのように気温・降水量などの個々の気候要素の組み合わせではなく、ある地域に与えられる水分とその地域から失われる水分量の過不足、すなわち水収支に注目した。この場合、失われる水分としては土壌や植物から蒸発散で大気中に逃げてゆく水分をさすが現実にはこの量は降水量と土壌中の貯蔵水量によって制約されている。そこで水分不足が起こらないよう十分に水が供給されたと仮定したときに起こる蒸発散量、すなわち蒸発散位(最大可能蒸発散量)を求める。蒸発散位は経験的にも理論的にも気温に比例すると考えられるので各月の平均気温から月別の蒸発散位を算出し、降水量との差からその土地の水分の余剰量または不足量を求めて湿潤係数(Ih)や乾燥係数(Id)などの組合せから気候区分を行っている。区分の詳細は後述。
区分方法[編集]
s \,を年間の水分過剰量、d \,を年間の水分不足量、n \,を蒸発散位の年合計量として
湿潤係数 I_h=100\frac{s}{n}
乾燥係数 I_d=100\frac{d}{n}
湿潤指数 I_m=I_h - 0.6I_d=\frac{100s-60d}{n}
を計算し、下記の表[1]に照らし合わせる。
湿潤指数による区分[編集]
Im
記号表記
気候型
100以上
A 完湿潤
80〜100
B_4 湿潤
60〜80
B_3
40〜60
B_2
20〜40
B_1
0〜20
C_2 亜湿潤
-20〜0
C_1 亜乾燥
-40〜-20
D 半乾燥
-60〜-40
E 乾燥
蒸発散位による区分[編集]
n(mm)
記号表記
気候型
1140〜
A' 熱帯
997〜1140
B_4' 温帯
855〜997
B_3'
712〜855
B_2'
570〜712
B_1'
427〜570
C_2' 冷帯
285〜427
C_1'
142〜285
D' ツンドラ
〜142
E' 氷雪
湿潤係数・乾燥係数による区分[編集]
湿潤係数が正ならば湿潤係数で、湿潤係数が負ならば乾燥係数で表を照らし合わせる。
係数
記号表記
気候型
湿潤係数
0〜16.7
r 水不足が小さいか、ない
997〜1140
s 夏に水不足が多少ある
855〜997
w 冬に水不足が多少ある
712〜855
s_2 夏に水不足が大きい
570〜712
w_2 冬に水不足が大きい
乾燥係数
0〜10
d 水の過剰が小さいか、ない
10〜20
s 冬に水不足が多少ある
w 夏に水不足が多少ある
20〜
s_2 冬に水不足が大きい
w_2 夏に水不足が大きい
蒸発散位の夏3ヶ月間への集中度による区分[編集]
夏3ヶ月の蒸発散位をn'としてn'/n×100で集中度(%)が求まる。
集中度(%)
記号表記
〜48.0
a'
48.1〜51.9
b_4'
52.0〜56.3
b_3'
56.4〜61.6
b_2'
61.7〜68.0
b_1'
68.1〜76.3
c_2'
76.4〜88.0
c_1'
88.0〜
d'
歴史[編集]
1931年にソーンスウェイトは各月の降水量と蒸発量の比と各月の気温と蒸発量の比、およびそれらの年合計値をもとにしてアメリカおよび全世界の気候区分を行った。さらに1948年に、蒸発散位という新しい概念を導入して気候分類を行った。
概要[編集]
根本的にはケッペンの分類と同様、植生分布との対応を考えているがケッペンのように気温・降水量などの個々の気候要素の組み合わせではなく、ある地域に与えられる水分とその地域から失われる水分量の過不足、すなわち水収支に注目した。この場合、失われる水分としては土壌や植物から蒸発散で大気中に逃げてゆく水分をさすが現実にはこの量は降水量と土壌中の貯蔵水量によって制約されている。そこで水分不足が起こらないよう十分に水が供給されたと仮定したときに起こる蒸発散量、すなわち蒸発散位(最大可能蒸発散量)を求める。蒸発散位は経験的にも理論的にも気温に比例すると考えられるので各月の平均気温から月別の蒸発散位を算出し、降水量との差からその土地の水分の余剰量または不足量を求めて湿潤係数(Ih)や乾燥係数(Id)などの組合せから気候区分を行っている。区分の詳細は後述。
区分方法[編集]
s \,を年間の水分過剰量、d \,を年間の水分不足量、n \,を蒸発散位の年合計量として
湿潤係数 I_h=100\frac{s}{n}
乾燥係数 I_d=100\frac{d}{n}
湿潤指数 I_m=I_h - 0.6I_d=\frac{100s-60d}{n}
を計算し、下記の表[1]に照らし合わせる。
湿潤指数による区分[編集]
Im
記号表記
気候型
100以上
A 完湿潤
80〜100
B_4 湿潤
60〜80
B_3
40〜60
B_2
20〜40
B_1
0〜20
C_2 亜湿潤
-20〜0
C_1 亜乾燥
-40〜-20
D 半乾燥
-60〜-40
E 乾燥
蒸発散位による区分[編集]
n(mm)
記号表記
気候型
1140〜
A' 熱帯
997〜1140
B_4' 温帯
855〜997
B_3'
712〜855
B_2'
570〜712
B_1'
427〜570
C_2' 冷帯
285〜427
C_1'
142〜285
D' ツンドラ
〜142
E' 氷雪
湿潤係数・乾燥係数による区分[編集]
湿潤係数が正ならば湿潤係数で、湿潤係数が負ならば乾燥係数で表を照らし合わせる。
係数
記号表記
気候型
湿潤係数
0〜16.7
r 水不足が小さいか、ない
997〜1140
s 夏に水不足が多少ある
855〜997
w 冬に水不足が多少ある
712〜855
s_2 夏に水不足が大きい
570〜712
w_2 冬に水不足が大きい
乾燥係数
0〜10
d 水の過剰が小さいか、ない
10〜20
s 冬に水不足が多少ある
w 夏に水不足が多少ある
20〜
s_2 冬に水不足が大きい
w_2 夏に水不足が大きい
蒸発散位の夏3ヶ月間への集中度による区分[編集]
夏3ヶ月の蒸発散位をn'としてn'/n×100で集中度(%)が求まる。
集中度(%)
記号表記
〜48.0
a'
48.1〜51.9
b_4'
52.0〜56.3
b_3'
56.4〜61.6
b_2'
61.7〜68.0
b_1'
68.1〜76.3
c_2'
76.4〜88.0
c_1'
88.0〜
d'
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