2014年02月11日
デボン紀
デボン紀(デボンき、Devonian period)は、地質時代の区分のひとつである。古生代の中ごろ、シルル紀の後、石炭紀の前で、約4億1600万年前から約3億5920万年前までの時期を指す[1][注釈 1]デヴォン紀と記載されることもある。イギリス南部のデヴォン州に分布するシルル紀の地層と石炭紀の地層にはさまれる地層をもとに設定された地質時代である。デボン紀は、魚類の種類や進化の豊かさと、出現する化石の量の多さから、「魚の時代」とも呼ばれている。
目次 [非表示]
1 デボン紀の環境 1.1 陸上の環境
1.2 海洋環境
2 生物の進化 2.1 硬骨魚類の進化と両生類の出現
2.2 昆虫の出現
2.3 サメの出現
3 大量絶滅
4 注釈
5 出典
6 参考文献 6.1 魚類の進化に関して
6.2 昆虫の起源に関して
7 関連項目
8 外部リンク
デボン紀の環境[編集]
陸上の環境[編集]
デボン紀の開始時期にあたる約4億2000万年前、複数の陸塊同士(ローレンシア大陸やバルティカ大陸など)が衝突し、ユーラメリカ大陸が赤道直下に誕生した。現在の北アメリカ東海岸、グリーンランド、スコットランドがユーラメリカ大陸の一部であった。ユーラメリカ大陸には、陸塊の衝突時にできた巨大な山脈があった。その山脈が大気の流れを大きく遮り、恒常的な降雨を周辺地域にもたらしていた。そのため長大な河川が出現し、この河川に沿って動植物が大陸内部まで活動範囲を拡げていくことが可能となった。
前代のシルル紀には既に植物の陸棲化は開始していたが、デボン紀には河川に沿って大規模に植生域が拡大していったアーケオプテリス(またはアルカエオプテリス、Archaeopteris)などのシダ状の葉を持つ樹木状植物が誕生したことにより、最古の森林が形成されていった。この森林の拡大にしたがい湿地帯も同時に形成されていった。[2][3]
河川と森林そして湿地帯の存在が生物種の進化を支え、さらに大陸内部の気候は、乾季や、時には大規模な乾燥期もあったため、後述する昆虫類や両生類など、より乾燥に強い生物種の誕生を促した。
海洋環境[編集]
海洋では河川から流れてくる栄養もあり、コケムシやサンゴ[注釈 2]が大規模なコロニー(個体群)を形成していった。このコロニーに、腕足類、ウミユリ、三葉虫、甲殻類、直角殻のオウムガイなどが生息し、豊かな海を形成していた。アンモナイトもこの時代に誕生した。この豊かな海の時代に、板皮類などの古いタイプの魚類が繁栄を極めていた。サメなどの軟骨魚類もこの時代の海に出現した。
生物の進化[編集]
硬骨魚類の進化と両生類の出現[編集]
現世の魚類の大部分が属する硬骨魚類もデボン紀に登場した。大陸河川域で棘魚類から分岐、進化したと考えられている。[注釈 3]乾季などで気候が乾燥する時期には、水中の酸素濃度(溶存酸素)が低い環境にあるため、ハイギョやシーラカンスなどの肺を持った肉鰭類が登場した。さらにデボン紀後期には、ハイギョ類のエウステノプテロンか近傍の種[注釈 4]から、アカントステガやイクチオステガといった両生類が出現した[注釈 5]。
ちなみにアジやタイなど、現世の大部分の硬骨魚類が属する条鰭類の真骨類には肺がないのは、遊泳力向上のために肺が浮き袋に変化したからである。そのため、デボン紀の硬骨魚類は条鰭類であっても肺があり、空気呼吸をしていたと思われる。実際、デボン紀に登場し現生する条鰭類ポリプテルス目、ガー目、アミア目は、空気呼吸ができる。
昆虫の出現[編集]
前代のシルル紀には、既にダニ(鋏角類)や、ムカデなどが属する多足類が陸上に出現しており、節足動物の陸棲化は脊椎動物よりも進んでいた。さらに約4億年前のデボン紀前期には、昆虫類が誕生した。
この昆虫類を含む六脚類の起源は、先行して上陸していた多足類である、と以前は考えられていた。しかし、遺伝子解析から昆虫類は、カニやエビが属する甲殻類や、ミジンコやフジツボが属する鰓脚類が、六脚類により近いと判明している。この結果から、昆虫類は現生の淡水のミジンコとの共通の祖先種から、後期シルル紀の淡水域において生息していたと考えられる。その祖先種から、前述の河川と陸上の境界域で進化を重ね、陸棲化したのが昆虫だと考えられる。実際、出現当初の昆虫類の化石は、淡水域と陸上であった場所でしか発見されておらず、また現生の昆虫のほとんどが陸棲である。
デボン紀の昆虫は、現在発見されている化石からは翅の獲得はみられず、原始的な形態であった。現在の昆虫類は、動物種の大半を占めるほど多種であるが、その多様な進化は石炭紀以降で顕著になったと思われる。
サメの出現[編集]
サメなどの軟骨魚類は、前期デボン紀には存在していた[4] 。ただし歯の化石[注釈 6]には、それよりも古いシルル紀末期のものもあるため、厳密に言えば、起源は前代のシルル紀にあると考えられる。
サメの祖先は不詳であるが、板皮類に求める説が強い。例えば2008年には、現生のサメが持つ胎生能力を板皮類も持っていたことが発見され、共通の起源が示唆されている。
中期デボン紀には、クラドセラケ[注釈 7][注釈 8]が登場した。捕食生物であり、7対の鰓[注釈 9]を有し、硬い歯、背びれ、尾びれの形状と、現生のサメと変わらない形態をしていた。
大量絶滅[編集]
デボン紀後期から石炭紀初期は、5大大量絶滅の一時期であり、特に前述のサンゴ礁を作る赤道域の浅海域で選択的に絶滅が起こっている[5]。この大絶滅により、海洋生物種の82%が絶滅した。その中には、デボン紀に繁栄を極めたダンクルオステウス[注釈 10]などの板皮類[注釈 11]や、原始的な脊椎動物である無顎類の大部分[注釈 12]や、プロエタス目を除いた三葉虫の大部分[注釈 13]が含まれる。
炭素、酸素、ストロンチウムなどの同位体測定や、元素分析による古環境解析から、気候の急激な寒暖の変化、海水面の後退、乾燥化、低酸素化、などの大きな環境変化がデボン紀後期に繰返し発生し、おそらくこれらの環境変化が大量絶滅の要因だとは考えられている[5][6]。
目次 [非表示]
1 デボン紀の環境 1.1 陸上の環境
1.2 海洋環境
2 生物の進化 2.1 硬骨魚類の進化と両生類の出現
2.2 昆虫の出現
2.3 サメの出現
3 大量絶滅
4 注釈
5 出典
6 参考文献 6.1 魚類の進化に関して
6.2 昆虫の起源に関して
7 関連項目
8 外部リンク
デボン紀の環境[編集]
陸上の環境[編集]
デボン紀の開始時期にあたる約4億2000万年前、複数の陸塊同士(ローレンシア大陸やバルティカ大陸など)が衝突し、ユーラメリカ大陸が赤道直下に誕生した。現在の北アメリカ東海岸、グリーンランド、スコットランドがユーラメリカ大陸の一部であった。ユーラメリカ大陸には、陸塊の衝突時にできた巨大な山脈があった。その山脈が大気の流れを大きく遮り、恒常的な降雨を周辺地域にもたらしていた。そのため長大な河川が出現し、この河川に沿って動植物が大陸内部まで活動範囲を拡げていくことが可能となった。
前代のシルル紀には既に植物の陸棲化は開始していたが、デボン紀には河川に沿って大規模に植生域が拡大していったアーケオプテリス(またはアルカエオプテリス、Archaeopteris)などのシダ状の葉を持つ樹木状植物が誕生したことにより、最古の森林が形成されていった。この森林の拡大にしたがい湿地帯も同時に形成されていった。[2][3]
河川と森林そして湿地帯の存在が生物種の進化を支え、さらに大陸内部の気候は、乾季や、時には大規模な乾燥期もあったため、後述する昆虫類や両生類など、より乾燥に強い生物種の誕生を促した。
海洋環境[編集]
海洋では河川から流れてくる栄養もあり、コケムシやサンゴ[注釈 2]が大規模なコロニー(個体群)を形成していった。このコロニーに、腕足類、ウミユリ、三葉虫、甲殻類、直角殻のオウムガイなどが生息し、豊かな海を形成していた。アンモナイトもこの時代に誕生した。この豊かな海の時代に、板皮類などの古いタイプの魚類が繁栄を極めていた。サメなどの軟骨魚類もこの時代の海に出現した。
生物の進化[編集]
硬骨魚類の進化と両生類の出現[編集]
現世の魚類の大部分が属する硬骨魚類もデボン紀に登場した。大陸河川域で棘魚類から分岐、進化したと考えられている。[注釈 3]乾季などで気候が乾燥する時期には、水中の酸素濃度(溶存酸素)が低い環境にあるため、ハイギョやシーラカンスなどの肺を持った肉鰭類が登場した。さらにデボン紀後期には、ハイギョ類のエウステノプテロンか近傍の種[注釈 4]から、アカントステガやイクチオステガといった両生類が出現した[注釈 5]。
ちなみにアジやタイなど、現世の大部分の硬骨魚類が属する条鰭類の真骨類には肺がないのは、遊泳力向上のために肺が浮き袋に変化したからである。そのため、デボン紀の硬骨魚類は条鰭類であっても肺があり、空気呼吸をしていたと思われる。実際、デボン紀に登場し現生する条鰭類ポリプテルス目、ガー目、アミア目は、空気呼吸ができる。
昆虫の出現[編集]
前代のシルル紀には、既にダニ(鋏角類)や、ムカデなどが属する多足類が陸上に出現しており、節足動物の陸棲化は脊椎動物よりも進んでいた。さらに約4億年前のデボン紀前期には、昆虫類が誕生した。
この昆虫類を含む六脚類の起源は、先行して上陸していた多足類である、と以前は考えられていた。しかし、遺伝子解析から昆虫類は、カニやエビが属する甲殻類や、ミジンコやフジツボが属する鰓脚類が、六脚類により近いと判明している。この結果から、昆虫類は現生の淡水のミジンコとの共通の祖先種から、後期シルル紀の淡水域において生息していたと考えられる。その祖先種から、前述の河川と陸上の境界域で進化を重ね、陸棲化したのが昆虫だと考えられる。実際、出現当初の昆虫類の化石は、淡水域と陸上であった場所でしか発見されておらず、また現生の昆虫のほとんどが陸棲である。
デボン紀の昆虫は、現在発見されている化石からは翅の獲得はみられず、原始的な形態であった。現在の昆虫類は、動物種の大半を占めるほど多種であるが、その多様な進化は石炭紀以降で顕著になったと思われる。
サメの出現[編集]
サメなどの軟骨魚類は、前期デボン紀には存在していた[4] 。ただし歯の化石[注釈 6]には、それよりも古いシルル紀末期のものもあるため、厳密に言えば、起源は前代のシルル紀にあると考えられる。
サメの祖先は不詳であるが、板皮類に求める説が強い。例えば2008年には、現生のサメが持つ胎生能力を板皮類も持っていたことが発見され、共通の起源が示唆されている。
中期デボン紀には、クラドセラケ[注釈 7][注釈 8]が登場した。捕食生物であり、7対の鰓[注釈 9]を有し、硬い歯、背びれ、尾びれの形状と、現生のサメと変わらない形態をしていた。
大量絶滅[編集]
デボン紀後期から石炭紀初期は、5大大量絶滅の一時期であり、特に前述のサンゴ礁を作る赤道域の浅海域で選択的に絶滅が起こっている[5]。この大絶滅により、海洋生物種の82%が絶滅した。その中には、デボン紀に繁栄を極めたダンクルオステウス[注釈 10]などの板皮類[注釈 11]や、原始的な脊椎動物である無顎類の大部分[注釈 12]や、プロエタス目を除いた三葉虫の大部分[注釈 13]が含まれる。
炭素、酸素、ストロンチウムなどの同位体測定や、元素分析による古環境解析から、気候の急激な寒暖の変化、海水面の後退、乾燥化、低酸素化、などの大きな環境変化がデボン紀後期に繰返し発生し、おそらくこれらの環境変化が大量絶滅の要因だとは考えられている[5][6]。
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