2014年02月11日
ギガントピテクス
ギガントピテクス(学名:Gigantopithecus)は、ヒト上科の絶滅した属の一つである、大型類人猿。 身長約3m、体重約300- 540kg[3][4]に達すると推測される本種は、現在知られる限り、史上最大のヒト上科動物であり、かつ、史上最大の霊長類である。
約100万年前(新生代第四紀更新世前期後半カラブリアン)前後に出現したと見られ、中国、インド、ベトナムなどに分布していたが[5] 、30万年前(更新世後期前半イオニアン、中期旧石器時代の初頭)あたりを境にしてそれ以降確認されない[3][6]。本種の生存期間はホモ・エレクトゥス類が栄えていた時期と重なり、両者の生息域はかなり重複していたようである。
目次 [非表示]
1 呼称
2 生物的特徴 2.1 分類 2.1.1 系統分類
2.1.2 下位分類
2.2 形態
2.3 生態
2.4 分布
3 関連事項 3.1 未確認動物
3.2 創作作品
4 脚注・出典
5 関連項目
6 外部リンク
呼称[編集]
属名は古典ギリシア語: γίγας (gigas、語幹: gigant-)「巨人」 + πίθηκος (pithēkos)「猿」による造語。 中国語では「巨猿」(jùyuán)と呼ぶ。
生物的特徴[編集]
分類[編集]
系統分類[編集]
本種は、1960年代には中国の研究者によって「アウストラロピテクスに相当する人類の祖先であろう」との説が唱えられたが、否定され、現在は「人類の進化系統とは別系統の絶滅類人猿」であったと考えられている。
長らく、中新世の始原的類人猿であるドリオピテクス (Dryopithecus) に近縁の大型類人猿と考えられてきたが、2000年前後からは、ヒト科にチンパンジー亜科を認めない見地からゴリラやチンパンジーと同じくヒト科 ヒト亜科に分類されることが多く、いずれにしても、進化系統上オランウータンよりヒト属に近縁で、ゴリラほど近縁ではない位置にある絶滅種と捉えられている。[7]
下位分類[編集]
ギガントピテクス属の下位分類としては、2010年代初頭の時点で 3種が知られている。表記内容は左から順に、学名、和名もしくは仮名転写例、特記事項。
†Gigantopithecus bilaspurensis Simons et Ettel, 1970 ギガントピテクス・ビラスプレンシス
†Gigantopithecus blacki von Koenigswald, 1935 ギガントピテクス・ブラッキー(ブラクキ、ブラックアイとも称) :模式種。
†Gigantopithecus giganteus ギガントピテクス・ギガンテウス
形態[編集]
古人類学者フリーデマン・シュレンク(de)が手にする、ギガントピテクス・ブラッキーの大臼歯の化石
これまでに発見されたギガントピテクスの化石は3個の下顎骨と歯のみであり、情報量はきわめて乏しい。そのため、全体像の再現は憶測・推定によるところが大きい。少なくとも身長を推定し得る四肢骨が発見されていない以上、正確な数値を導き出すことは叶わない。
しかし、発掘された大臼歯は1in(25.4mm)四方もあり、下顎骨もホモ・サピエンスの2倍以上という巨大なものであった。そのことは確かである。そしてこの数値に基づいて、本種は身長約3m、体重約300- 500kg、最大で約540kgにもなったと推測され[3]、これまでに確認されたヒト上科の中で最も大型であったと考えられている。もっとも、本種は顎と歯がただ大きいだけで、実際の体格はゴリラ程度であったと考える研究者もいる。
生態[編集]
四足歩行(現生の大型類人猿と同様、ナックルウォーキングによる四足歩行)をし、竹や果実などを食べる植物食動物であったと見られており、生態はオランウータンに近かったようである。しかし、最近は「雑食性であった」とする説も示されており、これも無視はできない。なぜ絶滅したかについては詳しく分かっていないが、気候変動による生息環境の変化や、生態的に競合する動物の出現による淘汰圧(とうたあつ)が主な原因であろうと推定されている。後者については、竹を食物とすることによるジャイアントパンダとの直接的競合、もしくは、ホモ・エレクトゥス類とのより広い意味での生態的競合が、該当する可能性を持っている。
分布[編集]
中国の柳州にある柳城洞窟やベトナムでは、模式種であるギガントピテクス・ブラッキー (G. blacki) の歯の化石が数多く産出する。これは同種の狩猟採集範囲が東南アジア地域に限られていたことを示唆する。また、同属異種ギガントピテクス・ギガンテウス (G. giganteus) の化石はインド北部や中国で発見されている。中国ではこの種の歯の化石が大新や広西チワン族自治区、武鳴、南寧の石灰岩土壌で見つかっている[4][3]。
関連事項[編集]
未確認動物[編集]
未確認動物学者の中には、イエティ、野人、ビッグフットなどと呼ばれるUMA(未確認動物)の正体はギガントピテクス属であると考える者もいる。
創作作品[編集]
『キング・コング』(2005年版)
この映画に登場するキングコングは、ギガントピテクスから進化した大型類人猿という設定になっている。『恐竜惑星』
1993年にNHK教育テレビで放送されたSFアニメ。ギガントピテクスが、青銅器時代の人類並みに進化した巨大な人類という設定で登場する。
約100万年前(新生代第四紀更新世前期後半カラブリアン)前後に出現したと見られ、中国、インド、ベトナムなどに分布していたが[5] 、30万年前(更新世後期前半イオニアン、中期旧石器時代の初頭)あたりを境にしてそれ以降確認されない[3][6]。本種の生存期間はホモ・エレクトゥス類が栄えていた時期と重なり、両者の生息域はかなり重複していたようである。
目次 [非表示]
1 呼称
2 生物的特徴 2.1 分類 2.1.1 系統分類
2.1.2 下位分類
2.2 形態
2.3 生態
2.4 分布
3 関連事項 3.1 未確認動物
3.2 創作作品
4 脚注・出典
5 関連項目
6 外部リンク
呼称[編集]
属名は古典ギリシア語: γίγας (gigas、語幹: gigant-)「巨人」 + πίθηκος (pithēkos)「猿」による造語。 中国語では「巨猿」(jùyuán)と呼ぶ。
生物的特徴[編集]
分類[編集]
系統分類[編集]
本種は、1960年代には中国の研究者によって「アウストラロピテクスに相当する人類の祖先であろう」との説が唱えられたが、否定され、現在は「人類の進化系統とは別系統の絶滅類人猿」であったと考えられている。
長らく、中新世の始原的類人猿であるドリオピテクス (Dryopithecus) に近縁の大型類人猿と考えられてきたが、2000年前後からは、ヒト科にチンパンジー亜科を認めない見地からゴリラやチンパンジーと同じくヒト科 ヒト亜科に分類されることが多く、いずれにしても、進化系統上オランウータンよりヒト属に近縁で、ゴリラほど近縁ではない位置にある絶滅種と捉えられている。[7]
下位分類[編集]
ギガントピテクス属の下位分類としては、2010年代初頭の時点で 3種が知られている。表記内容は左から順に、学名、和名もしくは仮名転写例、特記事項。
†Gigantopithecus bilaspurensis Simons et Ettel, 1970 ギガントピテクス・ビラスプレンシス
†Gigantopithecus blacki von Koenigswald, 1935 ギガントピテクス・ブラッキー(ブラクキ、ブラックアイとも称) :模式種。
†Gigantopithecus giganteus ギガントピテクス・ギガンテウス
形態[編集]
古人類学者フリーデマン・シュレンク(de)が手にする、ギガントピテクス・ブラッキーの大臼歯の化石
これまでに発見されたギガントピテクスの化石は3個の下顎骨と歯のみであり、情報量はきわめて乏しい。そのため、全体像の再現は憶測・推定によるところが大きい。少なくとも身長を推定し得る四肢骨が発見されていない以上、正確な数値を導き出すことは叶わない。
しかし、発掘された大臼歯は1in(25.4mm)四方もあり、下顎骨もホモ・サピエンスの2倍以上という巨大なものであった。そのことは確かである。そしてこの数値に基づいて、本種は身長約3m、体重約300- 500kg、最大で約540kgにもなったと推測され[3]、これまでに確認されたヒト上科の中で最も大型であったと考えられている。もっとも、本種は顎と歯がただ大きいだけで、実際の体格はゴリラ程度であったと考える研究者もいる。
生態[編集]
四足歩行(現生の大型類人猿と同様、ナックルウォーキングによる四足歩行)をし、竹や果実などを食べる植物食動物であったと見られており、生態はオランウータンに近かったようである。しかし、最近は「雑食性であった」とする説も示されており、これも無視はできない。なぜ絶滅したかについては詳しく分かっていないが、気候変動による生息環境の変化や、生態的に競合する動物の出現による淘汰圧(とうたあつ)が主な原因であろうと推定されている。後者については、竹を食物とすることによるジャイアントパンダとの直接的競合、もしくは、ホモ・エレクトゥス類とのより広い意味での生態的競合が、該当する可能性を持っている。
分布[編集]
中国の柳州にある柳城洞窟やベトナムでは、模式種であるギガントピテクス・ブラッキー (G. blacki) の歯の化石が数多く産出する。これは同種の狩猟採集範囲が東南アジア地域に限られていたことを示唆する。また、同属異種ギガントピテクス・ギガンテウス (G. giganteus) の化石はインド北部や中国で発見されている。中国ではこの種の歯の化石が大新や広西チワン族自治区、武鳴、南寧の石灰岩土壌で見つかっている[4][3]。
関連事項[編集]
未確認動物[編集]
未確認動物学者の中には、イエティ、野人、ビッグフットなどと呼ばれるUMA(未確認動物)の正体はギガントピテクス属であると考える者もいる。
創作作品[編集]
『キング・コング』(2005年版)
この映画に登場するキングコングは、ギガントピテクスから進化した大型類人猿という設定になっている。『恐竜惑星』
1993年にNHK教育テレビで放送されたSFアニメ。ギガントピテクスが、青銅器時代の人類並みに進化した巨大な人類という設定で登場する。
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