2014年02月06日
モスク
モスク(英語:Mosque)は、イスラム教の礼拝堂のことである。
アラビア語ではマスジド(مَسْجِد, masjid, 「ひざまずく場所」の意)といい、マスジドの訛った語で、イスラーム帝国がスペイン地方を占領したときマスジドがスペイン語でメスキータ(mesquita)となり、それが英語ではさらに訛ってモスク(mosque)となった。ドイツ語ではモシェー(Moschee)。中国ではモスクを清真寺(せいしんじ;清真はイスラム教の中国での通称)と呼んでいる。
モスクは欧米や日本における呼び名である。しばしばイスラーム寺院と訳されるが、モスクの中には崇拝の対象物はなく、あくまで礼拝を行うための場である。
概要[編集]
エジプトのアスワンにあるモスク
モスクは都市の各街区、各村ごとに設けられるが、都市の中心には金曜礼拝を行うための大きなモスクが置かれ、金曜モスク(マスジド・ジャーミー مسجد جامع masjid jāmi` 、略してジャーミー جامع jāmi` )と呼ばれる[1] 。このようなモスクは、専任職員としてイマーム(導師)、ムアッジン(アザーンを行う者)を抱えている。エジプト、カイロのアズハルのような特に大きなモスクは複合施設(コンプレックス)をともなっており、マスジド(ジャーミー)だけでなくマドラサ(イスラーム学院)も併設されたりしていることもある。病院や救貧所のような慈善施設をともなう場合もあり、これらのモスク複合施設の維持・運営はワクフ(寄進財産)によって担われる。
伝統的に、モスクは政府の布告を通達する役所、カーディーの法廷が開かれる裁判所、ムスリム(イスラーム教徒)の子弟に読み書きを教える初等学校(クッターブ)であった。また、小モスクは現在でも「無料人生相談所」とでも言うべき機能を持っており、近隣に住むイスラーム法の知識をもった人物が、人生相談に対してイスラーム法に基づいて助言・回答などを与える場所として活用されている。
モスクの内部と付属設備[編集]
礼拝堂内部(東京ジャーミー)
内部には、イスラーム教の教義に従い、神や天使や預言者・聖者の(偶)像は置かれることも描かれることもない。装飾はもっぱら幾何学模様のようなものだけである。マッカ(メッカ)の方角(この方角をキブラ( قبلة qibla)という)に向けて、壁にミフラーブ( محراب miḥrāb)と呼ばれる窪みがある。これは、コーランの規程に従ってメッカの方向に対して行わる礼拝の方向をモスクに集う人々に指し示すためのもので、礼拝の場であるモスクに必須の設備である。その向かって右隣にはイマームが集団礼拝の際に説教を行う階段状の説教壇がある。付属設備としては、礼拝の前に体を清めるための泉などが見られ、礼拝への呼びかけに用いるミナレット(マナーラ)を有する場合も多い。
モスク建築[編集]
建築構造は、回廊に囲まれた四角形の広い中庭と礼拝堂を持つ形が基本形である。アラブ圏ではダマスカスのウマイヤ・モスクのようにキリスト教の教会の構造を取り入れた多柱式のモスクが主流であったが、イランではイーワーン(半ドーム)を多用した形式が起こった。アナトリア半島では中庭をドームで覆う形式が起こり、オスマン帝国に至ってビザンツ帝国の教会建築を取り入れ、大ドームを小ドームや半ドームで支えることで柱のない広大な礼拝堂空間をもつ形式を生み出した。
図像を廃した内装と外観を持つモスクは、その装飾美・建築美から、非イスラーム教徒にとっても観光施設としての役割も果たしている。トルコ、イスタンブルのスルタンアフメト・モスク(トルコ語名スルタンアフメット・ジャーミー。通称ブルーモスク)や、イラン、イスファハーンのイマーム・モスク(ペルシア語名マスジデ・エマーム。旧名マスジデ・シャー、「王のモスク」)などの著名なモスクは世界遺産に登録されており、世界中から観光客を集めている。
アラビア語ではマスジド(مَسْجِد, masjid, 「ひざまずく場所」の意)といい、マスジドの訛った語で、イスラーム帝国がスペイン地方を占領したときマスジドがスペイン語でメスキータ(mesquita)となり、それが英語ではさらに訛ってモスク(mosque)となった。ドイツ語ではモシェー(Moschee)。中国ではモスクを清真寺(せいしんじ;清真はイスラム教の中国での通称)と呼んでいる。
モスクは欧米や日本における呼び名である。しばしばイスラーム寺院と訳されるが、モスクの中には崇拝の対象物はなく、あくまで礼拝を行うための場である。
概要[編集]
エジプトのアスワンにあるモスク
モスクは都市の各街区、各村ごとに設けられるが、都市の中心には金曜礼拝を行うための大きなモスクが置かれ、金曜モスク(マスジド・ジャーミー مسجد جامع masjid jāmi` 、略してジャーミー جامع jāmi` )と呼ばれる[1] 。このようなモスクは、専任職員としてイマーム(導師)、ムアッジン(アザーンを行う者)を抱えている。エジプト、カイロのアズハルのような特に大きなモスクは複合施設(コンプレックス)をともなっており、マスジド(ジャーミー)だけでなくマドラサ(イスラーム学院)も併設されたりしていることもある。病院や救貧所のような慈善施設をともなう場合もあり、これらのモスク複合施設の維持・運営はワクフ(寄進財産)によって担われる。
伝統的に、モスクは政府の布告を通達する役所、カーディーの法廷が開かれる裁判所、ムスリム(イスラーム教徒)の子弟に読み書きを教える初等学校(クッターブ)であった。また、小モスクは現在でも「無料人生相談所」とでも言うべき機能を持っており、近隣に住むイスラーム法の知識をもった人物が、人生相談に対してイスラーム法に基づいて助言・回答などを与える場所として活用されている。
モスクの内部と付属設備[編集]
礼拝堂内部(東京ジャーミー)
内部には、イスラーム教の教義に従い、神や天使や預言者・聖者の(偶)像は置かれることも描かれることもない。装飾はもっぱら幾何学模様のようなものだけである。マッカ(メッカ)の方角(この方角をキブラ( قبلة qibla)という)に向けて、壁にミフラーブ( محراب miḥrāb)と呼ばれる窪みがある。これは、コーランの規程に従ってメッカの方向に対して行わる礼拝の方向をモスクに集う人々に指し示すためのもので、礼拝の場であるモスクに必須の設備である。その向かって右隣にはイマームが集団礼拝の際に説教を行う階段状の説教壇がある。付属設備としては、礼拝の前に体を清めるための泉などが見られ、礼拝への呼びかけに用いるミナレット(マナーラ)を有する場合も多い。
モスク建築[編集]
建築構造は、回廊に囲まれた四角形の広い中庭と礼拝堂を持つ形が基本形である。アラブ圏ではダマスカスのウマイヤ・モスクのようにキリスト教の教会の構造を取り入れた多柱式のモスクが主流であったが、イランではイーワーン(半ドーム)を多用した形式が起こった。アナトリア半島では中庭をドームで覆う形式が起こり、オスマン帝国に至ってビザンツ帝国の教会建築を取り入れ、大ドームを小ドームや半ドームで支えることで柱のない広大な礼拝堂空間をもつ形式を生み出した。
図像を廃した内装と外観を持つモスクは、その装飾美・建築美から、非イスラーム教徒にとっても観光施設としての役割も果たしている。トルコ、イスタンブルのスルタンアフメト・モスク(トルコ語名スルタンアフメット・ジャーミー。通称ブルーモスク)や、イラン、イスファハーンのイマーム・モスク(ペルシア語名マスジデ・エマーム。旧名マスジデ・シャー、「王のモスク」)などの著名なモスクは世界遺産に登録されており、世界中から観光客を集めている。
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