2014年02月08日
軌道エレベータ
軌道エレベータ(きどうエレベータ、(英: Space elevator))は、惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びる軌道を持つエレベーター。
宇宙空間への進出手段として構想されているが、当初は夢物語と思えていた。しかしカーボンナノチューブの発見後、現状の技術レベルでも手の届きそうな範囲にあるため、実現に向けた研究プロジェクトが日本やアメリカで始まっている。
目次 [非表示]
1 概要 1.1 現行方式との比較
2 呼称
3 歴史
4 建造方法
5 派生アイデア
6 技術的課題
7 建造可能性以外の課題
8 軌道エレベータを主題とした作品 8.1 SF小説
8.2 漫画
8.3 アニメ
8.4 映画
8.5 楽曲
8.6 ゲーム
9 脚注 9.1 注釈
9.2 出典
10 参考文献
11 関連項目
12 外部リンク
概要[編集]
軌道エレベータの概念図
軌道エレベータの基部の想像図(海上を移動できるようにしたもの)
地上から静止軌道以上まで延びる構造物(塔、レール、ケーブルなど)に沿って運搬機が上下することで宇宙と地球の間の物資を輸送できる。動力を直接ケーブル等に伝えることで、噴射剤の反動を利用するロケットよりも安全に、かつ遥かに低コストで宇宙に物資を送ることができる。
かつては軌道エレベータを建設するために必要な強度を持つ素材が存在しなかったため、軌道エレベータはSF作品などの中で描かれる概念的な存在でしかなかった。その後、理論的には必要な強度を持つものとしてグラファイト・ウィスカー(針状の炭素)などが発見された。さらに、20世紀末になってカーボンナノチューブが発見されたことにより、その早期の実現を目指した研究プロジェクトが発足している。
概念としては、静止軌道上の人工衛星を、重心を静止軌道上に留めたまま地上に達するまで縦長に引き伸ばし、そのケーブルを伝って昇降することで、地上と宇宙空間を往復するのを想像すれば良い。その際、全体の遠心力が重力を上回るように、反対側(外側)にもケーブルを伸ばしたり、十分な質量を持つアンカー(いかり)を末端に設ける。ケーブルの全長は約10万 km で、下端(地上)、静止軌道、上端の三ヵ所に発着拠点が設けられる。上端の移動速度はその高度における脱出速度を上回っているため、燃料なしでも地球周回軌道から脱して惑星間空間に飛び出すこともできる。
エレベータという呼称が使われているが、ケーブルを介して籠を動かすのではなく、固定された軌道を伝って籠が上下に移動する。ケーブルは下に行くほど重力が強まり遠心力が弱まる一方、上に行くほど重力が弱まり遠心力が強まる。したがってケーブルのどの点においても張力がかかる。その大きさは、その点より上の構造物に働く重力と遠心力の絶対値の差である。荷物を上げ下げする際にコリオリ力が発生するが、地球につなぎ止められているため全体が逆さの振り子のように働き、元の位置を自然に維持する。
ケーブルは一定の太さではなく、静止軌道から両端に向かって徐々に細くなっていくテーパー構造である。ただし、地上から数kmの部分は風や雷の影響を避けるため、10倍ほどに太くし、さらに上空数百kmまではケーブルの構成物質が酸素の原子と反応して劣化(酸化)するのを防ぐため、金属で薄くコーティングする必要がある。
地上側の発着拠点(アース・ポート)は、一般に言われるように赤道上にしか建設できないわけではないが、赤道上であればケーブルにかかる張力を小さくできるので最適である。緯度が上がるほどケーブルにかかる張力が大きくなり、また赤道以外ではケーブルが地面に対して垂直にはならないため、赤道から極端に離れた場所に建設するのは難度が高くなる。2004年に開かれた軌道エレベータ建設に関する国際会議では、アース・ポートは赤道から南北それぞれ緯度35度以内に建設すべきであることが示された。建設地点としての適性を赤道で100%とすれば、35度で50%となり、そこから先は急速に減少するという。ただし、これは緯度だけを問題にした場合であり、それ以外にも、気象条件や周辺地域の政治的安定性など考慮すべきことは多い。また、ケーブルの振動や熱による伸縮への対策、低軌道の人工衛星や大きなスペースデブリとの衝突の回避などのために、アース・ポートは地上に固定するのではなく海上を移動可能なメガフロートとすることが望ましい。地球の重力場は完全に均一ではないため、赤道上に作るなら西経90度(ガラパゴス諸島付近)および東経73度(モルディブ付近)が最も安定させやすい[1]。ブラッドリー・C・エドワーズらはいくつかの建設候補地を挙げ、その中でも東太平洋の赤道付近とインド洋のオーストラリア西方沖を有望視している[2][3]。
現行方式との比較[編集]
現在、地球上から宇宙空間へ人間や物資を運ぶ手段はソユーズなどの化学ロケットしか存在しない。
ロケットを宇宙への物資運搬手段として考えた場合、地球の重力に抗して宇宙空間まで移動するのに莫大な燃料を消費する。ロケットは、原理的に本体の重量の大半(およそ90 % 以上)を燃料が占めるので効率が悪い。また、燃料として非対称ジメチルヒドラジンや塩素を含む固体燃料などを使用するものは、燃料そのものが有害物質であったり、燃焼時に有毒物質を発生したりして、環境を汚染している。爆音や有毒ガスの発生以外にも、信頼性や事故発生時の安全措置の面でも不安がある。
このため、将来恒常的に大量の物資・人員を輸送することを念頭に置いた場合、経済的で無公害の輸送手段が望まれる。現在、ロケットに代わるさまざまな輸送手段が検討されているが、軌道エレベータはその一つである。
籠の昇降には電気動力を使い、ロケットのように燃料を運び上げる必要がないため、一度に宇宙空間に運び出す(または宇宙から運び降ろす)荷を大幅に増やすことができる。また、上るときに消費した電力は位置エネルギーとして保存されているので、降りで回生ブレーキを使って位置エネルギーを回収すれば、エネルギーの損失がほとんどなく、運転費用が非常に安くて済む。一つの試算によると現行ロケットの場合、物資1ポンドあたりの輸送コストが4 - 5万ドルであるのに対し、軌道エレベータの場合約100ドル(1kg当たり220ドル)となる[4]。電力供給に関しては、昇降機にパラボラアンテナを装備してマイクロ波ないしは遠赤外レーザーの形で送電する方法も考えられている。加えて人工衛星やISS(国際宇宙ステーション)などでも使用されている太陽電池や燃料電池が用いられると予想される。環境への影響や安全面などを考慮して、ケーブルを通じて供給するべきだという意見もあるが、カーボンナノチューブはそれに必要なだけの伝導性を持たず実用的ではない。
昇降機がケーブルと接触した状態のまま動く場合、その速さは200km/h程度で、アース・ポートから静止軌道までは約1週間(上端までは更に5日間)かかることになる。特別な訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも宇宙に行くことができるが、非常に時間が掛かるため、利用者にストレスを与えないように、旅客用の昇降機には高い居住性を持たせる必要がある。リニアモーターなどを使用すればもっと時間を短縮でき、例えば昇りのとき1Gで加速し、中間点からは1Gで減速すると約1時間で静止軌道に到着する(この場合、中間地点での速度は64,000km/hに達する)ことになるが、現在研究中のプランでは磁気浮上方式は検討対象外になっている。ちなみに、ISSは近地点高度278km、遠地点高度460kmの範囲の軌道に維持されている。この程度の高度でよければ、200km/h程度の速度でもごく短時間に到達できる。
なお、通常のエレベータと違い、1本のケーブルを複数の昇降機が同時に利用することになる。
呼称[編集]
軌道塔、宇宙エレベータ、同期エレベータ、静止軌道エレベータなどとも呼ぶ。旧ソ連での発案者ユーリイ・アルツターノフの命名から「天のケーブルカー」、旧約聖書(創世記)におけるヤコブの話に因んで「ヤコブの梯子」、童話『ジャックと豆の木』から「ビーンストーク(豆の木)」と呼ばれることもある。日本では芥川龍之介の蜘蛛の糸に喩えられることがあり、吊り下げられている構造上も一番近い表現ではあるが、物語として糸が切れる終わり方をするために、どちらかと言えば軌道エレベータの実現に懐疑的な見方から用いられる表現である。欧米では同様に懐疑的な表現として「バベルの塔」がある。
歴史[編集]
軌道エレベータの着想は、宇宙旅行の父コンスタンチン・ツィオルコフスキーが1895年に既に自著の中で記述している。ツィオルコフスキーはパリで見たエッフェル塔に強い印象を受け、死後の1959年に刊行された著書の中で、赤道上から天に向って塔を建てていくと、次第に遠心力が強くなり、ある点(静止軌道半径)で遠心力と重力が釣り合うと述べている[5]。同じく1959年、ユーリイ・アルツターノフが逆に静止軌道上からその上下にケーブルを伸ばす前述のような軌道エレベータの構想(天のケーブルカー)を発表した[6]。
軌道エレベータを構築する上で一番の問題は、静止軌道まで約36,000kmも伸ばしたケーブルが自重によって切れてしまうのを防ぐことである。
1975年、ジェローム・ピアソンは、軌道エレベータの材料に関する研究を行った[7]。その結果、上空に行くに従い重力が小さくなり、かつ遠心力が強くなることを考慮すると、引っ張り強さ/密度(破断長)が4,960kmほどの物質(すなわち一様な重力場で、一様な太さのケーブルを4,960km下に伸ばすまで切れない)が必要なことがわかった。この数値はすべて一様な太さの軌道エレベータを構築した場合で、特に引っ張り力のかかる部分を太くするテーパー構造(末細り型)にした場合、多少改善されるものの、現実の物質と比較してみると、鋼鉄が50km、ケブラー繊維が200km程とまったく足りない。
そのため、長い間、軌道エレベータは空想上の素材や未来の工学として概念的なものとして扱われてきた。しかし、1982年に、破断長約1,000 km で、理論的にはテーパー構造の軌道エレベータを建造できる強度のグラファイト・ウィスカーが発見された。さらに1991年に極めて高い強度を持つカーボンナノチューブが発見されたことにより、実用化可能と言われるようになった。
2031年10月27日の開通を目指し(当初は2018年4月12日を予定していた)、1メートル幅のカーボンナノチューブでできたリボンを、赤道上の海上プラットフォーム上から10万キロ上空まで伸ばすプロジェクトを、全米宇宙協会などが進める[8]。1999年にNASAの二つのグループが初めて[9][10]、続いて2000年に援助を受けた研究により元ロスアラモス国立研究所員のブラッドリー・C・エドワーズ博士がそれぞれ軌道エレベータの理論的な実現性に関して報告している。これらの研究報告に基づき、LiftPort社がアメリカ、ワシントン州シアトル郊外のブレマートンに設立され、NASAからの援助を受けて軌道エレベータの早期実現へ向けた研究開発を行っている[11]。
2005年9月、米リフトポート・グループ(英語版)社は同社が開発中の宇宙エレベータの上空での昇降テストを行った。今回のテストは、カーボンナノチューブではないケーブルを使用して気球に接続し、次第に気球の高度を上げていき、3回目では高度約1,000フィート(約304.8m)に達した。実験写真を見る限りでは、SFなどで登場する塔のようなものではなく、上空から垂らしたケーブルを箱が昇っていくというシンプルなものである。
日本においては、2009年から宇宙エレベーター協会主催の宇宙エレベーター技術競技会が開かれている。ルールは毎年改定され、2010年第2回大会では上空の気球から幅5 cm のベルト状のテザーを垂らし、高度300 m まで上昇・下降するというものであった[12]。
2012年2月には大林組が建設の視点から、宇宙エレベーターの可能性を探る構想を広報誌『季刊大林』に載せ、2050年の実現を目指すと報道された[13]。
建造方法[編集]
代表的な建造方法として、長大な吊り橋を建設する場合と同じ方法を採ることが提唱されている。まず静止軌道上に人工衛星を設置し、地球側にケーブルを少しずつ下ろしていく。その際、ケーブル自体の重さによって重心が静止軌道から外れないように、反対側にもケーブルを伸ばす。地球側に伸ばしたケーブルが地上に達すると、それをガイドにしてケーブルをさらに何本も張って太くし、構造物を構築する。
この手法を小説『楽園の泉』(1979年)で提唱したアーサー・C・クラークは、ケーブルの素材として無重力環境でしか作れない物質を設定したため、小惑星帯から適切な鉱物を含む小惑星を運搬してきて静止軌道に設置し、工場を建設して静止軌道上で製造する工法を取ったが、この場合はまず小惑星を動かす段階で大量の資材を地球から持ち出さなければならず、「軌道エレベータを建造するために多数のロケットを打ち上げる」という本末転倒な事態になってしまう。しかしカーボンナノチューブは地上でも製造可能であり、ガイド用の細いケーブルと必要最小限の付帯設備だけはロケットで静止軌道まで運ばなければならないが、あとはケーブルを伝って地上側から敷設していく(上端に達した敷設装置は、そのままアンカーの一部になる)ことができると考えられている。なお、アース・ポートを赤道以外の場所に建設する場合でも、最初のケーブルの下端が赤道に向かって降りてくるのを捕まえ、建設予定地まで移動させなければならない。
現在の構想では、最終的にはケーブルの長さ1kmあたり7kg、アンカーまで含めた全体の質量は約1,400tとなる。建設費は100億ドルから200億ドル(1兆円から2兆円)とされている[14]ただし、実際に十人単位の人を運べるものを建設する場合、値段はより高額となると考える研究者もいる[15]。なお、国際宇宙ステーションの建設・運用には1,000億USドル以上の費用が掛かっているが、こちらはすべてをロケットで打ち上げているため単純比較はできない。
SF作家のチャールズ・シェフィールドは、小説『星ぼしに架ける橋』(1979年)の中で、宇宙空間で建造した全長数万kmの軌道エレベータを、回転させながら一端を大気圏に突入させ、巨大な縦穴の底に接地したところで穴の壁を丸ごと爆破した岩雪崩で強引に押さえつけて固定するという、小説ならではのスリルある豪快なアイデアを示している。アーサー・C・クラークはこれを「髪の毛が逆立つような方法。この部分だけは信じられない。許可が下りないのは確かである」と評した。
なお、クラーク・シェフィールドの両作品とも現実の21世紀初頭より宇宙開発が進み、既に多数のロケットが地球と宇宙を行き来している世界の物語である。
派生アイデア[編集]
月面での建造月は地球に比べ重力が小さく、大気の影響も受けない。しかし、自転速度が遅く、公転と同期しているので、月と地球の引力の中心点(ラグランジュ点)にアンカーを置かなければならない。これは、建設地点・運用が大きく制限されることを意味する。また地表からラグランジュ点までの距離は最も近いL1でも56,000kmであり、地球−静止軌道間の36,000km以上である。そして、月のような低重力・真空の環境下では、SSTOやマスドライバーなど他の低コストな打ち上げ手段も現実的な選択肢となりえることを考慮しなくてはならない。火星での建造アーサー・C・クラークは軌道エレベータを題材にしたSF小説『楽園の泉』において、火星での建設可能性について言及している。ここでは地上駅を赤道直下にある巨峰パヴォニス山に、終端に衛星ダイモスを用いるとしており、月同様に低重力や大気の影響を受けないために地球の1/10ほどのコストで建造できるとしている。また材料についてもダイモスに無尽蔵に存在する炭素を用いて超炭素繊維を現地生産するとしている。ダイモスより内側を回っているもうひとつの衛星フォボスとの衝突回避の手段についても示されている。むしろ問題は火星に建設する必要性の問題だが、これも同作では、火星のテラフォーミングのために地表を温める反射鏡を火星で製造して(既に火星には多くの人々が定住しており、鏡の材料が地上でしか入手できない設定)宇宙に持ち上げるために使用するとされている。
地上からある程度の高さまで、ケーブルを2本ないしそれ以上に分岐させ、複数のアース・ポートを設けるというアイデアも提唱されている。様々な技術的問題点が指摘されたが、地球より重力が弱い月や火星になら建設できるかもしれない。それ以外にも、さまざまなアイデアを追加した変種が提唱されている。
宇宙のネックレス赤道上に多数の軌道エレベータを建設し、それらを静止軌道よりも少し上の部分で互いにケーブルでつなぎ、力学的に安定させる方法。ケーブルは常に遠心力で円形に広がり各軌道エレベータを左右から引っ張るので、赤道上ならどこでも軌道エレベータを建設できる。1977年にソ連のG・ポリャーコフが提唱した。スカイフック、テザー衛星静止軌道よりも低軌道の地球周回軌道を使用するためのアイデア。軌道エレベータを固定せず、重心を中心として回転させる。地球と接地する部分との相対速度が0となるように回転速度を調整することで、地上からの物資や旅客の乗り移りを可能にする。低軌道におくことができるのでサイズが小さくて済み、そのぶん建造コストが安くなる。赤道上でなくても接地できるので自由度が高い。空気抵抗による恒常的な回転速度の低下と、軌道の低下、接地部分が大気に突入したときの摩擦による発熱、衝撃波の発生をどのように防ぐかという問題がある。なお、摩擦熱、空気抵抗に関してはテザーをどれだけ長くできるかによる。
詳細は「テザー推進」を参照
極超音速スカイフック上記のスカイフックを改良したアイデアとして、1993年にロバート・ズブリンが提唱。ケーブルの下端が大気圏の上(高度100 km 付近)にあり、その地上との相対速度が極超音速(マッハ10 - 15)となる構造をしたもの。回転はせず、軌道エレベータの大気圏内部分を取り除いたような構造となる。スカイフックと比べ規模が小さく(静止トランスファ軌道 (GTO) に1.5tの打ち上げ能力を持たせた場合で、質量16.5t)、大気との摩擦による問題も軽減されるため、カーボンナノチューブのような新技術を用いずともケブラー繊維などで建設が可能と言われている。ケーブル下端にはロケットやスペースプレーンでアクセスし、ペイロードを積み替える。ORS(軌道リング)1982年ポール・バーチは、スカイフックの欠点を受けて、オービタルリング(Orbital Ring Systems、ORS)という概念を発表した。これは、磁性流体などの流体を、地球を一周するチューブのようなものの中に封入して高速で移動させると、張力が発生して物をぶら下げることができるというもの。ここから地上に構造物を下ろすとそれが軌道エレベータになる。この場合、軌道エレベータの全長が、静止軌道を用いた場合よりもはるかに短くて済むという利点もある。スペース・ファウンテンオービタルリングと同じ原理で、磁性流体が地上と宇宙を往復するようにチューブを配置し、軌道側のステーションは噴水の上に乗ったボールのように磁性流体に支えられて浮かぶ。
技術的課題[編集]
軌道エレベータを実際に建設するためには、乗り越えなければならない技術的課題がある。
ケーブル材料材料の強度の点では、従来の最強クラスの素材であったピアノ線やケブラー繊維を用いても静止衛星軌道から垂らすには強度がまったく足りなかったが、カーボンナノチューブの発見により、少なくとも理論上は可能性が見えてきたと言える。ケーブルの自重を支えるために必要な比強度(強度/密度)は約50,000kN・m/kgであり、最低破断長(比強度/重力)ならば約5,000kmである。一般的なCNTの密度1,300kg/m3の場合、必要な強度は65GPa以上である。昇降機を含めた軌道エレベータ全体の重量を支えるためには2倍の比強度が必要となる事が予想される。2000年代以降、日本の研究では高純度・軽量なカーボンナノチューブの開発が進められ、産業技術総合研究所では単層カーボンナノチューブ(SWNT)の紡糸[16]、薄膜化(バッキーペーパー)[17]、固体の自由な成形[18]が研究開発されている。特にスーパーグロースCVD法によって製作されたSWNTによる薄膜は純度99.98 %、重量密度0.037 g/cm 3[19]という非常に高品質なカーボンナノチューブの生成に成功している。なお、触媒操作によりSWNTシートだけでなく比強度の高いDWNT(二層カーボンナノチューブ)シートやMWNT(多層カーボンナノチューブ)シートも製作できる[20]。重量密度37kg/m3と考えた場合、紙程度の厚さ0.1mm、幅1m、長さ1km の重量は3.7kg となり、長さ10万km では370tに達する。大林組の検討によれば、ペイロード70トンを積んだ総重量100トンのクライマーが昇れるケーブルを作るためには、長さ10万km、重さが7000トンのカーボンナノチューブのケーブルを作ることになるが、その厚みは1.38mm、幅は最大の部分でも4.8cmという非常に薄いリボンのようなものになる[21]。比強度は密度に左右されるので理想的な物質と言える。ただし、上記の計算で用いた重量密度は多量の空隙を含む重量密度であるのに対し、強度計算に用いている値はSWNTを束ねたもっと密度の高い糸を用いた場合の測定値である点、つまり同じ強度をスーパーグロース法で作成したSWNTで実現しようと思えばもっと密にしなければならず、上記の重量密度の値よりも遙かに重くなってしまう点には注意が必要となる。ケーブル材料としての物質は従来ではカーボンナノチューブのみと考えられてきたが、新たに発見された物質でも可能性が見えてきている。コロッサルカーボンチューブと呼ばれる物質の比強度は7GPa 程度だが密度は0.116g/cm3と非常に軽い。そのため破断長は6,000kmに達し、軌道エレベータの最低破断長の条件を満たすと考えられる。カーボンナノチューブを使って建造物を建てるための、構造計算や維持運用についてはまったくの白紙である。外気圏や宇宙空間などの極環境下では物性の変化も予測される。ノウハウの蓄積のためには、軌道エレベータ建造への応用の前に、まず十分な実験、試用の期間が必要だろう。昇降機軌道エレベータのケーブルにラック式鉄道の様なラック(歯)を設ける事はほぼ不可能であり、昇降機はケーブルとの摩擦のみで地球の重力に逆らって昇降を行う必要がある。駆動系に十分なトルクを得るには減速ギアなどで機構が複雑になり、重量や故障率を増加させてしまうため、いかにシンプルで軽量な機構で十分な昇降能力を実現するかが課題となる。ケーブル材料に比べれば遙かに現実的な課題であり他分野での技術応用も見込めるため、日本の大学や研究機関も含めて複数の研究者が開発を行っており、気球から吊したテープに小型モデルを昇らせる技術競技会も行われている。昇降用エネルギー昇降用としてのエネルギーは前述のように電気エネルギーによる3つの供給方法が考えられている。マイクロ波もしくは遠赤外レーザーの形で昇降機に送電する方法、太陽電池による発電、搭載型燃料による発電である。昇降機の規模により用いられる供給方法は変わると思われるがバックアップの意味も含めて複合的な供給が望ましい。レーザーによる供給については高高度における減衰と十分なエネルギーが得られるか疑問点が残る。太陽電池の場合、非常に大きなパネルが必要とされる。搭載型燃料については、例えば燃料電池が挙げられる。燃料電池は自動車などに使われるものから火力発電に使われるようなものまで様々な種類がある[22]。電気エネルギーに限らなければ内燃型のエンジンなども選択肢に入るであろう。なお原子力電源については宇宙法の問題により十分に高度な軌道でのみの使用に制限されるため現実的でない。そのため現行技術で昇降機に用いられるエネルギーは火力発電レベルまでである。もっとも、軌道エレベーターに使えるほどの破断長を持つ繊維製のフライホイールは化学反応を超えるエネルギー密度のため技術の開発順序上はより難易度の低いフライホイール・バッテリーのエネルギー密度の高さで搭載燃料の問題は解決されるとみられる。また、ケーブルを使った直接供給では超長距離送電を考慮に入れると損失は1,000km当たり約3%が現在技術の限界である。地上と静止衛星軌道との中間地点である18,000kmでは、単純計算で42%を損失してしまい58%しか使えなくなる。水平方向の加速地球から見ると軌道エレベーターは静止しているように見えるが、実際には地球の自転のせいで、軌道エレベーターは回転運動をしている。軌道エレベータの水平方向の速度は、高さ 0 の位置では地表の移動速度と同じである。軌道エレベータの高さが上がるにつれ、水平方向の速度は(地球中心からの距離に比例して)どんどん増していく必要があるが、実際には、最初に得られた水平方向の速度しか得られない。そこで、軌道エレベータが見かけ上で静止しているためには、高さが増すにつれて水平方向の速度も増す必要がある。つまり、水平方向の加速度を得る必要がある。では、その水平方向の加速度を、どうやって得るか? それが技術的な課題となる。(たとえばエレベーター本体に水平方向の推進力のロケットを搭載するとしたら、その分、搭載できる荷物が減ってしまう。)
建造可能性以外の課題[編集]
Edit-find-replace.svg
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2008年1月)
この節は言葉を濁した曖昧な記述になっています。
Wikipedia:言葉を濁さないを参考に修正してください。(2013年9月)
現時点で議論の焦点は、実際それが技術的に建造可能か否かという点である。ひとたび建造可能性に目処が立った場合、続いて克服すべきいくつかの課題があるだろう。
維持費宇宙空間は相当に過酷な環境であり、軌道エレベータのような長大な建造物も日光や宇宙線などにより材料の劣化にさらされる懸念がある。スペースデブリとの衝突による破損も考慮に入れなければならず、軌道エレベータのような長大な建造物を維持修繕していくのにどの程度の費用がかかるかは不明である。建設費用と維持費用が、はたして軌道エレベータ建造が与える利便に見合うかどうかという問題がある。安全上の問題点軌道エレベータに対する安全上の脅威がいくつか想定される。航空機やシャトル、人工衛星などとの衝突が起きた場合、軌道エレベータの本体は深刻な損傷を受ける。軌道エレベータのケーブル(またはシャフト)部分の一部でも損傷した場合、損傷箇所に極めて大きな応力がかかって、軌道エレベータ全体が崩壊する可能性がある。もし軌道エレベータの質量が十分に大きければ地上の広範囲に被害をもたらすかもしれないが、全米宇宙協会などでの現在の案ではシャフトのような構造はないため、それほど大きな質量を持たず、ケーブルもラップフィルム状の薄いものなので、落下時の空気抵抗が大きく、地上に重大な影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられている[誰によって?]。また、軌道エレベータは縦にきわめて長大な建造物であり、材質の強度と遠心力や重力などのバランスの下に成り立っているため、テロリストによる破壊工作に弱いという指摘がある。衝突事故を防ぐためには、軌道エレベータの周囲の広範囲(ブラッドリー・エドワーズらは「少なくとも数百キロメートル」としているが、根拠は示されていない)を飛行禁止区域として設定し、レーダーなどで常時監視することが必要だろう。軌道エレベータは長い弦とみなせるので、固有振動数に一致する振動が発生すると、減衰せずにエネルギーが蓄積されて振動し続け、応力限界を超えて破壊される恐れがある[注 1]。これは荷物を適宜上げ下げして振動を打ち消すことで回避可能であり、人工衛星やスペースデブリとの衝突を回避するために意図的に振動させることもできる。ある程度大きなスペースデブリは軌道がわかるため、上記の方法で回避できるが、小さなものは衝突を避けられない。軌道エレベータ自体への影響は軽微で済むとしても、軌道エレベータの昇降機や乗客・貨物への悪影響が考えられる。もしくは小さなものでも全損する前提で、多数の軌道エレベータを同時運用し、昇降機そのものに大気圏突入能力を持たせることも考えられている[誰によって?]。対策としては、定期的なスペースデブリの回収作業も並行して行う必要がある。軌道エレベータを使用するかにかかわらず、宇宙開発を今後も推進していくためにはスペースデブリはいずれ回収作業が必要な、現実の問題である(ケスラーシンドロームを参照)。類似の問題として、軍事衛星との衝突の可能性が挙げられる。軍事衛星は機密上存在自体が秘匿されることもあり、特に低高度を飛ぶ偵察衛星などは周回時間も短く、想定範囲外の衝突が発生する恐れもある。これらが衝突を回避する様に全て制御するのは困難であるし、活動の妨げになる物の建造に異を唱える国家などもあり得る。環境への影響軌道エレベータのような大規模構造物が環境にどのような影響を与えるかはまだわかっていない。ただし軌道エレベータのケーブルは極めて細いため、大気の擾乱や熱伝導による気温変化は小さいだろう。またアース・ポート建設地点の生態系の変化や、建造に伴う廃棄物による公害なども考えられるが、軌道エレベータが完成すれば有害物質や騒音を撒き散らすロケットの打ち上げは激減し、相対的には環境によい影響をもたらす可能性もある。いずれにせよ本格的な研究にはまだ着手されておらず、定量的に示すことはできない。政治的課題軌道エレベータはロケットに比べて遥かに安価な輸送手段であり、また経済的に建設できる場所が限られているため、軌道エレベータが建設されるような時代になってもまだ強力な国家や経済ブロックが残存していると、アース・ポートの領海・領空の使用権、軌道エレベータの権利を巡って政治的な紛争が起こる可能性がある。
軌道エレベータを主題とした作品[編集]
軌道エレベータが登場する作品をまとめたリストとして、石原藤夫と金子隆一の共著『軌道エレベータ -宇宙へ架ける橋-』(裳華房版)の巻末付録「『軌道エレベータ』SF作品リスト」がある。
SF小説[編集]
楽園の泉著:アーサー・C・クラーク軌道エレベータSFの代表的作品。架空の島タブロバニー(クラークの終の住処となったスリランカがモデル)を舞台に軌道エレベータ建造に挑む天才技術者の姿を描く。火星におけるテラフォーミングのための建設や、「宇宙のネックレス」構想にも言及されている。星ぼしに架ける橋著:チャールズ・シェフィールド「ビーンストーク(日本語で「豆の木」)」という名の宇宙エレベータの建造を描いた物語。「楽園の泉」と同時期に発表された作品であり、アイデアやプロットも似ているが、アメリカSF作家協会報への公開状(文庫版に収録)でクラークが書いているように、全く別個に発想された作品である。この中でクラークは自身の作品とは異なる、(少々乱暴な)エレベータの地球への固定方法については「身の毛もよだつ」と評している。轍の先にあるもの著:野尻抱介(『沈黙のフライバイ』収録)軌道エレベータ建造による社会の変化を、冒頭で無人探査機の小惑星着陸に心躍らせていたSF作家の「私」が、数十年後には自分の足で小惑星に降り立つという形で描いている。登場する軌道エレベータは、ブラッドリー・エドワーズらが研究しているものに近い。マザーズ・タワー著:吉田親司リング状構造物と極薄のカーボンナノチューブを併用し、ごく短期間で地球低軌道に軌道エレベータを建造しようとする4人組の活躍を描く。完成した軌道エレベータは軌道リングシステムの応用型。南極点のピアピア動画著:野尻抱介カーボンナノチューブを吐き出す蜘蛛を利用して、ごく短時間に軌道エレベータを建設するエピソードがある。三体II:黒暗森林・三体III:死神永生著:劉慈欣『黒暗森林』では、軌道エレベーターのアンカーとして建設された黄河宇宙ステーションで、章北海が化学ロケットの開発者を暗殺するエピソードがある。『死神永生』では、程心が軌道エレベーターを利用して雲天明に会いに行くエピソードがある。宇宙(そら)へ著:福田和代軌道エレベータのメンテナンスマンを主人公とする宇宙お仕事小説。JAXA(宇宙航空研究開発機構)全面協力のもと、リアリティあふれる描写で全編を貫く。銀環計画著:田中芳樹地球温暖化に伴う海面上昇を抑えるために、軌道エレベータを建設、海水を軌道上に噴射しようとする短編小説。妙なる技の乙女たち著:小川一水軌道エレベータができた島で働く女性を描いた連作短編集。ウロボロスの波動著:林譲治_(作家)太陽系の近くに発見されたブラックホールから人工降着円盤を作りエネルギーを取り出すプロジェクトAADDは、そのまま地球圏と異質な社会を構築するようになった。地球とAADDの摩擦を描く連作短編集の中に、マスドライバーによって軌道エレベータへテロを試みるものがある。ザ・ジャグル著:榊一郎大戦後、軌道エレベータのアースポート「永久平和都市」オフィーリアの平和を守る秘密特殊部隊の活躍を描く作品。
漫画[編集]
ダークウィスパー著:山下いくと欧州連合とアフリカ連合との共同プランで推進された『クモの糸計画』で建造される。連載中の時点ではテロリストに秘密裏に占拠された状態にある。まっすぐ天へ著:的場健、協力:金子隆一宇宙開発の研究者である兄と建設会社に勤める弟が、軌道エレベータの実現に向け奮闘する。未完のまま連載終了。ワンダートレック著:かがみあきら子供向け科学雑誌コペル21に連載されていた科学学習漫画。題材の1つとして軌道エレベータが登場した。水惑星年代記著:大石まさる軌道エレベータの建設から火星植民までの宇宙開発の時代を描いた連作短編集。軌道エレベータでの旅行を科学漫画風に解説した短編も含んでいる(「軌道エレベータのひみつ」『水惑星年代記月娘』)。リニアモーター駆動で最高時速約1万kmという設定。サイレントメビウス著:麻宮騎亜完成当日に妖魔に取り込まれてしまい、妖魔が倒されると共に崩壊した。砲神エグザクソン著:園田健一リオファルド人が建造したエレベータシップ。ハワイにエレベースがある。緑の王 VERDANT LORD著:曽我篤士,たかしげ宙アレトゥーサが地球外に種子を飛ばすために木製の軌道エレベーターを建造した。セラフィック・フェザー著:うたたねひろゆき世界経済を支配する巨大企業「ダイスカーツ社」が建設した。物語終盤での戦闘の舞台となる。
アニメ[編集]
宇宙空母ブルーノア日本の映像SFで軌道エレベータが最初に登場した作品。地球に侵攻した異星人、ゴドム人が太平洋上に建設した。超時空世紀オーガス軌道エレベータを巡る経済紛争が物語の発端となっている。エレベータはその後、作中で重要な役目を果たす。上記のブルーノアに続き、日本SFで二番目に登場した軌道エレベータで、地球人が建造した物としては初。Z.O.E. Dolores,i終盤で火星の為に、エレベータを崩壊させて地球壊滅を企む計画(「しなりながら長さ数万キロの鞭が、音速で地球に巻き付く様に落下して来たらどうなる?」と劇中で示唆されている)が実行される。重力の釣り合いを取る為のステーションや、バランス調整用のアジャスターホイール等、かなり本格的な描写がある。宇宙エレベータ 〜科学者の夢みる未来〜監修:日本科学未来館日本科学未来館他、全国のプラネタリウムで公開されている宇宙エレベータ(=軌道エレベータ)を題材にしたアニメーション。宇宙の騎士テッカマンブレード人類は、静止軌道上にオービタル・リングを建造していたが、ここが突如襲来して来た異星生命体ラダムに拠って占拠され、人類は地上に封じ込められていた。オービタル・リングの設定が前面に押し出されて、又物語中ではオービタル・リングと軌道エレベータを巡って幾多の名勝負も行われていた。勇者警察ジェイデッカー物語中に建設途上の軌道エレベータの倒壊事故が発生する。この物語が、後に『BRAVE SAGA』シリーズのステージエピソードになっている。KURAU Phantom Memory地球と月面に存在し、主要交通機関の一つとして登場する。機動戦士ガンダム003つの国家群がそれぞれ所有する軌道エレベータ「タワー」「ラ・トゥール(アフリカタワー)」「天柱」の3基が登場。高軌道と低軌道の2つのオービタルリングによって連結され、低軌道オービタルリングには2基の巨大自由電子レーザー掃射装置「メメントモリ」が建造された。人員物資の輸送の他、太陽発電衛星で得られた電力を地上に送電する機能を持つ。劇中で「メメントモリ」による「ラ・トゥール」の低軌道ステーションを狙っての照射で、外壁が破壊・多数落下する人為的事故が起こる。 フラクタル僧院の本拠地として登場。
映画[編集]
劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE人類の存亡をかけた、軌道エレベータによる「天空の梯子計画」が作品の背景として進行する。『科学がSFを越える日』の「軌道エレベータが登場する代表作品」の数少ない候補のひとつとして紹介されているように、「世界初の軌道エレベーターを映像に取り込んだ実写作品」と言われている。劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-東京都西部にある架空の都市「学園都市」の宇宙エレベーター・「エンデュミオン」に隠された秘密を原作ライトノベルにも無い映画公開向け独自のエピソードとして新たに書き起こした作品。
楽曲[編集]
宇宙エレベーター作詞・作曲:中田ヤスタカ音楽ユニットcapsuleの楽曲(2004年発売のアルバムS.F. sound furniture所収)。軌道エレベータを中心的なモチーフとして扱っている。歌詞においてはカーボンナノチューブにも言及がある。
ゲーム[編集]
ボーダーダウン人類が火星に移住した時代、未知の侵略者による攻撃により火星の軌道エレベーター「ジッグラト」が戦いの舞台になる。これは大都市の中心から伸びる巨大な塔のような建造物。宇宙に設置された制御中枢を破壊されたジッグラトは崩壊し、火星の環境に多大なダメージを与える。それは火星の地表に30000kmを超える傷跡を刻み込むものだった。FRONT MISSION SERIES GUN HAZARDスクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたスーパーファミコン用アクションRPG。軌道エレベーター「アトラス」が最終ステージの舞台。ゼノサーガ エピソードIII[ツァラトゥストラはかく語りき]バンダイナムコゲームスより発売されたプレイステーション2用RPG。星団連邦主星フィフス・エルサレムにおいて、地上への移動手段として登場。4時間掛けて宇宙港・地上間を移動する。
宇宙空間への進出手段として構想されているが、当初は夢物語と思えていた。しかしカーボンナノチューブの発見後、現状の技術レベルでも手の届きそうな範囲にあるため、実現に向けた研究プロジェクトが日本やアメリカで始まっている。
目次 [非表示]
1 概要 1.1 現行方式との比較
2 呼称
3 歴史
4 建造方法
5 派生アイデア
6 技術的課題
7 建造可能性以外の課題
8 軌道エレベータを主題とした作品 8.1 SF小説
8.2 漫画
8.3 アニメ
8.4 映画
8.5 楽曲
8.6 ゲーム
9 脚注 9.1 注釈
9.2 出典
10 参考文献
11 関連項目
12 外部リンク
概要[編集]
軌道エレベータの概念図
軌道エレベータの基部の想像図(海上を移動できるようにしたもの)
地上から静止軌道以上まで延びる構造物(塔、レール、ケーブルなど)に沿って運搬機が上下することで宇宙と地球の間の物資を輸送できる。動力を直接ケーブル等に伝えることで、噴射剤の反動を利用するロケットよりも安全に、かつ遥かに低コストで宇宙に物資を送ることができる。
かつては軌道エレベータを建設するために必要な強度を持つ素材が存在しなかったため、軌道エレベータはSF作品などの中で描かれる概念的な存在でしかなかった。その後、理論的には必要な強度を持つものとしてグラファイト・ウィスカー(針状の炭素)などが発見された。さらに、20世紀末になってカーボンナノチューブが発見されたことにより、その早期の実現を目指した研究プロジェクトが発足している。
概念としては、静止軌道上の人工衛星を、重心を静止軌道上に留めたまま地上に達するまで縦長に引き伸ばし、そのケーブルを伝って昇降することで、地上と宇宙空間を往復するのを想像すれば良い。その際、全体の遠心力が重力を上回るように、反対側(外側)にもケーブルを伸ばしたり、十分な質量を持つアンカー(いかり)を末端に設ける。ケーブルの全長は約10万 km で、下端(地上)、静止軌道、上端の三ヵ所に発着拠点が設けられる。上端の移動速度はその高度における脱出速度を上回っているため、燃料なしでも地球周回軌道から脱して惑星間空間に飛び出すこともできる。
エレベータという呼称が使われているが、ケーブルを介して籠を動かすのではなく、固定された軌道を伝って籠が上下に移動する。ケーブルは下に行くほど重力が強まり遠心力が弱まる一方、上に行くほど重力が弱まり遠心力が強まる。したがってケーブルのどの点においても張力がかかる。その大きさは、その点より上の構造物に働く重力と遠心力の絶対値の差である。荷物を上げ下げする際にコリオリ力が発生するが、地球につなぎ止められているため全体が逆さの振り子のように働き、元の位置を自然に維持する。
ケーブルは一定の太さではなく、静止軌道から両端に向かって徐々に細くなっていくテーパー構造である。ただし、地上から数kmの部分は風や雷の影響を避けるため、10倍ほどに太くし、さらに上空数百kmまではケーブルの構成物質が酸素の原子と反応して劣化(酸化)するのを防ぐため、金属で薄くコーティングする必要がある。
地上側の発着拠点(アース・ポート)は、一般に言われるように赤道上にしか建設できないわけではないが、赤道上であればケーブルにかかる張力を小さくできるので最適である。緯度が上がるほどケーブルにかかる張力が大きくなり、また赤道以外ではケーブルが地面に対して垂直にはならないため、赤道から極端に離れた場所に建設するのは難度が高くなる。2004年に開かれた軌道エレベータ建設に関する国際会議では、アース・ポートは赤道から南北それぞれ緯度35度以内に建設すべきであることが示された。建設地点としての適性を赤道で100%とすれば、35度で50%となり、そこから先は急速に減少するという。ただし、これは緯度だけを問題にした場合であり、それ以外にも、気象条件や周辺地域の政治的安定性など考慮すべきことは多い。また、ケーブルの振動や熱による伸縮への対策、低軌道の人工衛星や大きなスペースデブリとの衝突の回避などのために、アース・ポートは地上に固定するのではなく海上を移動可能なメガフロートとすることが望ましい。地球の重力場は完全に均一ではないため、赤道上に作るなら西経90度(ガラパゴス諸島付近)および東経73度(モルディブ付近)が最も安定させやすい[1]。ブラッドリー・C・エドワーズらはいくつかの建設候補地を挙げ、その中でも東太平洋の赤道付近とインド洋のオーストラリア西方沖を有望視している[2][3]。
現行方式との比較[編集]
現在、地球上から宇宙空間へ人間や物資を運ぶ手段はソユーズなどの化学ロケットしか存在しない。
ロケットを宇宙への物資運搬手段として考えた場合、地球の重力に抗して宇宙空間まで移動するのに莫大な燃料を消費する。ロケットは、原理的に本体の重量の大半(およそ90 % 以上)を燃料が占めるので効率が悪い。また、燃料として非対称ジメチルヒドラジンや塩素を含む固体燃料などを使用するものは、燃料そのものが有害物質であったり、燃焼時に有毒物質を発生したりして、環境を汚染している。爆音や有毒ガスの発生以外にも、信頼性や事故発生時の安全措置の面でも不安がある。
このため、将来恒常的に大量の物資・人員を輸送することを念頭に置いた場合、経済的で無公害の輸送手段が望まれる。現在、ロケットに代わるさまざまな輸送手段が検討されているが、軌道エレベータはその一つである。
籠の昇降には電気動力を使い、ロケットのように燃料を運び上げる必要がないため、一度に宇宙空間に運び出す(または宇宙から運び降ろす)荷を大幅に増やすことができる。また、上るときに消費した電力は位置エネルギーとして保存されているので、降りで回生ブレーキを使って位置エネルギーを回収すれば、エネルギーの損失がほとんどなく、運転費用が非常に安くて済む。一つの試算によると現行ロケットの場合、物資1ポンドあたりの輸送コストが4 - 5万ドルであるのに対し、軌道エレベータの場合約100ドル(1kg当たり220ドル)となる[4]。電力供給に関しては、昇降機にパラボラアンテナを装備してマイクロ波ないしは遠赤外レーザーの形で送電する方法も考えられている。加えて人工衛星やISS(国際宇宙ステーション)などでも使用されている太陽電池や燃料電池が用いられると予想される。環境への影響や安全面などを考慮して、ケーブルを通じて供給するべきだという意見もあるが、カーボンナノチューブはそれに必要なだけの伝導性を持たず実用的ではない。
昇降機がケーブルと接触した状態のまま動く場合、その速さは200km/h程度で、アース・ポートから静止軌道までは約1週間(上端までは更に5日間)かかることになる。特別な訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも宇宙に行くことができるが、非常に時間が掛かるため、利用者にストレスを与えないように、旅客用の昇降機には高い居住性を持たせる必要がある。リニアモーターなどを使用すればもっと時間を短縮でき、例えば昇りのとき1Gで加速し、中間点からは1Gで減速すると約1時間で静止軌道に到着する(この場合、中間地点での速度は64,000km/hに達する)ことになるが、現在研究中のプランでは磁気浮上方式は検討対象外になっている。ちなみに、ISSは近地点高度278km、遠地点高度460kmの範囲の軌道に維持されている。この程度の高度でよければ、200km/h程度の速度でもごく短時間に到達できる。
なお、通常のエレベータと違い、1本のケーブルを複数の昇降機が同時に利用することになる。
呼称[編集]
軌道塔、宇宙エレベータ、同期エレベータ、静止軌道エレベータなどとも呼ぶ。旧ソ連での発案者ユーリイ・アルツターノフの命名から「天のケーブルカー」、旧約聖書(創世記)におけるヤコブの話に因んで「ヤコブの梯子」、童話『ジャックと豆の木』から「ビーンストーク(豆の木)」と呼ばれることもある。日本では芥川龍之介の蜘蛛の糸に喩えられることがあり、吊り下げられている構造上も一番近い表現ではあるが、物語として糸が切れる終わり方をするために、どちらかと言えば軌道エレベータの実現に懐疑的な見方から用いられる表現である。欧米では同様に懐疑的な表現として「バベルの塔」がある。
歴史[編集]
軌道エレベータの着想は、宇宙旅行の父コンスタンチン・ツィオルコフスキーが1895年に既に自著の中で記述している。ツィオルコフスキーはパリで見たエッフェル塔に強い印象を受け、死後の1959年に刊行された著書の中で、赤道上から天に向って塔を建てていくと、次第に遠心力が強くなり、ある点(静止軌道半径)で遠心力と重力が釣り合うと述べている[5]。同じく1959年、ユーリイ・アルツターノフが逆に静止軌道上からその上下にケーブルを伸ばす前述のような軌道エレベータの構想(天のケーブルカー)を発表した[6]。
軌道エレベータを構築する上で一番の問題は、静止軌道まで約36,000kmも伸ばしたケーブルが自重によって切れてしまうのを防ぐことである。
1975年、ジェローム・ピアソンは、軌道エレベータの材料に関する研究を行った[7]。その結果、上空に行くに従い重力が小さくなり、かつ遠心力が強くなることを考慮すると、引っ張り強さ/密度(破断長)が4,960kmほどの物質(すなわち一様な重力場で、一様な太さのケーブルを4,960km下に伸ばすまで切れない)が必要なことがわかった。この数値はすべて一様な太さの軌道エレベータを構築した場合で、特に引っ張り力のかかる部分を太くするテーパー構造(末細り型)にした場合、多少改善されるものの、現実の物質と比較してみると、鋼鉄が50km、ケブラー繊維が200km程とまったく足りない。
そのため、長い間、軌道エレベータは空想上の素材や未来の工学として概念的なものとして扱われてきた。しかし、1982年に、破断長約1,000 km で、理論的にはテーパー構造の軌道エレベータを建造できる強度のグラファイト・ウィスカーが発見された。さらに1991年に極めて高い強度を持つカーボンナノチューブが発見されたことにより、実用化可能と言われるようになった。
2031年10月27日の開通を目指し(当初は2018年4月12日を予定していた)、1メートル幅のカーボンナノチューブでできたリボンを、赤道上の海上プラットフォーム上から10万キロ上空まで伸ばすプロジェクトを、全米宇宙協会などが進める[8]。1999年にNASAの二つのグループが初めて[9][10]、続いて2000年に援助を受けた研究により元ロスアラモス国立研究所員のブラッドリー・C・エドワーズ博士がそれぞれ軌道エレベータの理論的な実現性に関して報告している。これらの研究報告に基づき、LiftPort社がアメリカ、ワシントン州シアトル郊外のブレマートンに設立され、NASAからの援助を受けて軌道エレベータの早期実現へ向けた研究開発を行っている[11]。
2005年9月、米リフトポート・グループ(英語版)社は同社が開発中の宇宙エレベータの上空での昇降テストを行った。今回のテストは、カーボンナノチューブではないケーブルを使用して気球に接続し、次第に気球の高度を上げていき、3回目では高度約1,000フィート(約304.8m)に達した。実験写真を見る限りでは、SFなどで登場する塔のようなものではなく、上空から垂らしたケーブルを箱が昇っていくというシンプルなものである。
日本においては、2009年から宇宙エレベーター協会主催の宇宙エレベーター技術競技会が開かれている。ルールは毎年改定され、2010年第2回大会では上空の気球から幅5 cm のベルト状のテザーを垂らし、高度300 m まで上昇・下降するというものであった[12]。
2012年2月には大林組が建設の視点から、宇宙エレベーターの可能性を探る構想を広報誌『季刊大林』に載せ、2050年の実現を目指すと報道された[13]。
建造方法[編集]
代表的な建造方法として、長大な吊り橋を建設する場合と同じ方法を採ることが提唱されている。まず静止軌道上に人工衛星を設置し、地球側にケーブルを少しずつ下ろしていく。その際、ケーブル自体の重さによって重心が静止軌道から外れないように、反対側にもケーブルを伸ばす。地球側に伸ばしたケーブルが地上に達すると、それをガイドにしてケーブルをさらに何本も張って太くし、構造物を構築する。
この手法を小説『楽園の泉』(1979年)で提唱したアーサー・C・クラークは、ケーブルの素材として無重力環境でしか作れない物質を設定したため、小惑星帯から適切な鉱物を含む小惑星を運搬してきて静止軌道に設置し、工場を建設して静止軌道上で製造する工法を取ったが、この場合はまず小惑星を動かす段階で大量の資材を地球から持ち出さなければならず、「軌道エレベータを建造するために多数のロケットを打ち上げる」という本末転倒な事態になってしまう。しかしカーボンナノチューブは地上でも製造可能であり、ガイド用の細いケーブルと必要最小限の付帯設備だけはロケットで静止軌道まで運ばなければならないが、あとはケーブルを伝って地上側から敷設していく(上端に達した敷設装置は、そのままアンカーの一部になる)ことができると考えられている。なお、アース・ポートを赤道以外の場所に建設する場合でも、最初のケーブルの下端が赤道に向かって降りてくるのを捕まえ、建設予定地まで移動させなければならない。
現在の構想では、最終的にはケーブルの長さ1kmあたり7kg、アンカーまで含めた全体の質量は約1,400tとなる。建設費は100億ドルから200億ドル(1兆円から2兆円)とされている[14]ただし、実際に十人単位の人を運べるものを建設する場合、値段はより高額となると考える研究者もいる[15]。なお、国際宇宙ステーションの建設・運用には1,000億USドル以上の費用が掛かっているが、こちらはすべてをロケットで打ち上げているため単純比較はできない。
SF作家のチャールズ・シェフィールドは、小説『星ぼしに架ける橋』(1979年)の中で、宇宙空間で建造した全長数万kmの軌道エレベータを、回転させながら一端を大気圏に突入させ、巨大な縦穴の底に接地したところで穴の壁を丸ごと爆破した岩雪崩で強引に押さえつけて固定するという、小説ならではのスリルある豪快なアイデアを示している。アーサー・C・クラークはこれを「髪の毛が逆立つような方法。この部分だけは信じられない。許可が下りないのは確かである」と評した。
なお、クラーク・シェフィールドの両作品とも現実の21世紀初頭より宇宙開発が進み、既に多数のロケットが地球と宇宙を行き来している世界の物語である。
派生アイデア[編集]
月面での建造月は地球に比べ重力が小さく、大気の影響も受けない。しかし、自転速度が遅く、公転と同期しているので、月と地球の引力の中心点(ラグランジュ点)にアンカーを置かなければならない。これは、建設地点・運用が大きく制限されることを意味する。また地表からラグランジュ点までの距離は最も近いL1でも56,000kmであり、地球−静止軌道間の36,000km以上である。そして、月のような低重力・真空の環境下では、SSTOやマスドライバーなど他の低コストな打ち上げ手段も現実的な選択肢となりえることを考慮しなくてはならない。火星での建造アーサー・C・クラークは軌道エレベータを題材にしたSF小説『楽園の泉』において、火星での建設可能性について言及している。ここでは地上駅を赤道直下にある巨峰パヴォニス山に、終端に衛星ダイモスを用いるとしており、月同様に低重力や大気の影響を受けないために地球の1/10ほどのコストで建造できるとしている。また材料についてもダイモスに無尽蔵に存在する炭素を用いて超炭素繊維を現地生産するとしている。ダイモスより内側を回っているもうひとつの衛星フォボスとの衝突回避の手段についても示されている。むしろ問題は火星に建設する必要性の問題だが、これも同作では、火星のテラフォーミングのために地表を温める反射鏡を火星で製造して(既に火星には多くの人々が定住しており、鏡の材料が地上でしか入手できない設定)宇宙に持ち上げるために使用するとされている。
地上からある程度の高さまで、ケーブルを2本ないしそれ以上に分岐させ、複数のアース・ポートを設けるというアイデアも提唱されている。様々な技術的問題点が指摘されたが、地球より重力が弱い月や火星になら建設できるかもしれない。それ以外にも、さまざまなアイデアを追加した変種が提唱されている。
宇宙のネックレス赤道上に多数の軌道エレベータを建設し、それらを静止軌道よりも少し上の部分で互いにケーブルでつなぎ、力学的に安定させる方法。ケーブルは常に遠心力で円形に広がり各軌道エレベータを左右から引っ張るので、赤道上ならどこでも軌道エレベータを建設できる。1977年にソ連のG・ポリャーコフが提唱した。スカイフック、テザー衛星静止軌道よりも低軌道の地球周回軌道を使用するためのアイデア。軌道エレベータを固定せず、重心を中心として回転させる。地球と接地する部分との相対速度が0となるように回転速度を調整することで、地上からの物資や旅客の乗り移りを可能にする。低軌道におくことができるのでサイズが小さくて済み、そのぶん建造コストが安くなる。赤道上でなくても接地できるので自由度が高い。空気抵抗による恒常的な回転速度の低下と、軌道の低下、接地部分が大気に突入したときの摩擦による発熱、衝撃波の発生をどのように防ぐかという問題がある。なお、摩擦熱、空気抵抗に関してはテザーをどれだけ長くできるかによる。
詳細は「テザー推進」を参照
極超音速スカイフック上記のスカイフックを改良したアイデアとして、1993年にロバート・ズブリンが提唱。ケーブルの下端が大気圏の上(高度100 km 付近)にあり、その地上との相対速度が極超音速(マッハ10 - 15)となる構造をしたもの。回転はせず、軌道エレベータの大気圏内部分を取り除いたような構造となる。スカイフックと比べ規模が小さく(静止トランスファ軌道 (GTO) に1.5tの打ち上げ能力を持たせた場合で、質量16.5t)、大気との摩擦による問題も軽減されるため、カーボンナノチューブのような新技術を用いずともケブラー繊維などで建設が可能と言われている。ケーブル下端にはロケットやスペースプレーンでアクセスし、ペイロードを積み替える。ORS(軌道リング)1982年ポール・バーチは、スカイフックの欠点を受けて、オービタルリング(Orbital Ring Systems、ORS)という概念を発表した。これは、磁性流体などの流体を、地球を一周するチューブのようなものの中に封入して高速で移動させると、張力が発生して物をぶら下げることができるというもの。ここから地上に構造物を下ろすとそれが軌道エレベータになる。この場合、軌道エレベータの全長が、静止軌道を用いた場合よりもはるかに短くて済むという利点もある。スペース・ファウンテンオービタルリングと同じ原理で、磁性流体が地上と宇宙を往復するようにチューブを配置し、軌道側のステーションは噴水の上に乗ったボールのように磁性流体に支えられて浮かぶ。
技術的課題[編集]
軌道エレベータを実際に建設するためには、乗り越えなければならない技術的課題がある。
ケーブル材料材料の強度の点では、従来の最強クラスの素材であったピアノ線やケブラー繊維を用いても静止衛星軌道から垂らすには強度がまったく足りなかったが、カーボンナノチューブの発見により、少なくとも理論上は可能性が見えてきたと言える。ケーブルの自重を支えるために必要な比強度(強度/密度)は約50,000kN・m/kgであり、最低破断長(比強度/重力)ならば約5,000kmである。一般的なCNTの密度1,300kg/m3の場合、必要な強度は65GPa以上である。昇降機を含めた軌道エレベータ全体の重量を支えるためには2倍の比強度が必要となる事が予想される。2000年代以降、日本の研究では高純度・軽量なカーボンナノチューブの開発が進められ、産業技術総合研究所では単層カーボンナノチューブ(SWNT)の紡糸[16]、薄膜化(バッキーペーパー)[17]、固体の自由な成形[18]が研究開発されている。特にスーパーグロースCVD法によって製作されたSWNTによる薄膜は純度99.98 %、重量密度0.037 g/cm 3[19]という非常に高品質なカーボンナノチューブの生成に成功している。なお、触媒操作によりSWNTシートだけでなく比強度の高いDWNT(二層カーボンナノチューブ)シートやMWNT(多層カーボンナノチューブ)シートも製作できる[20]。重量密度37kg/m3と考えた場合、紙程度の厚さ0.1mm、幅1m、長さ1km の重量は3.7kg となり、長さ10万km では370tに達する。大林組の検討によれば、ペイロード70トンを積んだ総重量100トンのクライマーが昇れるケーブルを作るためには、長さ10万km、重さが7000トンのカーボンナノチューブのケーブルを作ることになるが、その厚みは1.38mm、幅は最大の部分でも4.8cmという非常に薄いリボンのようなものになる[21]。比強度は密度に左右されるので理想的な物質と言える。ただし、上記の計算で用いた重量密度は多量の空隙を含む重量密度であるのに対し、強度計算に用いている値はSWNTを束ねたもっと密度の高い糸を用いた場合の測定値である点、つまり同じ強度をスーパーグロース法で作成したSWNTで実現しようと思えばもっと密にしなければならず、上記の重量密度の値よりも遙かに重くなってしまう点には注意が必要となる。ケーブル材料としての物質は従来ではカーボンナノチューブのみと考えられてきたが、新たに発見された物質でも可能性が見えてきている。コロッサルカーボンチューブと呼ばれる物質の比強度は7GPa 程度だが密度は0.116g/cm3と非常に軽い。そのため破断長は6,000kmに達し、軌道エレベータの最低破断長の条件を満たすと考えられる。カーボンナノチューブを使って建造物を建てるための、構造計算や維持運用についてはまったくの白紙である。外気圏や宇宙空間などの極環境下では物性の変化も予測される。ノウハウの蓄積のためには、軌道エレベータ建造への応用の前に、まず十分な実験、試用の期間が必要だろう。昇降機軌道エレベータのケーブルにラック式鉄道の様なラック(歯)を設ける事はほぼ不可能であり、昇降機はケーブルとの摩擦のみで地球の重力に逆らって昇降を行う必要がある。駆動系に十分なトルクを得るには減速ギアなどで機構が複雑になり、重量や故障率を増加させてしまうため、いかにシンプルで軽量な機構で十分な昇降能力を実現するかが課題となる。ケーブル材料に比べれば遙かに現実的な課題であり他分野での技術応用も見込めるため、日本の大学や研究機関も含めて複数の研究者が開発を行っており、気球から吊したテープに小型モデルを昇らせる技術競技会も行われている。昇降用エネルギー昇降用としてのエネルギーは前述のように電気エネルギーによる3つの供給方法が考えられている。マイクロ波もしくは遠赤外レーザーの形で昇降機に送電する方法、太陽電池による発電、搭載型燃料による発電である。昇降機の規模により用いられる供給方法は変わると思われるがバックアップの意味も含めて複合的な供給が望ましい。レーザーによる供給については高高度における減衰と十分なエネルギーが得られるか疑問点が残る。太陽電池の場合、非常に大きなパネルが必要とされる。搭載型燃料については、例えば燃料電池が挙げられる。燃料電池は自動車などに使われるものから火力発電に使われるようなものまで様々な種類がある[22]。電気エネルギーに限らなければ内燃型のエンジンなども選択肢に入るであろう。なお原子力電源については宇宙法の問題により十分に高度な軌道でのみの使用に制限されるため現実的でない。そのため現行技術で昇降機に用いられるエネルギーは火力発電レベルまでである。もっとも、軌道エレベーターに使えるほどの破断長を持つ繊維製のフライホイールは化学反応を超えるエネルギー密度のため技術の開発順序上はより難易度の低いフライホイール・バッテリーのエネルギー密度の高さで搭載燃料の問題は解決されるとみられる。また、ケーブルを使った直接供給では超長距離送電を考慮に入れると損失は1,000km当たり約3%が現在技術の限界である。地上と静止衛星軌道との中間地点である18,000kmでは、単純計算で42%を損失してしまい58%しか使えなくなる。水平方向の加速地球から見ると軌道エレベーターは静止しているように見えるが、実際には地球の自転のせいで、軌道エレベーターは回転運動をしている。軌道エレベータの水平方向の速度は、高さ 0 の位置では地表の移動速度と同じである。軌道エレベータの高さが上がるにつれ、水平方向の速度は(地球中心からの距離に比例して)どんどん増していく必要があるが、実際には、最初に得られた水平方向の速度しか得られない。そこで、軌道エレベータが見かけ上で静止しているためには、高さが増すにつれて水平方向の速度も増す必要がある。つまり、水平方向の加速度を得る必要がある。では、その水平方向の加速度を、どうやって得るか? それが技術的な課題となる。(たとえばエレベーター本体に水平方向の推進力のロケットを搭載するとしたら、その分、搭載できる荷物が減ってしまう。)
建造可能性以外の課題[編集]
Edit-find-replace.svg
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2008年1月)
この節は言葉を濁した曖昧な記述になっています。
Wikipedia:言葉を濁さないを参考に修正してください。(2013年9月)
現時点で議論の焦点は、実際それが技術的に建造可能か否かという点である。ひとたび建造可能性に目処が立った場合、続いて克服すべきいくつかの課題があるだろう。
維持費宇宙空間は相当に過酷な環境であり、軌道エレベータのような長大な建造物も日光や宇宙線などにより材料の劣化にさらされる懸念がある。スペースデブリとの衝突による破損も考慮に入れなければならず、軌道エレベータのような長大な建造物を維持修繕していくのにどの程度の費用がかかるかは不明である。建設費用と維持費用が、はたして軌道エレベータ建造が与える利便に見合うかどうかという問題がある。安全上の問題点軌道エレベータに対する安全上の脅威がいくつか想定される。航空機やシャトル、人工衛星などとの衝突が起きた場合、軌道エレベータの本体は深刻な損傷を受ける。軌道エレベータのケーブル(またはシャフト)部分の一部でも損傷した場合、損傷箇所に極めて大きな応力がかかって、軌道エレベータ全体が崩壊する可能性がある。もし軌道エレベータの質量が十分に大きければ地上の広範囲に被害をもたらすかもしれないが、全米宇宙協会などでの現在の案ではシャフトのような構造はないため、それほど大きな質量を持たず、ケーブルもラップフィルム状の薄いものなので、落下時の空気抵抗が大きく、地上に重大な影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられている[誰によって?]。また、軌道エレベータは縦にきわめて長大な建造物であり、材質の強度と遠心力や重力などのバランスの下に成り立っているため、テロリストによる破壊工作に弱いという指摘がある。衝突事故を防ぐためには、軌道エレベータの周囲の広範囲(ブラッドリー・エドワーズらは「少なくとも数百キロメートル」としているが、根拠は示されていない)を飛行禁止区域として設定し、レーダーなどで常時監視することが必要だろう。軌道エレベータは長い弦とみなせるので、固有振動数に一致する振動が発生すると、減衰せずにエネルギーが蓄積されて振動し続け、応力限界を超えて破壊される恐れがある[注 1]。これは荷物を適宜上げ下げして振動を打ち消すことで回避可能であり、人工衛星やスペースデブリとの衝突を回避するために意図的に振動させることもできる。ある程度大きなスペースデブリは軌道がわかるため、上記の方法で回避できるが、小さなものは衝突を避けられない。軌道エレベータ自体への影響は軽微で済むとしても、軌道エレベータの昇降機や乗客・貨物への悪影響が考えられる。もしくは小さなものでも全損する前提で、多数の軌道エレベータを同時運用し、昇降機そのものに大気圏突入能力を持たせることも考えられている[誰によって?]。対策としては、定期的なスペースデブリの回収作業も並行して行う必要がある。軌道エレベータを使用するかにかかわらず、宇宙開発を今後も推進していくためにはスペースデブリはいずれ回収作業が必要な、現実の問題である(ケスラーシンドロームを参照)。類似の問題として、軍事衛星との衝突の可能性が挙げられる。軍事衛星は機密上存在自体が秘匿されることもあり、特に低高度を飛ぶ偵察衛星などは周回時間も短く、想定範囲外の衝突が発生する恐れもある。これらが衝突を回避する様に全て制御するのは困難であるし、活動の妨げになる物の建造に異を唱える国家などもあり得る。環境への影響軌道エレベータのような大規模構造物が環境にどのような影響を与えるかはまだわかっていない。ただし軌道エレベータのケーブルは極めて細いため、大気の擾乱や熱伝導による気温変化は小さいだろう。またアース・ポート建設地点の生態系の変化や、建造に伴う廃棄物による公害なども考えられるが、軌道エレベータが完成すれば有害物質や騒音を撒き散らすロケットの打ち上げは激減し、相対的には環境によい影響をもたらす可能性もある。いずれにせよ本格的な研究にはまだ着手されておらず、定量的に示すことはできない。政治的課題軌道エレベータはロケットに比べて遥かに安価な輸送手段であり、また経済的に建設できる場所が限られているため、軌道エレベータが建設されるような時代になってもまだ強力な国家や経済ブロックが残存していると、アース・ポートの領海・領空の使用権、軌道エレベータの権利を巡って政治的な紛争が起こる可能性がある。
軌道エレベータを主題とした作品[編集]
軌道エレベータが登場する作品をまとめたリストとして、石原藤夫と金子隆一の共著『軌道エレベータ -宇宙へ架ける橋-』(裳華房版)の巻末付録「『軌道エレベータ』SF作品リスト」がある。
SF小説[編集]
楽園の泉著:アーサー・C・クラーク軌道エレベータSFの代表的作品。架空の島タブロバニー(クラークの終の住処となったスリランカがモデル)を舞台に軌道エレベータ建造に挑む天才技術者の姿を描く。火星におけるテラフォーミングのための建設や、「宇宙のネックレス」構想にも言及されている。星ぼしに架ける橋著:チャールズ・シェフィールド「ビーンストーク(日本語で「豆の木」)」という名の宇宙エレベータの建造を描いた物語。「楽園の泉」と同時期に発表された作品であり、アイデアやプロットも似ているが、アメリカSF作家協会報への公開状(文庫版に収録)でクラークが書いているように、全く別個に発想された作品である。この中でクラークは自身の作品とは異なる、(少々乱暴な)エレベータの地球への固定方法については「身の毛もよだつ」と評している。轍の先にあるもの著:野尻抱介(『沈黙のフライバイ』収録)軌道エレベータ建造による社会の変化を、冒頭で無人探査機の小惑星着陸に心躍らせていたSF作家の「私」が、数十年後には自分の足で小惑星に降り立つという形で描いている。登場する軌道エレベータは、ブラッドリー・エドワーズらが研究しているものに近い。マザーズ・タワー著:吉田親司リング状構造物と極薄のカーボンナノチューブを併用し、ごく短期間で地球低軌道に軌道エレベータを建造しようとする4人組の活躍を描く。完成した軌道エレベータは軌道リングシステムの応用型。南極点のピアピア動画著:野尻抱介カーボンナノチューブを吐き出す蜘蛛を利用して、ごく短時間に軌道エレベータを建設するエピソードがある。三体II:黒暗森林・三体III:死神永生著:劉慈欣『黒暗森林』では、軌道エレベーターのアンカーとして建設された黄河宇宙ステーションで、章北海が化学ロケットの開発者を暗殺するエピソードがある。『死神永生』では、程心が軌道エレベーターを利用して雲天明に会いに行くエピソードがある。宇宙(そら)へ著:福田和代軌道エレベータのメンテナンスマンを主人公とする宇宙お仕事小説。JAXA(宇宙航空研究開発機構)全面協力のもと、リアリティあふれる描写で全編を貫く。銀環計画著:田中芳樹地球温暖化に伴う海面上昇を抑えるために、軌道エレベータを建設、海水を軌道上に噴射しようとする短編小説。妙なる技の乙女たち著:小川一水軌道エレベータができた島で働く女性を描いた連作短編集。ウロボロスの波動著:林譲治_(作家)太陽系の近くに発見されたブラックホールから人工降着円盤を作りエネルギーを取り出すプロジェクトAADDは、そのまま地球圏と異質な社会を構築するようになった。地球とAADDの摩擦を描く連作短編集の中に、マスドライバーによって軌道エレベータへテロを試みるものがある。ザ・ジャグル著:榊一郎大戦後、軌道エレベータのアースポート「永久平和都市」オフィーリアの平和を守る秘密特殊部隊の活躍を描く作品。
漫画[編集]
ダークウィスパー著:山下いくと欧州連合とアフリカ連合との共同プランで推進された『クモの糸計画』で建造される。連載中の時点ではテロリストに秘密裏に占拠された状態にある。まっすぐ天へ著:的場健、協力:金子隆一宇宙開発の研究者である兄と建設会社に勤める弟が、軌道エレベータの実現に向け奮闘する。未完のまま連載終了。ワンダートレック著:かがみあきら子供向け科学雑誌コペル21に連載されていた科学学習漫画。題材の1つとして軌道エレベータが登場した。水惑星年代記著:大石まさる軌道エレベータの建設から火星植民までの宇宙開発の時代を描いた連作短編集。軌道エレベータでの旅行を科学漫画風に解説した短編も含んでいる(「軌道エレベータのひみつ」『水惑星年代記月娘』)。リニアモーター駆動で最高時速約1万kmという設定。サイレントメビウス著:麻宮騎亜完成当日に妖魔に取り込まれてしまい、妖魔が倒されると共に崩壊した。砲神エグザクソン著:園田健一リオファルド人が建造したエレベータシップ。ハワイにエレベースがある。緑の王 VERDANT LORD著:曽我篤士,たかしげ宙アレトゥーサが地球外に種子を飛ばすために木製の軌道エレベーターを建造した。セラフィック・フェザー著:うたたねひろゆき世界経済を支配する巨大企業「ダイスカーツ社」が建設した。物語終盤での戦闘の舞台となる。
アニメ[編集]
宇宙空母ブルーノア日本の映像SFで軌道エレベータが最初に登場した作品。地球に侵攻した異星人、ゴドム人が太平洋上に建設した。超時空世紀オーガス軌道エレベータを巡る経済紛争が物語の発端となっている。エレベータはその後、作中で重要な役目を果たす。上記のブルーノアに続き、日本SFで二番目に登場した軌道エレベータで、地球人が建造した物としては初。Z.O.E. Dolores,i終盤で火星の為に、エレベータを崩壊させて地球壊滅を企む計画(「しなりながら長さ数万キロの鞭が、音速で地球に巻き付く様に落下して来たらどうなる?」と劇中で示唆されている)が実行される。重力の釣り合いを取る為のステーションや、バランス調整用のアジャスターホイール等、かなり本格的な描写がある。宇宙エレベータ 〜科学者の夢みる未来〜監修:日本科学未来館日本科学未来館他、全国のプラネタリウムで公開されている宇宙エレベータ(=軌道エレベータ)を題材にしたアニメーション。宇宙の騎士テッカマンブレード人類は、静止軌道上にオービタル・リングを建造していたが、ここが突如襲来して来た異星生命体ラダムに拠って占拠され、人類は地上に封じ込められていた。オービタル・リングの設定が前面に押し出されて、又物語中ではオービタル・リングと軌道エレベータを巡って幾多の名勝負も行われていた。勇者警察ジェイデッカー物語中に建設途上の軌道エレベータの倒壊事故が発生する。この物語が、後に『BRAVE SAGA』シリーズのステージエピソードになっている。KURAU Phantom Memory地球と月面に存在し、主要交通機関の一つとして登場する。機動戦士ガンダム003つの国家群がそれぞれ所有する軌道エレベータ「タワー」「ラ・トゥール(アフリカタワー)」「天柱」の3基が登場。高軌道と低軌道の2つのオービタルリングによって連結され、低軌道オービタルリングには2基の巨大自由電子レーザー掃射装置「メメントモリ」が建造された。人員物資の輸送の他、太陽発電衛星で得られた電力を地上に送電する機能を持つ。劇中で「メメントモリ」による「ラ・トゥール」の低軌道ステーションを狙っての照射で、外壁が破壊・多数落下する人為的事故が起こる。 フラクタル僧院の本拠地として登場。
映画[編集]
劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE人類の存亡をかけた、軌道エレベータによる「天空の梯子計画」が作品の背景として進行する。『科学がSFを越える日』の「軌道エレベータが登場する代表作品」の数少ない候補のひとつとして紹介されているように、「世界初の軌道エレベーターを映像に取り込んだ実写作品」と言われている。劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-東京都西部にある架空の都市「学園都市」の宇宙エレベーター・「エンデュミオン」に隠された秘密を原作ライトノベルにも無い映画公開向け独自のエピソードとして新たに書き起こした作品。
楽曲[編集]
宇宙エレベーター作詞・作曲:中田ヤスタカ音楽ユニットcapsuleの楽曲(2004年発売のアルバムS.F. sound furniture所収)。軌道エレベータを中心的なモチーフとして扱っている。歌詞においてはカーボンナノチューブにも言及がある。
ゲーム[編集]
ボーダーダウン人類が火星に移住した時代、未知の侵略者による攻撃により火星の軌道エレベーター「ジッグラト」が戦いの舞台になる。これは大都市の中心から伸びる巨大な塔のような建造物。宇宙に設置された制御中枢を破壊されたジッグラトは崩壊し、火星の環境に多大なダメージを与える。それは火星の地表に30000kmを超える傷跡を刻み込むものだった。FRONT MISSION SERIES GUN HAZARDスクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたスーパーファミコン用アクションRPG。軌道エレベーター「アトラス」が最終ステージの舞台。ゼノサーガ エピソードIII[ツァラトゥストラはかく語りき]バンダイナムコゲームスより発売されたプレイステーション2用RPG。星団連邦主星フィフス・エルサレムにおいて、地上への移動手段として登場。4時間掛けて宇宙港・地上間を移動する。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/2213886
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック