2014年02月08日
状態方程式 (化学)
状態方程式(じょうたいほうていしき、英: equation of state[1])とは、熱力学において、状態量の間の関係式のことをいう。 巨視的な系の熱力学的性質を反映しており、系によって式の形は変化する[2]。状態方程式の具体的な形は実験的に決定されるか、統計力学に基づいて計算され、熱力学からは与えられない[2]。
目次 [非表示]
1 狭義の状態方程式
2 気体の状態方程式 2.1 理想気体
2.2 実在気体
3 液体及び固体の状態方程式
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
狭義の状態方程式[編集]
広義には、全ての状態量の間の関係式のことであるが、特に、流体の圧力を温度、体積と物質量で表す式を指す場合が多い[3]。 つまり、温度 T、体積 V、物質量 N の平衡状態にある流体の圧力 p を適当な関数によって
p=p(T,V,N)
のように表した物が(狭義の)状態方程式である[4]。
状態量の圧力、温度の示強性と体積、物質量の示量性から、 スケール変換 (V,N)\to (\lambda V,\lambda N) に対して
p=p(T,\lambda V,\lambda N)
となる。 特に \lambda =1/N と選ぶと
p=p(T,V/N,1)=p(T,v)
となる[5]。ここで v=V/N は単位物質量あたりの体積、つまり比容である。 また、\lambda =1/V と選ぶと
p=p(T,1,N/V)=p(T,\rho )
となる[5]。ここで \rho =N/V は単位体積あたりの物質量、つまり密度である。
気体の状態方程式[編集]
理想気体[編集]
理想気体の状態方程式は、
P={\frac {nRT}{V}}
である。R は気体定数である。この式はボイル=シャルルの法則とアボガドロの法則から導かれる。なお、この式で用いられている温度 T は絶対温度或いは熱力学温度と呼ばれる。分母を払った
PV=nRT
という形で出てくることも多い。
また、この式は統計力学的には相互作用をしない系として導くことができる。
実在気体[編集]
実在気体の場合は、以下のいくつかの近似式が提案されている。
ファンデルワールスの状態方程式
ビリヤルの式
ペン=ロビンソンの状態方程式
ディーテリチの状態方程式
液体及び固体の状態方程式[編集]
状態方程式は気体だけでなく、液体や固体に対しても、その熱力学的状態を記述する状態方程式が存在する。また主に熱平衡状態下での系(物質)の状態変数と温度との関係を表すものが状態方程式であるが、必ずしも状態変数‐温度との関係とは限らない。熱平衡下における磁性体では、磁化⇔磁場、同様に誘電体では、電気分極⇔電場の関係を表す式も状態方程式と言われることがある。
固体における状態方程式としては、マーナハン (Murnaghan) の状態方程式が有名。式は、
E_{{tot}}(V)={BV \over {B'(B'-1)}}\left[B'\left(1-{V_{0} \over {V}}\right)+\left({V_{0} \over {V}}\right)^{{B'}}-1\right]+E_{{tot}}(V_{0})
であり、Etot は系の全エネルギー、B は体積弾性率、B' は体積弾性率の圧力の微分B'=\partial B/\partial P、V0 は平衡格子定数での系の体積、Etot(V0)は平衡格子定数での全エネルギーである。この式で、V = V0 において、右辺括弧内がゼロになり、Etot(V0)となる。
上式は、全エネルギーと体積との関係式(バンド計算などで利用される)であるが、マーナハンの式には圧力と体積との関係式、
P(V)={B \over {B'}}\left[\left({V_{0} \over {V}}\right)^{{B'}}-1\right]
がある。このような固体における圧力‐体積などの関係式(状態方程式)にはいくつか派生型が存在する。マーナハンの式は指数関数を含むため、取り扱いが難しい。そのため応用上問題の無い範囲に近似を行い、多項式で展開し直したバーチ・マーナハン(Birch-Murnaghan)の式がよく使われる。
目次 [非表示]
1 狭義の状態方程式
2 気体の状態方程式 2.1 理想気体
2.2 実在気体
3 液体及び固体の状態方程式
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
狭義の状態方程式[編集]
広義には、全ての状態量の間の関係式のことであるが、特に、流体の圧力を温度、体積と物質量で表す式を指す場合が多い[3]。 つまり、温度 T、体積 V、物質量 N の平衡状態にある流体の圧力 p を適当な関数によって
p=p(T,V,N)
のように表した物が(狭義の)状態方程式である[4]。
状態量の圧力、温度の示強性と体積、物質量の示量性から、 スケール変換 (V,N)\to (\lambda V,\lambda N) に対して
p=p(T,\lambda V,\lambda N)
となる。 特に \lambda =1/N と選ぶと
p=p(T,V/N,1)=p(T,v)
となる[5]。ここで v=V/N は単位物質量あたりの体積、つまり比容である。 また、\lambda =1/V と選ぶと
p=p(T,1,N/V)=p(T,\rho )
となる[5]。ここで \rho =N/V は単位体積あたりの物質量、つまり密度である。
気体の状態方程式[編集]
理想気体[編集]
理想気体の状態方程式は、
P={\frac {nRT}{V}}
である。R は気体定数である。この式はボイル=シャルルの法則とアボガドロの法則から導かれる。なお、この式で用いられている温度 T は絶対温度或いは熱力学温度と呼ばれる。分母を払った
PV=nRT
という形で出てくることも多い。
また、この式は統計力学的には相互作用をしない系として導くことができる。
実在気体[編集]
実在気体の場合は、以下のいくつかの近似式が提案されている。
ファンデルワールスの状態方程式
ビリヤルの式
ペン=ロビンソンの状態方程式
ディーテリチの状態方程式
液体及び固体の状態方程式[編集]
状態方程式は気体だけでなく、液体や固体に対しても、その熱力学的状態を記述する状態方程式が存在する。また主に熱平衡状態下での系(物質)の状態変数と温度との関係を表すものが状態方程式であるが、必ずしも状態変数‐温度との関係とは限らない。熱平衡下における磁性体では、磁化⇔磁場、同様に誘電体では、電気分極⇔電場の関係を表す式も状態方程式と言われることがある。
固体における状態方程式としては、マーナハン (Murnaghan) の状態方程式が有名。式は、
E_{{tot}}(V)={BV \over {B'(B'-1)}}\left[B'\left(1-{V_{0} \over {V}}\right)+\left({V_{0} \over {V}}\right)^{{B'}}-1\right]+E_{{tot}}(V_{0})
であり、Etot は系の全エネルギー、B は体積弾性率、B' は体積弾性率の圧力の微分B'=\partial B/\partial P、V0 は平衡格子定数での系の体積、Etot(V0)は平衡格子定数での全エネルギーである。この式で、V = V0 において、右辺括弧内がゼロになり、Etot(V0)となる。
上式は、全エネルギーと体積との関係式(バンド計算などで利用される)であるが、マーナハンの式には圧力と体積との関係式、
P(V)={B \over {B'}}\left[\left({V_{0} \over {V}}\right)^{{B'}}-1\right]
がある。このような固体における圧力‐体積などの関係式(状態方程式)にはいくつか派生型が存在する。マーナハンの式は指数関数を含むため、取り扱いが難しい。そのため応用上問題の無い範囲に近似を行い、多項式で展開し直したバーチ・マーナハン(Birch-Murnaghan)の式がよく使われる。
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