2014年02月06日
トランスパーソナル心理学
トランスパーソナル心理学とは、1960年代に展開しはじめた心理学の新しい潮流で、行動主義心理学、精神分析、人間性心理学に続く第四の心理学。人間性心理学における自己超越の概念をさらに発展させたとされる。人間の究極的な目的とは、自己を越えた何ものかに統合されると考え、そのための精神統合の手法を開発した。
トランスパーソナル心理学の定義[編集]
Lajoie and Shapiro (1992) は、40の1969年から1991年までの記事になったトランスパーソナル心理学の定義をレビューし、各定義に共通の5つの特徴を抽出した。それは(1)意識的な状態、(2)至高または究極の潜在性、(3)自我または個人的な自己を超える点、(4)超越性(トランセンダント)、(5)スピリチュアルであること、だとした。
Walsh and Vaughan (1993)は、存在論的または方法論的に、暗黙的合意を前提としてしまっている点について、多くのトランスパーソナル心理学の定義を批判した。 また、彼らはトランスパーソナル心理学を、意識の健康な状態や、永遠の哲学にだけ結びつけようとする定義の問題点を指摘した。これらの研究者はトランスパーソナルな体験や現象に気を配るだけでなく、「これらの現象は、トランスパーソナルな経験の原因、効果や相関物、修行やそれらの影響で創り出されたものも含む。」と記している。(Walsh & Vaughan, 1993, p203).
発展の歴史[編集]
ウィリアム・ジェームズ、ジークムント・フロイト、オットー・ランク、カール・グスタフ・ユング、アブラハム・マズロー、ロベルト・アサジオリは、この領域の時代を形作る主要な人たちである。(Cowley & Derezotes, 1994; Miller, 1998; Davis, 2003). Vich (1988)の研究によると、最初の「トランスパーソナル」という言葉は、ウィリアム・ジェームズが1905-6年ハーバード大学の授業の準備のために用意したノートに見られる。この新しい学問領域を確立する有力な動機になったものは、アブラハム・マズローの至高体験に関するすでに出版されていた発表であった。マズローの研究は、1960年代の人間性回復運動から育ってきたものであり、「トランスパーソナル」という言葉が、人間性回復運動の中で、次第に、区別されるものとして認識されるようになっていった。
主な研究機関[編集]
日本国内にも、大学等で研究する研究者は存在する。
大学院レベルでトランスパーソナル心理学を専攻できる大学としては、
The Institute of Transpersonal Psychology (US) John F. Kennedy University (US) California Institute of Integral Studies (US) Saybrook Institute (US) Naropa University (US) Liverpool John Moores University (UK)
等がある。
代表的な心理学者[編集]
代表的な心理学者としては、イタリア人でフロイトの弟子の一人サイコシンセシス(精神統合)のロベルト・アサジオリ、人間性心理学でも知られ、至高体験にも焦点をあてたアブラハム・マズロー、ホロトロピック・ブレスワークを開発した精神科医のスタニスラフ・グロフなどが上げられる。
なお、現在、インテグラル思想の提唱者として活躍するアメリカの思想家・ケン・ウィルバー(KW)のトランスパーソナル運動との関りについては、注意が必要となるだろう。ウィルバーは、執筆活動の初期より、トランスパーソナル運動が内包していた諸々の構造的な問題を認識しており、数々の著作をとおして、その克服のための提言をくりかえして行ってきている。しかし、そうしたこころみにもかかわらず、トランスパーソナル運動は、Spiral Dynamics理論において"Green vMeme"と形容される価値観の構造的な限界を克服することができないままに、確実に調査・研究・実践の領域において劣化をつづけている(Wilber, 2000)。こうした状況のもと、1990年代の後半、ウィルバーは、当時Association for Transpersonal Psychology(ATP)の総監督(Executive Director)を務めていたMiles Vichの辞任を契機として、自らもATPの運営を離れて、また、トランスパーソナル運動そのものとも訣別を表明している。その意味では、ウィルバーをトランスパーソナル運動の一員としてみなすことは、もはや無理があるといえるだろう。
トランスパーソナル心理学への批判[編集]
新しい学問領域であるため、プロトサイエンスのレベルに達しているかどうかという疑問がもたれる場合もあるが、臨床では一定の効果が認められる。その点に関して、思い込めば効果はある(プラセボ)という見方もあり、それが科学かどうかとは別の論点であるという指摘がある。もともとニューエイジ思想の影響が色濃く、「自己を超えたなにものか」という領域は、再現性に乏しい上にスピリチュアリティーも扱うため宗教に近い部分もあり、そのため宗教やオカルトそのものであるとの批判がある。ユング心理学のようにオカルトあるいは疑似科学であるとの批判に対し、十分な説明がなされていないという意見が批判者の間では大勢である。
再現可能性、実験再現性、再観測可能性や、臨床試験を中心に据えた研究発表が現時点では非常に少なく、反駁不可能な領域に関しても言及しようとする傾向が強いことが、批判される一因である。
トランスパーソナル心理学の定義[編集]
Lajoie and Shapiro (1992) は、40の1969年から1991年までの記事になったトランスパーソナル心理学の定義をレビューし、各定義に共通の5つの特徴を抽出した。それは(1)意識的な状態、(2)至高または究極の潜在性、(3)自我または個人的な自己を超える点、(4)超越性(トランセンダント)、(5)スピリチュアルであること、だとした。
Walsh and Vaughan (1993)は、存在論的または方法論的に、暗黙的合意を前提としてしまっている点について、多くのトランスパーソナル心理学の定義を批判した。 また、彼らはトランスパーソナル心理学を、意識の健康な状態や、永遠の哲学にだけ結びつけようとする定義の問題点を指摘した。これらの研究者はトランスパーソナルな体験や現象に気を配るだけでなく、「これらの現象は、トランスパーソナルな経験の原因、効果や相関物、修行やそれらの影響で創り出されたものも含む。」と記している。(Walsh & Vaughan, 1993, p203).
発展の歴史[編集]
ウィリアム・ジェームズ、ジークムント・フロイト、オットー・ランク、カール・グスタフ・ユング、アブラハム・マズロー、ロベルト・アサジオリは、この領域の時代を形作る主要な人たちである。(Cowley & Derezotes, 1994; Miller, 1998; Davis, 2003). Vich (1988)の研究によると、最初の「トランスパーソナル」という言葉は、ウィリアム・ジェームズが1905-6年ハーバード大学の授業の準備のために用意したノートに見られる。この新しい学問領域を確立する有力な動機になったものは、アブラハム・マズローの至高体験に関するすでに出版されていた発表であった。マズローの研究は、1960年代の人間性回復運動から育ってきたものであり、「トランスパーソナル」という言葉が、人間性回復運動の中で、次第に、区別されるものとして認識されるようになっていった。
主な研究機関[編集]
日本国内にも、大学等で研究する研究者は存在する。
大学院レベルでトランスパーソナル心理学を専攻できる大学としては、
The Institute of Transpersonal Psychology (US) John F. Kennedy University (US) California Institute of Integral Studies (US) Saybrook Institute (US) Naropa University (US) Liverpool John Moores University (UK)
等がある。
代表的な心理学者[編集]
代表的な心理学者としては、イタリア人でフロイトの弟子の一人サイコシンセシス(精神統合)のロベルト・アサジオリ、人間性心理学でも知られ、至高体験にも焦点をあてたアブラハム・マズロー、ホロトロピック・ブレスワークを開発した精神科医のスタニスラフ・グロフなどが上げられる。
なお、現在、インテグラル思想の提唱者として活躍するアメリカの思想家・ケン・ウィルバー(KW)のトランスパーソナル運動との関りについては、注意が必要となるだろう。ウィルバーは、執筆活動の初期より、トランスパーソナル運動が内包していた諸々の構造的な問題を認識しており、数々の著作をとおして、その克服のための提言をくりかえして行ってきている。しかし、そうしたこころみにもかかわらず、トランスパーソナル運動は、Spiral Dynamics理論において"Green vMeme"と形容される価値観の構造的な限界を克服することができないままに、確実に調査・研究・実践の領域において劣化をつづけている(Wilber, 2000)。こうした状況のもと、1990年代の後半、ウィルバーは、当時Association for Transpersonal Psychology(ATP)の総監督(Executive Director)を務めていたMiles Vichの辞任を契機として、自らもATPの運営を離れて、また、トランスパーソナル運動そのものとも訣別を表明している。その意味では、ウィルバーをトランスパーソナル運動の一員としてみなすことは、もはや無理があるといえるだろう。
トランスパーソナル心理学への批判[編集]
新しい学問領域であるため、プロトサイエンスのレベルに達しているかどうかという疑問がもたれる場合もあるが、臨床では一定の効果が認められる。その点に関して、思い込めば効果はある(プラセボ)という見方もあり、それが科学かどうかとは別の論点であるという指摘がある。もともとニューエイジ思想の影響が色濃く、「自己を超えたなにものか」という領域は、再現性に乏しい上にスピリチュアリティーも扱うため宗教に近い部分もあり、そのため宗教やオカルトそのものであるとの批判がある。ユング心理学のようにオカルトあるいは疑似科学であるとの批判に対し、十分な説明がなされていないという意見が批判者の間では大勢である。
再現可能性、実験再現性、再観測可能性や、臨床試験を中心に据えた研究発表が現時点では非常に少なく、反駁不可能な領域に関しても言及しようとする傾向が強いことが、批判される一因である。
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