2014年02月06日
モーガン・ル・フェイ
モーガン・ル・フェイ(英語: Morgan le Fay)は、アーサー王物語に登場する女性。多くの作品で、アーサー王の異父姉にして魔女として知られる。
名称[編集]
モーガン・ル・フェイは現代英語読みで、古い読みではモルガン・ル・フェという。その呼称は『妖精モルガン』という意味。「大いなる女王」の意味を持つケルト神話の女神・モリガンと同一視される。ケルトでは、三位一体(三相女神)の三は聖なる数字とされており、三がさらに三つある九は究極の数字とされ、九姉妹の長女として、モルガン・ル・フェを扱っている。イタリアではファタ・モルガーナ(Fata Morgana)と呼ばれる。
魔女として[編集]
『アーサー王の最後の眠り』(1898、エドワード・バーン=ジョーンズ)重傷を負ったアーサー王とアヴァロンを統治する姉妹たち。
この人物を初出の文献『マーリンの生涯』(Vita Merlini)では、モーガン(モルゲンや妖精モルガナ)は伝説の林檎の島・アヴァロンを統治する九姉妹の長姉である。役立つ知識と医術を兼ね備え、病人を治療することもできる。また美しい声を持つ歌姫として、他の姉妹たちよりもずっと美しい。変身能力があり、ダイダロスのように翼を使って空を飛翔できた。時常に他の姉妹たちに学問を教えた。その後、タリエシンも随行した船で、カムランの戦いで重傷を負ったアーサー王をアヴァロン島へ連れて行った。ブリトン人らの助けを借りて、アーサー王を連れたモーガンたちが到着する。後にモーガンは部屋を用意すると、アーサー王を金のベッドに寝かす、自分の治癒の力を使いてアーサー王の傷を治癒していた。
15世紀後半以降に文献『アーサー王の死』(Le Morte d'Arthur)では、モルガンが黒魔術を使い邪悪の魔女へ変更された。モルガンは、ティンタジェル公ゴルロイスとその妻イグレインとの間に生まれた三女の末娘とされる。母イグレインがアーサーの父ユーサー・ペンドラゴンと再婚した後、キリスト教の修道院にて修業、魔術に通じ、修道院での堕落した教育で不思議な妖術を突然身に付け、異父弟アーサーの前に立ちはだかる妖女である。後に魔法使いマーリンは、彼女が魔力を磨くのを手伝い始める。モルガンはアーサーの純粋な心を嫌悪し、アーサーとグィネヴィアの陥害と王位奪取を企む。アーサー王の最強の敵となる。円卓の騎士の一人、ランスロットの妻となるペレス王の娘エレイン姫の美しさを妬み、彼女を幽閉しランスロットを誘惑した。また、聖剣エクスカリバーの魔法の鞘をアーサーから盗み、恋人のアコーロンを交わす。これによってエクスカリバーはアーサーを守る不死の力を失い、やがてアーサーはモルゴース(モルガンの姉)との間の不義の子であるモルドレッドとの戦いで命を落とす事になる。映画や小説などではモルガンとモルゴースは同一人物として描かれる事もある。
1300年代後半の文献『ガウェイン卿と緑の騎士』(Sir Gawain and the Green Knight)にも登場し、「女神モルガン」の呼称でもって呼んでいる。グィネヴィアの女官と医師を担当する。王の甥ジオマールと恋に落ち、後にグィネヴィアの阻止を受け入れた不成立に終わった。このことが原因で、モルガンはグィネヴィアを憎んだ。後にグィネヴィアとランスロットの情事をアーサー王に密告する。また緑の騎士をキャメロット城に送って、グイネヴィアを恐怖で縛り付ける。緑の騎士はモルガンの魔法により不死の身体を持つ緑色の装束に身を包んだ謎の騎士。円卓の騎士を試すためにアーサー王たちの前に現れた。後に円卓の騎士のガウェインが女神モルガンの誘惑に屈しなかったため、「女神の騎士」を変えて、女神モルガンを象徴する五芒星と緑のベルトに身を付けて、粗野で好色な自慢家として一生を終える。
巫女として[編集]
以上は、キリスト教説話としての性質も色濃く見られるアーサー王伝説の中での表現であるが、現代的な視点からは、ケルト人のドルイド信仰をはじめとするキリスト教以外の信仰に根ざした文化圏に属する民族と、キリスト教価値観との文化的な衝突を、モーガン(土着文化の民族)とアーサー(キリスト教に立脚した支配者)という二人の人物像に仮託した伝承であると見ることもできる。
その場合この姉弟の対立は、悪意に満ちたものと言うよりも、土着文化を理解できないキリスト教文化により歪曲されていると捉えられなくもない。
アイルランドの伝説では、モルガンは三相一体の女神となり、この時に九人の姉妹に増えて死者を再生する魔法の大鍋を守り、西方の死者の島・アヴァロンの支配者となった。
伝承中ではアーサーは死に際し、キリスト教ではなく民族の王として、ドルイド信仰の伝説の聖地アヴァロンへと夜の湖の上を去っていくが、一説ではこの時アーサーを迎えに来た三人の妖精の女のうち、一人はモーガンであったとも語られる。通常に湖の乙女のヴィヴィアン(Viviane)と同一の大女神から派生した女神といえそうである。
このような「古い文化圏の巫女」としてのモーガンの性質に注目してアーサー王伝説を捉え直したフィクションに、マリオン・ジマー・ブラッドリーのファンタジー小説『アヴァロンの霧』などがある。
モーガン・ル・フェイが登場する作品[編集]
「アーサー王に関する書籍の一覧」および「アーサー王に関する作品一覧」を参照
名称[編集]
モーガン・ル・フェイは現代英語読みで、古い読みではモルガン・ル・フェという。その呼称は『妖精モルガン』という意味。「大いなる女王」の意味を持つケルト神話の女神・モリガンと同一視される。ケルトでは、三位一体(三相女神)の三は聖なる数字とされており、三がさらに三つある九は究極の数字とされ、九姉妹の長女として、モルガン・ル・フェを扱っている。イタリアではファタ・モルガーナ(Fata Morgana)と呼ばれる。
魔女として[編集]
『アーサー王の最後の眠り』(1898、エドワード・バーン=ジョーンズ)重傷を負ったアーサー王とアヴァロンを統治する姉妹たち。
この人物を初出の文献『マーリンの生涯』(Vita Merlini)では、モーガン(モルゲンや妖精モルガナ)は伝説の林檎の島・アヴァロンを統治する九姉妹の長姉である。役立つ知識と医術を兼ね備え、病人を治療することもできる。また美しい声を持つ歌姫として、他の姉妹たちよりもずっと美しい。変身能力があり、ダイダロスのように翼を使って空を飛翔できた。時常に他の姉妹たちに学問を教えた。その後、タリエシンも随行した船で、カムランの戦いで重傷を負ったアーサー王をアヴァロン島へ連れて行った。ブリトン人らの助けを借りて、アーサー王を連れたモーガンたちが到着する。後にモーガンは部屋を用意すると、アーサー王を金のベッドに寝かす、自分の治癒の力を使いてアーサー王の傷を治癒していた。
15世紀後半以降に文献『アーサー王の死』(Le Morte d'Arthur)では、モルガンが黒魔術を使い邪悪の魔女へ変更された。モルガンは、ティンタジェル公ゴルロイスとその妻イグレインとの間に生まれた三女の末娘とされる。母イグレインがアーサーの父ユーサー・ペンドラゴンと再婚した後、キリスト教の修道院にて修業、魔術に通じ、修道院での堕落した教育で不思議な妖術を突然身に付け、異父弟アーサーの前に立ちはだかる妖女である。後に魔法使いマーリンは、彼女が魔力を磨くのを手伝い始める。モルガンはアーサーの純粋な心を嫌悪し、アーサーとグィネヴィアの陥害と王位奪取を企む。アーサー王の最強の敵となる。円卓の騎士の一人、ランスロットの妻となるペレス王の娘エレイン姫の美しさを妬み、彼女を幽閉しランスロットを誘惑した。また、聖剣エクスカリバーの魔法の鞘をアーサーから盗み、恋人のアコーロンを交わす。これによってエクスカリバーはアーサーを守る不死の力を失い、やがてアーサーはモルゴース(モルガンの姉)との間の不義の子であるモルドレッドとの戦いで命を落とす事になる。映画や小説などではモルガンとモルゴースは同一人物として描かれる事もある。
1300年代後半の文献『ガウェイン卿と緑の騎士』(Sir Gawain and the Green Knight)にも登場し、「女神モルガン」の呼称でもって呼んでいる。グィネヴィアの女官と医師を担当する。王の甥ジオマールと恋に落ち、後にグィネヴィアの阻止を受け入れた不成立に終わった。このことが原因で、モルガンはグィネヴィアを憎んだ。後にグィネヴィアとランスロットの情事をアーサー王に密告する。また緑の騎士をキャメロット城に送って、グイネヴィアを恐怖で縛り付ける。緑の騎士はモルガンの魔法により不死の身体を持つ緑色の装束に身を包んだ謎の騎士。円卓の騎士を試すためにアーサー王たちの前に現れた。後に円卓の騎士のガウェインが女神モルガンの誘惑に屈しなかったため、「女神の騎士」を変えて、女神モルガンを象徴する五芒星と緑のベルトに身を付けて、粗野で好色な自慢家として一生を終える。
巫女として[編集]
以上は、キリスト教説話としての性質も色濃く見られるアーサー王伝説の中での表現であるが、現代的な視点からは、ケルト人のドルイド信仰をはじめとするキリスト教以外の信仰に根ざした文化圏に属する民族と、キリスト教価値観との文化的な衝突を、モーガン(土着文化の民族)とアーサー(キリスト教に立脚した支配者)という二人の人物像に仮託した伝承であると見ることもできる。
その場合この姉弟の対立は、悪意に満ちたものと言うよりも、土着文化を理解できないキリスト教文化により歪曲されていると捉えられなくもない。
アイルランドの伝説では、モルガンは三相一体の女神となり、この時に九人の姉妹に増えて死者を再生する魔法の大鍋を守り、西方の死者の島・アヴァロンの支配者となった。
伝承中ではアーサーは死に際し、キリスト教ではなく民族の王として、ドルイド信仰の伝説の聖地アヴァロンへと夜の湖の上を去っていくが、一説ではこの時アーサーを迎えに来た三人の妖精の女のうち、一人はモーガンであったとも語られる。通常に湖の乙女のヴィヴィアン(Viviane)と同一の大女神から派生した女神といえそうである。
このような「古い文化圏の巫女」としてのモーガンの性質に注目してアーサー王伝説を捉え直したフィクションに、マリオン・ジマー・ブラッドリーのファンタジー小説『アヴァロンの霧』などがある。
モーガン・ル・フェイが登場する作品[編集]
「アーサー王に関する書籍の一覧」および「アーサー王に関する作品一覧」を参照
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