自船から逃げなければならない・・・とずっと思っていました。
私は一応、海技免状(小型船舶操縦)を持っています。
それで言う訳でもないのですが羽田沖であった飛行機事故の
ように仮にも(こんな男、本当に仮りですけど・・・)キャプテンと
呼ばれる人が乗客や客室乗務員を置いてスタコラサッサと
いの一番に逃げるわけがないのです。・・・・と思っていました。
ところがこれは1970年までのお話しだったのです。
勿論、船長たるもの乗客、乗員の安全を確保するのは
当たり前のことですが、船が沈没する時にも最後の最後まで
船にとどまる「最後撤退義務」は今はないのだそうです。
だから、先般イタリアかどこかであった「船長早期離船で
大ブーイング事件」はブーイングを受ける謂れはないのかも
知れません。
私が小さい頃、海の男は命を掛けて海に挑む人で
男の中の男といった存在でした。
海の男に限らず本来、男子たるもの最後まで信じたものを守る、
守り通すことが必要なのではないかと、時代に取り残された
私のような人間は思うわけであります。
そんな自分に取って当たり前の価値観が当たり前でなくなって
来つつあることに非常に不安を覚えます。
「恥を知る」・・・こういう言葉すら聞かれなくなってしまいましたね。
さよならの夏 手島葵さん
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