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「飲むだけで−3kg！」大流行の「韓国式ダイエット漢方」に潜むリスク　専門家は「健康被害に繋がる可能性がある」




デイリー新潮
「「韓国式ダイエット漢方」が流行（写真はイメージ）

　運動や食事制限無しに、楽に痩せたい……そんな願望が叶うかのような「漢方を飲むだけで簡単に痩せられた」といった体験談がSNSに多数投稿されている。特に若い女性を中心に流行しているこの「韓国式ダイエット漢方」は、購入の手軽さも人気の理由のよう。果たして健康に影響はないのだろうか。

【実際の画像】ダイエット漢方を販売する韓国のクリニックに問い合わせると、絵文字付きの“軽いノリ”の返信が

数週間で-3kg！　すごすぎる…！　
「韓国式ダイエット漢方」の“驚くべき効果”を綴った実際のX上の投稿をいくつか紹介しよう。

〈私3週間弱で6kgちょい落としてるんだけど天才すぎない、、？　運動は一切してないけど今まで見たことない腹筋まで出て来たし、、〉

〈最近太っちゃって痩せるのにいい方法ないかなって探してたら食欲抑えてくれる漢方を見つけたんだけどこれがほんとに大正解だった。ご飯の前に漢方飲むだけでそれ以外運動も何もしてないのに数週間で-3kg！　すごすぎる…！　あんなに止まらなかった食欲が嘘のように無くなったの〉

〈韓国でインフルエンサーしてるほっそい友達から教えてもらったダイエット（薬）やばい、、もともと瘦せ型の私でも2週間で4.9kg落ちて30kg台になったもん〉

　スリムな女性の姿や体重計の数値の画像とともに投稿されているこれらの“口コミ”。そして、そのリプライ（返信）投稿で、ダイエット漢方の購入窓口となる公式LINEのURLが記載されている。

　試しにある韓国のクリニックの公式LINEにメッセージを送ってみたところ、すぐに薬の種類や価格の案内が送られてきた。1か月分17000円と高額で、さらに送料がかかるという。

　さらに、この漢方薬を知るきっかけとなったSNS投稿を公式LINEに送ることで、割引価格で購入できるというメッセージも来た。SNSの投稿主にもクリニックから何らかの報酬が与えられる仕組みなのかもしれない。


健康被害に繋がる可能性
　他にも、SNS上には〈食欲を消し去ってくれる〉〈食べるって思考が無くなるくらいに食欲無くなる〉〈食欲抑制効果やばすぎて1日1食でも充分〉と驚くほどの効果の高さを示す文言が並ぶ。

　果たして韓国のクリニックなどで通信販売されているダイエット漢方薬にリスクはないのだろうか。偽造医薬品のリスクなどを研究する医薬品セキュリティ研究会の吉田直子助教（金沢大学、臨床薬学）は警鐘を鳴らす。

「医薬品を個人輸入し、服用することは健康被害に繋がる可能性があります。『口コミが良いから』『LINEで簡単に買えるから』といった理由で、体に摂り入れるものを安易に購入することはやめた方がよいです。現状、飲むだけで安全に（健康被害なく）一気に痩せられる薬はないと考えるべきです」（以下吉田助教）

漢方薬だから安心ではない
　インターネットやSNSを通じ、海外のクリニックなどから輸入したダイエット薬の健康被害は度々問題になっている。

「今年1月には、ダイエット効果を謳ったベトナム製の『デトキシレットゼリー』の被害が問題になりました。“痩せるゼリー”としてSNSなどで販売されていましたが、未承認の医薬成分『シブトラミン』が含まれていたのです。『シブトラミン』は、肥満症の治療薬の成分として1997年にアメリカFDAが承認しましたが、のちに循環器系の副作用が多数報告され、販売が中止になったものです。ゼリーを服用した人は、動悸や頭痛に悩まされることになりました」

　さらに数年前には、「ホスピタルダイエット」や「MDクリニックダイエット」といった名称で個人輸入されていたタイ製のダイエット薬の健康被害が問題になった。厚生労働省のHPによると、インターネット販売された錠剤やカプセルから、パッケージなどには記載の無いさまざまな医薬品成分が検出された。服用した人は動悸、ふらつき、四肢の麻痺、甲状腺機能亢進などの症状が現れ、死亡した例まで報告されているという。

「最近、若い世代を中心に人気になっている『ダイエット漢方』は、漢方だから作用が優しそうで安心といった印象を持っている人がいるかもしれませんが、それは間違いです。漢方薬であっても効き目が強いものがありますし、個人輸入であれば、漢方薬と謳いながら生薬以外の医薬成分が含まれている可能性も十分ありえます」

　ダイエット効果を報告する投稿がある一方で、「韓国式ダイエット漢方」を服用することで動悸や倦怠感などを感じ、飲むのを止めたというブログ記事などもある。

「同じ薬を飲んでも、副作用が出る人とそうでない人がいます。SNSでも一部にそうした報告があるということは、一定の人に副作用が出る可能性があると考えた方が良いでしょう」

　副作用が一時話題になった昨年には、韓国式ダイエット漢方を販売するクリニックが〈処方する際に第一に考えるのは、服用したときにお客様が不快な症状・副作用がないことです〉とし、漢方薬を摂取しながらの過度な食事制限が副作用を招く可能性があると注意喚起をしている。