2017年11月30日
米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年12月1日24:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月1日24:00に米国景気指標「ISM製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、(a) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(b) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(c) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、です。そのため、本指標を「重要度・注目度が高い」と位置付けている指標解説は多いようです。
がしかし、巻頭表に示した通り、反応(値動き)がそれほど大きくありません。取引を行う上での魅力度で言えば、それほど大事な指標ではありません。
本指数の解釈は、50[ips]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50[ips]未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で14pipsです。反応程度は平均的な指標です。
分布を見ると、21pips以下の範囲に反応程度が収まったことが72%を占めています。たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足(y)の一次回帰式(赤線)の係数は1を超えています。回帰式的には、反応を伸ばしがちな指標だと言えます。
一方、第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)の上下の分布を見てみましょう。直後1分足が陽線ならば18pips以上で、陰線ならば7pips以上で、反応を伸ばしています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは2015年12月分をボトムに上昇基調が続いています。2017年に入って55前後で停滞したいたものの、2017年9月分で60を上抜けました。今回の予想は前月に引き続き下降となっています。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事後差異は、4✕景況指数事後差異+3✕雇用指数事後差異+1✕価格指数事後差異、という判別式を用います。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足との方向一致率は81%となっています。
実態差異は、2✕景況指数実態差異+2✕雇用指数実態差異+1✕雇用指標実態差異+2✕価格指数実態差異、という判別式を用います。この式の解の符号と直後11分足との方向一致率は71%となっています。
これらの結果から、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
多くの指標解説書籍・記事で、「NY連銀指標で動向を掴み、Phil連銀指標でそれを再確認して、ISM発表に臨むと良い」旨、記載されています。がしかし、この話は事実に照らして正しくありません。「ありそうな関係」であっても、単月毎の両指標の結果増減を比較する限り、両指標には参考にすべき増減一致がありません。
2015年1月分から2017年9月分までの32回のデータで確認しておきました。
本指標実態差異と、同月分のNY連銀指数・Phil連銀指数・製造業PMI確定値の実態差異の方向一致回数・方向一致率は以下の通りです。
一致数 一致率
NY連銀 18回 56%
Phil連銀 19回 59%
製造業PMI 14回 44%
単月毎の指標結果を予想するのにあたって、個々の指標同士を比べる限り、前月と当月の増減方向すらアテにならないことがわかります。
けれども、NY連銀とPhil連銀と製造業PMI確定値の全ての実態差異方向が一致したとき、ISM製造業景況指数の実態差異との方向が、過去に6回中5回(期待的中率83%)が一致しています。
同じ11月分は、NY連銀とPhil連銀の実態差異がマイナスで一致しています。そして、本指標発表15分前に発表される製造業PMI確定値の実態差異がマイナス(53.8未満)ならば、直後1分足は陰線となる期待的中率は83%になります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度12%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均14pipsよりもやや小さくなっています。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)が一致しています。
つまり、直前10-1分足が大きく跳ねても、直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度6%)しかありません。
この2回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均14pipsとほぼ同じです。そして、この2回の直前1分足と直後1分足の方向は1回(50%)です。
つまり、直前1分足が大きく跳ねても、直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率36%)です。直後11分足のそれは5pips(戻り比率25%)です。平均的な反応程度の指標における戻り比率としては、直後11分足のそれが小さいようです。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足と事後差異の方向一致率は74%です。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は、0.74✕0.81+(1−0.74)✕(1−0.81)=65%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ81%・62%となっています。実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ79%・71%です。
市場予想に対する発表結果の良し悪しに、直後1分足は素直に反応するものの、直後11分足はそうとも言えない一致率となっています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは、直前10-1分足と直後11分足との方向一致率が77%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%、です。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは81%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは59%です。59%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を探った方が良さそうです。59%ですから、無理する必要なんてありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月2日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前月・予想を下回り、反応は陰線でした。
前回9月分は、2004年5月分以来の高い数値だったこともあり、今回10月分は僅かにそれを下回りました。依然としてグラフは上昇基調と言えます。
寝てました。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年12月1日24:00に米国景気指標「ISM製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 多くの指標解説書籍・記事で、「NY連銀指標で動向を掴み、Phil連銀指標でそれを再確認して、ISM発表に臨むと良い」旨、記載されています。がしかし、この話は事実に基づいていません。
同月集計分の本指標とNY連銀指数との実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は56%、Phil連銀指数とは59%、製造業PMI確定値とは44%しかありません。単月毎の指標結果を予想するのにあたって、個々の指標同士を比べる限り、前月と当月の増減方向すらアテにならないことがわかります。
本指標に関する限り、アテにできる事前情報は2つです。
ひとつは、単月毎でなくグラフ推移全体の上昇基調・下降基調といった情報です。
もうひとつは、NY連銀・Phil連銀・製造業PMI確定値の全ての実態差異方向が一致したとき、ISM製造業景況指数の実態差異との方向が、過去に6回中5回(期待的中率83%)が一致しています。 - 指標発表前の直前10-1分足・直前1分足が大きく跳ねても、それは指標発表後の直後1分足・直後11分足の方向や程度と関係ありません。
直前10-1分足は直後11分足との方向一致率が77%となっています。意外なことに、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は高くありません(48%)。直後1分足と直後11分足の反転は19%しか起きていないものの、反応方向の見極めは慎重に行った方が良いでしょう。 - 指標発表後は、早期追撃開始して1分を過ぎたら利確の機会を探った方が良いでしょう。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは81%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
一方、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは59%です。59%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を探った方が良さそうです。59%ですから、無理する必要なんてありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 本指標に先立ち23:45に発表される製造業PMI確定値の53.8未満だったときは、直ちに売ポジションを取ります。利確・損切の目安は5-10pipsです。
論拠は、同月集計分のNY連銀・Phil連銀の指数の実態差異が揃ってマイナスです。製造業PMI確定値の実態差異もマイナスの場合、3つの先行指標の実態差異の符号が一致します。過去にこうした場合、過去6回のうち5回(83%)がISMの実態差異も同じになっています。
幸い、今回の本指標市場予想は、前回結果に対し低くなっているものの、前回結果との差異は僅かです。本指標実態差異がマイナスならば、事後差異(発表結果ー市場予想)もマイナスとなる公算が高いと言えます。 - 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得します。利確/損切は発表から10分程度か、15pipsの含益・含損になったときです。
- 追撃は早期開始し、短期利確とします。複数回の追撃も可ですが、短期取引で行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、(a) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(b) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(c) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、です。そのため、本指標を「重要度・注目度が高い」と位置付けている指標解説は多いようです。
がしかし、巻頭表に示した通り、反応(値動き)がそれほど大きくありません。取引を行う上での魅力度で言えば、それほど大事な指標ではありません。
本指数の解釈は、50[ips]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50[ips]未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
ーーー$€¥ーーー
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で14pipsです。反応程度は平均的な指標です。
分布を見ると、21pips以下の範囲に反応程度が収まったことが72%を占めています。たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足(y)の一次回帰式(赤線)の係数は1を超えています。回帰式的には、反応を伸ばしがちな指標だと言えます。
一方、第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)の上下の分布を見てみましょう。直後1分足が陽線ならば18pips以上で、陰線ならば7pips以上で、反応を伸ばしています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは2015年12月分をボトムに上昇基調が続いています。2017年に入って55前後で停滞したいたものの、2017年9月分で60を上抜けました。今回の予想は前月に引き続き下降となっています。
ーーー$€¥ーーー
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事後差異は、4✕景況指数事後差異+3✕雇用指数事後差異+1✕価格指数事後差異、という判別式を用います。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足との方向一致率は81%となっています。
実態差異は、2✕景況指数実態差異+2✕雇用指数実態差異+1✕雇用指標実態差異+2✕価格指数実態差異、という判別式を用います。この式の解の符号と直後11分足との方向一致率は71%となっています。
これらの結果から、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
ーーー$€¥ーーー
多くの指標解説書籍・記事で、「NY連銀指標で動向を掴み、Phil連銀指標でそれを再確認して、ISM発表に臨むと良い」旨、記載されています。がしかし、この話は事実に照らして正しくありません。「ありそうな関係」であっても、単月毎の両指標の結果増減を比較する限り、両指標には参考にすべき増減一致がありません。
2015年1月分から2017年9月分までの32回のデータで確認しておきました。
本指標実態差異と、同月分のNY連銀指数・Phil連銀指数・製造業PMI確定値の実態差異の方向一致回数・方向一致率は以下の通りです。
一致数 一致率
NY連銀 18回 56%
Phil連銀 19回 59%
製造業PMI 14回 44%
単月毎の指標結果を予想するのにあたって、個々の指標同士を比べる限り、前月と当月の増減方向すらアテにならないことがわかります。
けれども、NY連銀とPhil連銀と製造業PMI確定値の全ての実態差異方向が一致したとき、ISM製造業景況指数の実態差異との方向が、過去に6回中5回(期待的中率83%)が一致しています。
同じ11月分は、NY連銀とPhil連銀の実態差異がマイナスで一致しています。そして、本指標発表15分前に発表される製造業PMI確定値の実態差異がマイナス(53.8未満)ならば、直後1分足は陰線となる期待的中率は83%になります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度12%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均14pipsよりもやや小さくなっています。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)が一致しています。
つまり、直前10-1分足が大きく跳ねても、直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度6%)しかありません。
この2回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均14pipsとほぼ同じです。そして、この2回の直前1分足と直後1分足の方向は1回(50%)です。
つまり、直前1分足が大きく跳ねても、直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率36%)です。直後11分足のそれは5pips(戻り比率25%)です。平均的な反応程度の指標における戻り比率としては、直後11分足のそれが小さいようです。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足と事後差異の方向一致率は74%です。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は、0.74✕0.81+(1−0.74)✕(1−0.81)=65%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ81%・62%となっています。実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ79%・71%です。
市場予想に対する発表結果の良し悪しに、直後1分足は素直に反応するものの、直後11分足はそうとも言えない一致率となっています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは、直前10-1分足と直後11分足との方向一致率が77%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%、です。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは81%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは59%です。59%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を探った方が良さそうです。59%ですから、無理する必要なんてありません。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 本指標に先立ち23:45に発表される製造業PMI確定値の53.8未満だったときは、直ちに売ポジションを取ります。利確・損切の目安は5-10pipsです。
論拠は、同月集計分のNY連銀・Phil連銀の指数の実態差異が揃ってマイナスです。製造業PMI確定値の実態差異もマイナスの場合、3つの先行指標の実態差異の符号が一致します。過去にこうした場合、過去6回のうち5回(83%)がISMの実態差異も同じになっています。
幸い、今回の本指標市場予想は、前回結果に対し低くなっているものの、前回結果との差異は僅かです。本指標実態差異がマイナスならば、事後差異(発表結果ー市場予想)もマイナスとなる公算が高いと言えます。 - 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得します。利確/損切は発表から10分程度か、15pipsの含益・含損になったときです。
- 追撃は早期開始し、短期利確とします。複数回の追撃も可ですが、短期取引で行います。
以上
2017年12月1日24:00発表
以下は2017年12月2日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前月・予想を下回り、反応は陰線でした。
前回9月分は、2004年5月分以来の高い数値だったこともあり、今回10月分は僅かにそれを下回りました。依然としてグラフは上昇基調と言えます。
(5-2. 取引結果)
寝てました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 同じ10月分のNY連銀指標・Phil連銀指標はともに前月結果を下回っていました。今回発表に関しては、それらと実態差異方向が一致しました。
- 直前10-1分足と直後11分足との方向は陽線で一致しました。過去には、直後1分足と直後11分足の反転は19%しか起きていないものの、今回は反転しました。
(6-2. シナリオ検証)
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 本指標に先立ち23:45に発表された製造業PMI確定値は53.9でした。53.8未満だったときは、直ちに売ポジションを取るつもりでした。
- 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得するつもりでした。します。利確/損切は発表から10分程度か、15pipsの含益・含損になったときの予定でした。
直前10-1分足は陽線でした。シナリオ通りにポジションを取っていたなら、10分後に2pips程度の利確だったでしょう。但し、直後1分足が陰線のため、実際に取引していたら、その前の損切していた可能性が高いと思います。その場合、最大で8pips程度の損切となっていたはずです。 - 追撃は早期開始し、短期利確のつもりでした。
直後1分足の下ヒゲは、指標発表から1分を過ぎて24:04頃に最も伸びていました。タイミングの問題もあるので、利確できたか否かはわかりませんが、損切していたとしても2-3pipsといったところでしょうか。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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