2017年11月26日
米国実態指標「新築住宅販売件数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月27日24:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月27日24:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。
住宅購入は、消費金額自体が大きいことや、リフォームや調度品購入などの関連需要にも繋がるため、波及効果が大きいからです。そして、消費者個人の収入や金利見通しが反映されるため、です。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。販売件数は、年換算件数に操作されて発表されます。操作が毎月販売数を単純に12倍したものか、毎年定数化して割り当てた季節調整係数を乗じたものか、定数化されていない係数か、は確認できていません。
また、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
反応は以前から安定して小さいことがわかります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたった8pipsです。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。取引前には、直前のレートから10〜20pips以内のチャートポイントに目星をつけておきましょう。そこが反転の目安になります。
直後1分足(x)に対する直後11分足(y)の値幅の一次回帰式(赤線)は、xの係数が0.5となっています。それなら順張りで追撃かというと、実分布を見る限りそうとも言い切れません。
第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)を見ると、特に直後1分足が陰線だったときに逆張りの有効性を示しています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
年換算販売件数と前月比とは、グラフの様子がまるで異なります。これら項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、販売件数と前月比の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、10✕販売件数の差異ー1✕前月比の差異、としておけば、もし販売件数の事前差異が0でも判別ができます。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は76%となりました。
事後差異判別式と実態差異判別式はともに、1✕販売件数の差異+1✕前月比の差異、としておけば、この判別式符号と直後1分足・直後11分足との方向一致率が、事後差異について78%、実態差異について63%、となりました。
本指標は契約書署名ベースで集計されています。そして、関連指標である中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正しくありません。
事務手続き上の順序と所用時間については、その通りなのでしょう。けれども、新築住宅を購入する人と中古住宅を購入する人は、両方同時に購入する人を除けば一致しません。だから、実際に販売件数が前月より増えたか減ったかを調べると、事務手続き上の所要時間1〜2か月の新築住宅販売件数の先行性はありません。
事実が「ありそうな話」と異なる原因はわかりません。ただ、新築住宅購入者と中古住宅購入者は、同じように住宅購入をするにせよ、所得階層か年齢層が異なるのではないでしょうか。所得階層や年齢層が異なれば、「えい」と住宅購入を決めることに時間差が生じることだって「ありそうな話」です。
両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を前後2か月ずらして調べると、最も一致率が高いズレでも60%しか一致していません。両指標に関係がない、とまでは言いませんが、60%しか増減方向すら一致しないなら、他の予兆を探した方がマシです。
これら指標同士は、グラフの上昇基調や下降基調といった点を参考にできても、単月毎の増減方向は一方の指標を参考にしてもわからないのです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は7pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(43%)です。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。逆に言えば、もし直前1分足跳幅が10pips以上動いた場合、何か過去にない異常なことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率50%)です。反応が小さい指標は戻り率が高くなりがちです。
直後1分足跳幅・値幅は、過去平均で各8pips・5pipsしかありません。反応方向を見てから、短期追撃で利確幅を稼ぐのは難しそうです。それなら、後述する反応性分析にも述べたように、逆張りの機会を狙った方が良さそうです。逆張りポジションは、直後1分足値幅を超えたときで、指標発表直後と発表から3分前後経過したときが過去の傾向から言えば狙い目です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異はプラス率が70%となっています。市場予想が高めになりがちな指標です。これは調査対象期間の住宅販売件数が右上がりとなっており、住宅市場が好調な状態が続いているためと思われます。
また、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、陰線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応しがちな指標です。
実態差異は、直後11分足との方向一致率が63%しかありません。これなら、直後11分足は事後差異との方向一致率72%をアテにした方が確かです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が79%と、偏りが目立ちます。
そして、どのローソク足同士を比べてみても、30%以下や70%以上の一致率がありません。先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と高くありません。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。これなら直後1分足終値を超えて反応を伸ばした機会に逆張りポジション取得を狙った方が良さそうです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月28日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、年率換算件数が前回・予想を上回り、前月比は前回をしたまわったものの予想を上回りました。反応は、直後1分足が陰線で、その後は反転して直後11分足が陽線となりました。
11月21日に発表された中古住宅販数と比較しても同様の傾向です。もともと住宅販売は好調だったものの在庫不足が指摘されていました。そこに今夏のハリケーンでフロリダを中心に被害がありました。そのための好調が続いているということでしょう。
直後1分足は上ヒゲを伸ばしたのに、結果的に陰線となりました。とは言え、3pipsですから、ほぼ反応しなかったのと同じです。反応の小ささは、現在、市場が注目しているのが税制改革や独国連立協議などで、経済指標でないためでしょう。
取引は行っていません。横になって時間を待っていたら寝てたようです。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
重要度・注目度が高く位置づけられている指標の割に反応が小さい点も、直後1分足と直後11分足の逆張り成功率が高い点も、過去の傾向通りでした。
但し、今回の直後1分足は、前述の通り、上ヒゲが値幅よりも大きくなっています。逆張りの方向を間違いやすい形状をしています。
取引は行わなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月27日24:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 多くの指標解説で本指標は重要度・注目度が高い、と位置付けられています。がしかし、本指標への反応は小さく、過去発表の直後1分足跳幅は79%が10pipsを下回っています。この指標では利確も損切も数pipsということを頭に置いておくことが大事です。欲張ると勝てません。
- 本指標は契約書署名ベースで集計されています。そのため、所有権移転完了ベースで集計されている中古住宅販売件数よりも1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
がしかし、新築住宅を購入する客層と中古住宅を購入する客層は異なります。実際には両指標のどちらが先行指標であるにせよ、一方の指標を前後3か月ずらしても両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は増減方向すら一致率が高くありません。 - それにも関わらず、本指標はユニークで、取引上の魅力があります。
指標発表前に予兆的な動きが見受けられることと、直後1分足終値を目安に逆張りが適している点が特徴です。大したpipsは稼げないものの、そういう意味では勝ちやすい指標かも知れません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事前差異との方向一致率が76%です。但し、過去平均跳幅・値幅は各7pips・4pipsしかないことは頭に入れておきましょう。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が79%と偏りがあります。但し、過去平均跳幅・値幅は3pips・2pipsしかありません。1・2pipsで利確(損切)するぐらいのつもりでいなければならないので、気が向かなければ取引は止めた方が良いでしょう。 - 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっています(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。
住宅購入は、消費金額自体が大きいことや、リフォームや調度品購入などの関連需要にも繋がるため、波及効果が大きいからです。そして、消費者個人の収入や金利見通しが反映されるため、です。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。販売件数は、年換算件数に操作されて発表されます。操作が毎月販売数を単純に12倍したものか、毎年定数化して割り当てた季節調整係数を乗じたものか、定数化されていない係数か、は確認できていません。
また、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
ーーー$€¥ーーー
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
反応は以前から安定して小さいことがわかります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたった8pipsです。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。取引前には、直前のレートから10〜20pips以内のチャートポイントに目星をつけておきましょう。そこが反転の目安になります。
直後1分足(x)に対する直後11分足(y)の値幅の一次回帰式(赤線)は、xの係数が0.5となっています。それなら順張りで追撃かというと、実分布を見る限りそうとも言い切れません。
第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)を見ると、特に直後1分足が陰線だったときに逆張りの有効性を示しています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
年換算販売件数と前月比とは、グラフの様子がまるで異なります。これら項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、販売件数と前月比の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、10✕販売件数の差異ー1✕前月比の差異、としておけば、もし販売件数の事前差異が0でも判別ができます。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は76%となりました。
事後差異判別式と実態差異判別式はともに、1✕販売件数の差異+1✕前月比の差異、としておけば、この判別式符号と直後1分足・直後11分足との方向一致率が、事後差異について78%、実態差異について63%、となりました。
ーーー$€¥ーーー
本指標は契約書署名ベースで集計されています。そして、関連指標である中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正しくありません。
事務手続き上の順序と所用時間については、その通りなのでしょう。けれども、新築住宅を購入する人と中古住宅を購入する人は、両方同時に購入する人を除けば一致しません。だから、実際に販売件数が前月より増えたか減ったかを調べると、事務手続き上の所要時間1〜2か月の新築住宅販売件数の先行性はありません。
事実が「ありそうな話」と異なる原因はわかりません。ただ、新築住宅購入者と中古住宅購入者は、同じように住宅購入をするにせよ、所得階層か年齢層が異なるのではないでしょうか。所得階層や年齢層が異なれば、「えい」と住宅購入を決めることに時間差が生じることだって「ありそうな話」です。
両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を前後2か月ずらして調べると、最も一致率が高いズレでも60%しか一致していません。両指標に関係がない、とまでは言いませんが、60%しか増減方向すら一致しないなら、他の予兆を探した方がマシです。
これら指標同士は、グラフの上昇基調や下降基調といった点を参考にできても、単月毎の増減方向は一方の指標を参考にしてもわからないのです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は7pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(43%)です。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。逆に言えば、もし直前1分足跳幅が10pips以上動いた場合、何か過去にない異常なことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率50%)です。反応が小さい指標は戻り率が高くなりがちです。
直後1分足跳幅・値幅は、過去平均で各8pips・5pipsしかありません。反応方向を見てから、短期追撃で利確幅を稼ぐのは難しそうです。それなら、後述する反応性分析にも述べたように、逆張りの機会を狙った方が良さそうです。逆張りポジションは、直後1分足値幅を超えたときで、指標発表直後と発表から3分前後経過したときが過去の傾向から言えば狙い目です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異はプラス率が70%となっています。市場予想が高めになりがちな指標です。これは調査対象期間の住宅販売件数が右上がりとなっており、住宅市場が好調な状態が続いているためと思われます。
また、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、陰線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応しがちな指標です。
実態差異は、直後11分足との方向一致率が63%しかありません。これなら、直後11分足は事後差異との方向一致率72%をアテにした方が確かです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が79%と、偏りが目立ちます。
そして、どのローソク足同士を比べてみても、30%以下や70%以上の一致率がありません。先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と高くありません。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。これなら直後1分足終値を超えて反応を伸ばした機会に逆張りポジション取得を狙った方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事前差異との方向一致率が76%です。但し、過去平均跳幅・値幅は各7pips・4pipsしかないことは頭に入れておきましょう。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が79%と偏りがあります。但し、過去平均跳幅・値幅は3pips・2pipsしかありません。1・2pipsで利確(損切)するぐらいのつもりでいなければならないので、気が向かなければ取引は止めた方が良いでしょう。 - 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっています(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙います。
以上
2017年11月27日24:00発表
以下は2017年11月28日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、年率換算件数が前回・予想を上回り、前月比は前回をしたまわったものの予想を上回りました。反応は、直後1分足が陰線で、その後は反転して直後11分足が陽線となりました。
11月21日に発表された中古住宅販数と比較しても同様の傾向です。もともと住宅販売は好調だったものの在庫不足が指摘されていました。そこに今夏のハリケーンでフロリダを中心に被害がありました。そのための好調が続いているということでしょう。
直後1分足は上ヒゲを伸ばしたのに、結果的に陰線となりました。とは言え、3pipsですから、ほぼ反応しなかったのと同じです。反応の小ささは、現在、市場が注目しているのが税制改革や独国連立協議などで、経済指標でないためでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引は行っていません。横になって時間を待っていたら寝てたようです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
重要度・注目度が高く位置づけられている指標の割に反応が小さい点も、直後1分足と直後11分足の逆張り成功率が高い点も、過去の傾向通りでした。
但し、今回の直後1分足は、前述の通り、上ヒゲが値幅よりも大きくなっています。逆張りの方向を間違いやすい形状をしています。
(6-2. シナリオ検証)
取引は行わなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっていました(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙うつもりでした。
結果は反転でした。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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