2017年10月23日
独国景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年10月24日16:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月24日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。発表内容は「総合」「製造業」「サービス業」で、今回発表されるのは2017年10月分の集計結果です。
本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。とは言え、30分毎に3回の発表だと、お勤めの方は隙を見てちょちょっと取引という訳にもいきません。いずれ、30分毎の関連取引を続けて行うための準備や研究にも着手したい、と思います。
ともあれ、一連のPMI速報値において最も重要で注目を集めているのは、欧州で最も経済規模が大きい独国PMI速報値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点(10月22日)の値です。市場予想は、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴と、後述する調査・分析結果を踏まえて、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
がしかし、だからと言って製造業景況感の方がサービス業景況感よりも先行性がある訳とは限りません。
昔と違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では商社を通じた海外取引は決して多くありません。サービス業の仕入れに至っては、国内外を問わず、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
本指標の指標発表後の反応の跳幅・値幅の期間毎の推移を下図に示します。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。期間毎の反応は、以前からほぼ変化がありません。直近の反応程度も同様です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
グラフは、「総合」と「製造業」とが明確な上昇基調です。一方、「サービス業」は前回こそ大きく改善したものの、上昇基調とは言えません。これらグラフ推移から、反応方向と相関が高い回帰式を求めました。下表は2015年1月から2017年6月までの29回分のデータに基づいています。
上表から、事後差異と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率は、製造業>総合>サービス業、の順です。直後1分足の方向は、1✕総合の差異+3✕製造業の差異ー1✕サービス業の差異、で求めた解の符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。一致率は83%です。
次に、上式の差異に実態差異を代入し、その結果を先行発表されているZEWと対比してみます。
ZEWは、同月集計結果が先に発表される総合指数です(製造業もサービス業も含めた企業景況感)です。両指標間にもし相関があるなら、それは事前差異(市場予想ー前回結果)や事後差異(発表結果ー市場予想)でなく、実態差異(発表結果ー前回結果)の一致率が高くなるはずです。
ZEWは現況指数と期待指数からなります。ここでは、それらの差異を加えた合成値を求め、その各実態差異と本指標の実態差異との方向一致率を求めました。対比期間は、2015年1月から前回2017年9月分までです。
同月発表のZEW期待指数の実態差異は、本指標と一致率が高いと言えないことがわかりました。最もアテになるZEW期待指数との方向一致率も、本指標は58%しかありません。
よって、単月毎の指標結果を比較する限り、ZEWと本指標は同じ景気指標であるにも関わらず、前月との増減方向すら一致しないことが確認できました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が10pipsです。但し、この平均値には2016年3月分データが含まれています。同月のみ、直前10-1分足跳幅が58pipsと異常に高くなっています。この58pipsを除いて、過去32回の過去平均跳幅を集計すると9pipsとなります。あまり変わりませんね。面倒だから、過去平均は10pipsとして特徴を調べておきます。
直前10-1分足跳幅が15pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は1回が27pipsと大きいものの、2回は12pipsと5pipsです。直前10-1分足が大きく跳ねても、それが直後1分足も大きく跳ねる予兆とは言えません。
次に、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回とも一致しています(一致率100%)。事例が3回しかないものの、一致率100%ならアテにできます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去1回(頻度3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は11pipsで、これは過去全平均8pipsと大して変わりません。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたときには、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が15pipsを超えたことは過去2回(頻度6%)しかなく、本指標が安定して反応が小さいことがわかります。この2回の直後1分足が15pips以上となったときは、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を2回とも超えています。
直後11分足は、過去平均跳幅が16pips、過去平均値幅が11pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pipsしか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も10pipsしか大きくありません。本指標の利確の目安は、安全を見てその半分だとすると、せいぜい4〜5pipsということになります。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
市場予想は前回結果に対し低めになりがちです(事前差異のマイナス率が67%)。がしかし、発表結果は市場予想よりも高めになりがちです(事後差異のプラス率が61%)。市場予想があまりアテにならない指標だと言えるでしょう。
そして、事前差異と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率は75%ということになります。
また、事後差異と直後1分足の方向一致率は84%で、これは発表結果の良し悪しに素直に反応する指標だということです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が77%となっており、異常な偏りがあります。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標は反応方向に偏りがなく、取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は66%です。そして、その66%の方向一致時だけに着目すると、直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各90%・81%です。
方向一致率が高く、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びた確率も高いので、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
一方、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた確率が53%です。本指標はしつこい追撃には向いていません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月25日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、総合とサービス業が前回・予想を下回り、製造業が前回を下回ったものの予想を上回り、反応は陰線でした。
市場予想は、本記事作成時から総合と製造業が僅かに上方に改定されていました。
どの項目も前回を下回ったものの、どの項目もグラフ推移が下降に転じたようには見えません。
取引結果は次の通りでした。
負けました。大したことはありません。
事前調査・分析内容を以下に検証しておきます。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年10月24日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。発表内容は「総合」「製造業」「サービス業」で、今回発表されるのは2017年10月分の集計結果です。
本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。とは言え、30分毎に3回の発表だと、お勤めの方は隙を見てちょちょっと取引という訳にもいきません。いずれ、30分毎の関連取引を続けて行うための準備や研究にも着手したい、と思います。
ともあれ、一連のPMI速報値において最も重要で注目を集めているのは、欧州で最も経済規模が大きい独国PMI速報値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点(10月22日)の値です。市場予想は、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- PMIは、速報値で取引を行い、改定値では取引しません。改定値は反応が小さくなりがちです。
改定値では、製造業とサービス業が別の日に発表されます。製造業は、事後差異(発表結果ー市場予想)が0となることが多く、反応方向が指標結果からは読み取れません。サービス業は、事後差異にプラスかマイナスの符号が付くことは多いものの、やはり反応は小さくなりがちです。 - 速報値は速報であるだけなく、製造業・サービス業が同時に発表されるため、対象範囲の広さに応じて影響(反応)が大きくなりがちです。尤も、それでも反応(直後1分足跳幅平均)は独国・欧州ともに小さい(10pips未満)です。
- 本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は、先行発表されたZEW実態差異との方向一致率は高くありません。同じ景気指標でも、単月毎の増減方向は50%前後です。
それならむしろ、事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっているので、そちらの方がよっぽどアテになります。
直後1分足は、事後差異(発表結果ー市場予想)との方向一致率が84%で、かなり素直に反応します。直後1分足と直後11分足の方向一致率66%で、あまり高くありません。。
以上の本指標特徴と、後述する調査・分析結果を踏まえて、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、過去の陰線率が77%と、異常な偏りがあるからです。 - 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切します。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率は75%ということになります。
但し、過去のローソク足検証の結果から、直前10-1分足が15pips以上跳ねたときか、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、それらの値幅方向に直後1分足は反応すると見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切は同じです。 - 追撃は、初期反応を確認したら早期開始し、発表から1分が過ぎたら利確の機会を探ります。
論拠は、直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ66%とやや心もとないものの、両者方向一致時には直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが90%と高いため、です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
がしかし、だからと言って製造業景況感の方がサービス業景況感よりも先行性がある訳とは限りません。
昔と違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では商社を通じた海外取引は決して多くありません。サービス業の仕入れに至っては、国内外を問わず、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
ーーー$€¥ーーー
本指標の指標発表後の反応の跳幅・値幅の期間毎の推移を下図に示します。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。期間毎の反応は、以前からほぼ変化がありません。直近の反応程度も同様です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
グラフは、「総合」と「製造業」とが明確な上昇基調です。一方、「サービス業」は前回こそ大きく改善したものの、上昇基調とは言えません。これらグラフ推移から、反応方向と相関が高い回帰式を求めました。下表は2015年1月から2017年6月までの29回分のデータに基づいています。
上表から、事後差異と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率は、製造業>総合>サービス業、の順です。直後1分足の方向は、1✕総合の差異+3✕製造業の差異ー1✕サービス業の差異、で求めた解の符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。一致率は83%です。
ーーー$€¥ーーー
次に、上式の差異に実態差異を代入し、その結果を先行発表されているZEWと対比してみます。
ZEWは、同月集計結果が先に発表される総合指数です(製造業もサービス業も含めた企業景況感)です。両指標間にもし相関があるなら、それは事前差異(市場予想ー前回結果)や事後差異(発表結果ー市場予想)でなく、実態差異(発表結果ー前回結果)の一致率が高くなるはずです。
ZEWは現況指数と期待指数からなります。ここでは、それらの差異を加えた合成値を求め、その各実態差異と本指標の実態差異との方向一致率を求めました。対比期間は、2015年1月から前回2017年9月分までです。
同月発表のZEW期待指数の実態差異は、本指標と一致率が高いと言えないことがわかりました。最もアテになるZEW期待指数との方向一致率も、本指標は58%しかありません。
よって、単月毎の指標結果を比較する限り、ZEWと本指標は同じ景気指標であるにも関わらず、前月との増減方向すら一致しないことが確認できました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が10pipsです。但し、この平均値には2016年3月分データが含まれています。同月のみ、直前10-1分足跳幅が58pipsと異常に高くなっています。この58pipsを除いて、過去32回の過去平均跳幅を集計すると9pipsとなります。あまり変わりませんね。面倒だから、過去平均は10pipsとして特徴を調べておきます。
直前10-1分足跳幅が15pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は1回が27pipsと大きいものの、2回は12pipsと5pipsです。直前10-1分足が大きく跳ねても、それが直後1分足も大きく跳ねる予兆とは言えません。
次に、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回とも一致しています(一致率100%)。事例が3回しかないものの、一致率100%ならアテにできます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去1回(頻度3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は11pipsで、これは過去全平均8pipsと大して変わりません。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたときには、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が15pipsを超えたことは過去2回(頻度6%)しかなく、本指標が安定して反応が小さいことがわかります。この2回の直後1分足が15pips以上となったときは、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を2回とも超えています。
直後11分足は、過去平均跳幅が16pips、過去平均値幅が11pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pipsしか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も10pipsしか大きくありません。本指標の利確の目安は、安全を見てその半分だとすると、せいぜい4〜5pipsということになります。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
市場予想は前回結果に対し低めになりがちです(事前差異のマイナス率が67%)。がしかし、発表結果は市場予想よりも高めになりがちです(事後差異のプラス率が61%)。市場予想があまりアテにならない指標だと言えるでしょう。
そして、事前差異と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率は75%ということになります。
また、事後差異と直後1分足の方向一致率は84%で、これは発表結果の良し悪しに素直に反応する指標だということです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が77%となっており、異常な偏りがあります。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標は反応方向に偏りがなく、取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は66%です。そして、その66%の方向一致時だけに着目すると、直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各90%・81%です。
方向一致率が高く、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びた確率も高いので、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
一方、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた確率が53%です。本指標はしつこい追撃には向いていません。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、過去の陰線率が77%と、異常な偏りがあるからです。 - 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切します。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率は75%ということになります。
但し、過去のローソク足検証の結果から、直前10-1分足が15pips以上跳ねたときか、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、それらの値幅方向に直後1分足は反応すると見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切は同じです。 - 追撃は、初期反応を確認したら早期開始し、発表から1分が過ぎたら利確の機会を探ります。
論拠は、直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ66%とやや心もとないものの、両者方向一致時には直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが90%と高いため、です。
以上
2017年10月24日発表
以下は2017年10月25日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、総合とサービス業が前回・予想を下回り、製造業が前回を下回ったものの予想を上回り、反応は陰線でした。
市場予想は、本記事作成時から総合と製造業が僅かに上方に改定されていました。
どの項目も前回を下回ったものの、どの項目もグラフ推移が下降に転じたようには見えません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
負けました。大したことはありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容を以下に検証しておきます。
- 直後1分足跳幅は僅か2pips、直後11分足跳幅も僅かに6pipsの反応でした。
これでは事前分析なんかしても、あまり意味がありません。 - 事後差異はプラスとなり、実態差異はマイナスでした。
それにも関わらず、直後1分足は陰線、直後11分足は陽線となりました。
確率上の問題もあるので、すぐに判別式を見なおす必要はありませんが、次回も続けて外すようならば、判別式におかしな点がないかを見直します。 - 10月17日に発表されたZEWは、実態差異がプラスでした。本指標の今回実態差異はマイナスなので、今回もZEWとは指標結果の実態差異方向が一致しませんでした。一致するかしないかが半々ですから、仕方ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切しました。結果は陰線でした。
論拠とした事前差異と直後1分足の方向一致率25%(不一致率75%)が一致しました。これは確率上の問題なので仕方ありません。 - 追撃は、初期反応を確認したら早期開始し、発表から1分が過ぎたら利確の機会を探る方針で臨みました。結果は、直後11分足は最終的に陽線へと反転したので、時間を限っていたことが効を奏しました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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