2017年08月25日
米国実態指標「耐久財受注」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月25日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月25日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。このうち、自動車や航空機や船舶を除いたコア指数が発表されます。また、発表は景気と無関係な軍需も含むため、軍需を除いた「非軍事」という発表項目があります。また、輸送機器を除いた発表値は、コア指数と呼ばれます。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられています(現在、製造業新規受注は過去データを整理中のため、この話は確認できていません)。
一方、後記詳述する通り、本指標は鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の発表結果と一定の相関があります。
指標間の相関を調べる場合、グラフの全体傾向を比較する方法と、単月毎の結果を比較する方法があります。両指標は、単月毎の結果を比較し、指標間の相関が高い珍しい特徴を有しています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で13pipsです。
13pipsというと、平均的な反応程度の指標ですが、分布を見ると13pips以下しか跳ねなかったことが67%(3回に2回)となっています。たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
両グラフとも前月比のため凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの29回で行いました。
耐久財受注(総合)は、この期間に前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが15回(52%)ありました。コア耐久財受注はそれが10回(34%)でした。
この結果から(当月はさておき)、少なくとも耐久財受注(総合)に関する限り、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、というプロの予想解説が多いことにきちんと説明がつきます。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足と一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が83%となることがわかりました。
コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、がわかりました。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足(期待的中率83%)も直後11分足(同71%)も、素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率と関係があるはずです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
まず、上述の通り、両指標の実態差異の方向一致率は77%にも達しています。単月毎の指標間の実態差異の方向一致率がこれほど高いことは珍しいのです。
両指標の発表時期は、前月集計分が翌月に発表されています。発表順序は本指標の方が遅れて発表されます。本指標今回の7月集計分の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の実態差異はマイナスでした。
よって、本指標今回の実態差異はマイナスとなる期待的中率が77%ということになります。
がしかし、上図で事後差異の項をご覧ください。両指標の事後差異方向一致率は61%と低下しています。
これは当然のことです。先行指標発表結果が低下すれば、後で発表される方の指標の市場予想は低めに予想されるから、です。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 耐久財受注前月比は、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。実際に、前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが52%で、そうした解説には裏付けがあります。但し、コア耐久財受注はそれが34%しかなく、市場予想は高めか低めかに偏りがちです。最近は高めに予想されたことが続いています。
(2) 事後差異判別式は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が83%です。コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、本指標が指標発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応すること、が確認できました。
(3) 本指標は、先に発表された鉱工業生産(同時に製造業生産・設備稼働率が発表)の実態差異(発表結果ー前回結果)との方向一致率が77%となり、両指標の良し悪しには相関があります。
8月17日に発表された鉱工業生産の7月集計分の実態差異はマイナスでした。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均13pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での1回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。その平均跳幅は4pipsしかないのに、陽線側にヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、というやり方が良いでしょう。これなら、もし陰線側に転じなくても、損切が小さくて済みます。陽線側に跳ねなければ取引しなければ良いだけです。どうせ大したpipsじゃありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度13%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、そうした場合に指標発表直後1分足の反応程度や方向に特徴的な偏りは、過去事例から見出せません。慌てて釣られてケガしないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、という機会を狙った方が良いでしょう。
(3) 直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)は41%とかなり高くなっています。高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
まず、直前1分足の陰線率が96%と、異常な偏りが見受けられます。但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅がそれおぞれ4pips・3pipsしかありません。だから陰線側に反応したのを見てから追撃しても手遅れです。先述のように、よく陽線側にヒゲを残すので、そのヒゲなり、そのヒゲを形成したのを確認してから追いかけて短期利確を狙う方が良いでしょう。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。そして、その75%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは54%です。54%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
直後11分足は、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ17pips・10pipsで、戻り比率は41%です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年8月26日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、総合が前回を大きく下回り予想も下回りました。前月比データが良し悪し各月で入れ替わることはいつものことです。がしかし、今回は過去3回(2015年12月分・2016年6月分・同11月)の大きな下げを更に下回りました。
一方、コアは前回・予想を上回り、グラフ推移も上昇基調が続いています。
反応は陽線でした。
過去傾向に依れば、これだけ大きく耐久財受注が前回より下げて市場予想を下回れば陰線です。一部解説記事には、コア耐久財受注の3か月連続改善への市場の好感を挙げる向きもあるものの、少し違和感があります。耐久財受注の大きな低下と比べて、コア耐久財受注の上昇が小さ過ぎます。
指標分析は結果が全てですが、それでも過去データと異なる反応には理由を考察しておくことが大切です。
おそらくこの日、23:00にFRB議長がジャクソンホールで年次経済シンポジウムで講演予定だったので、それを睨んでの動きと推察されます。
耐久財受注(平均的な反応程度しかない指標)への反応は、大きなイベントやテーマがあるときには起きない、という可能性が仮説として成り立ちます。
取引結果は次の通りでした。
僅かながら、シナリオ通り取引で利確となりました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月25日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 耐久財受注前月比は、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。前月比の予想では、こうした傾向がどの指標でも見られます。実際に、前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが52%で、本指標へのそうした解説には裏付けがあります。
但し、コア耐久財受注(除輸送機器のこと)はそれが34%しかなく、市場予想は高めか低めかに偏りがちです。最近は高めに予想されたことが続いています。
なお、8月17日に発表された鉱工業生産の7月集計分の実態差異はマイナスでした。でも今回は、極端に耐久財受注の市場予想が低く見込まれているので、この傾向が当てはまらないかも知れません。 - 事後差異判別式は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は83%です。
コアの方が反応に寄与しないことと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、本指標が指標発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応すること、がわかります。 - そして、指標発表前のローソク足方向が、指標発表後の方向を示唆している兆しはありません。ただ、発表後の追撃に関しては、反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を経過したら早期利確を狙う方が良いようです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
直前1分足の過去陰線率は96%と、極端な偏りがあります。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、という機会を狙った方が良いでしょう。
そういう機会を狙わないと、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかないので、陰線側に振れてから追撃しても勝率が稼げません。 - 追撃を行うなら、初期反応を確認したら早期開始で、指標発表から1分を過ぎたら、早めに利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分経過時点で、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは54%です。そこから反応を伸ばすか反転するかが半々です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%と高いので、逆張りはあり得ません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。このうち、自動車や航空機や船舶を除いたコア指数が発表されます。また、発表は景気と無関係な軍需も含むため、軍需を除いた「非軍事」という発表項目があります。また、輸送機器を除いた発表値は、コア指数と呼ばれます。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられています(現在、製造業新規受注は過去データを整理中のため、この話は確認できていません)。
一方、後記詳述する通り、本指標は鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の発表結果と一定の相関があります。
指標間の相関を調べる場合、グラフの全体傾向を比較する方法と、単月毎の結果を比較する方法があります。両指標は、単月毎の結果を比較し、指標間の相関が高い珍しい特徴を有しています。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で13pipsです。
13pipsというと、平均的な反応程度の指標ですが、分布を見ると13pips以下しか跳ねなかったことが67%(3回に2回)となっています。たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
両グラフとも前月比のため凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの29回で行いました。
耐久財受注(総合)は、この期間に前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが15回(52%)ありました。コア耐久財受注はそれが10回(34%)でした。
この結果から(当月はさておき)、少なくとも耐久財受注(総合)に関する限り、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、というプロの予想解説が多いことにきちんと説明がつきます。
ーーー$€¥ーーー
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足と一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が83%となることがわかりました。
コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、がわかりました。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足(期待的中率83%)も直後11分足(同71%)も、素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
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本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率と関係があるはずです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
まず、上述の通り、両指標の実態差異の方向一致率は77%にも達しています。単月毎の指標間の実態差異の方向一致率がこれほど高いことは珍しいのです。
両指標の発表時期は、前月集計分が翌月に発表されています。発表順序は本指標の方が遅れて発表されます。本指標今回の7月集計分の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の実態差異はマイナスでした。
よって、本指標今回の実態差異はマイナスとなる期待的中率が77%ということになります。
がしかし、上図で事後差異の項をご覧ください。両指標の事後差異方向一致率は61%と低下しています。
これは当然のことです。先行指標発表結果が低下すれば、後で発表される方の指標の市場予想は低めに予想されるから、です。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 耐久財受注前月比は、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。実際に、前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが52%で、そうした解説には裏付けがあります。但し、コア耐久財受注はそれが34%しかなく、市場予想は高めか低めかに偏りがちです。最近は高めに予想されたことが続いています。
(2) 事後差異判別式は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が83%です。コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、本指標が指標発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応すること、が確認できました。
(3) 本指標は、先に発表された鉱工業生産(同時に製造業生産・設備稼働率が発表)の実態差異(発表結果ー前回結果)との方向一致率が77%となり、両指標の良し悪しには相関があります。
8月17日に発表された鉱工業生産の7月集計分の実態差異はマイナスでした。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均13pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での1回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。その平均跳幅は4pipsしかないのに、陽線側にヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、というやり方が良いでしょう。これなら、もし陰線側に転じなくても、損切が小さくて済みます。陽線側に跳ねなければ取引しなければ良いだけです。どうせ大したpipsじゃありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度13%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、そうした場合に指標発表直後1分足の反応程度や方向に特徴的な偏りは、過去事例から見出せません。慌てて釣られてケガしないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、という機会を狙った方が良いでしょう。
(3) 直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)は41%とかなり高くなっています。高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
まず、直前1分足の陰線率が96%と、異常な偏りが見受けられます。但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅がそれおぞれ4pips・3pipsしかありません。だから陰線側に反応したのを見てから追撃しても手遅れです。先述のように、よく陽線側にヒゲを残すので、そのヒゲなり、そのヒゲを形成したのを確認してから追いかけて短期利確を狙う方が良いでしょう。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。そして、その75%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは54%です。54%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
直後11分足は、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ17pips・10pipsで、戻り比率は41%です。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
直前1分足の過去陰線率は96%と、極端な偏りがあります。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、という機会を狙った方が良いでしょう。
そういう機会を狙わないと、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかないので、陰線側に振れてから追撃しても勝率が稼げません。 - 追撃を行うなら、初期反応を確認したら早期開始で、指標発表から1分を過ぎたら、早めに利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分経過時点で、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは54%です。そこから反応を伸ばすか反転するかが半々です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%と高いので、逆張りはあり得ません。
以上
2017年8月25日21:30発表
以下は2017年8月26日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、総合が前回を大きく下回り予想も下回りました。前月比データが良し悪し各月で入れ替わることはいつものことです。がしかし、今回は過去3回(2015年12月分・2016年6月分・同11月)の大きな下げを更に下回りました。
一方、コアは前回・予想を上回り、グラフ推移も上昇基調が続いています。
反応は陽線でした。
過去傾向に依れば、これだけ大きく耐久財受注が前回より下げて市場予想を下回れば陰線です。一部解説記事には、コア耐久財受注の3か月連続改善への市場の好感を挙げる向きもあるものの、少し違和感があります。耐久財受注の大きな低下と比べて、コア耐久財受注の上昇が小さ過ぎます。
指標分析は結果が全てですが、それでも過去データと異なる反応には理由を考察しておくことが大切です。
おそらくこの日、23:00にFRB議長がジャクソンホールで年次経済シンポジウムで講演予定だったので、それを睨んでの動きと推察されます。
耐久財受注(平均的な反応程度しかない指標)への反応は、大きなイベントやテーマがあるときには起きない、という可能性が仮説として成り立ちます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
僅かながら、シナリオ通り取引で利確となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- (事前分析:指標特徴)
耐久財受注前月比は、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。前月比の予想では、こうした傾向がどの指標でも見られます。実際に、前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが52%で、本指標へのそうした解説には裏付けがあります。
但し、コア耐久財受注(除輸送機器のこと)はそれが34%しかなく、市場予想は高めか低めかに偏りがちです。最近は高めに予想されたことが続いています。
なお、8月17日に発表された鉱工業生産の7月集計分の実態差異はマイナスでした。でも今回は、極端に耐久財受注の市場予想が低く見込まれているので、この傾向が当てはまらないかも知れません。
(事後分析:指標特徴)
耐久財受注前月比は、前月が良かったため、当月は大きく下げました。
コア耐久財受注は、市場予想を上抜け、事前分析には余計なことを記しました。
7月分鉱工業生産実態差異はマイナスで、本指標結果実態差異もマイナスで、方向は一致しました。 - (事前分析:直後反応)
事後差異判別式は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は83%です。
コアの方が反応に寄与しないことと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、本指標が指標発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応すること、がわかります。
(事後分析:直後反応)
今回は、事後差異判別式符号がマイナスに対し、陽線で反応しており、判別式符号は正しくありません。この結果、本判別式の期待的中率は当月83%から来月81%に低下します。
まだ、見直しが必要な数値ではありません。 - (事前分析:注意事項)
そして、指標発表前のローソク足方向が、指標発表後の方向を示唆している兆しはありません。ただ、発表後の追撃に関しては、反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を経過したら早期利確を狙う方が良いようです。
(事後分析:注意事項)
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (シナリオ)
直前1分足は陰線と見込みます。
直前1分足の過去陰線率は96%と、極端な偏りがあります。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に跳ねたのを確認してからポジションを取って、陰線側に転じたらすぐ利確、という機会を狙った方が良いでしょう。
そういう機会を狙わないと、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかないので、陰線側に振れてから追撃しても勝率が稼げません。
(結果)
取引はしていません。
結果は陰線で、上ヒゲも含めて3pipsの全幅でした。全幅が小さく、もし取引していても、負けはしなくても利確も大したことなかったはずです。 - (シナリオ)
追撃を行うなら、初期反応を確認したら早期開始で、指標発表から1分を過ぎたら、早めに利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分経過時点で、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは54%です。そこから反応を伸ばすか反転するかが半々です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%と高いので、逆張りはあり得ません。
(結果)
シナリオに従って、発表から9秒後に追撃開始し、その17秒後に利確しました。利幅は僅かですが、直後11分足は直後1分足より跳幅・値幅を伸ばしていないので、結果的にこれで良かったと言えるでしょう。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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