2017年08月04日
米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月4日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月4日21:30に米国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
雇用統計の内訳は多岐に亘ります。反応への影響が大きい主要項目について、下表に前回結果と市場予想を纏めておきます。予想は本記事作成時点の値なので、発表直前にFX会社HP等でご確認ください。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で50pipsにも達しています。反応が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
過去の事前差異・事後差異・実態差異をそれぞれ求めます。そして、各差異がどの程度だったときにどう反応するかを求めておきました。結果、
という式の符号と、直後1分足の反応方向の一致率が高くなりました。
例えば、この式で事後差異を求めて直後1分足との方向一致率を求めると90%になります。
先に発表された前記3指標の7月分結果は次の通りです。
つまり、雇用関係指標は、前回結果よりも総じて悪くなっています。
そして、4週平均週次失業保険受給者数は、7月6日発表が24.3万人、8月3日発表が24.2万人です。失業保険受給者数はやや減っています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度26%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均50pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が16pipsです。16pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度23%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均50pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は50pipsです。
過去平均の50pipsを超えたことは12回(頻度40%)です。この12回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが7回(58%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(50%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
この結果は過去の経験に反しています。
雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃は、戻りも起きやすいと理解した方がしっくりきます。
ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。
直後11分足は、過去平均跳幅が62pips、過去平均値幅が43pipsです。その差が19pipsあります。
一方、直後11分足が平均値である62pips以上跳ねたことは10回(頻度33%)です。この10回の事例で、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均16pipsです。平均的には、大きく反応したからと言って、大きく戻す訳ではないようです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下図に示します。
もともと雇用統計への関心は、FRBの金融政策に影響を与えるため、です。FRBの今後の方針がかなり明確に市場に認知され、且つ、雇用情勢の今後推移に安心(賃金を除く)ことが最近のFOMC声明で表明されているため、最近の反応は以前に比べるとやや小さくなりがちです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時だけに注目し、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは81%に達しています。指標発表時点から見た反応方向が一方向で、且つ、一方向に伸びがちなら、追撃は早期参加すべきです。
但し、過去の経験から言えば、この分析に現れていない「騙し」が過去に散見されます。ここで言う「騙し」とは、発表と同時もしくは発表から3秒ぐらい、その後と逆方向に反応が生じることも多いのです。もちろん、3秒を過ぎて反転したこともあったでしょうから、これは特に記憶に残っている感触です。
追撃方向をあまり拙速に決めると、痛い目に遭うことも多いので、この点はご注意ください。
発表から1分経過時点での関心は、いつ利確(損切)するかと、追撃を何度も行うか、です。
直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%しかありません。よって、発表から1分以内に取得した追撃ポジションは、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを見つけた方が良いでしょう。
複数回の追撃を行うなら、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
通常の反応程度の指標では、15分足と1時間足のチャートでレジスタンスやサポートを事前に手元にメモしておくだけで、追撃の効率がだいぶ改善できます。がしかし、雇用統計は非常に大きく反応する指標です。4時間足と日足のチャートで、事前にレジスタンスやサポートをメモして手元に置いて取引した方が良いでしょう。
たったこれだけの習慣で、追撃の収益率は2倍になるものです。2倍というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
そして、経済指標発表時の取引で追撃の収益率が倍になるということは、指標発表時以外の取引の1日分の収益を時間圧縮して確保できるということです。1日分というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
何かいちいち但し書きが面倒ですが、だいたいそういうことです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純な偏りが見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は87%です。反転リスクはあまり考えなくても良いものの、とはいえ、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることもあります。直後1分足の反応が大きい指標だけに、その点は注意が必要です。
その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
まず、直前10-1分足や直前1分足の反応方向を示唆する兆候は見受けられません。
次に、事前差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ76%・69%です。本指標の総合的な市場予想は、前回結果より上回るか下回るかという点でよく当たっています。その結果、発表後の指標反応方向が素直になっています。
そして、素直に反応することは、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率に現れています。それぞれ90%・87%とかなり高い確率となっています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月4日23:50頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
NFPが予想(+18.3万人)を上回り(+20.9万人)、失業率(4.3%)と平均時給(+0.3%)は予想通りでした。反応は陽線でした。
NFP好調の目安である20万人を上回り、前回6月分集計値も上方改定されました。失業率4.3%は5月分集計と同じく16年ぶりの良い結果です。平均時給は+0.3%で、これも前月結果+0.2%を上回りました。
陽線で平均以上の反応となったことは当然です。
ちなみに、現在の平均時給水準では1%当たり約30円です。米国の平均時給の絶対額は約3千円で、今回の前月比+0.3%とは約10円の時給アップということになります。
これだけ時給があっても、ちょっとしたレストランで食事をすると、チップ15%も含めて、すぐに3千円ぐらいはかかります。
何で食事代がこんなにするのか。
たくさん食べるからからです。日本食レストランでトンカツ定食を頼んだら、何と、大きめのトンカツが2枚も盛ってありました。食事代が高いか安いかはさておき、「こんなに食えない」というのが、実際の感覚です。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
問題は、後述するシナリオに複数ありました。
事前調査分析内容を検証しておきます
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
ともあれ、教訓の多い取引でした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月4日21:30に米国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
雇用統計の内訳は多岐に亘ります。反応への影響が大きい主要項目について、下表に前回結果と市場予想を纏めておきます。予想は本記事作成時点の値なので、発表直前にFX会社HP等でご確認ください。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まるため、一見すると素直とは言えない場合も散見されます。
- 発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確のタイミングを計った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに複数回の追撃を繰り替えすやり方には向いていない指標です。
- 先に発表されるISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料として、大してアテになりません。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の予想分析結論は、市場予想と同じく、総じて改善です。
(1) 今回の市場予想は総じて前回結果よりも改善となっています。
(2) 指標一致性分析の結果、事前差異と直後1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はプラスなので陽線ということです。
(3) がしかし、ISM製造業景況指数と同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、総じて前月数値より減少しています。但し、これら指標と雇用統計の結果良し悪しは、最も一致率が高いADPですら60%しかありません。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) ときどき(頻度26%)直前10-1分足が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、こうした動きが直後1分足の反応程度や方向を示唆している訳ではありません。慌てて釣られないようにしましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足が20pips以上跳ねることがあります。こうした事例では、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応した事例が多いようです(方向不一致率71%)。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅は50pipsにも達しています。
過去平均の50pipsを超えたことは40%あるものの、この40%の事例において、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは58%しかありません。同様に、終値同士を比較した場合も、反応が伸びたことは50%しかありません。
この結果は過去の経験に反しています。
雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃に戻りが起きやすいと理解した方がしっくりきます。
ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。
(4) 直後11分足は、過去平均跳幅が62pips、過去平均値幅が43pipsです。その差が19pipsあります。一方、直後11分足が平均値である62pips以上跳ねたことは10回(頻度33%)です。この10回の事例で、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均16pipsです。平均的には、大きく反応したからと言って、大きく戻す訳ではないようです。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は次の通りです。
まず、最近の反応は以前に比べるとやや小さくなりがちです。それでも20pipsぐらいは反応しています。
そして、直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。その87%の方向一致時だけに注目し、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは81%に達しています。指標発表時点から見た反応方向が一方向に伸びがちなら、追撃は早期参加すべきです。「騙し」に気を付けて、一呼吸おいて追撃ポジション取得のタイミングを計りましょう。
発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%しかありません。
上下動が大きい動きをしがちなので、複数回の追撃も可です。高値(安値)掴みには気を付けましょう。
(2) 反応一致性分析の結論は次の通りです。
直前1分足は陰線率が83%と、偏りが目立ちます。また、前述の直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析結論は次の通りです。
まず、事前差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ76%・69%です。本指標の総合的な市場予想は、前回結果より上回るか下回るかという点でよく当たっています。その結果、発表後の指標反応方向が素直になっています。「総合的な市場予想」とは本文記載の判別式の結果を指しています。
そして、素直に反応することは、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率に現れています。それぞれ90%・87%とかなり高い確率となっています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで決済します。但し、このシナリオは、いつもの半分の規模のポジションで取引します。
(3) 追撃は、発表から1分以内に行い、1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
(4) 発表から10分頃に、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で50pipsにも達しています。反応が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
過去の事前差異・事後差異・実態差異をそれぞれ求めます。そして、各差異がどの程度だったときにどう反応するかを求めておきました。結果、
1✕NFP増減の差異[万人]+10✕失業率の差異[%]+30✕平均時給の差異[%]
という式の符号と、直後1分足の反応方向の一致率が高くなりました。
例えば、この式で事後差異を求めて直後1分足との方向一致率を求めると90%になります。
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先に発表された前記3指標の7月分結果は次の通りです。
- ISM製造業景況指数の雇用指数は前月より低下
- ISM非製造業景況指数の雇用指数は前月より低下
- ADP雇用統計の民間雇用者数は前月数より減少
つまり、雇用関係指標は、前回結果よりも総じて悪くなっています。
そして、4週平均週次失業保険受給者数は、7月6日発表が24.3万人、8月3日発表が24.2万人です。失業保険受給者数はやや減っています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度26%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均50pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が16pipsです。16pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度23%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均50pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は50pipsです。
過去平均の50pipsを超えたことは12回(頻度40%)です。この12回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが7回(58%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(50%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
この結果は過去の経験に反しています。
雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃は、戻りも起きやすいと理解した方がしっくりきます。
ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。
直後11分足は、過去平均跳幅が62pips、過去平均値幅が43pipsです。その差が19pipsあります。
一方、直後11分足が平均値である62pips以上跳ねたことは10回(頻度33%)です。この10回の事例で、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均16pipsです。平均的には、大きく反応したからと言って、大きく戻す訳ではないようです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下図に示します。
もともと雇用統計への関心は、FRBの金融政策に影響を与えるため、です。FRBの今後の方針がかなり明確に市場に認知され、且つ、雇用情勢の今後推移に安心(賃金を除く)ことが最近のFOMC声明で表明されているため、最近の反応は以前に比べるとやや小さくなりがちです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時だけに注目し、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは81%に達しています。指標発表時点から見た反応方向が一方向で、且つ、一方向に伸びがちなら、追撃は早期参加すべきです。
但し、過去の経験から言えば、この分析に現れていない「騙し」が過去に散見されます。ここで言う「騙し」とは、発表と同時もしくは発表から3秒ぐらい、その後と逆方向に反応が生じることも多いのです。もちろん、3秒を過ぎて反転したこともあったでしょうから、これは特に記憶に残っている感触です。
追撃方向をあまり拙速に決めると、痛い目に遭うことも多いので、この点はご注意ください。
発表から1分経過時点での関心は、いつ利確(損切)するかと、追撃を何度も行うか、です。
直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%しかありません。よって、発表から1分以内に取得した追撃ポジションは、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを見つけた方が良いでしょう。
複数回の追撃を行うなら、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
通常の反応程度の指標では、15分足と1時間足のチャートでレジスタンスやサポートを事前に手元にメモしておくだけで、追撃の効率がだいぶ改善できます。がしかし、雇用統計は非常に大きく反応する指標です。4時間足と日足のチャートで、事前にレジスタンスやサポートをメモして手元に置いて取引した方が良いでしょう。
たったこれだけの習慣で、追撃の収益率は2倍になるものです。2倍というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
そして、経済指標発表時の取引で追撃の収益率が倍になるということは、指標発表時以外の取引の1日分の収益を時間圧縮して確保できるということです。1日分というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
何かいちいち但し書きが面倒ですが、だいたいそういうことです。
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次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純な偏りが見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は87%です。反転リスクはあまり考えなくても良いものの、とはいえ、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることもあります。直後1分足の反応が大きい指標だけに、その点は注意が必要です。
その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
ーーー$€¥ーーー
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
まず、直前10-1分足や直前1分足の反応方向を示唆する兆候は見受けられません。
次に、事前差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ76%・69%です。本指標の総合的な市場予想は、前回結果より上回るか下回るかという点でよく当たっています。その結果、発表後の指標反応方向が素直になっています。
そして、素直に反応することは、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率に現れています。それぞれ90%・87%とかなり高い確率となっています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月4日21:30発表
以下は2017年8月4日23:50頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
NFPが予想(+18.3万人)を上回り(+20.9万人)、失業率(4.3%)と平均時給(+0.3%)は予想通りでした。反応は陽線でした。
NFP好調の目安である20万人を上回り、前回6月分集計値も上方改定されました。失業率4.3%は5月分集計と同じく16年ぶりの良い結果です。平均時給は+0.3%で、これも前月結果+0.2%を上回りました。
陽線で平均以上の反応となったことは当然です。
ちなみに、現在の平均時給水準では1%当たり約30円です。米国の平均時給の絶対額は約3千円で、今回の前月比+0.3%とは約10円の時給アップということになります。
これだけ時給があっても、ちょっとしたレストランで食事をすると、チップ15%も含めて、すぐに3千円ぐらいはかかります。
何で食事代がこんなにするのか。
たくさん食べるからからです。日本食レストランでトンカツ定食を頼んだら、何と、大きめのトンカツが2枚も盛ってありました。食事代が高いか安いかはさておき、「こんなに食えない」というのが、実際の感覚です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
問題は、後述するシナリオに複数ありました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証しておきます
- 事前分析結論は次の通りです。
「指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まるため、一見すると素直とは言えない場合も散見されます。」
今回は単純に「NFPが予想を上回り、且つ、20万人を超えていたおり、且つ、他の主要項目が予想通り」だったため、素直に陽線で反応しました。
上記の複雑な動きは「NFPが予想を上回り、平均時給が予想を下回った」ようなときに生じます。
説明が抽象的なので、来月はもう少し具体的な文章に見直します。 - 事前分析結論は次の通りです。
「発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確のタイミングを計った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに複数回の追撃を繰り替えすやり方には向いていない指標です。」
今回の上下動は次のような動きでした。
最初の高値は21:32でした。その後、10秒単位での上下動を含みながら、21:41に安値を付けました。21:43からは再上昇して21:59に2回目の高値を形成しました。そこからまた下げています。
上下動の振幅・周期が大きいので、来月は結論内容を見直します。 - 事前分析結論は次の通りです。
先に発表されるISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料として、大してアテになりません。
今回も分析通りに「アテ」になりませんでした。 - 本文中に挙げた判別式符号は、事前差異・事後差異・実態差異のいずれもプラスでした。このように各差異の符号が全て一致するのは、2016年10月分以降、10回連続です。
事前差異判別式の符号が事後差異・実態差異の符号とこれだけ一致する以上、発表直後に素直に反応さえしてくれれば、安定した勝率が期待できます。
目下、初期反応の方向予想で最もアテになるのは、この判別式符号かも知れません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
- 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得して、発表直後の跳ねで決済するつもりでした。但し、このシナリオは、いつもの半分の規模のポジションで取引するつもりでした。
結果は、ポジション枚数を減らすことは出来ませんでした。取引は、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しました。
ポジションを減らすことができなかった原因は、直前10-1分足の変化が小さかったので、その方向確認に手こずったためです。直前1分足のポジションを取ったために、そちらに気を奪われてなかなか陽線か陰線かを確認できなかったのです。指標発表を跨ぐ取引をするときに直前1分足のポジションを持つと、中途半端な直前10-1分足は1分足チャートから読み取るのが微妙な場合に面倒です(教訓1)。
そして、直前1分足を決済してから数秒で次のポジション枚数を変更することは、思ったよりも手こずりました。そのためポジションを減らすのを諦めて、そのまま1枚での取引を行いました。大きな指標では、発表直前の値動きが激しく、せめて10秒前には次のポジションを取らないと、滑って注文が約定しません。この「直前1分足を決済してから、次のポジション枚数を変更する操作」は、複雑すぎました(教訓2)。
あと、最初の跳ねで決済するつもりでしたが、上記のどたばたでタイミングを逸してしまいました。教訓2に同じですが、数日前から準備した分析やシナリオを、複雑な操作や約定ミスで取引機会を逸することは避けたいものです。仮に複雑な操作ができるように訓練しても、そうしたどたばたは操作ミスの元です(教訓3)。
狙い通りの方向に直後1分足が反応したから良かったものの、このシナリオシーケンスは、要するに「机上の空論」でした。 - 追撃は、発表から1分以内に行い、1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ることにしていました。
結果は、指標発表前に取得したポジションを決済しないまま、追撃ポジションを取りました。数秒程度で大きく反応する気配を感じたからではあるものの、もし反転したら利確をしなかった後悔と、大きな損切と、二重の苦痛を味わうところでした。
こういうことは、瞬間的な判断が必要な指標発表直後にすべきではありません。どっちに反応が伸びるかなんて「絶対はない」のだから、おかしなことをすべきではなかったのです(教訓4)。 - 発表から10分経過頃に、再度追撃を行うか否かを決めることにしていました。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃が条件でした。
結果は50pips以上だったので、追撃を実施しました。あまり粘らないので(そういう取引手法なので)幸いでしたが、結局、過去の傾向通りに伸びが再開したのは22:30頃からでした。
このシナリオに関しては、分析対象外の期間を定量データ無しに行いました。データ無しに行うのは避けるべきでした。今週は取引指標が多くて、考えを纏めるのが雑だったと思います。このブログの統一テーマ(ほどほどの初心者向け)を忘れていました(教訓5)。申し訳ありません。
ともあれ、教訓の多い取引でした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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