2017年08月01日
米国物価指標「PCEコアデフレータ」・実態指標「個人消費・個人所得」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月1日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月1日21:30に米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「個人消費(PCE)・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標発表後、23:00にはISM製造業景気指数が発表されます。本指標発表後、どこかでISMを睨んだ動きに移行するので、注意しておきましょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は7月31日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。論拠は、過去の陰線率が74%に達しているため、です。
(2) 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得します。論拠は、直前10-1分足の事後差異との方向一致率が75%に達しているため、です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標です。PCEコアデフレータは個人消費の物価動向を示した物価指標です(食糧・エネルギーを除く)。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータだと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEコアデフレータが重要視されることはわかります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsです。多くのFX会社の指標説明や解説記事で、重要度・注目度が高い割に驚くほど反応が小さな指標です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
反応が小さい指標です。詳しく分析しても仕方ありません。
各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
上表から、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、発表直後に指標結果の影響を受がちだという前提が満たせます。
反応方向=6✕PCEコアDF前年比の差異+1✕PCEコアDF前月比の差異+3✕PCEの差異−2✕個人所得の差異
です。
よって、反応方向への影響は、PCEコアDF前年比>PCE>PCEコアDF前月比>個人所得、の順となります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月2日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、
反応方向=6✕PCEコアDF前年比の差異+1✕PCEコアDF前月比の差異+3✕PCEの差異−2✕個人所得の差異
の式で求まる事後差異がプラスだったにも関わらず、初期反応は陰線となりました。
PCEコアデフレータ前年比は4か月ぶりの上昇、個人所得は2016年11月以来の0%です。PCEは前月同値でした。
全体的にはよくありません。各指標のグラフ傾向を見ると、成長が落ち込んだ1-3月期の水準を超えつつあるように見えるものがありません。こうした状況の背景として「賃金伸び悩み」を挙げる解説記事もありました。
反応は、23:00発表予定だったISM製造業景況指数の予想も悪かったため、本指標発表前は売り優勢でした。もし初期反応が陽線でも、どうせ戻すと考える人も多かったはずです。
発表直後は上ヒゲを残しています。但し、僅か4pipsですから無理に意味づけする必要はないでしょう。
その後、直後11分足は陽線となっています。がしかし、この陽線は直後1分足の△3pipsー+4pipsの値幅と逆跳幅の間に収まっているので、これも意味づけの必要はないでしょう。
取引結果は次の通りでした。
それにしても「本当に重要度や注目度が高い指標なのか」というほど反応しません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
(2) 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得しました。結果は、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足は反応しました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月1日21:30に米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「個人消費(PCE)・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標発表後、23:00にはISM製造業景気指数が発表されます。本指標発表後、どこかでISMを睨んだ動きに移行するので、注意しておきましょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は7月31日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 多くのFX会社HP等の解説で重要度・注目度を高く評価されているものの、本指標発表直後の反応程度はがっかりするほど小さく、2015年以降で20pips跳ねたことがありません。凝った分析をしても仕方がない指標です。
- 過去の反応方向は、直前10-1分足の方向と一致する傾向があります。
- 指標発表後は一方向への反応が伸びやすいものの、反応が小さいため、追撃に適した指標と言って良いか微妙です。
定型分析の結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。論拠は、過去の陰線率が74%に達しているため、です。
(2) 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得します。論拠は、直前10-1分足の事後差異との方向一致率が75%に達しているため、です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標です。PCEコアデフレータは個人消費の物価動向を示した物価指標です(食糧・エネルギーを除く)。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータだと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEコアデフレータが重要視されることはわかります。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsです。多くのFX会社の指標説明や解説記事で、重要度・注目度が高い割に驚くほど反応が小さな指標です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
反応が小さい指標です。詳しく分析しても仕方ありません。
ーーー$€¥ーーー
各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
上表から、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、発表直後に指標結果の影響を受がちだという前提が満たせます。
反応方向=6✕PCEコアDF前年比の差異+1✕PCEコアDF前月比の差異+3✕PCEの差異−2✕個人所得の差異
です。
よって、反応方向への影響は、PCEコアDF前年比>PCE>PCEコアDF前月比>個人所得、の順となります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月1日21:30発表
以下は2017年8月2日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、
反応方向=6✕PCEコアDF前年比の差異+1✕PCEコアDF前月比の差異+3✕PCEの差異−2✕個人所得の差異
の式で求まる事後差異がプラスだったにも関わらず、初期反応は陰線となりました。
PCEコアデフレータ前年比は4か月ぶりの上昇、個人所得は2016年11月以来の0%です。PCEは前月同値でした。
全体的にはよくありません。各指標のグラフ傾向を見ると、成長が落ち込んだ1-3月期の水準を超えつつあるように見えるものがありません。こうした状況の背景として「賃金伸び悩み」を挙げる解説記事もありました。
反応は、23:00発表予定だったISM製造業景況指数の予想も悪かったため、本指標発表前は売り優勢でした。もし初期反応が陽線でも、どうせ戻すと考える人も多かったはずです。
発表直後は上ヒゲを残しています。但し、僅か4pipsですから無理に意味づけする必要はないでしょう。
その後、直後11分足は陽線となっています。がしかし、この陽線は直後1分足の△3pipsー+4pipsの値幅と逆跳幅の間に収まっているので、これも意味づけの必要はないでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
それにしても「本当に重要度や注目度が高い指標なのか」というほど反応しません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 多くのFX会社HP等の解説で重要度・注目度を高く評価されているものの、本指標発表直後の反応程度はがっかりするほど小さく、2015年以降で20pips跳ねたことがありません。
今回結果も小さな反応でした。本当に「重要度・注目度が高い」のか疑問になります。個人消費は小売売上高で、インフレは四半期PCEデフレータに注目が集まっているのではないでしょうか。
来月も見直しの必要はありません。凝った分析をしても仕方がない指標です。 - 過去の反応方向は、直前10-1分足の方向と一致する傾向があります。
結果はその通りでした。 - 指標発表後は一方向への反応が伸びやすいものの、反応が小さいため、追撃に適した指標と言って良いか微妙です。
これも、来月そのままで良いでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
(2) 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取得しました。結果は、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足は反応しました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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