2017年07月11日
米国物価指標「PPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月13日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月13日21:30に米国物価指標「PPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻、米国雇用指標「週次新規失業保険新鮮件数」が発表されます。また、23:00にはFRB議長の議会証言が予定されています。
本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
さて、物価は上流から下流へと波及すると、かつては解説されていました。がしかし、これは供給側の論理が消費側の論理よりも強かった時代の話です。確かめておきましょう。
PPIに先行するのは輸入物価指数です。もし輸入物価指数が前月より上昇したら、PPIも前月より上昇するのなら、輸入物価は生産者物価を先行示唆することになります。
下図は、輸入物価指数とPPIの増減方向が一致した率をプロットしています。横軸でPPIと比較する輸入物価指数を時期ずれさせています。
この図からは、輸入物価が上昇すればPPIも上昇する、といった関係が見出せません。輸入材料が倉庫に置かれる期間も考慮して、輸入物価と3か月後のPPIまで比較しても、両者の方向一致率は高くありません。
当然です。
物価に影響を与える量産品の原価は、ざっくり、材料費(1)+光熱費(1)+加工費(1)です。これに製造益(1)と営業益(1)を加えると、全て輸入材料で作られる製品ですら、材料費はPPIの20%程度です。輸入物価が前月に比べて1%上昇しても、材料費は20.2%にしかなりません。その一方、営業前線では、その製品が売れている・売れていないで、最終製品価格を10%単位で顧客と価格交渉しているのです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
では次に、PPI及びコアPPIの前月比・前年比のどの項目が、反応に寄与するのかを下表に示しておきます。
結論から言えば、最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足の反応方向を高くするには、
という係数のときだとわかりました。この式で求まる事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は83%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月14日00:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、PPIが市場予想を上回り、コアPPIが市場予想を下回りました。前回結果と比べると、全般的には生産者物価は下がっています。
反応は陽線で、直後11分足は直後1分足の跳幅・値幅を超えて伸びました。
同時発表された週次新規失業保険申請件数は、ほぼ市場予想通りでした。
よって、今回の反応は指標結果によるというより、23:00のFRB議長議会証言を睨んでの動きと推察されます、
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、指標発表7秒前ぐらいから陰線側に転じました。
今回は指標発表前にポジションを取る予定がなかったので、ギリギリまでポジション解消を待てたことが勝因です。
追撃は、高値掴みとなってしまい、一時は陰線側に転じて含損が生じていました。これも、21:35頃からの再反転によって救われました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応は小さく、最終的には素直な方向に落ち着いたものの、どちらに反応が伸びるか迷いがあったように見受けられました。
直前1分足は陰線で、指標発表後の反応は素直でない方向となりました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月13日21:30に米国物価指標「PPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻、米国雇用指標「週次新規失業保険新鮮件数」が発表されます。また、23:00にはFRB議長の議会証言が予定されています。
本指標の過去傾向は、
- 反応程度は、直後1分足跳幅・値幅が各17pips・12pipsと、あまり大きくありません。
- 反応方向は、事後差異と直後1分足の方向一致率が83%で、発表結果の良し悪しに素直な傾向があります。
- 直後1分足終値がついて時点で、それから直後1分足値幅を削ったか反応方向が反転したことが50%です。追撃するなら早期参加・短期利確です。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 今月はまだ輸入物価指数が未発表ですが、気にする必要はありません。一部の解説で見受けられるような「物価は上流から下流に波及」という説明は、輸入物価と生産者物価に関する限り、ほぼ関係ありません。
- PPI・コアPPIともに、前月比の差異は前年比の差異に比べて反応方向に2倍影響を与えます。PPIとコアPPIの反応への影響力には差がありません。
- 過去のローソク足を見る限り、指標発表前の直前10-1分足と直前1分足にはヒゲが目立ちます。ヒゲの長さや方向は、指標発表後の反応程度・方向との関係が見出せません。
- 直前1分足の陰線率は88%となっています。
指標発表前のローソク足方向は、指標発表後のローソク足の方向とは関係ありません。他の取引参加者も、本指標の反応方向は読み切れていない、ということです。 - 市場予想がどうあれ、指標発表前のローソク足の方向とは関係ありません。発表後の反応は、指標結果の良し悪しに素直に反応しています。
- 追撃にも向きません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が61%しかなく、直後1分足終値がついた時点では、そこから更に反応に伸びたことと、逆方向に伸びることが各50%です。
もし追撃するなら、早期参加・短期利確です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去平均の跳幅が4pipsしかないので、当日の値動きが激しくなければ、取引は止めます。
(2) 指標発表直後の反応が10pips未満なら追撃してすぐ利確します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
さて、物価は上流から下流へと波及すると、かつては解説されていました。がしかし、これは供給側の論理が消費側の論理よりも強かった時代の話です。確かめておきましょう。
PPIに先行するのは輸入物価指数です。もし輸入物価指数が前月より上昇したら、PPIも前月より上昇するのなら、輸入物価は生産者物価を先行示唆することになります。
下図は、輸入物価指数とPPIの増減方向が一致した率をプロットしています。横軸でPPIと比較する輸入物価指数を時期ずれさせています。
この図からは、輸入物価が上昇すればPPIも上昇する、といった関係が見出せません。輸入材料が倉庫に置かれる期間も考慮して、輸入物価と3か月後のPPIまで比較しても、両者の方向一致率は高くありません。
当然です。
物価に影響を与える量産品の原価は、ざっくり、材料費(1)+光熱費(1)+加工費(1)です。これに製造益(1)と営業益(1)を加えると、全て輸入材料で作られる製品ですら、材料費はPPIの20%程度です。輸入物価が前月に比べて1%上昇しても、材料費は20.2%にしかなりません。その一方、営業前線では、その製品が売れている・売れていないで、最終製品価格を10%単位で顧客と価格交渉しているのです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
では次に、PPI及びコアPPIの前月比・前年比のどの項目が、反応に寄与するのかを下表に示しておきます。
結論から言えば、最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足の反応方向を高くするには、
2✕PPI前月比の差異
+1✕PPI前年比の差異
+2✕コアPPI前月比の差異
+1✕コアPPI前年比の差異
+1✕PPI前年比の差異
+2✕コアPPI前月比の差異
+1✕コアPPI前年比の差異
という係数のときだとわかりました。この式で求まる事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は83%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月13日21:30発表
以下は2017年7月14日00:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、PPIが市場予想を上回り、コアPPIが市場予想を下回りました。前回結果と比べると、全般的には生産者物価は下がっています。
反応は陽線で、直後11分足は直後1分足の跳幅・値幅を超えて伸びました。
同時発表された週次新規失業保険申請件数は、ほぼ市場予想通りでした。
よって、今回の反応は指標結果によるというより、23:00のFRB議長議会証言を睨んでの動きと推察されます、
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、指標発表7秒前ぐらいから陰線側に転じました。
今回は指標発表前にポジションを取る予定がなかったので、ギリギリまでポジション解消を待てたことが勝因です。
追撃は、高値掴みとなってしまい、一時は陰線側に転じて含損が生じていました。これも、21:35頃からの再反転によって救われました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応は小さく、最終的には素直な方向に落ち着いたものの、どちらに反応が伸びるか迷いがあったように見受けられました。
直前1分足は陰線で、指標発表後の反応は素直でない方向となりました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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