2017年07月05日
米国景気指標「ISM非製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月6日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月6日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本発表に先立つ22:45に「非製造業PMI」が発表されます。非製造業PMIと本指標とは同月分集計結果の発表となるので、何らかの影響があると考えられるものの、両指標の相関についてはまだ調べていません。来月には両指標の対比分析を間に合わせたいと思います。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。下図も同様です。
下図は、本指標内訳となります。ビジネス活動指数を除くと、新規受注指数・雇用指数・価格指数には市場予想がありません(どこかにあるのかも知れませんが、細かく調べていません)。
以上の過去の市場予想・発表結果に基づき、各項目毎の反応との方向一致率を下表に示します。
調査は、事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足や直後11分足・実態差異と直後11分足の方向一致率を求めています。市場予想がない新規受注指数・雇用指数・価格指数は、実態差異と直後11分足の方向一致率だけを求めています。
各項目の影響を見て、各差異の重み付けを、景況指数は4倍・ビジネス活動指数は2倍・その他は1倍して、指標一致性分析の係数を決めました。
ここで、取引には関係ないことですが、数学的に正しくない処理をしているので注記です。
もともと景況指数には内訳項目が反映されているので、このように内訳をもう一度取り込む回帰計算を行うことは、数学的に正しくありません。正しくないものの、現実問題として景況指数発表値が市場予想や前回結果と同値でも、陽線か陰線に反応します。そのため、計算上は二重回帰になってしまうものの、内訳の各項目も再度変数として取り込んで、上記の重み付けを求めています。
こうした処理を行うことで、ほぼ事前差異・事後差異・実態差異が0となることがなくなります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月7日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標結果は雇用指数を除いて前回結果・市場予想以上となり、反応は陽線となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は売ポジションだったにも関わらず含損を抱えていたので、そのまま指標発表まで持ち越しました。結果、指標結果を読み誤っていたため損切となりました。
指標結果を読み誤っていたので、発表後はすぐに買ポジションで追撃し、チャートの波をうまく捉えることができました。
指標発表を跨いで無理にポジションを持たなくても良さそうなものですが、それは違います。
程度が管理できる限りにおいて、勝率100%が目標ではなく負けても良いのです。そのとき、分析による根拠に基づいて負けるなら、いずれ期待的中率通りの勝率になるでしょう。だから、負け惜しみでなく、負けること自体に問題はありません。
そして、期待的中率が高いときに発表時刻を跨いでポジションを取っておけば、損切と利確の幅を比べて反省することができます。動きが早くても過去の反応の平均値を頭に入れておけば、利確は平均値以上を目指しやすく、損切は平均値以下で即座に行いやすくなります。それが後々データを確かめてみれば、損小利大になっています。
更に、損切となったときはすぐに反転追撃すると、損失をいくらか取り返せることの方が多いのです。損切となる分析間違いは仕方ないにせよ、すぐに損切して反転追撃すると、発表から1分強は指標結果に素直に反応を伸ばすことが多いからです。
ともあれ、今回は何とか取り返せました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月6日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本発表に先立つ22:45に「非製造業PMI」が発表されます。非製造業PMIと本指標とは同月分集計結果の発表となるので、何らかの影響があると考えられるものの、両指標の相関についてはまだ調べていません。来月には両指標の対比分析を間に合わせたいと思います。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 過去の平均的な反応程度は小さく、直後1分足跳幅・値幅が各15pips・11pipsしかありません。
反応方向は発表結果の良し悪しに素直で、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が78%となっています。
追撃には適しているものの、発表から1分を過ぎると、そのまま反応を伸ばすか反転するのかがわかりません。短期取引に適しています。 - 過去の市場予想は71%が前回結果より低くなっており、偏りがあります。がしかし、実際の発表結果は前回結果よりも52%が高くなっています。
つまり、本指標の市場予想は、発表結果の前回結果との増減方向すら当たっていません。 - それにも関わらず、事前差異(市場予想ー前回結果)の正負方向と直後1分足の方向一致率は67%(3回に2回)となっています。現時点(7月5日正午頃)において今回の事前差異はマイナスなので、過去の実績から言えば3回に2回の割で陰線ということになります。
- 指標発表前のローソク足の方向は、指標発表後のローソク足の方向を示唆していません。
直前1分足の陰線率は84%と高く、指標発表直前の動きには市場環境や直後の指標発表に関係ない動きをします。指標発表時刻を跨いで買ポジションを取得するつもりなら、指標発表直前が良いでしょう。
なお、直前1分足が数少ない陽線だったことは4回です。この4回のうち3回で、直後1分足が陽線となっています。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は81%に達しており、それら跳幅同士を見比べて反応を伸ばしたことは90%にも達します。がしかし、直後1分足終値がついた時点では、更に反応を伸ばす確率が50%まで低下しています。
つまり、本指標は早期追撃・短期利確に適しており、発表から1分を経過してからは追撃に不向きだと言えます。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足も陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表後はすぐに解消します。
(3) 反応方向を確認次第、追撃ポジションを取得します。複数回の追撃は行いません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。下図も同様です。
下図は、本指標内訳となります。ビジネス活動指数を除くと、新規受注指数・雇用指数・価格指数には市場予想がありません(どこかにあるのかも知れませんが、細かく調べていません)。
以上の過去の市場予想・発表結果に基づき、各項目毎の反応との方向一致率を下表に示します。
調査は、事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足や直後11分足・実態差異と直後11分足の方向一致率を求めています。市場予想がない新規受注指数・雇用指数・価格指数は、実態差異と直後11分足の方向一致率だけを求めています。
各項目の影響を見て、各差異の重み付けを、景況指数は4倍・ビジネス活動指数は2倍・その他は1倍して、指標一致性分析の係数を決めました。
ここで、取引には関係ないことですが、数学的に正しくない処理をしているので注記です。
もともと景況指数には内訳項目が反映されているので、このように内訳をもう一度取り込む回帰計算を行うことは、数学的に正しくありません。正しくないものの、現実問題として景況指数発表値が市場予想や前回結果と同値でも、陽線か陰線に反応します。そのため、計算上は二重回帰になってしまうものの、内訳の各項目も再度変数として取り込んで、上記の重み付けを求めています。
こうした処理を行うことで、ほぼ事前差異・事後差異・実態差異が0となることがなくなります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月6日23:00発表
以下は2017年7月7日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標結果は雇用指数を除いて前回結果・市場予想以上となり、反応は陽線となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は売ポジションだったにも関わらず含損を抱えていたので、そのまま指標発表まで持ち越しました。結果、指標結果を読み誤っていたため損切となりました。
指標結果を読み誤っていたので、発表後はすぐに買ポジションで追撃し、チャートの波をうまく捉えることができました。
指標発表を跨いで無理にポジションを持たなくても良さそうなものですが、それは違います。
程度が管理できる限りにおいて、勝率100%が目標ではなく負けても良いのです。そのとき、分析による根拠に基づいて負けるなら、いずれ期待的中率通りの勝率になるでしょう。だから、負け惜しみでなく、負けること自体に問題はありません。
そして、期待的中率が高いときに発表時刻を跨いでポジションを取っておけば、損切と利確の幅を比べて反省することができます。動きが早くても過去の反応の平均値を頭に入れておけば、利確は平均値以上を目指しやすく、損切は平均値以下で即座に行いやすくなります。それが後々データを確かめてみれば、損小利大になっています。
更に、損切となったときはすぐに反転追撃すると、損失をいくらか取り返せることの方が多いのです。損切となる分析間違いは仕方ないにせよ、すぐに損切して反転追撃すると、発表から1分強は指標結果に素直に反応を伸ばすことが多いからです。
ともあれ、今回は何とか取り返せました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は過去平均より小さく、方向は素直で、跳値は発表から1分を過ぎても伸びたものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削りました。
- 市場予想が方向すら当たっていない、という点は、分析通りでした。
- 事前差異と直後1分足の方向一致率は67%(3回に2回)が当たっており、今回は直後1分足を陰線と予想していました。がしか、結果は陰線となって、分析を外しています。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率は81%に達していました。そして、それら跳幅同士を見比べて反応を伸ばしたことは90%にも達しました。がしかし、直後1分足終値がついた時点では、更に反応を伸ばす確率が50%まで低下しています。
その通り、と言ってもよい動きでした。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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